はいシャリを。
彼が一貫に込める最高の素材と仕事。
この寿司が今前人未到の境地にまでのぼり詰めています。
銀座の店は3年連続ミシュラン3ツ星に輝き更に香港店も3ツ星を獲得。
吉武さんはなんと計6個の星を持つ男なのです。
あの名店の料理人も…。
口に入れるときにう〜んなんとも言えない。
そのうまさの秘密はどこにあるのか。
あらゆる角度から寿司を究めそれを世界へ広めようと熱い志を抱く男を追いました。
東京・銀座のビルのなかにひっそりと店を構えるわずか7席のカウンターが吉武さんの舞台。
営業時間よりはるかに長いという仕込みが始まっていました。
牛肉みたい。
大トロ夏なのにこんなに脂が…。
裏の厨房ではお弟子さんが3名。
魚の仕込みの他火を使う玉子焼きなどを担当。
次女の愛理さんも店を手伝っています。
営業前のこの時間こそが大切だという吉武さん。
弟子の仕込みに甘さを見つけ目つきが変わりました。
これもこっちまで削らなきゃ…。
ここ使わないから。
これじゃ魚使いものにならないじゃん。
気をつけないと。
吉武さんの仕込みはただ丁寧というだけではありません。
他にはない非常に合理的科学的な魚の熟成方法が吉武流の寿司の秘密。
例えばアナゴの場合は…。
これを吹きかけることによって…。
パンとかと一緒で。
それをアナゴとかに利用してる。
身を膨らませていってそこから炊き上げる。
アナゴってもともと炊くとフワッとなるんでこれをこいつやることによってよりフワッとした食感になるのね。
やれる範囲で。
それは吉武さんの料理哲学を貫く大切な要素。
温泉水を使って炊き上がる赤酢のシャリは完璧な状態で出すために厨房から板場へ移動させる間のわずかな温度変化まで計算しています。
その運んでくる間にも更に温度が変わっちゃうじゃないですか。
どのくらいの量とかどのくらいの時間のタイミングっていうのはそこらへんを計ってやってるんですけど。
すべての仕込みを終えいよいよ開店。
鮨よしたけは午後6時からと8時半から。
完全予約の2部制。
妻の三千代さんも女将として店に立ちます。
江戸前の真骨頂ネタへのひと手間。
その見事な包丁さばきに海外からやってきた食通も思わず見とれます。
はいシャリを。
こちらのお二人は吉武さんの寿司を食べるためだけに福岡から来たそうです。
カウンター越しの眺めは圧巻。
熟成し今まさに食べ頃を迎えたネタたちが次々と珠玉の逸品に。
お客さんが目と舌で喜びを味わうさながらそこは吉武劇場。
なかにはちょっと驚くような趣向も。
例えばこちら。
なんと2種類のウニを重ねた吉武スペシャル。
混ぜると邪道だとか言われるんですけど。
みんなおいしいって言ってくれるんで。
邪道じゃない。
他のお店とかでも同じお魚とかいろいろ食材を使ってても全然やっぱり吉武さんの技でこんだけおいしくなるんだっていうのがホントに感動しました。
おいしかったです。
料理上手な母親の影響かいつしか料理の道を志していたという吉武さん。
そのなかでも寿司職人を選んだ理由とは?当時フランス料理のシェフとかやりたかったんですけど…。
どうしてあんなこと言ったんだかわからないですけど。
うちの親父は日産のサラリーマンだったんですけどね。
ニューヨーク店でも働きました。
吉武さんの独創的な寿司にはそのときに得た経験も活かされていると言います。
2004年しかし最初はなかなか芽が出ませんでした。
その頃のことを当時からの常連さんが話してくれました。
そうでしたっけ?女将さん。
それでもめげずによりうまい寿司を目指し地道に独自の手法を研究し続けた吉武さん。
その努力が花開きました。
銀座に移転した店がそこでオファーがあって…。
そして吉武さんは食の都香港でも3ツ星を獲得。
かくしてダブル3ツ星に輝くことに。
そんな吉武さんの寿司についてやはり3ツ星に輝き現代の日本料理をけん引する龍吟の山本征治さんはこう語ります。
甘いとか酸っぱいとかそういったバランスを言うのではなくて口に入れたときにう〜んなんとも言えない。
形容する言葉が見当たらないくらいいいバランス感覚がいっせ〜ので口の中に広がっていくようなものを口にしたときっていうのは人は言葉が出ない。
そういった感覚をすごく大事にしてる。
言葉が出ない。
そんな寿司を陰で支える人に会いに行きました。
星を6つ持つ寿司職人吉武さんの姿が港にありました。
全国の魚屋さんとネットワークを結びネタの7割は産地直送。
こうして実際に市場へ足を運ぶことも大切だと考えているのです。
ここ焼津にも吉武さんを支えている人がいます。
魚の中卸を行う前田さんは吉武さんのために獲れたての魚を選び特別な処理を施しているのだそうです。
絶対明らか。
香港で使う魚もここから直送。
旨みがあがってきて使うのにちょうどいいですね。
空輸の時間まで計算に入れる処理。
例えばこの高級魚口美鯛はおろしたあと余分な水分を抜くために塩を振ります。
かっこいいですけどパフォーマンスじゃありませんよ。
ここに驚きの技があるんです。
みんなだいたいこういう塩の打ち方するじゃないですか。
ここからなんですよね。
ほぼ垂直にしても魚が落ちず筋肉は激しく収縮。
これが吉武さんが絶対の信頼を置く前田さんの技。
この角度だからこそ水分が十分に出ます。
もう吉武さん以外の人に頼まれてもやらないです。
そんな数ができるものではないんで銀座と香港だけですね。
銀座と香港。
はい。
あの吉武さんと出会って自分の魚の考え方というか…。
ただ今まで鮮度のいいものを売ればというのをその観念を変えさせてくれた人なんでもうそれ以上を超える人は出てこないですよね。
しようがないですよねこれは。
このあとはマイナス1℃の冷蔵庫で一気に冷却し旨みを閉じ込めます。
立ちのぼる水分で温度変化を確認しタイミングよく取り出す。
すると…。
モッチリ。
あと次なる工程があるんですけどたぶんそこからはもうシークレット…。
そうここから更にあるからね。
このこだわりハンパじゃありません。
ある日の仕事終わり。
家族で食事に行くという吉武さんについていきました。
向かったのはイタリア料理店。
実はこちらのシェフは以前吉武さんのもとで働いていたことがあるそうです。
お酒も進んできたところで独立当時の苦労話を聞いてみました。
お客さんが来なければ当然経営は苦しくなります。
食材の質を落とすべきか迷った時期もありました。
しかしそのとき断固として反対したのが女将さんでした。
(スタッフ)ちょっと親方が弱気になったときに支えてくれたんですね。
すばらしい!ちょっと酔っ払ってますか。
酔っ払ったらもっとすごい。
どんなですか?なんかパパのほうがすごい調子のる。
調子のってチューとかしはじめてなんかママちゃんとか言って…。
そんな親方ですよ。
(スタッフ)すばらしい!家族がいちばんのパワーの源だそうです。
新しいことに挑むのが好きという吉武さん。
今年はあの伊勢丹からのオファーに応え初めて限定のおせち料理を作ることにしました。
この日はカタログ撮影。
伊勢丹のおせちといえば超一流のラインナップで知られていますがその中でも鮨よしたけはいわば今年の目玉。
吉武さんは食材にこだわり酒を飲みながら楽しめるおかず感覚のおせちを目指しました。
撮影開始。
店に立つとき同様の気迫で臨む吉武さん。
自ら立ち上がってなにやら指示。
焼き物の角度が少し気になったようです。
これも自分の料理を提示する勝負の場。
少しも気を抜きません。
次の世代に日本の大切な文化料理を伝えたい。
胸には常にその思いがあります。
ここですね。
この角が寿司屋ですね。
近代的な高層ビルと古きよき時代を思わせる路地とが隣り合わせる香港の顔のような街。
その一角にそびえるホテルの1階に吉武さんの店すし志魂があります。
こちらの店を任されているのは料理長の柿沼さん。
吉武さんは定期的に訪れていますが今回は特別な試みのためにやってきました。
香港出店2周年の感謝を込めたイベント。
出されるのは数種類の日本酒とその一つひとつに合わせたメニュー。
酒と料理が互いに一層高めあうよさをじっくり味ってもらおうという趣向です。
それは酒とのコラボ日本酒とのコラボ。
香港の人日本酒も好きだから。
日本酒っていっぱいあるじゃないですか。
すばらしいものが日本に。
だからこちら側がそういうのを発信できてすばらしい日本酒とこういうお酒のコラボレーション。
それがなんかこう…それも挑戦ってなるのかな?明日の本番と同じメニューを実際に試食しながら打ち合わせがスタート。
実際に試してみると考えていた組み合わせが違うと感じることも。
更にサンマの料理では…。
いつもは自信に満ちている吉武さんが珍しくしきりに首をかしげています。
そして試食が終了。
結構合う。
アナゴとたまごいいかもね。
まあだからそのへん今やっていって組み合わせてちょっと入れ替えしたほうがいいかも…。
女将はお酒の種類順番を再検討。
吉武さんは首をかしげていましたが大丈夫ですか?イメージすごいあるんですよ。
でなんかもう少し自分のイメージだと…。
あれはあれでおいしいからちょっと違う発想にします。
脂ののったサンマ。
本番ではどう料理するのでしょう?イベント当日。
台風接近により外は大雨。
しかし店内は静けさと緊張感とに包まれていました。
前かけをキリッとしめ吉武さんの顔つきも仕事モードに切り替わります。
そしてついにイベントが始まりました。
悪天候にもかかわらずキャンセルはなし。
お客さんは香港と日本の手ごわい食通たちです。
こちらは吉武さんの店を代表する料理極上のアワビです。
塩と肝ソース。
2種類の食べ方2種類のお酒。
さっぱりとした塩には香りを抑えたぐい飲みの酒を。
香りの強いワイングラスの酒は濃厚な肝ソースのほうと合わせます。
違いますね確かに。
こちらは赤ムツ。
焼津の前田さんのところから直送された魚です。
赤ムツには濁り酒を合わせます。
そしてあのサンマ料理の出番。
発想を変えて脂の旨みを活かしました。
オーケー。
吉武さんの顔に笑みが浮かびます。
(笑い声)もちろん食通たちの顔にも。
ありがとうございました。
ありがとうございます。
どうもありがとうございました。
第2部のお客さんも大満足のうちに帰路につきこの日のイベントは無事終了。
吉武さんやりましたね。
ワンツースリー。
(シャッター音)サンキュー。
お疲れさまでした。
(拍手)長かった香港の一日がようやく終わりました。
吉武さんは香港国際空港にいました。
しかし行き先は日本ではありません。
ネクストステージのニューヨーク出店。
リサーチ兼ねていろいろとこう…。
ニューヨークの街を探索してきます。
(スタッフ)じゃ頑張ってください。
は〜いどうも。
手間をいとわず究めた寿司は日本の文化。
それを世界に発信するあなたの飛躍を応援します。
2014/10/18(土) 22:30〜23:00
テレビ大阪1
クロスロード <吉武正博>[字]
江戸前鮨職人・吉武正博が登場。銀座の店は、三年連続ミシュラン三つ星、さらに香港店も三つ星を獲得。旨さの秘密はどこにあるのか?その秘密を追います。
詳細情報
出演者
【ナビゲーター】
原田泰造
番組内容
東京・銀座の「鮨・よしたけ」。「お魚の寝かせ方で、いろんな発酵学の人たちに知識を得て勉強している」という、他にはない、合理的、科学的な魚の熟成方法が吉武流の寿司の秘密。仕入れにもこだわり、全国の魚屋さんのネットワークで、ネタの7割は産地直送。獲れたての魚にすぐに特別な処理を施している。「鮨・よしたけ」の旨さの秘密とは?あらゆる角度から寿司を極め、それを世界へ広めようと熱い志を抱く男を追った。
番組概要
様々な分野で活躍する、毎回一人(一組)の“挑戦し続ける人”を紹介。彼らが新たなる挑戦に取り組む今の姿を追う。挑戦のきっかけになったもの、大切な人との出会い、成功、挫折、それを乗り越える発想のヒントは何からつかんだのか?そして、彼らのゴールとは?新たにどこへ向かおうとしているのか…。そんなクロスロード(人生の重大な岐路)に着目し、チャレンジし続ける人を応援する“応援ドキュメンタリー”。
音楽
【エンディングテーマ】
「クローゼット」
Superfly(ワーナーミュージック・ジャパン)
ホームページ
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情報/ワイドショー – グルメ・料理
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