ドラマスペシャル 灰色の虹 2014.10.18

(江木雅史)あの…この前僕が言った…。
ああいいんだ。
今日じゃなくて。
返事はいつだって。
(河本由梨恵)いいよ。
私でよかったら。
でも僕…。
星雲みたいで私は好きよ。
気になんてしてない。
江木君の全部が好き。
江木君…。
私たちきっと幸せになれるね…。
神代署の者ですが。
市瀬さんの話ならこの間…。
いいから来い。
(由梨恵)ちょっと何するんですか。
嫌!ちょっとあっ…!市瀬さんが殺害された事件についてもう一度詳しい話をお聞きしたいと思いましてね。
江木君!あっ!用があるのは僕だろ!彼女は関係ないじゃないか!
(パトカーのサイレン)
(影山)どうしました?
(山名省吾)いや…。
(岩瀬厚一郎)ご苦労さんです。
神代署の岩瀬と言います。
京都府警の山名です。
同じく影山です。
ガイシャは派遣会社のOLでして昨日一昨日と連絡が取れなかったのを心配した大学時代の友人が発見して通報してきましたわ。
背後から首を…。
顔見知りの犯行か。
犯人を部屋に入れた時かあるいは何か飲み物でも用意しようとした時に後ろからって事ですかなあ。
彼女の携帯はありますか?あ…。
伊佐山。
伊佐山!
(伊佐山毅臣)はい。
(操作音)携帯の会社行ってきますわ。
すいませんちょっと待ってください。
今携帯のデータを…。
俺の携帯に移しただけですけど。
いや…勝手なまねされちゃ困りますよ。
大切な証拠なんですから。
本部から了承をもらう時間がもったいないんだよ。
仏さんや家族の身になれば一刻も早く犯人をあげてほしいんじゃないですかね。
だが捜査は個人プレーじゃない。
安心してくださいよ。
おたくの顔に泥を塗りはしませんよ。
(岩瀬)伊佐山!申し訳ありませんね。
あの…腕はええんですがちょっと強引なんですわ。
(原田幸輔)僕は何も知らない。
ああああああ〜。
おい大丈夫かい?原田さん。
知らないわけないよなあ。
ん?この数日…何回被害者に電話した?着信記録で原田って奴が16回も電話してんのよ。
だけどさそれがさ全部消去されてんだわさ。
関係ねえわけねえよな?ん?おたくのデータだけ被害者の携帯から消されてるようなんだから。
ん?まあその辺の話をさちょっと聞きたいわけよ。
な?殺ってねえ…。
殺ってねえのになんであの時間被害者のマンションのそばにいたんだろうね?何度も言うように僕は…彼女のマンションになんて行ってません。
行ってません?行ってないのになんで顔見られてんだ?おい。
え?それは…わかりません。
わかりません!?わかんねえか。
はあ〜ん。
(ため息)ただね原田君。
君を見たって目撃者がいる以上言い逃れは出来ないと思うんだよ。
君は付き合っていた及川暁美を絞め殺す目的でマンションの辺りをうろついていた。
そうだろう?そうだろ?楽になれよ。
(古川)返事は。
伊佐山さん!話なら外でしましょうよ。
京都府警のお偉いさんだ。
ああ見えて鬼らしいよ。
府警が本気になればこんな取り調べじゃ済まなくなるって事だよ。
任意同行の際に原田に暴力ふるったっていうのは本当ですか?あああれね。
あれはあいつが勝手に転んだだけですよ。
行きすぎた取り調べは今後の捜査に支障をきたします。
久しぶりの殺しの現場で熱くなってる主任さんに反論するつもりはありませんがねあいつは…クロですよ。
今は状況証拠があるにすぎません。
あなたがつかんだ目撃証言もあいまいなものでしかない。
だから自白さえあれば問題なくフダがとれるじゃないですか。
奴のアリバイはでたらめだよ。
突けばボロが出ますよ。
追い込んで自白させたものに信憑性などはない。
あなたのやり方は警察の信用をなくす行為だ。
フン。
信用ね…。
(ドアが開く音)
(古川)お話し中申し訳ありません。
原田が落ちました。
自分が及川暁美を殺したと。
やりました。
僕が殺ったんです。

(中村幸一)今回の事案終了お疲れさまでした。
乾杯!
(一同)乾杯!
(安藤忠雄)ふう…。
いやあ…。
(拍手)よくやった。
いえいえ。
さすが落としの伊佐山と異名をとるうちのエースだ。
中村管理官からもお褒めの言葉を頂いたぞ。
恐縮です。
フフフ…。
いやまあご苦労さまでした。
(安藤)いやなかなかねこれ大変だったと思う。
自供どおり凶器のロープが原田の勤め先の工場で見つかった。
あせるな。
5年のブランクは少しずつ埋めていけばいい。

(伊佐山)どうですか?一杯付き合いませんか?いや〜今日はちょっと…。
(伊佐山)あ〜そうですか。
まあ今度の件じゃ主任を差し置いて出しゃばったまねしちまったんでねお詫びに一杯おごらせてもらいたかったんですけどね。
でもまあそのうちまた仕事ご一緒するかもしれませんがまあその時はよろしくどうぞ。
じゃあ…。
あっ主任!生活安全課に…5年でしたっけ?まあせいぜい刑事の勘取り戻してくださいよ。
ね!ハハハハ…。
(急ブレーキの音)
(運転手)うわあーっ!あーっ!伊佐山さん!
(運転手)ああああっ…。
伊佐山さん!この人が…この人が突然飛び込んできはったんや!そこにいろ!動くな!はい!ああああ…。
伊佐山さん!大丈夫か?おい!おい!もしもしこちら神代東駅前。
人がはねられました!ええ。
救急車をお願いします!
(谷沢憲一)半年前にふられた女によりを戻したいとメールを送りつけ返信がない事に腹を立て殺害か…。
こんな事件ばかりだ。
凶器のロープは事前に用意していたから殺意があったのは明確ですねえ。
本人は殺意はなかったとは言ってますが。
毎度の事じゃないですか。
弁護士がつけば事前に準備したロープにもそれらしい言い訳が判で押したように用意される。
ああ…。
求刑10年。
相場どおりでいける事案でしょう。
この手のものに時間を割く必要などないんだ。
判例というのはそのためにあるんですから。
冷めないうちに。
あ…いただきます。
ところで担当の刑事が事故死したそうですね。
はあ…伊佐山警部補です。
殉職なら階級の特進もあったのに事故じゃね。
浮かばれないな…。
ええ?なんだよ。

(携帯電話)あ…中村管理官。
(中村)「今どこだ?」何かあったんですか?地検の谷沢検事が刺殺された。

(岩瀬)ご苦労さんです。
ほぼ即死ですわ。
奥さんが呼んだ救急車が来た時にはすでに…。
(小西晃次)はあこりゃマジ…壊されてるね。
ここから直接母屋に行くこのドアのノブが壊されてますね。
ですから谷沢検事は表回って門から入ろうとしたんですね。
そこを背中から…ブスリか。
という事はホシは背後から?どちら様ですか?府警の山名警部補や。
ああこりゃどうも。
小西と言います。
はい。
背中から肝臓をひと突きっすねえ。
凶器は刃渡りのあるサバイバルナイフあたりっすかね。
(影山)ご苦労さまです。
谷沢検事宛ての脅迫状がありました。
えっ!脅迫状。
(影山)はい。
奥さんの話によると今日の昼間届いたそうです。
谷沢検事は帰宅して確かめた上で警察に届け出るつもりだったようです。

(安藤)え〜これが谷沢検事に宛てられた脅迫状です。
投函されたのは右京区。
え〜現在切手封筒便箋等の付着した指紋及びDNAの検出を急いでおります。
(中村)脅迫状による犯人特定を待つまでもなく谷沢検事が担当した案件の被告をくまなく洗い直してほしい。
現職検事が刺殺された由々しき事案であり一刻も早い犯人検挙が我々の使命だと肝に銘じて頂きたい。
以上。
谷沢検事が起訴あるいは裁判を担当された案件の一部です。
残りは今日中に地検の方から届く手はずになっております。
じゃあ手分けして頑張っていきまっしょーいと。
主任。
主任と組めて光栄です。
よろしくお願いします!どうも。
はい!あれ?ちょっちょっと待ってくださいよ。
いやだけど検事って仕事も大変っすよね〜。
起訴した奴には恨まれますしね。
まあそこんとこいくと俺なんか仏さんみたいだからまあうちの母ちゃん安心ですわ。
ハハ…。
だけどだからぶくぶく丸くなっちゃうのかな。
ふくよかでいいじゃありませんか。
ええ。
まあ健康はいいんですけどね。
5人ガキ生んじゃってくれてますし。
あっ6人だ。
一番下忘れてた。
ハハハ!
(携帯電話の振動音)はい小西。
あっどうも岩瀬さん。
はい…。
え?はい。
了解しました〜。
脅迫状の封筒から谷沢検事が担当した被告人の指紋が出たそうです。
この仲田です。
(2人)あっ…。
ここだ!どちらさん?こんにちは。
あのこちらの方ですか?あの息子さんいらっしゃいますかね?わあああ!仲田か?谷沢検事を知ってるな?
(仲田光晴)酒飲んで車転がしただけで2年だぞ!あいつのおかげで女房も子供もこの家出てったんだ!無駄な事はよせ。
脅迫状を送ったのはお前だな。
俺の人生ボロボロにされたんだ。
復讐してやりたいと思うのあたりめえじゃねえか!おいだからってお前殺す事はねえじゃねえかよ。
なんだお前は!この野郎!お前なんか…!ぐうっ!ぐわ〜っ!離せオラ!ああチクショー…。
あいつ殺しは否認してますけど落ちるのは時間の問題ですね。
あ〜あ。
あれ…こっちは全然落ちねえや。
チキショー!逆恨みのくせに何が復讐だあの野郎!ああ…これまた母ちゃんに叱られちゃいますよ〜。
あれ〜。
あれ〜。

(チャイム)
(ドアを開く音)
(真島幸菜)はい。
(幸菜)…どなたですか?
(ドアが閉まる音)
(幸菜)ちょっと…ちょっキャッ!嫌!嫌!嫌っ!嫌ーっ!嫌ーっ…!幸菜!!おい!幸菜!!
(ノック)どうぞ。
(ドアの開閉音)管理官。
仲田にアリバイがあったというのは本当ですか?酒飲んで車転がしただけで2年だぞ!裏が取れた。
谷沢検事が殺害された時刻地元のコンビニで酒を買っていたんだ。
レシートと防犯カメラも確認済みです。
現場との距離を考えても犯行はとても無理でしょうね。
じゃあ振り出しっすか。
脅迫状に目がいきすぎてるのかもしれない。
検事や家族の周辺にも目を配ってくれ。
仕事から離れた怨恨やトラブルの線もある。
(山名・小西)はい。
あ〜面倒なヤマになりそうですね。
こういう時伊佐山さんずるかったなあ。
俺は落とし専門だからとか言っちゃって地取りなんかしやしなかったんだから。
伊佐山さんとは古いんですか?まあ組んだ事はないですけどね。
6〜7年前の事件かな捜査で初めて一緒になったの。
まあえげつなかったですけど腕はよかったんですよね。
ああ…そういやあの事件で伊佐山さんが挙げた犯人の担当検事も谷沢さんか。
はあ〜?どうしたんですか?あいや変な偶然もあるもんだなと思って。
あのヤマの弁護士もつい最近死んでんですよね。
あのヤマって6〜7年前の?ええ。
その弁護士も刺し殺されてんですよ。
いやでも弁護士も検事も恨まれる商売ですからね。
偶然かな。
弁護士の事件は確か左京区で起きた事案。
ええ。
え?どうしたんすか?これか…。
はい。
弁護士綾部和久。
「2月29日京都市左京区のマンション表で刺殺」と。
伊佐山さんが亡くなった10日前…。
そうですね。
その6〜7年前の事件っていうのは?えっとじゃあちょっと待ってください。
運送会社の人事部長が殴られて階段から転落死した事件なんですけど。
まあ最初は転落事故だって思われてたんですけど目撃者の証言から犯人が浮上しまして。
同じ会社の運送係の若い男でまあ日頃からねその人事部長にからかわれてたみたいなんですけど。
あげく付き合ってた女にちょっかい出されてそれにぶち切れたという。
あこいつです。
江木雅史。
あっ7年前でしたね。
そうそうほら伊佐山さんでしょ。
谷沢検事。
綾部弁護士。
俺の記憶力に乾杯っすね。
江木雅史の刑期は…。
6年っすか。
出所は…。
2月20日。
えー1か月前に出てきてますね。
まさか…。
いやちょっと待ってくださいよ。
それはあり得んでしょう。
だって伊佐山さんはトラックに…。
伊佐山さん!この人が…!この人が突然飛び込んで来はったんや!いややだなあ!7年前の事件と同じように伊佐山さん突き飛ばされてトラックにひかれたなんて考えてんじゃないでしょうね?伊佐山さん!大丈夫か?おい!俺は…こいつを見てるかもしれない。
じゃあ江木が伊佐山さんを?あの状況ではあり得ない事じゃないな。
いやだとしたら同じ事件にかかわった刑事と検事と弁護士が立て続けに殺されたって事になりますよ。
(大野忠雄)どうも。
お忙しいところ申し訳ありません。
(大野)いえこっちも煮詰まってましてね。
しかし谷沢検事の事件と何か関係があるんですか?ええまあそれをちょっくら調べさせてもらおうと思いまして。
ああここが綾部弁護士が殺された現場です。
午前1時頃でしたっけ?このマンションに入って行くところを背後から…。
(綾部和久)あっ…ああ…。
あっ…ああっ…!ああ…。
(大野)しかし目撃者はおらず周辺の防犯カメラにも怪しい人物は映っていませんでした。
谷沢検事の時と同じっすね。
最寄りの駅からは距離がありますね。
綾部弁護士はタクシーでここに?綾部弁護士を乗せたタクシーはまだ見つかってません。
そうですか。
このマンションは彼の自宅ですか?いえ若い女が…。
フフッ…愛人ってやつっすか?こちらです。
綾部弁護士の行きつけのクラブで働いていて知り合ったんだそうですね。
綾部さんはどのくらいの割合でここに?
(有本怜)さあ…。
決まって来る曜日とかありませんでしたか?それは…。
あの晩綾部さんがどうやってここに来たのかだけ教えてくれればいいんだけど。
タクシーとか使うとお姉さんとの関係知られちゃうかもしれないでしょ?だからもともと知り合いの誰かに送ってもらってたんじゃないかって思うの。
お姉さんから聞いたって事は誰にも漏らさないからそれだけ話してくんないかな?けどまさか洛仁会が綾部の送り迎えしてたとは思いませんでしたね。
こりゃ姉ちゃんの口も重くなるはずですわ。
洛仁会の運転手が犯人を目撃していれば何者かがはっきりする。
けど素直に吐くかどうかっすけどね。

(秋成良治)府警の一課にこんなイケメンがいるとは知りませんでした。
うんそういうわかりきった話はいいんすよ。
綾部弁護士を送り迎えしてたかどうか答えないとためになりませんよ。
うちの組が先生の事件にかかわってるとでも?秋成さんにね見てもらいたいものがあるんだよ。
この男に見覚えは?さあ…どっかの組のもんですか?この中に綾部さんを送り迎えしてた運転手がいるんじゃないかなあ?例えば…お前とか。
また来ますよ。
(ドアの開く音)うーん…ありゃ確実に江木雅史の事見てますね。
ただあの様子だとまだ江木の行方はつかめていないんじゃないか?ああ…。
けどなんで隠す必要があるんすかね?綾部弁護士と洛仁会には何か特別な関係があるんじゃないかな?サツってのは鼻が利くなあ…。
早いとこカタつけねえと先生の面目も立たねえしよ。
初七日も過ぎちまってるし。
なあ?川北。
うっ…!
(安藤)谷沢検事および綾部弁護士を刺殺した凶器は同一のものと判明し7年前の殺人事件を担当した検事と弁護士が立て続けに殺害された事によりこの事件の犯人であるその写真の江木雅史に着目するに至った。
加えて江木を逮捕取り調べを行った伊佐山警部補が轢死したその現場に江木らしき男がいたという情報もある。
管理官。
しかし…。
いいか。
江木を指名手配するに至る証拠は今のところない。
従って諸君には出所後姿をくらましていた江木の行方を慎重かつ全力で洗い直してもらいたい。
以上!
(一同)はい!
(江木聡子)あお疲れさま。
お疲れさまでした。
お疲れさま。
お疲れさまです。
こんにちは。
警察の者です。
なんのご用ですか?息子さんの事でお話をお伺いしたいんですが。
お宅にお邪魔してよろしいですか?お願いします。
お時間は取らせません。
あ…どうぞ。
お邪魔します。
お邪魔します。
(聡子)どうぞそちらに。
失礼します。
主人です。
6年前に…。
えーっと…息子さん1か月前に出てきてますよね?お会いになりました?当たり前じゃないですか。
馬鹿な事聞かないでください。
雅史さんはこちらには?…来ましたよ。
一度だけ。
えっ一度だけ?今はどこに?わかりません…。
工事現場の仕事が見つかったって一度電話がありました。
そのあとは…。
その場所はわかりますか?言わずに切れました。
安心してくれって言いたかったんだと思います。
優しい子ですから。
その電話は携帯電話ですかね?わかりません!一体なんなんですか?あの子が一体何をしたっていうんですか!?7年前の雅史さんの事件にかかわった検事も弁護士も殺されました。
それを…雅史が?雅史さんを取り調べた刑事も不審な死に方をしています。
だからって…あの子が犯人だっていうんですか!?証拠があるんですか!?あの子が殺したって証拠あるんだったら見せてください!まあまあお母さん落ち着いてください。
あなたたち7年前のようにまたあの子を犯人に陥れようっていう気ですか!?あの子から何もかも奪っておいてそれじゃ足らずにあの子に濡れ衣を着せようっていうんですか!濡れ衣って…あのですね…。
どういう事ですか?雅史はずーっと犯人じゃないって言い続けてきたんですよ。
刑事さんも検事さんも…誰一人あの子の言う事を信じてくれなかったじゃないですか!
(伊佐山)かわいい子だよなあ。
由梨恵さんっていったっけ?殺された人事部長の市瀬さんが目ぇ付けてたって聞いたよ。
(市瀬俊彦)先に出るか?
(由梨恵)あでも…。
あの人は女子職員には誰だって…。
けどお前さんの彼女だって知ってから余計しつこくなったんじゃないのか?
(市瀬)見ろよお前。
台車番号間違ってんじゃねえかよ。
誰が行くんだよこれによ!?てめえこの野郎お前何回間違ってんだ。
馬鹿この野郎!お前なあ役立たずのくせに女の事ばっか考えてるからこういう事になんだよ。
あの子は不釣り合いだとかなんとか。
誰かが仕事で失敗しても全部お前さんのせいにされてたって話も聞いたんだけどなあ。
けど…だけど僕は殺してなんかいません。
僕は夜釣りに…!てめえ警察なめてんのかよ!えぇ!?1人だろうが!あぁ!?そんなもんはアリバイじゃねえって言ってんだろ!!突き落としたんだろ?お前が。
憎くて邪魔な市瀬を殺したんだ。
違う…。
違います!何が違うんだよ!あぁ!?アリバイがないうえにおめえの上着と同じ色の服を着た男が現場近くで目撃されてんだよ!背格好もてめえと同じだよえぇ!?雅史…!僕…何もやってない…。
本当だよ…何もやってないんだ!落ち着いて…。
きっと何かの間違いよ。
だから…。
信じてもらえないんだ!いくら本当の事を言っても僕が犯人だって…。
(伊佐山)ネクタイからお前さんの指紋が出た。
なんでこんなところから指紋が出るかねえ?会社です。
会社で市瀬さんが…。
(江木の声)悪いのは市瀬さんです。
嫌がってるのにしつこく彼女を食事に誘ったりして。
けど市瀬さんは…。
いい加減にしろ!!何やってんだ?おい。
うっ…!何考えてんだおめえは!調子に乗ってんじゃ…!
(江木の声)あの時僕の…。
本当です。
信じてください!そいつを見た人間は?本当の話かどうか証明出来る人間がいるのか?ん?
(聡子)雅史は絶望のふちに立たされたんです。
そして…由梨恵さんの事があって…。
逮捕されてから雅史は手紙を書き続けていたんです。
由梨恵さんに信じてほしいと。
だけど由梨恵さんからの返事はなくとうとう…。
お前昨日からメシ食べてないけど大丈夫なのか?
(伊佐山)あっ昼間な由梨恵って女の子が来たよ。
手紙を…。
あいにくだが違う。
お前さんとの婚約ななかった事にしてくれとさ。
お前さんの顔は二度と見たくないって。
はあ…女ってのは怖えよなあまったく…。
はあ…怖い怖い。
江木君の全部が好き。
嘘だ…。
でたらめだ…。
嘘だ!嘘だ!!嘘だ!!
(刑事)おい!どうだ?江木君。
そろそろ本当の事を言っちゃ…。
…やりました。
僕…やりました。
雅史は心の支えを失ったんです。
そして私たち家族も…。
(江木杏子)お母さん。
本気で雅史に会いに行く気なの?雅史は人を殺すような子じゃない。
なんかの間違いよ。
ちょっと待ってよ。
そんな事より今は私たちの事の方が大事じゃないの?そんな事より?あの子を放っておけっていうの!?あの子は無実なのよ!そんなの誰も信じてくれないわよ!杏子!
(江木治史)いい加減にしてくれ…。
何言ってんの?大事な話よ。
お父さんだって会社をクビになるかもしれない。
私の結婚だってどうなるかわかんないのよ!?あんな人殺しの弟のせいで!杏子!
(聡子)罪を…認めたの…?このままだと…一生取り調べが続くような気がして…。
待ってでも…本当は殺してないのね?しっかりしなさい雅史。
母さんがちゃんとした弁護士さんにお願いするから。
無実なんだもの。
絶対大丈夫。
だから自分をしっかり持って…!ね?母さんどんな事があっても雅史の味方だから。
(聡子の声)雅史は検事さんに本当の事を打ち明ける決心をしたんです。
否認する?はい。
僕はやっていません。
取り調べの時は責め立てられて頭が真っ白になって。
だから…。
罪を認めておいて都合が悪くなると自白を翻す。
そんなもの誰が信用しますか。
けど僕はやっていません。
本当に無実の人間は罪を認めたりはしないものだよ。
否認するとなると員面調書を作り直さないとならなくなるね。
員面調書?もう一度一から警察で調書を作り直す事です。
もう一度…?時間がかかるが大丈夫ですか?え…。
員面調書の作り直しはそれなりに時間を費やします。
裁判が始めるまで余分な時間がかかる。
ご家族の精神的な負担も増すと思いますが…。
大丈夫なんだね?
(聡子)先生雅史は取り調べのやり直しを拒否したんですか?ええ家族に迷惑をかけたくないの一点張りでして。
となると…裁判?そういう事になりますね。
先生雅史をよろしくお願いします。
あの子の無実を証明してください。
このとおりです!弁護士として最善は尽くしますよ。
尽くしますがねお母さん正直無実は諦めておいてください。
え…?
(綾部)雅史君にとって不利な材料ばかりです。
情状酌量で1年でも刑期を削る努力はしますが…。
情状酌量って…待ってください。
あの子はなんにもしてないんですよ!落ち着いてくださいお母さん。
裁判というのは簡単にいかないんですよ。
あの子は無実なんです。
雅史は無実なんですよ!僕は殺していません。
取り調べの時は混乱して認めてしまいましたが今は冷静に考える事が出来ます。
僕は市瀬さんを殺してなどいません。
(石嶺亮三)主文被告人を懲役6年の刑に処す。
判決理由を述べます。
(石嶺)被告人は自らの罪を否認するばかりで被害者に対する反省の色を全く示しておらず…。
平成17年3月23日午後7時15分頃京都市中京区春川町にあるBビルの外階段で被害者市瀬俊彦さんと遭遇し日頃仕事内容や被告の交際相手に対する嫌がらせなどに憤激していた旨を告げ口論となり同日午後7時15分頃突き落とし殺害したものである。
(聡子)控訴しない?控訴しないでどうするの?何もしてないのにこんなところに6年も入れられてしまうのよ。
いいんだ。
僕は何もしない方がいいんだ。
それがみんなのためなんだ。
何言ってるの?みんな雅史の無実を信じて…。
いいんだよ母さん!由梨恵さんだって僕を…。
雅史?いいんだ。
僕はここで静かに暮らす。
それでいいんだ。
(聡子)雅史も私たち家族も警察や裁判のせいで何もかも失ったんですよ!帰ってください!ここにはもう雅史はいない事はわかったはずです。
二度と来ないでください!ありがとうございました。
いや参りましたね。
親の気持ちっつうのはありがたくも愚かしいっつうか。
江木の取り調べに問題はなかったんだろうか?えーさっきの話信じちゃったんすか?江木にアリバイがないのは事実っすからね。
指紋も目撃証言も間違いないっす。
考えるだけ無駄っすよ。
でもなあ人間なんもかも失っちゃったらもうどうでもいいって思っちゃうんすかね?人間弱いからな。
主任もそう思った事ありません?あー!秋成さーん。
こんなとこで何してんすか?江木が母親に近づくのを待ってるのか?なんの事かさっぱりわかりませんね。
休んでるだけですよ。
とりあえず身体検査させてもらうよ。
出せ。
秋成さーん。
あれまた来ますかね?
(聡子)駅から少し遠いけど静かでいいところよ。
雅史は私たちの子よ。
どんな事があっても守るって…。
お父さんに誓ったの。
(聡子)雅史が帰ってきましたよ。
お父さん。
(聡子)あ…ああ…。
ああ…。
(嗚咽)お父さん…。
(嗚咽)姉ちゃんは?姉ちゃんは今…。
杏子はね1人で暮らしたいって。
え?1人って…結婚は?縁がなかったのよ。
大丈夫杏子は強い子だから。
そうだ。
ミルクティー好きだよね。
母さんいれる…。
(2人の嗚咽)俺のせいで…。
洛仁会の秋成が綾部弁護士の弟だったというのは本当ですか?父親は違いますが間違いありません。
兄貴。
ああ?この間の大阪の件大丈夫だな?大丈夫だよ任せてくれ。
だからあの野郎江木の事を隠してたんすね。
秋成が兄貴の復讐で江木を殺るつもりだとしたらこっちが先に江木見つけないとまずいっすね。
厄介だな。
江木の裁判を担当した裁判官の保護が必要かもしれませんね。
うーんどういう事ですか?江木の目的が復讐なら綾部弁護士伊佐山刑事谷沢検事この3人を殺して達成したとは思えないんです。
ああ…判決を下したのは…。
まさか…。
江木が次に狙うとすれば裁判官です。
すぐに中村管理官へ連絡をお願いします。
髪切ったのか?ええ。
昨日。
どこの美容室で?河原町です。
買い物の帰りに。
河原町?昨日河原町行ったのか?
(電話)はいもしもし。
石嶺でございます。
少々お待ちください。
あなたに。
はい。
石嶺ですが。
京都府警?覚えていますがこの男が私の命を?7年前の江木雅史の事件にかかわった刑事弁護士そして検察官が殺害されています。
あの裁判にはなんら間違いはない。
なのになぜ?裁判記録を読ませて頂きましたが江木雅史は一貫して無実を訴えてきました。
それを私が退けたからですか?ばかばかしい。
無実を立証できる証拠など彼には何ひとつなかったんだ。
あの裁判の判決は妥当なものだ。
まあ用心に越した事はありませんから。
すでに県警の方にはご自宅の警備も要請してあります。
いや待ってください!物々しい事は勘弁して頂きたい。
ご不自由をおかけしますが江木雅史の行方がわからない以上ご協力をお願いします。
ご自宅まで我々が先導します。
その必要はない。
そうはいかないんすよ。
もしもの事がありますと…。
しつこいぞ!石嶺さん。
大丈夫。
職業柄脅迫めいた事には慣れてる。
出して。
はい。
なんすか?これ。
裁判長だからって偉そうにしやがってよチクショー!あーあ。
江木!えっ江木?江木!待て!
(クラクション)江木?江木っすか?ほんとに江木だったんすか?ああ。
うん。
…わかった。
江木が大津に現れました。
江木が現れた!滋賀県警道路の検問交通機関各所への緊急配備の要請!
(一同)はい!やはり山名の言うとおりになりましたね。
(佐賀徹)お待たせしました。
こちら奥様の調査結果です。
(佐賀)ちょっと申し上げにくいんですけどどうも奥様の方からお誘いになっているようです。
この男は何者だ?
(佐賀)あっ郵便局員です。
(佐賀)裁判所の官舎も配達区域やったみたいですね。
君…君いつ私の仕事を?口外は致しませんからご安心ください。
この男の勤務表は手に入るか?はい?勤務表だ!料金は別に支払う。
江木婚約破棄した女のところなんか来ますかね?うーん…。
あの左の部屋っすね。
あっ。
ああ河本由梨恵さんですか?はい。
お出かけ前だったのにどうもすいませんね。
いえ急いでいませんから。
お話というのは江木さんの事でしょうか?ええ。
江木さんまた何か…。
7年前の裁判にかかわった検事と弁護士の殺害容疑がかかっています。
まだ動機はわかりませんが復讐の可能性も…。
私江木さんの気持ちわかります。
私の人生もあの事件で変わりましたから。
彼を信じていたし待っていようと思う気持ちもありました。
でも逮捕されたあと彼の方からなんの連絡もなくなって…。
彼から手紙が来なかったと言うんですか?はい。
1通も。
ちょっと待ってください。
それって…。
あなたは…あなたは江木に手紙を書いたんですか?彼との面会は考えましたか?手紙は何通も出しました。
面会にだって…。
でも返事は来なかったし面会にも応じてはもらえませんでした。
けど江木との婚約を破棄したのはあなたの方からなんですよね?誰がそんな事…?婚約の取りやめを言ってきたのは江木君の方です。
婚約取りやめたいって江木君が言ったんですか?はい。
言いにくいんですがあなたが亡くなった市瀬さんに色目を使ってたような事を言ってましてね…。
どうしてそんな…。
そんな事は一度も…。
彼にはそう見えたんでしょう。
では私は…。
あの…。
江木君は本当に市瀬さんを殺したんでしょうか?詳しい事は言えませんがクロですね。
(由梨恵の声)そのうち私自身が彼を信じられなくなっていきました。
家族も友達も時間が解決してくれるよって…。
それで1人でこの町に…。
じゃああなたが今どこで何をしているかは江木は知らないわけですよね?江木は知ってるんですか?私の職場に一度だけ。
いつですか?1か月ほど前です。
わざわざ会いに来たのに話さなかった…。
あなたは声かけなかったんですか?なんて声をかければよかったんですか?私は…彼を待てなかったんです。
信じてあげられなかった。
そんな私が彼になんて言えばよかったっていうんですか?私たちはもう違う道を歩いているんです。
本当に歩けてますか?部屋に男がいた痕跡は全くなかったですけど怪しいっちゃ怪しいですね。
江木の事を引きずってるっちゃあ引きずってますよね。
(車の鍵の解除音)信じてるんじゃないのかな…。
信じてるって無実をですか?えっ!?まさか主任も江木が無実だと思ってるわけじゃないですよね?勘弁してくださいよ。
どうした?やめろ!やめろ!やめろ!俺のせいなんです。
電車を1本乗り過ごしてしまって…。
約束の時間に幸菜の部屋に行けなくなって…。
財布のわずかな金…。
たったそれだけのために幸菜は殺されたんです。
俺は…俺はどうなったっていいんです。
でも…幸菜を殺した犯人がこの先も生きていけるっていう事に…納得出来ないんです。
それでもお前は生きていかなきゃならない。
生きていく…。
生きていきたかったのは…幸菜の方ですよ。
あの犯人は…あの犯人は幸菜から全てを奪い取ったんですよ!だから俺は…この…この手で犯人を…。
自分を見失うんじゃない!しばらく一課を離れろ。
だが俺は信じてる。
いつかお前が一課に戻ってくるのを…。
(ドアの開閉音)
(中村)江木事件の再捜査?はい。
証拠はいずれも状況証拠でしかありません。
江木のアリバイの裏取りはされておらず被害者のネクタイについていた指紋も犯行時に付着したものかどうか立証されてはいないんです。
ちょっと待ってください。
江木を追っている最中に7年前の事案の洗い直しをしてなんの意味があるっていうんですか?江木の動機です。
もし江木が無実なら単なる復讐ではありません。
冤罪への復讐だと言うのか?そうです。
いい加減にしてくださいよ。
今我々がやるべき事は石嶺裁判官の警備と江木の身柄の確保ですよ。
余計な事に時間や人員を割いてる場合じゃないんですよ!余計な事じゃありません。
江木にとって冤罪かどうかは生きるか死ぬかの問題です!山名。
いずれにしろ再捜査の決断はすぐには出来ない。
俺に預からせてくれ。
課長の言うとおりじゃないですかね。
裁判所は有罪言い渡してますし。
あんないい加減な調書をうのみにした検事や裁判所そのものが問題だと言ってるんだ。
江木は被害者かもしれないんだ。
被害者って…。
江木の復讐は立派な人殺しっすよ。
それが正しいとでも言うんですか?どこまで江木に肩入れすりゃ気が済むんすか?ああそれともあれですか?江木に5年前の自分を重ねちゃったりしてんすか?犯人に殴りかかったそうじゃないですか。
江木がしたように彼女を殺した犯人に復讐したかったんでしょ。
黙れ!黙りませんよ!あんたがやろうとしてる事は捜査にかかわった刑事の顔に泥を塗るこった。
捜査一課放り出されて管理官の恩情で出戻って来たような人間に舐めた口たたかれて黙ってられませんよ!おい!うるせえ!殴るんだったら殴れよ。
江木の事件は冤罪なんかじゃなかった。
俺はそう信じてます。
ハハハハ…。
アッハハハハ…。
(石嶺)ああ…!
(パトカーのサイレン)ご苦労さまです。
(恩田)あっどうも…。
あれ…?ジョギング中だったんですかね?橋の上で刺されて転落したようです。
そこで刺されたようです。
警備を依頼されていながら面目も…。
石嶺裁判官が体調を悪くされ早退されたところまではつかんでいたんですが…。
体調が悪かったんじゃジョギングはしないっすかね…。
じゃあなんであんな格好してたんでしょう?
(千葉)それが皆目…。
発見者の方ですか?はい。
釣りをしてる時石嶺裁判官の悲鳴らしきものを聞きつけてそれぞれあっちとあっちから来て発見を。
お二人とも同時に?はい。
私はあちらから来ました。
俺はあっちからです。
ちょっと待ってください。
そっちは…工事中ですもんね。
じゃあこの橋に来るにはお二人が通った道を来るしかないって事ですね。
ええそのとおりです。
それが妙なんですよ。
それなのに2人とも江木らしき男とはすれ違っていないんです。
凶器は?傷口の大きさからサバイバルナイフのようです。
この郵便物が川下に流れてきまして…。
消印からしてまだ配達前のものかと。
回収して関連があるか調べてください。
わかりました。
じゃあ何かありましたらまた連絡ください。
わかりました。
はい。
姿なき殺人ってやつか…。
まあいずれにしてもゲームセットかなぁ…。
検察官刑事弁護士…そして裁判官。
江木の事件に関係した主だった人間全部いなくなったわけですからね。
これ復讐達成っしょ。
ああ…クソッ。
まさか…。
はい?どうしたんすか?主任。
こちらでお待ちください。

(ノック)どうも。
京都府警の山名と申します。
小西と言います。
(雨宮健)どうぞ。
それで京都府警の方が私に何を?7年前の事件であなたが目撃証言をした江木雅史の事で伺いました。
ご存じですよね?ええ…ああ…もちろんよく…覚えてますよ。
けど…なぜ今さら7年前の事で?あの事件にかかわった刑事弁護士検事そして裁判官が殺されました。
まさか江木が…?ええ。
そのまさかなんです。
で次は僕だとでも?ハハハ…よしてくださいよ。
僕は裁判で証言しただけだ。
見たままをありのままに。
なぜ僕が?だとしても今後は我々の指示に従ってもらい外出もセーブして頂きます。
冗談じゃない!無理ですよそんな事。
刑事弁護士検事に裁判官。
大体4人も殺されてるのにあなたたち警察は何をしてるんですか?僕を拘束する前に早く江木を捕まえたらどうなんですか!雨宮さんこれは冗談ではないんです。
あなたの命を守るためだ。
あなた真実を話しましたか?あなたが裁判でした証言は本当に真実だと言い切れますか?もし証言が偽りのものだとすれば江木は間違いなくあなたを標的にします。
僕は偽証なんかしてない。
この目ではっきり江木を見たんだ。
はっきりと見たんであればどうして目撃証言で彼の左頬の痣について言及していないんですか?そ…それは…。
どうなんだ!見たのか?見ていないのか?
(石嶺)あなたが事件の夜に見た男それは被告人に間違いありませんか?証人どうですか?はい間違いありません。
本当は顔見てないのかよ。
伊佐山って刑事ですよ。
僕が見たのは江木に間違いない。
顔はっきり見てなくたっていいって…。
(伊佐山)なあ雨宮君よ。
被害者の服から指紋が出たってだけで完璧に有罪だろ。
自分の女にちょっかい出されて切れたんだ。
そんな人殺しをさ君は放っておいて平気なのか?平気じゃ…ありませんよ。
誘導かよ…。
いやしかし結局のところ犯人は江木だったじゃないですか。
江木が控訴しなかったのは罪を認めたって事ですよね?自分のした事をよーく考えてみろよ。
あんたのいい加減な証言で1人の人間が…いや何人もの人間の人生がめっちゃくちゃにされたんだぞ!おい!貴様!わかってんのかおい!主任…!主任!主任!はぁ…はぁ…。

(中村)7年前の目撃証言は誘導されたものだと言うのか?はい。
伊佐山刑事が雨宮の証言を誘導し谷沢検事が伊佐山刑事の調書をうのみにしたんです。
そして綾部弁護士は無罪を信用せず石嶺裁判官は江木の主張を全面的に退け有罪の判決を下した。
絵に描いたような冤罪がそれで成立したんです。
目撃者が偽証しただけでしょう。
冤罪だと決めつける証拠も何もないじゃないですか。
そのとおりだ。
お前の言ってる事は推測にすぎない。
確かにそのとおりかもしれませんが…。
ではこの話はこれで。
振り回される事はないぞ。
絶望が…彼に復讐させているんです。
山名主任あなたまだ…。
父親は自殺しうちを出た姉は連絡がつかず母親はたった一人狭いアパートとパート先を行ったり来たりするだけの生活を送っています。
なのに自分を陥れた人間たちは何不自由なく生き続けている。
江木は次に必ず雨宮を狙います。
だが私はそれを食い止めます。
江木の事件の再審請求には証人である雨宮は欠かせない人間です。
死なせるわけにはいきません。
そして江木にこれ以上罪を重ねさせるわけにはいかないんです。
雨宮の警護を頼む。
確かに再捜査には必要な証人だ。
はい!さて次は江木の母親のところっすか?江木が連絡取れるの母親だけですもんね。
俺ちょっとだけ主任がわかってきましたよ。
突然申し訳ありません。
話でしたら外で。
雅史が冤罪だったって認めるっていうんですか?再捜査を願い出ました。
時間はかかるかもしれませんがきっと…。
ですからねお母さん。
江木から連絡があったらその事を伝えてほしいんです。
そしたらもうこれ以上罪を重ねなくなると思うんで。
遅いんですよ…。
もう遅いんです。
何もかも遅すぎます…。
ええ。
すでに江木は罪を犯しています。
でもね…。
仕事があるので私はこれで。
あのスーパーですか?他のところでも働いているんです。
雅史から連絡があったら必ず…。
かくまうつもりはありませんから。
仕事かけ持ちか…。
大変っすね。
(雨宮)大丈夫だから。
いってらっしゃい…。
パパいってらっしゃい!
(雨宮)バイバイ。
会社までお送りします。
ねえ…。
江木はもうどこかで自殺してる可能性高いんじゃないんですか?裁判官殺したあとの江木の足取りだってまだつかめてないわけでしょ?そういう話は江木の自殺死体が見つかってからにしましょうよ。
でもね…僕は今大事な時期なんだって。
迷惑なんだよこういう事されるとさ…。
あんたが死んだら奥さんやお子さんが悲しみますよ。
どうぞ。
彼が言った事は気になるな…。
江木の足取りがつかめていないって事だ。
大津では非常線が張られ車での移動は無理な状況だった。
駅の防犯カメラにも江木の姿は確認されていない。
江木は一体どうやって大津から逃走出来たのか…。
う〜ん…。
石嶺裁判官が殺された河川敷からして妙ですよね。
一本道だし釣り人が2人悲鳴を聞いて同時に駆けつけたのになんで現場から逃げる江木とすれ違わなかったのか…。
まあそれはそれとして江木が動くとしたら今日かもっすね。
ああ。
事件があった日だ…7年前の今日が。

(雨宮)ここから先は無理ですよ。
会社の中入ったら安全っすよね。
ここのセキュリティーは幽霊でもなきゃ入れないっしょ。
とりあえず朝メシ食いませんか?納豆定食でもありゃいいんだけどな〜。

(聡子)遅いんですよ…。
もう遅いんです。
何もかも遅すぎます…。
それが妙なんです。
それなのに2人とも江木らしき男とはすれ違っていないんです。
幽霊…。
どうしました?IC付きの社員証のない人間は入れない。
ええ。
でも入れる人間がいるとすれば…。
おお!雨宮。
お…おお…。
例のプロジェクト任されたそうじゃないか。
あ…ああ…。

(口笛)部長か…。
フフフフフ…。

(口笛)
(女性)ああーっ!これ以上の復讐は無駄です。
お母さん…。
お願いです!殺させてください!でないと…。
殺さなきゃならないんです!
(聡子)ああ…。
来ないで!来ないで!来ないで!ああっ!ああ…!江木はどこですか?
(泣き声)どこですか?江木は!ああーっ!
(泣き声)管理官!たった今江木の遺体を運び終えました。
洛仁会か?恐らく。
大津で我々に姿を見られたあと江木はいったん母親のところに戻ったんでしょう。
そこを洛仁会に見つかってしまったと…。
よし!俺がやったんだよ!俺がやったっつってんだよ!オラァ!おい!俺がやったんだよ!そうですか。
その江木って奴は死んだんですか…。
あんたもこのままでは済まへんで。
なあ。
近いうちに…来てもらうがな。
石嶺裁判官を殺したのはあなたですね。
裁判官官舎を見張り警備の目を盗んで官舎を抜け出した石嶺裁判官の後をつけたんですね。
そして…あの橋へ向かった石嶺裁判官を殺した。
(石嶺)うわ…!ああ…!ああーっ!現場の橋までの道は一本道でした。
石嶺裁判官の悲鳴を聞いた釣り人が2人ほぼ同時に左右の方向から駆けつけましたが江木らしき人間とはすれ違わなかったと言っている。
でもそれは江木らしき男と限っての事でした。
確認した結果2人は1人の女性とすれ違っていました。
橋に残った物証にはあなたのものも残っているはずです。
照合すればあそこにいるはずのないあなたの痕跡も発見される。
だがお母さん…あなたが手にかけたのは石嶺裁判官だけだった。
伊佐山刑事谷沢検事そして綾部弁護士を殺したのはあなたの息子江木雅史です。
(ノック)江木の遺体搬送しました。
息子さんがそばに来ました。
雅史…。
(雷鳴)
(刺す音)うっ!
(雷鳴)
(聡子)キャッ!ええっ!?ああ…うっ…!ううっ!雅史!母さん…。
しっかりして!待って!今救急車…。
俺もう…。
何言ってるの!馬鹿な事言わないで…しっかりしなさい!雅史!ごめんね母さん。
俺こんなで…。
何言ってんの雅史…。
あんたがそばにいてくれるだけで母さん幸せ…。
違うんだ…。
俺…。
ほんとの人殺しに…。
え…?殺したんだ…。
あの刑事も…あの弁護士…。
あの検事も…。
この手で…。
雅史…。
と…父さんや母さん…姉ちゃんの人生がボロボロにされたのが許せなくて…。
だって…。
父さんがどうして死ななきゃなんないんだよ…。
姉ちゃんだって幸せになれたはずなのに…。
母さんだって…こんな生活しなくてよかったはずなのに…。
雅史…。
母さん…死にたくないよ…。
死にたくない…。
雅史しっかりして…。
しっかりして…!まだ死ねないんだ…。
あの裁判官…。
俺を見たって証言したあいつが…。
あの2人を殺すまで俺死ねないよ…。
死にたくない…死にたくない…。
死なない…。
母さん…。
死なない!死なない雅史!雅史は死なない!死んだりなんかしない!ねえ雅史は母さんの子なんだから絶対死んだりしない!死なせない!死なせない…。
ねえ。
母さん…。
ありがとう…。
死なない…。
死なせない。
ねえ…。
雅史は私の子なんだから絶対死んだりなんかさせない…。
ねえ…!死なせない!死なない…死なせない…。
あの子は死んでいません。
あの裁判官を刺した時そう感じたんです。
(石嶺)うわ…!
(聡子の声)あの時あの子は…生きていました。
あの子は私の中に…。
そもそも私のせいなんです。
あの子にはあの痣の事で随分つらい思いをさせてしまったんです。
(ため息)だからあの子が思い残した事をかなえてやるのが母親としての務めなんです。
それが…たとえ殺人であろうとですか?はい。
それは違う。
何が違うんですか?誰も…雅史の言う事を聞こうとしなかったのはなぜですか?無実の雅史がなぜ罪を背負わなければならないんですか。
それが警察や裁判官のする事なんですか?誰が…私たち家族の幸せを奪う権利があるんですか?答えてください!
(聡子)お天気もつといいわねえ。
(治史)うん。
あっもう出かけるの?うん。
デートだもん。
遅刻するわけにいかないじゃん。
ねえ。
もう姉ちゃん!えっ?何デートって…同じ会社の子とか?そうそうあのかわいい子。
もう行ってくる。
あっ!夕飯は?いらないわよね。
彼女と食べてくるって。
電話するよ。
いってきます。
いってらっしゃい。
教えてください…。
なぜですか?なぜあの子が…。
なぜ私たちが…。
ハア…。
江木…ほんとは誰かに復讐を止めてほしかったんじゃないですかね。
なんかそんな気がしちゃって。
そうかもしれないな…。
主任も江木に確かめたかったんじゃないですか?復讐の先に何があったのか…。
復讐をして何を得たのか…。
恐らく…何も得てないと思うよ。
そこには…得るべきものは何もないんだ。
ああ…。
ガキと母ちゃんの顔見たくなっちゃった。
ヘヘッ。
帰ります。
ああ…。
今度うちに遊びにきませんか?狭くてうるさいですけどたまにはにぎやかにメシ食うのもいいっしょ。
喜んで。
よくやった。
ご苦労さまでした。
江木の再捜査をよろしくお願いします。
わかってる。
うん頑張るよ。
ありがとうございました。
署名よろしくお願いします!再審支援にご協力よろしくお願いします!先行っててくれ。
はい。
署名よろしくお願いします!あなた…。
江木の再審支援のための署名運動ですか。
はい。
私には他にしてあげられる事はありませんから。
私もあの事件の再捜査をしています。
そうなんですか?しかし江木のお母さんも喜ぶでしょうね。
あなたが江木のためにこうして…。
会ってきました。
拘置所に行ってお母さんに。
喜んでくれました。
どうもありがとうって…。
そうですか。
やっとまた歩き出せたような気がします。
虹…。
ああ…。
きれいな色…。
じゃあ。
はい。
ありがとうございます。
2014/10/18(土) 14:15〜16:30
ABCテレビ1
ドラマスペシャル 灰色の虹[再][字]

主演・椎名桔平。次々に殺される弁護士、刑事、検事。連続殺人の裏側には、過去の事件が!「冤罪」と「復讐」をテーマに、豪華キャストでお送りする大型サスペンスドラマ。

詳細情報
◇番組内容
京都府警刑事・山名の目前で、同僚刑事が不可解な死を遂げた。この事件をきっかけに、検事、弁護士、裁判官が次々に殺されていく。彼らは全て、7年前のある殺人事件に関わった人物だった。7年前の事件は冤罪ではなかったのか?連続殺人は、冤罪によって全てを奪われた男による復讐なのか?
◇出演者
椎名桔平、塚本高史、吹越満、星野真里/寺島進、渡辺いっけい、神保悟志、大杉漣、高嶋政伸/伊武雅刀、風吹ジュン

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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日本語
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