オーストリアウィーンの公文書館に保存されている18世紀の公式文書。
そこには当時起きた殺人事件の犯人が「バンパイア」吸血鬼だと記されています。
(笑い声)迷信が信じられた時代の昔話だとお思いでしょ?でも21世紀の今もダークサイドに吸血鬼は潜んでいるのです。
近年発見が相次ぐ胸に杭が打ち込まれた死体。
果たして…吸血鬼を語り継ぐ村。
目撃証言が明らかにする…吸血鬼を生み出す…闇がいざなう不可思議な謎。
光が導く検証と真相。
2人の栗山千明があなたと共に幻を解き明かしていきます。
美女の生き血をすすり永遠の命を保つ邪悪な魔物。
生きる死体ドラキュラを倒すには十字架や胸に杭を打つのが効果的だという。
東ヨーロッパ数千年の歴史を持つ…冬の祭り…命あふれる春の復活を願い冬の悪霊を追い払う風習だ。
この地で最近いにしえの悪霊伝説が姿を現した。
それは2012年6月。
黒海沿岸の港町ソゾポルで発掘された。
教会の跡地から見つかった14世紀ごろの人の骨。
その胸にはまるで杭のように突き刺さった鉄の塊。
誰もが思った…。
吸血鬼だと。
遺体が保管されている…遺体は男性。
身長はおよそ170センチ。
年齢は50代から60代で身分は貴族だと考えられている。
胸に刺さった鉄の塊は農作業に使う鍬の可能性が高い。
これらの状況からこの貴族を憎んだ農民たちが……のではないかという。
古代ブルガリアでは死後の世界は天国しかないと考えられ……と考えられていました。
人々はこの遺体の人物をよほどの悪人と考えており……と思われます。
ブルガリアの吸血鬼研究の第一人者ラチュコ・ポポフ博士によるとこのような吸血鬼封じはブルガリアでは近年まで行われていたという。
1975年私が学生だった頃プロの吸血鬼ハンターに会った事があります。
彼は真夜中裸にハーブのオイルを塗りたくり吸血鬼になったと思われる人物の墓に行き土の上から鉄の杭を刺したと語っていました。
「死者がよみがえり吸血鬼になる」。
それは…セルビアの吸血鬼はオオカミや馬猫など動物の姿に変身し人の目を欺く。
マケドニアでは両目を持つ血の詰まった…闇の中で光るらしい。
ボスニアでは鞴の形をし火を噴きながら人を襲うという。
いずれも悪人や罪人が死んだ場合しきたりとは違う方法で葬られた場合など神に背き魂が天国に行けない者が吸血鬼になるという。
魂が救われず神に見放された肉体。
人を襲って…口に石を押し込まれた頭蓋骨。
これも吸血鬼が人にかみつき災いを広めるのを阻もうとする風習だ。
邪悪な吸血鬼は人々のすぐそばで息づいてきたのだ。
ブルガリアで発見が相次いでいる吸血鬼封じが施された死体。
こうした事実から死んだ人がよみがえり生きている人を襲うという伝説を昔の人々が心の底から恐れていたという事がうかがえます。
恐怖の吸血鬼伝説。
その正体は一体何なのでしょう?謎に迫るため21世紀の今も吸血鬼の言い伝えが数多く残っている神秘的な村を訪ねました。
ブルガリア南部緑豊かな山岳地帯ロドピ地方。
昔ながらの文化が色濃く残るブルガリアの心のふるさとだ。
1,000mの山々が連なる地域では農作物は限られ冬は深い雪で閉ざされる暮らしには厳しい環境。
この地では「ドラクス」といういにしえから根づいてきた吸血鬼伝説がとても身近に語られる。
わしゃドラクスを見た事があるぞ。
あいつは髪もひげもぼうぼうでもっさりしたやつじゃった。
ドラクスをよく知る村の古老たちに集まって頂きお話を伺った。
ドラクスに「お金をあげるから娘さんの血を売って下さい」と言われたのよ。
私の家では台所のものを全部ひっくり返されたよ。
わしが手塩にかけて育てたトウモロコシが倒されたんじゃ。
・
(女性)あなた。
それは豚の仕業ですよ。
ドラクスはまるで内気ないたずらっ子のようだ。
夜墓場でよみがえった死者はドラクスとなる。
そして…だが…。
愛する家族の血を…といっても指先からチューチュー吸うだけ。
(割れる音)ものを散らかして騒音を立てる。
(物音)ぶどう酒の樽をぶちまけがぶ飲みしたかと思えば本場のヨーグルトを盗み食い。
時にはお客に振る舞うためのチーズパイを作る道具を持ってくるといった気遣いまで。
どうやらドラクスはいたずらが目的ではなく自分が帰ってきたことを家族に気づいてもらいたくて騒ぎを起こすのだと言われている。
とはいえ死者の魂がさまよい悪霊が宿るドラクスを見過ごすわけにもいかない。
そこで使われるのが鉄。
火で鍛えられた鉄は太陽の象徴とされ魔除けに効果的と考えられた。
死者がドラクスになるおそれがあっても鉄の杭を刺したりはしない。
鉄の道具をそっと足元に置く。
こうして悪霊が近づかないようにしさまよう魂が天国へ行けるよう願うのだ。
もし運悪く死者がドラクスになってしまった場合はパンを使う。
パンをちぎって少しずつ道に落としドラクスをおびき寄せ森の奥に返すという。
こうしたドラクスに対する儀式やしきたりには死者を大事にしようとする敬意が込められています。
これからも決してなくなる事はないでしょう。
ロドピ地方のドラクスの伝承には一般的に考えられるような人を襲って殺したり血を吸ったりという…ドラクスは黒猫や犬馬ロバといった動物の姿や姿形がない声だけ。
例えばそよ風のようになったりします。
知らぬ間に私たちに寄り添うように近くにいるのです。
ドラクスが示す生と死に対する人々の思いを特に強くうかがわせる場所がある。
死者の国につながると言われる洞窟。
通称…
(専門ガイド)その奥はとても深くて一度迷い込んだらまさにあの世。
二度と戻る事はできません。
ロドピの人々にとって聖地であるこの洞窟にはギリシャ神話の物語が伝えられている。
毒蛇にかまれて突然世を去った妻…彼女を連れ戻そうと洞窟の奥死の世界に向かう夫…しかし愛する者を死から取り戻そうという試みは失敗に終わる。
日本神話に描かれる「黄泉の国」を思わせる物語。
「死の世界から愛する人を取り戻したい」。
そんな全ての人間に共通する願いが込められている。
実際ロドピに暮らす人々にとって死はまさに身近なものとして存在していた。
厳しい自然環境の中寒さや飢えそして伝染病が襲い次々と人が倒れていく。
またここは歴史的に東からの…相次ぐ戦乱に村人は巻き込まれ続けた。
死は突然理不尽に訪れる。
それを受け入れるしかない人々はよみがえりを願った。
愛する人を突然失う悲しさ。
そしてたとえドラクスになってでも戻ってきてほしいという願い。
そのような思いがロドピでは民謡として今に伝わっている。
(挨拶)
(取材者)お世話になります。
最後に母親は墓からよみがえり寂しがっていた幼い我が子を抱き締めて民謡は終わる。
しかしこうした土地に根づいた…死者がよみがえるのは神の手により行われるべきもの。
…という考えが広まっていった。
更に14世紀ヨーロッパでペストが大流行。
2,000万人以上死に至らしめた伝染病が災いをもたらす悪魔とよみがえる死者に対する恐怖を強めていった。
やがて19世紀の終わりイギリスの小説家ブラム・ストーカーが東ヨーロッパの吸血鬼伝承を基にした「吸血鬼ドラキュラ」を出版。
(うめき声)弱点は十字架。
(杭を打つ音)杭を打たれると滅びてしまう。
そんな吸血鬼のイメージが定着していった。
(うめき声)ブルガリアの山村から見えてきた吸血鬼の原点。
それは死が近くにある過酷な暮らしを重ねた人々ならではのよみがえりへの祈り。
そして恐れだったのだ。
私たちは「吸血鬼」というと映画の「ドラキュラ」のイメージを思いがちです。
でも実際に東ヨーロッパの伝承を訪ねてみるとその奥底に潜んでいたのは生と死が紙一重の厳しい世の中で暮らした人々のさまざまな思い。
という事はテレビや漫画で何気なく見ている妖怪や怪物の伝説もしっかり調べてみると意外な物語が発見できるかもしれませんね!「幻解!超常ファイルダークサイド・ミステリー」次回もお楽しみに!2014/10/18(土) 22:30〜22:50
NHK総合1・神戸
幻解!超常ファイル「吸血鬼を発見!?伝説の源流に迫る」[字]
“吸血鬼封じ”の呪術を施された白骨遺体。吸血鬼は実在したのか?東欧・伝説の山里に潜入!目撃証言が明らかにする笑いと悲しみの物語。生と死のはざまの魔物の正体とは?
詳細情報
番組内容
吸血鬼は実在したのか?最近、東欧・ブルガリアで“吸血鬼封じ”の呪術が施された、中世の白骨遺体の発掘が相次いでいる。バンパイアハンターの証言も!取材班は、古来の吸血鬼“ドラクス”伝説の山里に潜入!ところが古老たちの目撃証言が明らかにするのは、ドラクスのちょっといい話、笑える話、恋人や家族を失う愛と悲しみの物語。そこには日本人の心の原風景・日本神話との共通点が!生と死をさまよう恐怖の魔物の正体に迫る!
出演者
【司会】栗山千明,【語り】中田譲治
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
アニメ/特撮 – その他
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32080(0x7D50)
TransportStreamID:32080(0x7D50)
ServiceID:43008(0xA800)
EventID:18473(0x4829)