20世紀最高の建築家が作った教会です。
優美な曲線が奏でる独特なフォルム。
1歩中へと入れば…。
七色の優しい光が満ち溢れています。
教会建築の常識を打ち破った光の礼拝堂。
設計したのは…。
20世紀の建築に革命を起こした男です。
その彼の幻の傑作があるのをご存じですか?のどかな丘陵地帯の街です。
おややっぱりあの2人がやってきましたよ。
ねえ兄さんいいとこだね。
そろそろのはずなんだが…。
大丈夫?兄さん。
ああここだ!いいか弟よ降りるぞ。
え?ここ?ああ兄さん。
これ何?やっぱり!ル・コルビュジエ?父さんバス停になっちゃったの?おい弟よあれを見ろ!うわっ!何だあれは!そうこれこそが20世紀最高の建築家ル・コルビュジエ幻の傑作なのです。
いったいどんな?彼の建築がいくつも残されているからです。
なかでもそのシンボルが今日の作品。
フィルミニのあの建築こそコルビュジエが彼の集大成と言っていいでしょう。
今日の作品…。
その造形をなんと形容したらいいのでしょう?四角すいのような奇妙なフォルムのコンクリートの塊です。
ちなみに四方から眺めてみればこんな感じ。
重厚な壁を見上げていくとその高さ33m。
てっぺんには2つの煙突らしきものがつけられています。
ではその内部を。
祭壇はコンクリート造りのシンプルなしつらえ。
ふと天井へ目をやるとふた筋のやわらかな光がさし込んでいます。
四方の壁はそれぞれ緩やかな傾斜を保ちながら高みへと昇っていきます。
けれど圧迫感はない。
心安らぐ穏やかな空間。
果たしてル・コルビュジエはこの教会に何を託したのか?ねぇ兄さん。
どうしてコルビュジエ父さんの作品で僕たちが知らない建物があるの?いいか弟よ。
あれがいつ建ったと思う?だからわからないよ。
2006年だ。
そのとき僕らはどうしてた?えっ…コルビュジエ父さんが両親のために造ったレマン湖のほとりの小さな家に行ったのは…。
2005年だよね?動線が優しい愛情溢れるいい家だったな。
確かに!でその後僕たちは日本へ向かったんだったね。
うん。
そんなさなかにこの教会が完成した。
えっ…コルビュジエ父さんが亡くなって41年後だ。
どうしてそんなに時間がかかったの?それが問題だ。
でも兄さん。
何か吸い込まれていくような気がしない?う〜ん…それにしてもでかいな。
コルビュジエの貴重な映像が残されています。
不世出の天才建築家がこの教会堂を設計したのは74歳のとき。
しかしその完成を見ることはありませんでした。
そこにコルビュジエの苦悩と見果てぬ夢があったのです。
その建築家の意志は21世紀へと受け継がれたのです。
果たしてコルビュジエの言う静寂と平和とは何か。
すべてはこの光のシャワーが知っている。
生涯3つの宗教建築を設計しています。
丘の上に彫刻作品のような建築を造り上げた緩やかな斜面にあえて四角いコンクリートの建物を置いたそして最後に挑んだのが今日の作品…。
その外観はちょっと不思議な形をしています。
インスピレーションを受けたのは海岸線を歩いていたときコルビュジエは目を見張ったのです。
屹立する岩とはるか遠くに見える水平線が交錯したとき実に不思議な調和が生まれると。
フィルミニの遠くに見える山並みを水平線に見立てたコルビュジエはそこに岩のような建物を交錯させたのです。
周りの景観と調和させるために。
コルビュジエ父さんは海が好きだったもんね。
うん父さんらしいな。
こんにちはあなたたちがモデュロール兄弟ね。
ガイドのクレマンスよ。
よろしくね。
(2人)よろしくお願いしますクレマンスさん。
早速質問なんですがあの三日月形のやつは何ですか?あれはね庇なの。
その下にある穴に雨がかからないようにとつけられたのよ。
更に周りの壁をはうように張り巡らされているのは雨どい。
外壁と同じ素材を使うことで壁を彩る装飾のように仕上げています。
ところで庇の下の穴は何のために開けられているんですか?屋根の上にある煙突みたいなやつも気になるな。
それは中へ入ってからのお楽しみよ!
(2人)う〜ん何だろう?そうこの小さな無数の穴と2つの煙突状のものが内部の驚きの空間を作りあげているのです。
楽しみだな弟よ。
うん急ごう!兄さんなんか薄暗いね。
電気をつけ忘れたのかな?そんなことはないだろう兄弟。
ぬあ〜!なんだこりゃ!?すす…すごすぎる〜!兄さん星だよ!なんで昼間に星が見えるんだ?さっき外で見た小さな穴はこの光を作り出すために開けられたものだったのよ。
(2人)そうだったのか!それは東側の壁に開けられています。
大きさの違う無数の穴からさし込む光は均一ではありません。
それが不思議なハーモニ−を奏で夜空に輝く星座のような光を放っているのです。
まるでプラネタリウムだな。
驚くのはまだ早いわよ。
2人ともうしろを見て。
え?なんだこの光の帯は!?天へと昇る龍のようだな。
どんな仕組みになっているんだろう?この光の帯は先ほどの小さな穴からさし込む光が反射して映し出されたものなのです。
小さな穴にはプラスチックの透明な筒がはめ込まれその内側にはらせん状に溝が彫られています。
光がその筒に反射したときらせん状の溝の形が三方の壁に帯となって現れるのです。
2人とも天井を見て。
あれがさっき見た煙突の正体よ。
うわぁ!2つの光がど〜んと降り注いでいる。
実に荘厳な光だ。
煙突のように見えていたものは内部に光をとり込むための採光口だったのです。
コルビュジエはこれを光の大砲と呼びました。
そこからはスポットライトのような光がさし込み厳かで静謐な空間を演出しています。
この建物を最初外から見たとき内部は洞窟のように暗いのではと思うでしょう。
その印象は一歩中へ入るとがらりと変わります。
光で満たされていることに驚きそこにしばらく身を委ねているとコルビュジエはすべてをコンクリートで作ろうと考えました。
壁を飾るものはなにひとつありません。
空間を彩るのは外からさし込む光だけ。
シンプルそのものです。
それなのになぜ完成まで半世紀近くもかかったのか?コルビュジエがフィルミニへ視察に訪れたのは1960年のこと。
1年後には設計案を提出。
ところが計画は暗礁に乗り上げてしまいます。
教会側は別の土地に建てることを提案。
コルビュジエはそれを頑なに拒否しました。
絶対に譲れない思いがあったからです。
建築家のジョゼ・ウブルリさんはコルビュジエのもとで学びともに教会堂の設計にあたった人です。
コルビュジエは単なる教会ではなくさまざまな人々が集える場所を作りたかったのです。
だから彼は人が集まりやすい街の中心にあったあの土地にこだわったのです。
しかし1965年コルビュジエは海の事故で突如帰らぬ人となりました。
教会堂建設という道半ばで…。
それからおよそ40年後彼の意志を継いだ人々の手により再びプロジェクトが動き出しました。
すると明らかになったのです。
なぜコルビュジエがこの場所にこだわったのか。
どんな空間を作り上げたかったのかが。
天才建築家の隠された意図とはいったい何か?フィルミニ教会堂の本格的な工事が始まったのは2004年のことです。
その指揮を執ったのはコルビュジエが求めたものを現在の技術でどう実現できるのかを考えました。
コルビュジエが依頼を受けてから46年もの歳月が流れていました。
それは頑なにコルビュジエがこだわった場所です。
新市街と旧市街のちょうど境目。
街全体のほぼ中心です。
街のいたるところから眺めることができさまざまな人々が集える空間。
だからこそこの場所でなければダメだったのです。
この教会堂にはもう一つコルビュジエのこだわりがあります。
動線です。
教会堂の内部へ一歩足を踏み入れると…。
周囲の壁の四角い穴からさし込む光が我々を上へ上へと導いていきます。
更に…。
あれ?ここで左へ曲がっている。
この先に何があるんだろう?よし行ってみよう。
あれ?何もない…。
行き止まりだ。
単に見晴らしがいいだけか?コルビュジエ父さんのことだから何か意図があるはずだよ。
ねえ兄弟ここまでのアプローチをもう一度歩いてごらん。
(2人)はい。
入り口から入り星座の光を見ながら左へ曲がる。
階段の下でまた左へ。
上りきったところで三度左へ曲がる。
でここがゴールだ。
あっ!僕らは知らず知らずのうちに螺旋を描くように高みへと導かれていたんだ。
まったく気づかなかった。
それは俯瞰で見てみるとわかりやすいかもしれません。
コルビュジエは実に巧みに高みへと誘っていたのです。
いったい何のために?兄弟そこから見上げてごらん。
(2人)はい。
あっ!ずいぶん天井が近くなっている。
下から見たときより光の大砲がまぶしく見えるぞ。
中世のゴシック教会では柱やステンドグラスの光を使って視線を上へと誘導し神の存在を感じさせました。
それをコルビュジエは実際に人を高みへと移動させ天井からの荘厳な光に近づけることで表現したのです。
あの光をずっと見ていると神聖な気持になるね。
天井の高さも感じなくなってくるな。
ここはどこ?宇宙。
フィルミニ教会堂は時間帯によってさまざまな表情が現れます。
その光の変化をつぶさに見てみましょう。
早朝には小さな点だった模様が…。
日が高くなるにつれ光の帯へと緩やかに変化していきます。
そして夕暮れになると西側の採光口からさし込む光が祭壇を幻想的に照らし出すのです。
その静寂と平和。
美しい光のイリュージョンはコルビュジエ1人だけの力ではありません。
光の演出はコルビュジエと21世紀に生きる我々技術者とがコラボレーションした作品なのです。
この光の帯こそコルビュジエの計画にはなかったもの。
ウブルリさんら現代の技術者たちのアイディアと工夫が生み出したものだったのです。
コルビュジエ父さんは新しい技術が好きな人だったからきっと喜んでるね。
うん絶対喜んでいる。
よしそろそろ日本へ戻るか。
えっもう?まだまだ日本のすばらしい建築を探さなきゃ。
待ってよ兄さん!その建築はフランスの小さな街に建っています。
ぜひ晴れた日に訪ねてください。
まばゆい光がやわらかな光があなたを優しく包んでくれますから。
ル・コルビュジエ設計フィルミニ教会堂。
人と時をつなぐ祈りの空間。
ただ静寂と平和を願って。
はいシャリを。
2014/10/18(土) 22:00〜22:30
テレビ大阪1
美の巨人たち ル・コルビュジエ『フィルミニの教会堂』[字]
毎回一つの作品にスポットを当て、そこに秘められたドラマや謎を探る美術エンターテインメント番組。今日の作品は、天才建築家ル・コルビュジエ作『フィルミニの教会堂』。
詳細情報
番組内容
今日の作品は、ル・コルビュジエ作『フィルミニの教会堂』。フランス中部の街に残されたこの建物。コンクリートで固められた外観は奇妙なフォルムをしています。てっぺんには煙突らしきものが。内部は天井から柔らかな光が差し込み、壁は緩やかな傾斜を保ちながら高みへと昇って行きます。天才建築家はここに何を託したのか?そして彼が残した“静寂と平和”という言葉が意味するものとは?内部に施された驚きの仕掛けも必見です。
ナレーター
小林薫
音楽
<オープニング・テーマ曲>
「The Beauty of The Earth」
作曲:陳光榮(チャン・クォン・ウィン)
唄:ジョエル・タン
<エンディング・テーマ曲>
「India Goose」
中島みゆき
ホームページ
http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/
ジャンル :
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
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