土曜プレミアム・世にも奇妙な物語’14超短編を含む 秋の特別編 2014.10.18

(信田)相撲取りに追われてる。
今すぐ助けてくれ!追い掛けられてんだよ!
(頼子)誰か〜!
(温子)何でそういう大事なことをファナモしながら言うの?
(雅実)ずっとサプライズされたがってたじゃん。
(健斗)サプラ〜イズ!
(優希)やめて〜!!
(國正)僕の未来を返せ!
(直輝)彩香は私のものだ。
何だか捨てられなくて。
(酔っ払い上司)この人たちに謝れ!
(ウェルズ)Yes!
(ストーリーテラー)世の中こんなにもついてる人がいるんですね。
(ウェルズ)シャンパン!彼の名はチャールズ・ウェルズ。
1891年連続5回赤の5番に賭けモンテカルロを破産させたとして語り継がれる男です。
一方こちらは…。
(男性)Stopthemachine.んっ?えっ?
(パウリのせき)実験が苦手な物理学者ヴォルフガング・パウリは次々と実験を失敗させてしまいます。
彼が巻き起こす不可解な現象はパウリ効果と呼ばれていました。
不運の連続には自らの潜在意識が何らかの影響を及ぼしてるのではないか。
パウリは心理学の大家ユングと研究を始めます。
次々幸運な現象を引き寄せるウェルズ。
不幸な現象に見舞われるパウリ。
(パウリ)ハロー?ただの偶然ではなく彼らの潜在意識が手繰り寄せた必然だったのかもしれません。
こよいご紹介する5つの物語彼らの潜在意識は幸運不運どちらの結末を導くのでしょうか。
(健斗)なあ優希。
まだ?なっ!
(優希)シッ!あっ来た来た。
(健斗)おっ。
(雅実)久しぶりだね公園デートなんて。
(智)たまにはいいだろ。
おっお〜…。
(雅実)あっあの大丈夫ですか?すまないねえ。
優しい子だねえ。
いえそんな。
そんな優しいあなたに…。

(音楽)えっ?えっ?
(智)ハハハ。
ハハハハ…。
(雅実)ハハ。
(智)フゥ〜!えっ何何?えっ?えっすごいんだけど。
アッハ…嘘〜。
(雅実)これ?ハハ…。
えっ?智。
フフ。
何で?サプラ〜イズ!雅実誕生日おめでとう。
嘘〜。
すごい。
ありがとう。
みんなありがとう!
(一同)フゥ〜!雅実おめでとう!やっぱり優希か。
(智)ありがとな。
(優希)何のこれしき。
(優希)うまくいったね。
(健斗)でもちょっと大げさじゃないかな?大げさなほどいいの。
驚きが大きいほど喜びも大きいでしょ。
それがサプライズの魅力。
(健斗)ふ〜んそうなんだ。
私たちは先週何もしなかったもんね。
悪かったよ。
付き合って3年の記念日だったのに。
ありがとねプレゼント。
大事に使ってる。
私には何もなかったけど。
誕生日には埋め合わせするから。
もういい。
あ〜あ。
いいな雅実は。
(健斗)えっ?私もされたいなサプライズ。
タカハシさんデータ入稿終わりました。
あと報告書共有上げてるんでチェックお願いします。
(社員)了解。
早いねえ。
すごいね優希。
正社員より仕事できるんじゃない?そんなことないよ。

(松田)藤村!
(優希)はい。
(松田)藤村お前大日本物産の佐藤さんに何かしたか?
(優希)いえ特に。
企画書送っただけですけど。
はあ?お前あれ送ったのか?えっ?えっでも松田さん「送っとけ」って言ってましたよね?誰もそんなこと言ってねえよ!クレーム来ちゃったよ。
すごいおかんむりだよ。
(優希)えっ?とにかくすぐ謝罪に行ってくれよ!大事なクライアントなんだから。
(優希)本当に申し訳ありませんでした。
あの…。
(優希)社長…。
(佐藤)どうぞ。
(優希)失礼します。
ネットネーションの藤村です。

(健斗)サプラ〜イズ!サプラ〜イズ。
(優希)健斗…何で?驚いた?ちょっと遅れちゃったけど俺からも記念日のお祝い。
藤村さん健斗さんと交際3年記念誠におめでとうございます。
(健斗)驚きで喜びも倍増だろ?
(優希)ありがとうございます。
(優希)どうやったの?社長さんにまで協力してもらうなんて。
(健斗)まあいいじゃない細かいことは。
(優希)教えてよ。
健斗一人でやったの?あのサプライズ。
うれしかった?でも大事なクライアントだから会社に迷惑掛かっちゃったらヤバいし…。
大丈夫だよ。
しつこいな。
ちょっと健斗。
(健斗)うわ!
(物音)
(優希)健斗?健斗…健斗しっかりして!健斗!誰?・
(拍手)サプラ〜イズ!はい優希。
(健斗)やっぱりいいなあ。
サプライズって最高だね。
もう心配させないでよ。
(雅実)ハハハ…面白いね健斗君。
(優希)う〜ん…。
どうしたのよ優希。
ずっとサプライズされたがってたじゃん。
そうなんだけど何か全然うれしくなくて。
さすがにちょっとやり過ぎだと思う。
まあずっと続くわけじゃないしもう平気じゃない?また何かお祝い事でもないかぎりは。
えっ?そろそろしないの?結婚。
もう3年でしょ。
さあ。
向こうは全然そういうこと言わないから。
えっそうなの?じゃあ期待だね。
サプライズプロポーズ。
(松田)藤村。
(優希)はい。
実はお前を正社員に昇格させようって話があるんだ。
ホントですか?頑張りが認められたな。
受けてくれるか?ありがとうございます。
ぜひよろしくお願いします。
おめでとうございます優希さん。
みんなでお祝いしないとね。
お祝い…。
(松田)よしじゃあ正式に決まったらみんなで藤村をぱ〜っと祝おう!何これ…。
おはようございます。
何で誰もいないの?・・
(男性)もしもしバイク便ですけど。
藤村優希さんのご依頼の品お届けに来ました。
私何も頼んでませんけど。
・今すぐお持ちしますんでお待ちください。

(通話の切れる音)もう嫌。
冗談じゃない。
(優希)嫌…やめて。
助けて…キャ〜!やめて助けて!
(優希)ん〜ん〜…。
ん〜ん〜…。

(一同)サプラ〜イズ!藤村正社員昇格おめでとう!
(一同)おめでとう!
(優希)いいかげんにしてください!
(松田)藤村どうかしたか?「どうかしたか」じゃないですよ!あんな誘拐みたいなまねまでして!
(松田)誘拐?
(雅実)優希みんな優希のためにやったことなんだから。
空気読んで。
(優希)こんなのどうかしてるよ。
健斗はどこ?彼が首謀者なんでしょ?健斗?そんなのどうだっていいだろ。
それより藤村お前はよく頑張った。
よしみんな胴上げしよう!
(社員)よっしゃ!
(優希)いやいいです。
いいです。
キャ〜!
(社員たち)せ〜の…おめでとう!
(優希)キャ〜やめて!下ろして…キャ〜!健斗!
(男性)お願いします。
えっ?あの…健斗に頼まれたんですよね?健斗はどこにいるんですか?・
(拍手)こちらのマンションの方ですか?ええ。
(刑事)実は管理人が殺されまして。
見ていただきたいものが。
(刑事)この部屋で管理人が殺されたんですが犯人があの防犯カメラに映っていまして。
この人物なんですが。
(管理人)うわ…。
(刑事)犯人は各部屋の合鍵を盗んでいます。
鍵の交換をした方がいいかと。
(管理人)《うわ〜!》・
(ノック)・
(ノック)・
(雅実)優希いるの?雅実?どうしたの?せっかくみんながお祝いしてくれたのに。
ちょっとどこ行くの?
(優希)駄目。
逃げなきゃ健斗のサプライズから。
(雅実)優希!
(雅実)優希!
(優希)放して!サプラ〜イズ。
ごめんな電話に出られなくて。
ずっと会社に缶詰めでさ。
(雅実)あら私お邪魔かな?帰るね。
待って雅実!さようなら。
(雅実)じゃあね優希。
行かないで雅実…。
どうした?そんな大荷物持って。
来ないで。
(健斗)怒るなよ。
留守電聞いて心配になってわざわざ飛んできたんだからさ。
もう嫌。
別れてください。
えっ?もう健斗とはやってけない。
分かってるよ。
サプライズなんだろ?えっ?だまされないぞ俺は。
違う。
私本気だから。
またまた。
何?どっかで撮影してんの?あそこかな?あそこか?優希!優希待てったら。
ハハハハ…おい優希。
優希。
ハハハハ…。
優希!ハッ…。
(優希)キャ〜!嘘でしょ?これもサプライズなんでしょ?こんなの悪趣味過ぎる…。
(優希の母)優希入るよ。
お葬式の日取り連絡あったよ。
(優希)死んでなんかない。
あれはサプライズなの。
優希ショックなのは分かるけど受け入れないと。
悲しんでたら健斗君も浮かばれないよ。
(優希)だから死んでなんてないってば!
(女性)ほらあの子。
見殺しにしたって。
(女性)ひどいわね。
サプラ〜イズ!
(優希)キャ〜!
(雅実)優希…優希!優希どうしたの?これって…。
優希。
(職員)胃の辺りですね。
お亡くなりになる前にのみ込まれたのでしょうか。
何?
(雅実)これ婚約指輪だよ。
健斗君ホントいい彼氏ね。
死んでまで優希のこと驚かせようとしてたんだ。
優希は幸せ者だね。
みんなに驚かせてもらって。
みんな優希のために頑張ったんだよ。

(一同)優希〜!
(一同)サプラ〜イズ!フゥ〜!
(松田)いや〜こんなすごいプロポーズ見たことないよ。
おめでとう藤村!
(優希の母)よかったわね優希。
優希おめでとう。
おめでとう!おめでとう。
(優希)嫌…。
おめでとう。
(智)おめでとう。
(4人)おめでとう。
(優希)もうやめて。
おめでとう。
(健斗)おめでとう。
おめでとう。
(優希)やめて〜!!・
(チャイム)・キャ〜!ちっちゃ。
(信田)いやだから朝出るとき言ったよね。
今日は後輩と飲む約束があるから遅くなるって。
(信田の妻)ああ帰りにさスーパーでマヨネーズ買ってきて。
(信田)マヨネーズって何で俺がそんなものを?はいはいお願いね。
は〜い。
(信田)えっ?ちょっと…。
(女将)あら信ちゃん。
(信田)来てる?
(女将)もうさっきからお待ちかねよ。
(亀井)ちっす。
(信田)う〜い。
(信田)お前もとうとうバツイチか。
(亀井)先輩のとこはいいですね。
いつまでも仲むつまじくて。
バカ言え。
もう年々口うるさくなってきたよ。
あのころのかれんな乙女はどこへやら。
今はまったく見る影もなしだ。
さっきだってわざわざ電話してきて「帰りにスーパー寄ってマヨネーズ買ってこい」だぞ。
(亀井)ハハハ…。
(信田)ったく何を考えてんだ。
(亀井)そうそうスーパーっていえばこの前偶然松尾さんに会いましたよ。
お〜あいつどうしてた?
(亀井)さらに太ってました。
この不景気で店の売り上げが上がらないからストレス太りだよ。
(信田)何がストレスだよ。
あいつの場合はただ食い意地が張ってるだけだ。
(亀井)確かに。
(信田)そんなに太りたきゃ相撲取りにでもなりゃよかったんだよな。
太りゃ太るほど褒められんだから。
(亀井)先輩。
(信田)んっ?あれ。
(信田)何でこんな所に相撲取りがいんだよ。
この辺りに相撲部屋なんてあったか?さあ。
まずいですよ。
(信田)何が?もしかしたらこっちの話が聞こえたのかもしれません。
先輩が相撲取りがどうだとか言うから。
関係ないだろそんなこと。
見たところあれは幕下の取的ってやつだな。
大したことない。
出世しそうなやつじゃないよ。
(亀井)先輩。
(信田)取的じゃなかったら単なるふんどし担ぎかもな。
ハハ。
(亀井)出ましょう。
(信田)何で?
(亀井)いいから。
ママお勘定。
(女将)は〜い。
(信田)亀井。
(女将)あれ?もう帰っちゃうの?
(亀井)ちょっと用事ができちゃって。
(女将)そう残念ね。
また今度ゆっくり来てね。
何ビビってんだよ。
たかが幕下じゃないか。
いざとなったらお前の得意な空手で…。
勝てませんよ。
(信田)まさか。
前に道場の師範代が酔って相撲取りとケンカしたことがあるんです。
全国大会で準優勝した猛者ですよ。
どうなったと思います?さあな。
あっという間に病院送りですよ。
いまだに右手が不自由なままです。

(亀井)俺たちのことつけてるんですかね?
(信田)偶然同じ方向に行こうとしてるだけだろ。
(信田)まずいな。
(亀井)まずいっすね。
(信田)おい!来てないな。
(亀井)あ〜よかった。
(亀井)あっ…あっあっ…。
(信田)にっにっ…逃げろ!
(信田)お〜!
(信田)あっぶ…。
(クラクション)
(信田)亀井!あそこ。
ここはうちが社用で使ってる会員制クラブだからいくらあいつでもここまでは入ってこれねえ。
(ホステス)私のパパもね昔素人相撲の横綱だったんだよ。
(ホステス)へ〜。
(信田)へ〜。
でプロの相撲取りにはならなかったの?
(ホステス)実は勝負したことあるの。
奉納相撲で幕下のお相撲さんと。
でどうなった?簡単に投げられちゃった。
秒殺よ秒殺。
ホント信じられなかった。
やっぱプロは違うよね。
もはやこの世の者じゃないって感じ。
ちょっとこれ薄いじゃん。
いるわけないだろ。
何時間飲んだと思ってんだ。
先輩!
(信田)何て執念深いやつだ。
(亀井)お〜!
(信田)うわ!
(信田)うっしゃ!
(信田)ちょっと。

(亀井)おっ先輩。
(信田)あ〜。
(信田)お〜!
(信田)亀井!おいこっちだ!
(信田)デブなのに何であんなに体力があんだよ。
デブなのに何ですげえ速えんだよ。
デブなのに!
(亀井)先輩。
(信田)何だよ!
(亀井)どうして先輩太った人のことそんなに悪く言うんすか?
(信田)お前には関係ないよ!
(信田)あっ。
(亀井)あっ!
(信田)あっ…。
(亀井)早く!早く先輩!来た!
(亀井)早く!
(信田)でっデブ来た!
(亀井)早く!先輩!あれ。
(信田)よ〜し急げ!すいません!誰か!
(亀井)あっこれ…。
何やってんだよ肝心なときに!
(亀井)いいから早く電話して。

(男性)はい。
事件ですか?事故ですか?取的だ!相撲取りに追われてる。
今すぐ助けてくれ!
(亀井)うわ!・えっ?
(信田)どうした!?・もう一度お願いします。
もしもし?もしもし?殺される…。
(信田)俺を置いて行くな〜!亀井!
(亀井)先輩!
(バイブレーターの音)何だ?
(信田の妻)「何だ」はないでしょ。
あなたまだ飲んでんの?まったく…。
うるさいな。
今それどころじゃないんだよ。
ったく何か血も出てるし…。
どうでもいいけどマヨネーズ忘れないでよ。
うわ〜!あっあっあっお前無事だったのか!?ひどいじゃないですか…俺を置き去りにするなんて。
ごっ誤解だよ。
あの場合は二手に分かれた方がいいんじゃないかと思って…。

(足音)
(信田)おいバス…バス乗るぞ。
(亀井)このバスどこ行きですか?どこでもいいだろそんなの。
今は逃げることが先決だ。
(信田)あっあいつ…。
もう嫌だ。
何で俺がこんな…。
なあ俺たち一度もあいつに謝ろうとしなかったよな?いまさら何言ってんすか。
いまさらだよ。
いまさらだけど…謝ろう。
ちゃんと謝って許してもらおう。
(亀井)分かりました。
あのすみません。
私たちはあの…別に悪気があってあなたのことを…相撲取りとかバカにしていたわけではなくて…。
あっとにかくもしあなたに不愉快な思いをさせたのなら謝ります。
申し訳ありませんでした。
許してください。
(亀井)申し訳ありませんでした。
ありがとうございます。
いやもう二度と今日のようなこと…。

(信田)あっ。
亀井!頑張ろう…来るぞあいつ。
(信田)何してんだ?おい!やってやる…。
このまま殺されるくらいならこっちからやってやる!あ〜!!
(信田)うわ〜!
(バイブレーターの音)はい。
(信田の妻)ちょっといつまでほっつき歩いてんの?さっさと帰ってきなさい。
分かってるよ。
いっつも心配ばっかりかけて…。
ごめんな。
何よ。
えっあなた泣いてるの?帰るから…すぐに帰るから。
愛してるよ。

(信田)うわ…。
人生はもともと不条理なものです。
えたいの知れない恐怖に襲われたとき逃げるのかそれとも立ち向かうのかその選択こそが…。
(操作音)もう終わった?
(謝罪の男)ごめん。
(笑顔の女)もういいって。
(謝罪の男)浮気なんてもう絶対にしない。
もういいから。
飲もう?
(謝罪の男)うわ〜…。
(のみ込む音)
(げっぷ)
(捨てられない女)どうぞ入って。
(男)お邪魔します。
(捨てられない女)物多くて驚いたでしょ?何だか捨てられなくて。
あっコーヒー入れよっか?ずっと前に買ったんだけど何だか捨てられなくて。
20世紀の名優チャプリンは言いました。
「人生にとって必要なものは勇気と想像力」「そして少しのお金」だと。
21世紀に生きるあなたにとって人生に必要なものは何ですか?
(森元)おはようございます旦那さま。
(國正)あと何日だ?
(國正)私に残された時間は。
(森元)あとひとつきほどです。
(森元)旦那さまがなさりたいとおっしゃっていたことまだまだたくさん残っております。
「過去の女性たちを一堂に集めた盛大な生前葬」「豪華客船を貸し切って」
(國正)よせ。
バカバカしい。
(森元)ならば例の計画はいかがいたしましょう?もし実行なさるならすぐにしかるべき…。
(國正)うるさい。
(せき)うるさいんだよ。
(晴翔)お〜い直輝!今日フットサルやんない?1人足んねえんだよ。
超怒ってるし。
(航大)そりゃそうだろ。
いまだに内定一個も決まってないんだから。
(彩香)大丈夫。
ほらまだチャンスあるって。
(直輝)もう無理だよ。
てか何で僕だけどこにも受かんないんだよ!あっ!あっ…あっ!あ〜。
(彩香)もう…。
(直輝)ハァ〜。
完全に人生狂った。
もう…僕にはもう未来なんてないんだよ!
(直輝の舌打ち)
(直輝)帰る!ちょっと!
(渡)働き口なんてどこだってあんじゃねえのか?いい会社だけが全てじゃねえだろう。
バカだなお前は。
僕はあんたみたくなりたくないんだよ!
(渡)何だと?親に向かって!あっ!?
(陽子)ちょっともうやめなさいよ!
(直輝)もうやってらんないよ。
「ごちそうさん」も言えねえのかお前は!
(直輝)あ〜!あっ!・
(直輝)あ〜!あっ!
(せき)
(チャイム)
(彩香)は〜い。
(直輝)よっ。
あっ…。
えっ?
(彩香)違うの。
あの…ちょっと相談に乗ってもらってただけ。
嘘つけ。
僕がこんなにつらいのにほっ他の男に!
(彩香)えっちょっと…。
ちょっと待って!つらいのは直輝だけじゃないよ。
直輝いっつも愚痴ばっかで私の言うことなんか全然聞いてくれないじゃない。
もう無理だよ私たち。
ハァ〜。
ハハハ…終わった。
完全に終わった。
ハハハハ…。

(國正)青年!早まるな。
(直輝)へ〜学者ねえ。
(森元)専門は大脳生理学です。
その発明のうちの幾つかが製薬会社に買い取られ旦那さまは莫大な富を得られました。
(直輝)へ〜。
それはそれはいい人生だ。
(國正)直輝君だったね?君は私をうらやんでいるようだが私の方こそ直輝君がずっとうらやましい。
はっ?僕がうらやましい?いやいや冗談でしょ。
ハハハハ。
(國正)フフフ…。
あのねおじいさんあんたはこんなふうに全部を手に入れたからそんなのんきなことが言えるんだよ。
きっとあんたには分かんないだろうな。
行きたくもない会社にへりくだってすがりつこうとする僕らの気持ちなんてさ。
(國正)では尋ねよう。
私の財産と君の未来とどっちが価値があると思う?ハハハハ。
いや…。
そんなの決まってんじゃん。
あんたの財産だよ。
では君に全て与えよう。
私の財産を。
またまた〜ハハハハ…。
(國正)ハハハ。
私は本気だよ。
ホントに?
(直輝)うまい。
(直輝)あ〜。
腹いっぱい食べることがこんなにも素晴らしいことだったとは。
母さんいつもありがとう。
父さん毎日お仕事お疲れさま。
直輝いったいどうしちゃったの?知りたいかい?
(直輝)ハハハ…パス!パス!パス!パス!おっ…お〜。
おっお〜!あ〜痛たた。
痛たた…痛い。
痛くない!痛くない!おっおっ…あ〜!
(晴翔)直輝のやつやたら元気だな。
(航大)昨日までへこんでたのにどうしちゃったんだ?
(直輝)ハハハハ…。
ハハハ!やあ彩香!今日も美しいね。
昨日は…。
(直輝)全然へっちゃらさ。
今までありがとう。
君には深く感謝しているよ。
えっ?
(直輝)あっそうだ。
アルバイトを探さなくちゃ。
あ〜幸せだな働けるって!ヘヘヘヘ。
ハハハハ…。
どういうこと?
(直輝)・「春が来た春が来た」おはようございます。
・「山に来た里に来た」・「わしに」
(國正)返せ!僕の未来を返せ!今さら何を言ってる。
契約したじゃないか。
あんなの冗談だと思ってたんだ!《人格交換?》《そう》
(直輝)《やめろ。
待って…。
あ〜!あっ…》
(國正)《これはわれわれ2人がこの先入れ替わって生きるという契約だ》《はっ?何?》《はっ?入れ替わる!?》
(國正)《フフ…》《今この瞬間から君は私となり私は君となるのだ!》《はっ?はっ!?ちょっとやめろ。
やめろ!》《やめろ!やめろ〜!》《あ〜!》
(國正)《ハハハハハ!》
(直輝)返せ!返せ!直輝。
(直輝)彩香。
(彩香)えっ?
(直輝)僕だよ。
今までごめん。
もう一度やり直そう。
えっ?ちょっ…。
なっ何このおじいさん!
(直輝)彩香僕だってば。
(國正)放せ!
(國正)彩香は私のものだ。
はっ!?ふざけんなよ。
(森元)旦那さま!
(直輝)ふざけんな!彩香…。
彩香ってば!僕だよ!何だよ。
なっ…何すんだよ!放せよ。
ふざ…ふざけんなよ!放せよ!悪いな若者よ。
私はもうあんなさみしい毎日には戻りたくない。
私はこの輝ける未来を歩いていくのだ。
(直輝)飲んで飲んで。
(一同)はいはい。
飲んで飲んで。
(一同)はいはい。
(直輝)瓶ごといっちゃいま〜す!
(一同)イェ〜イ!もっと盛り上がって〜!
(一同)イェ〜イ!飲んで飲んで〜。
(ホステスたち)はいはい。
(直輝)う〜ん…ねえ。
(エリカ)んっ?
(直輝)これからさ…。
(エリカ)うん。
ラブホ行かない?マジで。
(エリカ)えっ?ウケる〜。
ねえおじいちゃん私と付き合いたいんだって〜。
(ミヤビ)嘘〜!お金たくさんくれる?よ〜しお金あげちゃおうかな〜!
(ホステスたち)イェ〜イ!お金だぞ〜!
(ホステスたち)ちょうだい!イェ〜イ!お金だぞ〜!
(直輝)お金。
お金。
お金…。
あっ!あ痛っ…。
どけよじじい。
(直輝)痛い…。
誰がじじいだよ。
こら!
(男性)じじいはじじいらしくよとっとと家帰って寝てろよ。
(直輝)あっ!
(女性)キャッ!ちょっと〜かわいそうじゃん。
(直輝)痛っ。
(女性)ほら。
大丈夫?おじいちゃん。
(直輝)いいよ!
(女性)痛っ!何なの?
(男性)もう行こう。
(女性)うん…信じらんない。
何だよこれ。
全然楽しくないじゃないかよ。
(せき)終わりだ。
僕の人生…もうおしまいだ。
・「スイスイスーダララッタスラスラスイスイスイ」あっよいしょ。
・「スイスイスーダララッタスラスラスイスイスイ」・
(男性)私が志望いたしました理由は…えっとその…。
おっと失礼。

(男性)えっとこちらの会社に…。

(面接官)えっ?・
(男性)こっこちらの会社で働かせて…。
(面接官)ちょっと君何言ってるか分からないな。
(男性)すっ…すいません。
おっ…御社を…。
(面接官)もういいよ。
ホントろくなやつがいないな〜最近の若いのは。
(2人)ハハハハ…。
何がおかしい?
(國正)ちゃんと見てやらんか。
何だ君は。
関係ないだろ!彼らは遊びに来ているわけではない。
人生を懸けてこの場所に立っているんだ。
わずかに見える未来に何としてでもすがりつこうとして。
そんなことも分からんやつに人の未来を決める資格などない!お前たちも何をやっている。
目いっぱい自分を売り込まんか。
ほら彼らの目を真っすぐと見て。
俺はここにいる。
自分の手で未来を切り開いていくんだと。
ほら!
(面接官)君。
名前は?
(國正)はい?
(彩香)直輝内定おめでとう!
(國正)ありがとう。
でもそんなことってあるのね。
見てくれてる人はちゃんと見てくれてるのね。
うん。
ああ驚いたよ。
彩香のおかげだ。
彩香がずっと支えてくれたから。
えっ?えっちょっ…。
やだ。
もう勘弁してよ〜。
フフフ。
えっ?えっちょっと…。
どうしたの?直輝。
彩香。
私は彩香ともう一度真剣に交際したい。
そしていつの日か家庭を持ち死が2人を分かつまで共に人生を歩んでいきたい。
フフ。
もうちょっと…やだ。
(彩香)直輝。
(彩香)どうしたの?直輝。
いや。
(直輝のせき)
(國正)えっ?
(陽子)ほらすごく似合うじゃない。
(渡)うん。
(直輝のせき)
(シャッター音)あれ?ちょっとずれちゃった。
(國正)ハハハハ。
(渡)あっいいじゃない!これ真ん中にぴったり来てるじゃない。
えっ?・
(國正)愚か者め。
どうせもうすぐ死ぬんだ。
(せき)こんな人生さっさと終わらせてやる!
(直輝)あっ!
(直輝)あっ。
あっ…。
あっ!あ〜!あっ!あっ…あっ!
(國正)このひとつきどうだった?君は何を感じた?えっ?私はねとにかく楽しかった。
空気はおいしく景色は奇麗ではつらつと動くこの体がとてもいとおしかった。
母親が作るご飯はおいしくて恋人は美しく仲間と未来を語るひとときはいつまでも続いてほしいと思うほど楽しかった。
僕は全然逆だ。
毎日時間が過ぎるのがすっごく長く感じた。
テレビを見ても映画を見ても何にも感じない。
全然気力が湧かなくて笑うことを忘れてしまう。
そして何より…。
死ぬのがめちゃくちゃ怖い!でもそれが人間なんだ。
われわれが感じたそのどちらもが嘘偽りのない人間の姿なんだ。
直輝君いま一度君に尋ねよう。
財産と未来どちらが価値があると思うかね?
(直輝)どっちも価値なんてないね。
何をしたって結局寂しく死んでいくんだ。
つまり生きるってことには何の価値もないんだよ!本気で言っているのか?
(直輝)うん。
フフ…本気だよ。
まああんたもせいぜい頑張んなよ。
どうせいつかあんたもこんなよぼよぼの体になってぶざまに死んでいくんだよ!ハハハ!
(せき)
(直輝)人間はぶざまだ!惨めだ!価値なんてないんだよ!ハハハハ!ハハハ!何だよ。
殴れよ。
どうせ僕なんか!
(直輝)あ〜!
(森元)旦那さま本当にこれでよろしかったのですか?
(國正)ああ。
(せき)私は何もかも分かっていたつもりだった。
しかし忘れていたこともたくさんあった。
若いということは想像以上に素晴らしい。
素晴らし過ぎることなんだ。
世界中の富を持ってきても釣り合わんだろう。
(國正)つまりこの取引は不公平だったというわけだ。
彼の未来がどうなるかそれは分からない。
ただ一つ言えることは…。
(國正)これからの毎日を一日一日大切に生きていってくれるだろうということだ。
直輝?
(せき)
(森元)「世界中を旅してうまい物をたらふく食いたい」「愛すべき友たちと世界一高いワインを開け」
(國正)もういいよ。
「宇宙旅行」「月に行ってみたい」「最後に胸を焦がすほどの熱烈な恋をしたい」
(國正)森元。
今日まで…。
ありがとう。
楽しかったよ。
旦那さま。

(酔っ払い上司)おい!おい!傘振り回したらお前危ねえだろうがおい!
(酔っ払い部下)ナイスショット!
(酔っ払い上司)あっ!
(酔っ払い部下)ハハハ…。
この人たちに謝れ!
(酔っ払い部下)はい分かりました。
どうもすいませんでした。
(酔っ払い上司)誠意がないよ〜。
どうもすいません。
(酔っ払い上司)おい行くぞ。
もう行くぞ。
もう1軒行こう。
もう1軒。
(酔っ払い部下)キャバクラ行きましょう。
(酔っ払い上司)キャバクラ…。
(酔っ払い上司)んっ?えっ?大丈夫か。
(頼子)はい。
うわあっつい。
(敬介)更年期なんじゃないの?
(頼子)えっ?出会ったときから暑がりだけど?はいお弁当。
(敬介)ああいいや。
今日ランチミーティングだから。
えっ?・
(足音)
(俊平)準備OK。
(頼子)俊君は〜いお弁当。
そしていってきますのぎゅ〜。
フフ。
(頼子)《いつからだろう》《「私って何なんだろう」》《そう感じるようになったのは》
(頼子)はい173円のお返しです。
ありがとうございました〜。
はいいらっしゃいませ〜。
(嘉川)さおりちゃん。
(さおり)あっ…お疲れさまです。
(嘉川)あっ今日これから何かあるの?
(さおり)あっまあちょっ…ちょっと。
(嘉川)ちょっとか〜。
いいな〜。
じゃあ志倉さん今日ちょっと残れる?えっ?
(嘉川)あっ在庫の賞味期限チェックお願いできるかな?パソコン壊れてデータ飛んじゃって。
(さおり)じゃあまたあした。
お疲れさまでした〜。
(嘉川)お疲れさま〜!僕も今日ちょっとあるから。
ねっ?お願いします。
はい!
(ため息)
(頼子)《いつからだろう》《「何のために私は生きてるんだっけ?」》
(頼子)《そう思うようになったのは》
(ため息)
(頼子)むきエビと豚ブロック。
んっ?
(舌打ち)
(頼子)もう。
あっ!も〜。
(宮本)どなたか残ってますか〜?しめますよ〜!あっ…停電?
(宮本)う〜寒い!あれ?えっ?あの〜!まだ中にいるんですけど!すいませ〜ん!・
(守衛)マジですか?
(2人の笑い声)
(女性)お疲れさまです。
(守衛)お疲れさまでした。
何で出ないの?・
(呼び出し音)あの〜!誰か〜!助けて!まだ中にいますから!誰か〜!誰か来て〜!助けて〜!助けて!誰か〜!開けてよ…。
助けて…。
助けて〜!
(泣き声)
(頼子)《死ぬの?私》
(頼子)《嫌…こんな人生》《俊平…俊平には私がいなきゃ駄目なの》《私がお弁当を作らなきゃ》《私は…》誰か…。
助けて…。
(ドアの開く音)
(救助隊員)おい!誰か中にいるぞ!
(救助隊員)まだ生きてるぞ!
(敬介)頼子。
(俊平)ママ。
よかった頼子。
(俊平)ずっとバイバイかと思った。
大丈夫。
今日とあした休みとったから3人でゆっくり過ごそう。
うん。
(敬介)どうした?いや何でもない。
いくよ。
あ〜…寒い。
何で?・
(敬介)お待たせ。
あ〜。
なあホントにホットでよかったのか?
(頼子)ありがとう。
(敬介)あ〜。
ぬるい。
えっ?なあ湯気出てるけど。
(俊平)ママぶらんこ押して。
(頼子)あっ…。
(頼子)《冷たい》もう大丈夫なんですか?ありがとう。
フフフ…。
えっ頼子さんも冷え性?クーラー効き過ぎつらいですよね。
ああ…。
あっご試食いかがですか?どうぞ。
(さおり)あらあ〜…。
えっ!?ちょっえっ…大丈夫ですか?えっ?大丈夫ですか?熱かったですよね?えっとこっ氷とか…。
あっ大丈夫。
大丈夫…。
(頼子)冷たいんです。
(医師)一種の自己催眠状態かもしれませんね。
自己催眠…。
人間の脳と体はかなり密接な関係にあります。
例えばこんな実験があります。
ある人に焼けた鉄を見せ目隠しをする。
その後熱してないただの鉄をその人の肌に当てるとまるで焼けた鉄を押し当てられたかのようなやけどを起こすんです。
熱い鉄を押し当てられると脳が思い込み実際に体が反応した。
私は…。
(医師)あなたの脳はショック状態から回復できておらずまだここが冷凍庫の中だと思い込んでしまっている。
だから寒く感じたり触るものが冷たく感じるのではないかと。
(頼子)《それがだんだんひどくなる気がするんですがどうすれば…》
(医師)《脳がショックから立ち直るのを待つしか》どうしちゃったんだろう私の体。

(敬介)頼子。
ママ!あっ!あっ。
どうしたの?仕事早く上がったから。
(頼子)うん…。
何かあったかい物でも食べ行こうか。
(頼子)うんありがと。
(敬介)よ〜し。
何食べたい?
(店主)よっしゃ。
お〜。
(敬介)うわハハハハ…。
(俊平)すごい!
(店主)だろ?坊や。
ラーメンはな熱さが一番。
うん。
絶対触んなよ?それ。
なっ?これ5分で食べきったらタダなんだよ。
いただきま〜す。
あっいいよいいよ。
パパやるパパやるパパやるから。
う〜わあっついなこれ。
ハハハ…。
気を付けろ気を付けろよ?
(頼子)あ〜。
冷たい。
ぐわ!
(店主の妻)あっ…ちょっちょっと!あんた!しっかりして!ねえあんた!ねえ!ママすご〜い!ホントママすごいよ!
(頼子)《しかし》
(頼子)《それから私の症状はどんどん悪化していった》
(頼子)あっごめ〜ん。
もう冷たくて。
いいよ俺がやる。
(頼子)じゃあご飯作る。
(頼子)うわ。
あ〜…。
(頼子)あっ俊君お弁当ちょっと待ってね。
もういいよ。
(頼子)えっ?間に合わない。
行く途中で買ってくから。
(頼子)えっ?
(敬介)行こう。
いってきますのぎゅ〜…。
(女性)今日も各地で最高気温が35℃を上回る暑い1日となるでしょう。
うわ暑そう。
(女性)暑そうだね〜。
(頼子)《着込んでも着込んでも寒さを感じるようになり》冷たい…。
(頼子)《触れるもの全てがどんどん冷たくなっていった》
(さおり)あの大丈夫ですか?あっありがと。
(頼子)あっ…つめっ…!
(さおり)えっ?
(頼子)何!?「寒い」って言ってんのに何で凍ったお茶出すの?えっ…えっいや。
えっ?
(頼子)あっ…。
(さおり)うわちょっ…あっつ。
ちょっ…。
(頼子)寒い…。
いいかげんにしてくださいよ!何言ってんの?ねえもう1回さ病院行ってさ…。
(頼子)あ〜!寒い…。
(頼子)う〜…。
(頼子)《とうとう私は家からも出られなくなった》・
(物音)
(敬介)よ〜し弁当できたぞ。
ほら。
よいしょ。
(頼子)俊ちゃんいってらっしゃい。
ママ大丈夫?
(頼子)うん。
いってきますのぎゅう。
ぎゅ〜。
はっ!
(敬介)俊平!ママ…。
(頼子)ごめん…ごめんなさい。
頼子いいかげんにしろ!
(頼子)ごめんなさい…。
体がおかしかったら病院に行けよ!行ったけど「異常はない」って…。
(敬介)だったらちゃんとしろよ!だってしょうがないじゃない。
母親だろ?しっかりしてくれよ!僕大丈夫だよ。
(敬介)俊平行こう。
ごめんなさい。
ごめんなさい。

(頼子)《こんな体じゃ生きていけない》
(頼子)《もう死のう》・
(消防車のサイレン)
(アツシの母)行かせて!お願い!子供が部屋にいるんです!子供が〜!アツシちゃん!お願い!行かせてください!
(一同の悲鳴)
(頼子のせき)どうせ死ぬなら…。
(男性)あっ…あっ危ない!
(男性)あっ危ない!
(男性)おいちょっと!えっ?・
(アツシの泣き声)もう大丈夫よ。

(爆発音)はっ!大丈夫?
(アツシ)うん。
よし行こう。
(アツシ)おばさん熱くないの?うん。
ちょうどいい。
(アツシ・頼子のせき)
(アツシの母)アツシちゃん!
(アツシ)ママ。
(アツシの母)ケガしてない?ケガしてない?
(アツシ)うん。
よかった。
よかった…。
ありがとうございます!
(アツシの母)あなたは息子の命の恩人です!ありがとうございます!おばさん最高!カッコイイ!
(頼子)《私の名前は志倉頼子》《頼りになる子と書いて頼子》《思い出した》《お父さんとお母さんが「人に頼られる人のために何かをなす人になってほしい」そう願いを込めて付けたんだった》《それを忘れていつの間にか私は日々に流されていた》
(頼子)《でもねお父さんお母さんこんな体になってやっと自分の生き方見つけたよ》
(男性)来た来た来た!・
(俊平)ママ!ママカッコイイ!頼子!
(頼子)《すてきな名前を付けてくれてありがとう》《私幸せです》・
(男性)おい!誰か中にいるぞ!
(男性)おい!誰か中にいるぞ!
(嘉川)もう死んでる。
臨死体験光の洪水死者との再会。
人間が死ぬ間際とは最高の時間なのか最悪の瞬間なのか。
皆さんの体験いつか教えてください。
(男性)人間を取り戻せ!
(一同)人間を取り戻せ!
(男性)動物を返せ!
(一同)動物を返せ!
(男性)植物を返せ!
(一同)植物を返せ!
(男性)ノーモアファナモ!
(一同)ノーモアファナモ!
(男性)ノーモアファナモ!
(一同)ノーモアファナモ!
(男性)われわれはファナモに反対する!
(一同)われわれはファナモに反対する!
(温子)何かあったのかな?
(拓也)事故でもあったんじゃない?
(温子)うん。
何かさ…。
(拓也)えっ?
(温子)何か最近町から動物が減ってる気がするんだけど。
それって東京が奇麗になってる証拠らしいよ。
(温子)えっ?どういうこと?昔の東京はさあの〜東京オリンピックの前とかごみだらけだったんだって。
(温子)あ〜。
(拓也)今はごみ一つ落ちてないでしょ?だから生ごみをあさるような動物は生きていけないんだって。
カラスとか野良猫とか。
(温子)あ〜猫見ないね。
(拓也)ファナモが普及したからだろうね。
清潔になったよね町が。
俺の田舎なんか全然駄目だよ。
昔のまんまで。
私ずっと東京だから。
うらやましいよ。
そうかな?ご両親とのことごめんね何か言い争いみたいになっちゃってさ。
拓也は悪くないよ。
ごめんねうちのお父さんの考え方が古くて。
まあ分からないでもないけどね。
クロマニョン人とネアンデルタール人が話し合おうとしても話にならないでしょ?ごめんなさい。
私その2人が話してるとこ見たことないから。

(男性)ノーモアファナモ!・
(一同)ノーモアファナモ!
(男性)ノーモアファナモ!
(一同)ノーモアファナモ!
(温子)最近見なくなったと思ったけどまだやってんだね。
(拓也)このままファナモが普及すると困る人たちがいるんだろ?いつの時代も同じだよ。
(男性)動物を返せ!
(一同)動物を返せ!
(男性)植物を返せ!
(一同)植物を返せ!今日は泊まれるんでしょ?
(温子)うん。
(拓也)うちでワインでも飲もうか?うん。
(指を鳴らす音)
(拓也)チェック。
(男性)ノーモアファナモ!
(一同)ノーモアファナモ!公園どうしたの?つぶしちゃうの?いや奇麗にしてるんだ。
もうほとんど終わったみたいだよ。
(温子)ふ〜ん。
(温子)あのシャンプーいい匂いだね。
最近変えた。
気に入った?
(温子)えっ?うん。
この部屋に来るの久しぶりだもんね。
まあしょうがないよね。
今日も内緒なの?「女友達のとこに泊まる」って言ってある。
何考えてんの?
(拓也)うん。
温子俺のこと好き?当たり前でしょ?父さんのこと?君のお父さんがファナモに反対してるのは俺のことが気に食わないから?違うって。
ファナモに反対してるから拓也とのことにも反対なだけでしょ。
ご両親を捨てろとは言えない。
えっどういうこと?
(温子)別れるってこと?違うよ。
別れるなんて考えられない。
じゃあ何よ。
(拓也)何って?ファナモに替えた人と結婚する気なら「親子の縁切る」って言われてる。
ねえ私…。
俺は温子と結婚したいと思ってる。
拓也…。
君のお父さんのことやっぱり大きな障害だと思う。
(拓也)はっきり言って俺一人で解決できる問題じゃない。
でも2人なら…。
2人ならどんな障害も壁も越えていけると思うんだ。
拓也…。
愛してるよ温子。
世界中の誰よりも。
俺と…結婚してくれないか?どうかな?うれしい。
よかった。
けど…。
けど?何でそんな大事なことファナモしながら言うの?
(拓也)んっ?
(温子)何でそういう大事なことをファナモしながら言うの?ねえ?えっおっおかしくない?何でそういう大事なことをファナモしながら言うの?えっ?
(温子)そういうことはファナモしながら言うもんじゃないんじゃないの?後でしたらいいじゃん。
いやいや。
ファナモはするとかしないとかじゃないんだよ。
つるっとしてるでしょ?ほっほら。
知らないよ。
見せないで。
違う違う違う。
ファナモは全然そういう…出すとか出さないとかじゃないんだよ。
うんあっ受け身っていうか…。
臭いもないしほらカジュアルでしょ?失礼とかじゃないんだって。
(温子)失礼よ。
ちょっとどこ行くの?
(温子)トイレ。
ファナモに替えたからね。
もうトイレは必要ないんだ。
今はアートスペースとして活用してる。
(温子)アートスペース?えっおしっこは?
(拓也)おしっこ?あっ俺のファナモはそれも含まれてるから。
ごめん。
もしトイレ使いたかったら公園に行ってもらっていい?
(温子のため息)
(拓也)ねえファナモはもう常識なんだよ。
欧米のファナモの普及率知ってる?42%だよ。
中流層以上のほぼ全員がファナモに替えたんだって。
知ってる。
ニュースで見た。
でも中上流層がファナモに替えることで貧富の差がますます大きくなるって学者か何かが言ってたよ。
それは確実に大きくなるでしょ。
でもかたくなにうんこをファナモに替えない人たちのせいで経済が滞ったらどうなる?何で?そんなことで経済がどうにかなるの?
(拓也)いい?上下水インフラもファナモに合わせて施設され直されるべきだし人類の大半がファナモに替えることで疫病は激減するし老人介護における手間は減って介護によって働けなくなっていた人たちにも雇用の機会が与えられるようになる。
分かる?経済効果は計り知れないほど大きいんだよ。
でも…。
(拓也)悪いけどこの先トイレもどんどんなくなっていくよ。
去年日本最後の公衆電話が撤去されたニュース見たでしょ?うん。
(拓也)おんなじだよ。
もしトイレに行きたいときそこにトイレがなかったらどうするの?人間としての尊厳を保っていられる?でも…。
でも何か怖いよ。
何かが変わっちゃいそうで。
(拓也)分からないでもないよ。
でもこれはとても醜いことだけどもうすでにファナモイトによる非ファナモイトに対する差別が始まってるんだ。
ファナモイト?ファナモに替えた人類のことだよ。
(山下)《ねえ木村さんの弟さんのあれホントなの?》
(川田)《さあ私も木村さんから直接聞いたわけじゃないから》
(温子)《えっどうしたんですか?》《だから木村さんの弟さんが痴漢だっけ?のぞき?》《痴漢痴漢》《そうそうそれで捕まったんだって》
(温子)《え〜ホントに?だって真面目そうな人ですよね?》《えっ見たことあんの?》
(温子)《木村さんのお父さんのお葬式のときに》《いたっけ?》
(山下)《いるでしょ?自分の親の葬式なんだから》
(川田)《まあそっか》《でもあんまり覚えてないなあ》《似てた?木村さんに》《まあそっくりってほどじゃなかったけど…》《でも信じらんないな優しそうな人だったから》《そりゃ親の葬式だもん》《優しそうにしてんでしょう》《いやいや優しそうな痴漢だっているんじゃない?》《でもあの人…ほら木村さんの弟さん?》《ファナモ反対論者だったんでしょ?》
(温子)《あ〜…》《えっそうなの?》《らしいよ》《でしょ?》
(温子)《うん》《あっじゃあはめられたのかもよ》《誰に?》《分かんないけど…国に?》《ほら最近そういうの多いじゃない?》《国民全員をファナモに替えるみたいなことをさ言いだしてから首相が》
(山下)《そうなの?》
(川田)《まっはめられたかどうか分かんないけどそういう人たちは迫害されてくだろうねやっぱ》《だって汚いもん》
(拓也)温子…ファナモに替えてくれ2人のために。
ファナモに替えて生まれ変わってほしい。
そうじゃなきゃ一緒には暮らせないよ。
俺と別れたいの?そんなこと言ってないでしょ。
(拓也)だったら替えてよ。
それで…俺と結婚してほしい。
(拓也)頼むよ。
でも何か気味が悪いのよ。
変なんだもんそんなの何か。
何が変なの?清潔になるのが変なの?分かんないけど。
自分が自分じゃなくなるみたいで…。
でも何か分かんない。
拓也の言ってることも分かるような気がするしでも何か引っ掛かってるような気がするし…。
どうしたらいいんだろう。
(拓也のため息)・
(ドアの開閉音)
(温子)トイレ行ってくる。

(受付)黒崎さまですね。
お待ちしておりました。
そちらの階段でお2階へお上がりください。
(温子)はい。
(スタッフ)当店を何でお知りになりましたか?あっえっと…ネットで。
差し支えなければ検索ワードを教えてもらっていいですか?え〜何だったかな…。
あったぶん「ファナモ安全手術東京」とかそういうような感じです。
はいありがとうございます。
(スタッフ)ご不安ですよね?あっまあ…はい。
(スタッフ)大丈夫ですよ。
私もずいぶん前にファナモに替えましたけど手術を受けるときは不安でしたから。
でも最近は技術も上がってきてますし手術自体は数分で終わりますから。
それにほぼ100%失敗の大変少ない簡単な施術ですから。
お客さまを担当する医師は世界でも指折りの名医ですし…。
ネットでの評判ご覧になりませんでしたか?あっはい見ました。
何かすごいいいことばっかり書いてました。
よかった。
(スタッフ)コースはどうされますか?あっコースがあるんですか?
(スタッフ)ええ。
こちらのセットコースですと補助金も上限の3割まで出ます。
えっでもこれ…。
(スタッフ)ええ。
今後この複合型と呼ばれる術式が主流になっていきますし最初からやってしまった方がご負担も少ないですし無駄もないと。
(医師)は〜い黒崎さん。
もう終わりましたからね。
(温子)あっ…もう全部ですか?痛い所はないですか?あっはい。
あっ…。
おっ…。
(医師)おっ早速かな?
(温子)あっ…。
あっうん。
ファーストファナモ出ましたね。
いいファナモだ。
えっ…あの全然何の違和感もなかったんですけど。
ファーストファナモ出ましたよ。
(3人)おめでとうございます。
お守りにお持ち帰りする人もいますけどどうします?
(歓声)
(温子)私何で今まであんなかたくなだったんだろう。
(拓也)世界が変わった?
(温子)うん。
すごい楽だし清潔だし…。
うん。
世界変わったかも。
(拓也)でしょ?よかった。
フフ。
拓也今までごめんね。
私のことその…愚かに見えたでしょ?人類の進化でしょ。
本当だね。
(拓也)ほらほらほら…。
(温子)えっハハハ。
もうちょっと駄目だって。
(拓也)大丈夫だって。
(温子)駄目だよ。
(拓也)何何何?何がだよ。
(温子)我慢我慢がっ…ハハハ。
(拓也)いいいい…。
あ〜もう。
(温子)我慢できるでしょ?
(拓也)できない。
できないできない。
(温子)駄目だって。
(拓也)何で?久しぶりじゃん。
(温子)しわになっちゃうから。
(拓也)えっ?
(温子)駄目だよ。
後で。
(拓也)何が何が何が何が…。
(温子)もうちょっと我慢してほしい。
(拓也)今でしょ?今今…。
(温子)今じゃない今じゃない…。
ちょっと〜。
(拓也)んっ?んっ?あれ?えっどうしたの?あれ?あれ?
(温子)もうせっかく髪セットしたのに。
何?これ。
(温子)んっ?マギナス。
私マギナスに替えたの。
マギナス?
(温子)そう。
だから拓也もファニスに替えてね。
ファニス?そう。
それより全然清潔だし…。
(拓也)それより。
それにファニーよ。
ファニー?
(温子)うん。
億万長者になった彼は数カ月後に無一文になり。
実験に失敗し続けた科学者は…。
実験を必要としない理論物理学を突き詰め何とノーベル賞を受賞しました。
数々の不運も後の成功のために潜在意識が引き寄せたプロセスだったかもしれません。
いやはや人の心は侮れませんね。
あなたは…。

(物音)
(スタッフ)カット!カットカット!
(スタッフ)大丈夫ですか?大丈夫大丈夫。
これも幸運の前触れと思いましょうか。

9月のある雨の日のお台場に特番の収録と聞かされマイカーでやって来たのは…
2014/10/18(土) 21:00〜23:10
関西テレビ1
土曜プレミアム・世にも奇妙な物語’14超短編を含む 秋の特別編[字]

超短編含む10作品9名の人生を狂わす恐怖体験…▽多部未華子・仲村トオル・吉田鋼太郎・神木隆之介・若村麻由美・戸田恵梨香▽宮根誠司・大久保佳代子▽タモリ

詳細情報
番組内容
『ファナモ』
温子(戸田恵梨香)は、恋人の拓也(平山浩行)と真剣に結婚を考えているが、父親に反対されている。その理由は、拓也が「ファナモ」に変えてしまったからだ。「ファナモ」とは臭いのない無機質な黒い棒。拓也は、「ファナモ」に変えるように温子を説得するのだが…。
『サプライズ』
IT会社の契約社員・優希(多部未華子)は、恋人の健斗(馬場徹)と付き合って3年になるのだが、記念日にお祝いをしてもらった
番組内容2
ことがない。一方、優希の友人の雅実(藤井美菜)の恋人・智(加治将樹)は誕生日にサプライズのお祝いをされ幸せそうな様子。
『未来ドロボウ』
就職がなかなか決まらない大学生・白井(神木隆之介)は、日々の生活に不満をもっていた。一方、成功して財をなした大脳生理学者・大葉(吉田鋼太郎)は病に伏していた。白井は大葉の金銭的に豊かな生活を、大葉は白井の若さを欲していた。
『冷える』
スーパーのパートをしている
番組内容3
主婦・頼子(若村麻由美)は、店長や同僚、夫や子供からもあまり必要とされていないのではないかと感じる日々を過ごしている。ある日、頼子は大型冷蔵庫の中で冷凍食品の在庫確認の残業を押し付けられる。
『走る取的』
サラリーマン・信田(仲村トオル)と後輩の亀井(音尾琢真)が居酒屋で軽口を叩き、共通の知り合いをやゆしていた。それを自分のことだと勘違いした、店に居た取的が店を出た2人を追いかけてきて…。
出演者
【ストーリーテラー】
タモリ 

『ファナモ』
戸田恵梨香 
平山浩行 

他 

『サプライズ』
多部未華子 
馬場徹 

他 

『未来ドロボウ』
吉田鋼太郎 
神木隆之介 

他 

『冷える』
若村麻由美 

他 

『走る取的』
仲村トオル 
音尾琢真 

他 

◆超短編ドラマ
『インターホン』
ハマカワフミエ 

『捨てられない女』
大久保佳代子
出演者2
『クリームソーダ』
岸井ゆきの 

『シャドーボクシング』
真剣佑 

『標識の人』
宮根誠司 
宅間孝行
スタッフ
【編成企画】
水野綾子 
加藤達也 

【プロデュ−サ−】
後藤庸介(共同テレビ) 

【制作】
フジテレビジョン 

【制作著作】
共同テレビ

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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