くらし☆解説「なくせるの?危険ドラッグ」 2014.10.17

生字幕放送でお伝えします岩渕⇒こんにちは、10時5分です。
「くらしきらり解説」です。
きょうのテーマはこちらです。
担当は寒川由美子解説委員です。
寒川さん、この危険ドラッグへの対策、強化されてきているのになぜ、いまだになくならないんでしょうか。
寒川⇒残念ながら規制を免れる新たな危険ドラッグが、次々登場する、いたちごっこがまだ続いていること。
それから危険ドラッグは使ううちにやめられなくなる依存性がありますが気軽に手を出してその後、やめられなくなっている人が増えているといったことがあげられます。
だからなくならないんですね。
こちらを見てください。
危険ドラッグを使用したことによる、交通事故の件数です。
ことし7月に安倍総理大臣が各省庁を挙げて対策に取り組むよう指示をしてからむしろ増えているんです。
専門家は危険ドラッグを吸って事故を起こすケースは車で買いに行って、手に入れるとすぐに吸いたくなる依存症の表れだと指摘しています。
危険ドラッグによる事故に巻き込まれるおそれというのは今も身近にあるんですね。
本当に恐ろしいですね。
今月はじめには危険ドラッグによる交通事故に巻き込まれ、子どもを亡くした遺族たちが厚生労働大臣に規制強化を求めました。
消防署員だった長男を亡くした父親は息子は人の命を救いたいとレスキュー隊員を目指していました。
事故のニュースを見るたびになぜ分かってくれないんだとむなしくなると話をしていました。
それから小学5年生の娘を亡くした母親は危険ドラッグは娘だけでなく私たちの夢や希望も奪ってしまった。
世の中からなくなってほしいと訴えていました。
遺族の方の切実な願いというのは伝わってきますが、でもこの状況というのは対策の効果は上がっていないんでしょうか。
効果が上がっていないというわけではないんですね。
ただ今やっている対策というのは病気に例えますと発熱やせきといった症状を抑える対症療法ばかりでそれには一定の効果はあるんですけれども、本当は病気にならない予防それに病気を治すという根本的な治療がもっと大事なんです。
しかしそれには程遠いと感じます。
この対症療法と予防と治療具体的にはどういうことなんでしょうか。
まず対症療法的な取り組みから見ていきます。
1つはさまざまな法令を駆使した取り締まりです。
国の指示を受けて各地で進められているんですが例えば事故を起こした運転手に危険ドラッグを売った仙台市の販売店が家宅捜索されました。
こうした疑いでの捜索は初めてです。
それから徳島県では自宅で危険ドラッグを持っていた男に対し事故は起こしていないんですけれども、運転免許停止の措置がとられました。
これも全国初です。
それから体に影響がある成分が含まれる危険ドラッグを医薬品と見なし、無許可で販売したとして店の経営者が逮捕されました。
さらに消費者庁ではインターネットでの販売業者に対し、表示の中身が違うという理由で、改善指示を出しました。
消費者庁でも動いているわけですね。
本当にいろんな手を打っているわけですね。
今ある法令を使ってもあの手この手の対策で、なんとか封じ込めようということなんです。
一方で今最も力を入れているのが販売店対策です。
覚醒剤などと違って、街なかで公然と売られていることが安易に手出しをすることにつながっているからなんです。
厚生労働省は危険ドラッグの販売店に対して、相次いで立ち入り検査を行っています。
また警察も摘発を進めています。
その結果ことし7月には27の都道府県に210店舗あった危険ドラッグ店ですが廃業したり摘発を受けたりして先月には東京や大阪を中心に黄色で示した自治体で店が減少して全国では122店と半分近くに減ったんです。
一定の効果は上がっているんですね。
販売店に対する取り組みということでは、インターネットによる販売対策も必要です。
インターネットで入手する人も多いですね。
厚生労働省や警察は、海外も含めたプロバイダーに対して危険ドラッグを販売するサイトを削除するように要請しています。
厚生労働省が8月に、69のサイトについて削除要請を行った結果35のサイトが閉鎖するなど販売をやめました。
ところが9月には83のサイトがまた別の種類の危険ドラッグを販売していました。
これも削除要請の結果、65が閉鎖するなどしたんですがこのように新たな種類が次々と登場するいたちごっこを繰り返していては危険ドラッグはなくなりません。
そうですね。
でもこれはどうしていったらいいんでしょうか?対症療法と同時に予防と治療を進めることが大切です。
予防としてまず考えられますのは水際対策です。
危険ドラッグの原料となる薬物は中国など海外で作られているんですが国際郵便などで少量ずつ入ってくるため取り締まるのが難しいのが実情です。
今、水際対策として税関や警察、厚生労働省の麻薬取締部それに海上保安庁が地方レベルでも、情報共有を行ってきています。
実際に税関の情報をもとに警察などが危険ドラッグの密輸を摘発したケースもあります。
ここで食い止めたわけですね。
供給を断たないかぎり出回り続けるということを考えますと覚醒剤と同レベルの取り締まりを作るなど、ここに力を入れてほしいと思います。
供給を断つことが大切ですね。
その意味では抜本的な制度の見直しというのも考えてほしいと思います。
今の国会に野党は危険ドラッグを規制する法律の改正案を提出しました。
危険ドラッグを分析して成分を特定するのには時間がかかるのでそこまでせずに体に影響を与える毒性があると分かれば規制するというものです。
ただ専門家からは成分を特定しなければ、例えばパッケージを変えて売られてしまうと同じものかどうか分からない、結局すべての製品の毒性を調べることになってしまうという指摘もあります。
一方、与党内ではインターネットでの販売対策としてネット上での広告禁止さらには毒性調査も省いた規制ができないかといった検討が始まっています。
時間を短縮したいということですね。
今頃になってとか、本当にそんなことができるのか、といった指摘もあるかと思いますが何よりも一歩でも前進するということが大事だと思います。
ここは供給を断ち切るために罰則を引き上げるといったことも含めて、実効性のある制度作りのために知恵を出し合ってほしいと思います。
こうした予防とともに大切な治療のほうにはどのような取り組みが必要なんでしょうか?使ううちにやめられなくなる依存症の対策が急がれます。
先ほども言いましたが、販売店が減った結果、新たに手出しをする人は減っている一方で、すでにやめられなくなった依存症の人が増えていると見られるからなんです。
依存症の人が減らないかぎり需要はなくならない需要がなくならないと供給もなくならないということで悪循環に陥ってしまうんですね。
本当にこれはなんとかしていかなければならないですね。
ただ薬物の依存症の治療ができる病院や民間施設というのは限られているんです。
そこで国は依存症の治療に効果があるといわれるプログラムを全国69の精神保健福祉センターすべてで来年度から導入したいとしています。
ただ依存症の人、本人が希望しなくてはプログラムを受けさせることはできません。
ですから危険ドラッグを吸って倒れて病院に運ばれた人警察に摘発された人などに治療を受けさせるためには医療機関や警察保護観察所などが情報を共有し連携することが必要になってくると思います。
そして本当の意味での抜本的な対策は私たち自身が子どもたちに危険ドラッグの危険性を教えて危険ドラッグを許さないという社会をつくっていくことだと思います。
危険ドラッグによる事故に巻き込まれて亡くなった人たちの無念や遺族の思いを無にしないためにも、一刻も早く危険ドラッグのない社会つくりを目指したいと思います。
2014/10/17(金) 10:05〜10:15
NHK総合1・神戸
くらし☆解説「なくせるの?危険ドラッグ」[字]

NHK解説委員…寒川由美子,【司会】岩渕梢

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【出演】NHK解説委員…寒川由美子,【司会】岩渕梢

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