イッピン「カジュアルにふだん使い!〜石川 輪島の器〜」 2014.10.19

器あつめが大好き。
テーブルコーディネートも手がけるモデルの小泉里子さん。
やってきたのは石川県輪島市。
600年の伝統がある漆器の一大産地です。
輪島塗は全国の漆器産地でただ一つ国の重要無形文化財に指定されています。
輪島といえば漆器ですがちょっと高級なイメージがあってなかなか手が届かないというイメージがあるんですけれども最近は新しい漆器があるということでそんな漆器を今回は見にいきたいと思います。
小泉さんが最初に訪ねたのは輪島の器を使っているというイタリアンレストランです。
地元で取れた新鮮な魚介や野菜を使った料理が評判。
さてどんな器が出てくるんでしょうか。
サラダが盛られた器は?どうぞ。
わ〜すてき。
特徴的なこの艶感が。
(村井)そうですねきれいですね。
なんか贅沢ですね。
こちらの器は伝統的な輪島塗。
艶やかで重厚な質感が高級感を醸し出しています。
緊張しますね食べる時は。
お箸やフォークをつけちゃいけないんじゃないかと思って。
次に運ばれてきたのは魚と野菜のバジリコパスタ。
これも同じ輪島塗の。
輪島塗ですかこれ!はいそうなんです。
見た目が全然違いますよね。
この線状になっているものとかとてもモダンに見えてすてきですね。
確かに従来の輪島塗とは質感が違います。
艶やかな光沢が押さえられ細かい筋模様が入ってカジュアルな感じです。
比べてみると違いは歴然。
贅沢さもあり自慢のお皿になりそうですね。
ふだん使いができる魅力的でモダンな器。
伝統の枠を飛び出した新しい輪島の器です。
小泉さんがイタリアンレストランで出会ったカジュアルなパスタ皿。
どんな人たちが作ったのでしょうか。
こんにちは。
どうもいらっしゃいませ。
どうぞお入りください。
いいですか。
江戸時代後期から続く…暮らしの中で使える漆器の開発に取り組んできました。
食卓を彩るさまざまなアイテムがそろっています。
どれもスタイリッシュ!使ってみたくなるものばかりです。
どうしてこのような形を作ろうと思ったのですか。
現代の暮らしの中でいろいろな道具を使って食べます。
それは箸だけではなくて金属のスプーンであったりフォークであったり。
あと私カレーライスが大好きなもんですからカレーを気軽に食べたいと思って作ったのが直接のきっかけです。
カレーライスとは!カレーライスです。
なかなか発想元が面白いですね。
今こちらの細かい線がですねいくつも入ってましてこうすることによって指先に引っかかるんですね。
それでその素材感というのをより感じて頂けると思います。
ですから「使ってみようかな」って…。
なるほどこれだったら身近に感じるというか遠くにない感じがしますね。
これを手に取ってみると。
ふだん使いができるという輪島の器。
そこに秘められた職人の技とは?桐本さんの工房で新しい器づくりを行っている職人。
職人歴25年。
独特の質感を持つあの器は小路さんの技なくしてできないと言います。
小路さんのパスタ皿も伝統的な工程を経て作ります。
まずは「布着せ」。
この上から「下地塗り」を行います。
器の丈夫さを作るもっとも重要な工程。
伝統的な輪島塗はこの下地塗りが終わると下地の跡が見えないよう丁寧に「上塗り」を行い滑らかな表面に仕上げていきます。
ところが小路さんはカジュアルな感じを出すためにあえて上塗りをしません。
下地塗りだけで仕上げるというのです。
下地は通常木ベラで塗りますがそうするとぽってりとした厚みが出て見栄えがよくありません。
そこで木ベラの代わりに特殊なハケを使って表面に模様をつけます。
(小路)これがそのハケです。
わ〜。
すごい!こっちまでドキドキしますね。
わっと広がる感じがしますね。
では美しい模様をつけるそのテクニックとは?ハケを当て筋模様をつけていきます。
よく見ると表面の漆が僅かに削り取られているのが分かります。
しかし漆がたまってしまうときれいな模様は描けません。
そこで手首の角度を微妙に変えたまった漆をハケの外側へ逃がしながら同時に内側の部分で模様をつけていたのです。
ここに力を気持ち入れつつこっちに漆を逃がすっていうようなやり方でやってます。
ハケの内側に力を入れて漆を逃がしながら模様をつけていく。
長年漆塗りをしてきた小路さんならではの技。
やっぱりここからは小路さんにしか分からない細かい感覚っていうのが指先に感じるんですね。
こうして下地塗りだけで手作業ならではの独特の模様をつけることに成功しました。
ちょっと風合いも残しながら。
はい。
したいなぁと思いまして…更に色合いに深みを持たせるためある技法を取り入れました。
家具に用いる「拭き漆」仕上げです。
漆を塗っては布ですり込むように拭き取ります。
これを8回繰り返すことで艶と奥行きを出すんです。
「下地塗り」という伝統技法を進化させて作った新しい器。
モダンな表情が特徴的なイッピンとなりました。
新しい発想で作られたこのパスタ皿。
伝統的な輪島塗の長所も兼ね備えています。
それは何といっても丈夫なこと。
更にフォークでガリガリしても傷がつきません。
輪島塗というのは下地に強さを求めてしっかり下地を塗ろうと江戸時代半ばから技法は続いています。
強くするための秘密をお見せします。
はい。
わっ!これが「輪島地の粉」と言われている…ちょっといいですか?どうぞどうぞ。
あ…すごいサラサラしてるけどくっつく感がありますね。
そうそうそう。
ピタッと!これは輪島しかないんです。
そうなんですか。
輪島にしかないという地の粉。
輪島の中心地からほど近い小峰山から採れます。
ここの「珪藻土」という土を焼いて砕くと地の粉になります。
これが強い器を生み出す秘密です。
地の粉を漆に混ぜて下地に使います。
珪藻土は植物プランクトンが化石化したものでガラスのような固さがあります。
更に無数の小さな穴が開いているのが特徴。
その穴に漆が入り込み木地に密着して強度が高まるのです。
地の粉を混ぜた漆は輪島塗に欠かすことができない材料です。
下地でコーティングして強い下地を作るっていうのが輪島塗ならではです。
なるほど。
お化粧と一緒だと思ってください。
う〜んそうですね。
こう埋めていくというか…。
そういうことです。
なるほど。
輪島塗ではこの下地塗りを必ず3回行います。
塗り重ねることで更に強度が増すのです。
地の粉を混ぜるとどれほど強くなるのでしょうか。
地の粉を混ぜた漆を塗った板と混ぜない板の強度を比べました。
1.5cm×10cmの板に圧力をかけます。
地の粉が入っていない板は…。
およそ5kgの負荷で折れました。
一方地の粉が入ったものはおよそ6kgまで持ちこたえました。
実験の結果耐えられる負荷に1kgもの違いが出たのです。
地の粉を入れた方が優れた値を示しまして…堅ろうさと美しさを兼ね備えた器。
それを支えていたのは地の粉を使った独特の下地塗りでした。
日本海に面する輪島市。
江戸時代に北前船の寄港地として栄えました。
輪島塗はここを経由する船によって全国に広められていきました。
長い歴史の中で高度な技術が培われ昭和52年には国の重要無形文化財に指定されました。
輪島には漆器を華やかに彩る技があると聞き小泉さんが訪ねたのはこちらのギャラリー。
こんにちは。
(古込)こんにちは。
こんにちはどうも。
わ〜。
いろんなアイテムあるんですね。
そうですね。
これは手鏡。
はい。
わ〜すごい細かい!これもすごいですね。
それは沈金で漆を塗った所にノミで一本ずつ線を引いて彫っていきますね。
漆器を華やかに彩る沈金。
その名のとおり…沈金による作品を数多く作ってきた…器にとどまらず小物入れやオブジェまで金で飾ってきました。
イルカのオブジェ。
よく見ると目の周りや体に細かい金の模様があります。
これも沈金。
飛び抜けた作品ですね。
そうですね。
どうやったら若い人たちが興味を持ってくれるだろうって。
実際にこの杯なんかもそうですけど居酒屋さんに行って漆の杯でお酒を飲むっていうことがちょっとはやりはじめまして。
要はマイ…マイサカズキみたいな感じですか。
そうですね。
わ〜なんか贅沢。
アハハハハ…。
贅沢だなぁ。
古込さんの工房におじゃましました。
この小さな杯に沈金を施します。
最初に桜色の漆で下絵を描きます。
沈金の作業に欠かせないのが古込さん特製のノミ。
彫りの深さや線の幅によって使い分けます。
彫る時って彫刻刀みたいなのを想像していたんですけど。
普通彫るっていうとこう彫る感覚があるんですけど沈金の場合はこう持って漆の面をすくってあげるような感じで彫るので。
沈金は漆の表面を直接削るため一彫りの失敗も許されません。
花びらの輪郭には先が丸いノミを用います。
同じ太さ同じ深さの曲線を描くのは至難の業。
ノミの先端を回転させながら彫り進めます。
彫るというか描いているような感じですね。
はい。
そうなんですね。
塗りの厚みがないとしっかり彫れないので。
輪島では漆がしっかりと塗られているので沈金の技術が発達しました。
次はこの花の中を表情つけるために今度は花の中を点々を彫ってグラデーションしていきます。
花びらの中には「点彫り」という技術を用います。
1つの点の大きさはおよそ0.1mm。
深さや角度を自在に変えていきます。
なんか目がチカチカしますね。
そうですね。
意外と点を一個一個見てると疲れるのでこのノミの先を見ながらあと指の感覚で大体この辺だろうということで彫っていきます。
こういうふうになってくると全く表情が変わってきます。
違いますね。
奥行き感が出ますね。
そうですね。
微妙に彫り方を変えることで桜の花に表情が。
そしていよいよ金を使って仕上げの作業。
金を器に接着させるため漆を彫った模様に薄く塗ります。
脱脂綿に金粉を取りすり込むようにつけていきます。
わ〜。
入っていく感が分かりますね。
はい。
余った金粉を指で拭き取ると…金の繊細な線が!わぁすごい輝きが。
キラキラと輝く花びらが杯に浮かんでいるよう。
よく見ると上の花びらは金が少し沈んでいるように見えます。
一方下の花びらは金がより鮮やか。
深く彫った部分と浅く彫った部分。
それぞれの光り方の違いが陰影のある表情を生み出しているのです。
ちょっとお出かけした時に出先で。
はい。
フフフこれで飲むという感じですね。
へぇ〜おしゃれ。
緻密で繊細な金の桜。
これでお酒を頂くなんてちょっと贅沢なイッピンです。
次々と自由で新しい器が生み出されている輪島。
このギャラリーにも話題の作品が。
わ〜あらまぁ!なんかちょっと今までとは違う鮮やかな色で。
すごいすてきですね。
漆器といえば赤と黒をイメージしますがここには随分カラフルな器が並んでいます。
こんにちは初めまして。
どうもどうも。
ようこそおいで頂きまして。
上塗りを専門とする職人の…これかなり珍しい色ですよね。
こういうのを作ろうと思ったのは?
(中門)赤と黒だとお正月とか儀式的なものしか使いにくい。
ちょっと高級感があってその辺が何とかならんかなという物づくりをしてますけども。
小泉さん気になる器を見つけたようです。
すごいきれいなグラデーションになっているんですけど。
これを表すのって大変ですか?これはやはり難しいところですね。
おもちゃみたいになるとなんか塗り物じゃないし。
輪島塗を意識しながらちょっと高級感も出ながらみたいでないと受け入れてもらえないんで。
異なる色を使いながら淡いグラデーションによって全体が上品に仕上がっています。
このグラデーションどうやって作り出すんでしょうか?中門さんは20年前から新しい漆の色を出したいと研究に取り組んできました。
この青も漆と顔料を独自の配合で生み出した色。
これは試行錯誤の末作り出した色見本。
これらの色を組み合わせてグラデーションを作っていきます。
新しい色づくりはきっと楽しいでしょうね。
あとやはり人に褒められてなんぼです。
この美しいグラデーションの技法輪島でもできる職人は数少ないといいます。
まずカップの下の部分をハケで青色にムラなく塗っていきます。
同様に上の部分は白に。
そしてハケで押さえて色の境目を整えながらグラデーションを作ります。
ここからが中門さんの腕の見せどころ。
30秒ほどで美しいグラデーションが。
実は激しく動かしたハケの動きにある技がありました。
最初に大きな波形を作りながら色を混ぜ合わせグラデーションの幅を決め次にハケを左右に細かく動かしながら波形の模様をグラデーションに整えていたのです。
変化に富んだ色彩が魅力のイッピンです。
カジュアルでこれまでとは一味違う漆器に触れた小泉さん。
いかがでしたか?こんなふうに表現できるんだっていう面白さを知りましたね。
今までは高級なものだからやはりお祝い事とかそういう時にならではと思ってたんですけど今回出会ったものはいろんな色があったりとかいろんなデザインがあったりとかふだん使っていける漆がすごい見つかったような気がしましたね。
伝統の技術を武器に新しい器づくりに挑戦する輪島の職人たち。
さて次はどんな漆器が生み出されるんでしょうか?2014/10/19(日) 04:30〜05:00
NHK総合1・神戸
イッピン「カジュアルにふだん使い!〜石川 輪島の器〜」[字]

今回は石川県の『輪島の器』。現代的なデザインを取り入れたカジュアルな漆器が人気を呼んでいる。スタイリッシュなパスタ皿や、カラフルなカップを作る職人技に迫る。

詳細情報
番組内容
今回は石川県輪島市の『輪島の器』。「輪島塗」といえば高級なイメージもあり、普段の食卓にはなじみが薄いものと思われがち。しかし近年、製法に工夫を施し、現代的なデザインを取り入れたカジュアルで使いやすい器が人気を呼んでいる。食器集めが趣味というモデルの小泉里子が、赤や黒の「ツルツル」とした漆器のイメージを覆す、スタイリッシュなパスタ皿や、カラフルに彩られたカップに出会い、その職人技に迫っていく。
出演者
【リポーター】小泉里子,【語り】平野義和

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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