大阪都構想:議案を27日午後に否決へ 府議会・市議会

毎日新聞 2014年10月27日 14時24分(最終更新 10月28日 08時12分)

大阪都構想の協定書議案が起立少数で否決された大阪市議会の財政総務委員会=大阪市北区で2014年10月27日午後1時すぎ、望月亮一撮影
大阪都構想の協定書議案が起立少数で否決された大阪市議会の財政総務委員会=大阪市北区で2014年10月27日午後1時すぎ、望月亮一撮影

 ◇野党の反対多数で

 大阪市を廃止し、五つの特別区に分割する大阪都構想の協定書(設計図)議案について、大阪市議会の財政総務委員会は27日、野党の反対多数で否決した。大阪府議会の総務委員会も同様に否決する見通し。議案は午後に予定されている大阪市と大阪府両議会の本会議で否決される流れで、橋下徹市長(大阪維新の会代表)らが主張する都構想が議会で初めて否決されることになる。

 橋下市長と松井一郎知事(維新幹事長)は、否決されても再提案する方針を示すが、議会の反対姿勢は変わらない。2人は議会の議決を経ずに首長が議案を処理する専決処分に踏み切る可能性も示唆しており、野党との対立は、さらに激化することが予想される。

 この日、市議会の財政総務委員会は午後1時すぎに始まり、協定書議案を否決した。府議会総務委員会は午前10時半に開始して協定書議案を採決する予定だったが、議事運営を巡って混乱し、午前中の採決はなくなった。

 都構想の手続きを定める大都市地域特別区設置法によると、都構想の実現には、協定書議案について府市両議会の議決を得た後、大阪市で住民投票を実施し、有効投票の賛成多数を得ることが必要。どちらかの議会で協定書議案が否決されれば、都構想は前に進まなくなる。

 都構想を巡っては、維新は「都構想実現で府市の二重行政を解消し、特別区設置で身近な行政サービスが充実できる」と主張。これに対して公明、自民、民主、共産など野党は「都構想でなくても府市の連携で、二重行政解消は可能。特別区を設置するとコストがかさむ」などと反対していた。また、維新が単独で協定書をまとめた経緯から「協定書は無効」だとも指摘していた。

 橋下市長は最近になって、「都構想の是非は議会ではなく、住民が決めるべきだ」として、住民投票実施を求める署名運動を市民に呼び掛ける意向も明らかにしている。

 府議会総務委員会では、都構想の対案として自民が提案している、政令市を残したまま府市の首長と議会が協議する「大阪戦略調整会議」の設置条例案も採決の予定。【熊谷豪、重石岳史】

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