・
(車のクラクション)
(亀山薫)右京さん…ですよね?
(杉下右京)ああ…亀山君ですね。
傷だらけですねぇ…。
何ででしょう…?それを今ずっと考えてたところなんです…。
(奥寺美和子)仲瀬古監督。
この作品は今や社会問題を引き起こしています。
(仲瀬古永次)なんだ君も同じか。
(美和子)『チャイルドハンタ』ーが子どもたちに与えた影響をどうお考えなのかお話をお聞かせいただきたいのですが。
(仲瀬古)どうした電飾?
(猪野大)あすみません。
ちょっと忘れ物しまして。
監督。
質問にお答えいただきたいのですが。
君さ映画ちゃんと観た?
(美和子)見ました。
感想は?
(美和子)…怖いと思いました。
いい感想だ。
特にインターネットの使い方が。
ネットで知り合った子どもらが顔も名前もわからない相手を鬼ごっこのターゲットにするってやつかい?しかも見つけたら殺していいなんて…。
そういうゲームの話なんだよ。
架空のね。
その映画の公開後子どもがネット仲間に襲われるという事件が3件も続いてるんですよ。
だから?だから…?それを予測して表現の自由を捨てるべきだったと?表現する者の責任はお考えにならなかったのでしょうか?ああ私がやります。
(須磨玲子)お願いします。
どうぞ。
どうも。
監督も。
(仲瀬古)アチッ…!!コラッ電飾ッ!!
(猪野)すみません監督!もう猪野さんったら…。
(玲子)ここいいですから。
まだ作業残ってるんでしょ。
いいから仕事に戻れ。
幕張ロケの飾り込み急ぎだぞ。
じゃあ…。
どうもすみませんでした。
すみません。
それでですね…。
(仲瀬古)何だっけ?
(美和子)ですから監督の映画の暴力描写が今回の事件に…。
そりゃ観る側の問題だろ。
(美和子)親や社会のせいだと?少なくともたった1本の映画よりはその責任のほうが大きいんじゃないのかね。
私はねこの映画を親子で観てほしいとさえ思ってる。
(玲子)やだ停電?
(美和子)懐中電灯なんか…。
(玲子)今すぐブレーカー上げますから。
監督…。
(美和子)仲瀬古監督…?監督…?最近…映画観ましたか?いいえ。
(伊丹刑事)ちょーっと待ったあ!なんで来たんだよ?車だよっ!…どっから連絡受けた?はーいはいはい!こっからです。
いけませんでした?なんでお前のところに連絡が行くんだよっ!?彼女の同居人ですから。
(三浦刑事)あなたはどうして?同居人の上司ですから。
でどういう状況だったんだ?それはもう聞いたよバーカッ!!うっせえなあもう…!おうどうも。
(米沢鑑識官)どうも。
で?突然暗くなって明るくなったら死んでたのよ…!全然わかんねえよ!突然暗くなった…。
あの停電があったんですよ。
なるほど。
停電の時間は?…わからないです。
(仲瀬古)「この映画を親子で観てほしいとさえ思っている」
(玲子)「やだ停電?」
(美和子)「懐中電灯なんか…」
(玲子)「今すぐブレーカー上げますから」ここで電気が点きました。
ちょうど10秒だな。
10秒間の停電か…。
って…まだいたのかよっ!?おい死体に外傷はなかったよな?
(伊丹)ってことは病死か。
簡単に決めんな!うるさいよっ!!お前なとっとと帰ってくれよ!お前が帰れ!何で俺が帰るんだよっ!?あのー…監察医の先生の検視結果なんですけど…。
窒息死だそうです。
(薫・伊丹)窒息死っ!?
(美和子)窒息死って…10秒の停電の間に?なんかボロボロですね…。
10秒間の…出来事ですか…。
(中園警視正)変じゃないか。
そんな状況で窒息死なんて。
死んだ仲瀬古監督の人間関係は?
(三浦)それも今…。
おい。
面白いことがわかった。
私が仲瀬古監督を恨んでいた…?息子さん…まだ入院中ですよね?ネットで知り合った友だちに襲われて。
大ヒットした映画『チャイルド・ハンター』の模倣犯だそうですね。
それじゃ仲瀬古監督を恨んでもムリはない。
確かに息子以外にも2人の子どもが被害に遭ってますしそれは…私も母親としてショックです。
そうでしょう。
その映画のせいであなたの息子さんは…。
映画のせいじゃありません!…私の息子を傷つけた犯人にはもう一度あの映画を観てほしいとさえ思ってます。
映画人としては優秀なお言葉ですがねぇ。
母親としてもそれが本心です!
(伊丹)本心は見えないからなあ。
ただハッキリしてるのは…あなたが監督の死亡現場にいた数少ない1人だっていうこと。
(三浦)えっ毒殺じゃない?毒物出なかったのか?
(米沢)ええ。
(薫)毒物検出されなかったみたいです。
だから病死として捜査打ち切りになるみたいですね。
(角田課長)おうっ!ヒマそうだね相変わらず。
突然の停電に驚いてショック死したんですかね?ショック死で窒息死の解剖所見が出ますか?そっか…。
でも窒息死する病気って何ですかね?心筋梗塞もしくは呼吸器系…。
いやつまり…。
ほんっとヒマでいいよね。
…死体が窒息死に見えればいいんですよね?見えれば?…右京さん?おヒマですか?あー忙しい忙しい…。
確か京都府警にお知り合いがいましたよね?一応…兄貴がいるけど。
(小松刑事)兄貴ィ!?1年前お風呂に入ってるときに窒息死したという奇妙な事件が京都であったと記憶してるんですがそのときの詳しいお話を訊いていただけませんか?できれば当時の捜査資料をファクスして…。
やだっ!兄貴に頼み事するのだけは絶対にイヤッ!なーんでですかぁ?課長のお兄さんでしょお?知らないよ!長男のくせに京都まで養子に行ったような奴!先日課長に依頼された下着泥棒の裏付け捜査ですが…。
あ〜!あれはものすっごく大変だったなあ〜!これっきりだよ!?恐れ入れます。
あ…本部長に連絡しないと…。
角田課長からファクスしてもらいましたよねぇ?課長にお礼言っておきました。
どうですか?読んでみてください。
入浴中に窒息死したそれですが…。
「電源の入ったドライヤーが湯船に落ちたことによる感電死」…。
つまり窒息死と感電死はそれほど判断が難しいということですよ。
「落雷などの直流電流を浴びた場合は皮膚に『電流班』という線状のアザが出るのですぐに感電死だと判断できる。
しかし家庭電気で使われている交流電流の場合はその電流班が出ないことが多いため検視の段階で誤認したものと思われる」…なるほど。
つまり仲瀬古監督は感電死の可能性もあります。
でも電気が止まってるのにどうやって感電するんですか?現場保存解かれてますね。
そのようですね。
やっぱ捜査病死ってことで打ち切りになったんですね。
なーんか…片づけられちゃってますね。
でもなあこういったもので感電死は…しませんよね?…配電盤ですか?これって各部屋ごとにあるものなんですか?各部屋ごとに電気代を請求するためらしいですよ。
へえ…。
あれっ?鑑識の現場写真…いつの間に…。
いいですか?どうぞ。
えーっと…冷蔵庫の上にコーヒーメーカーがあって…机の上にラジカセがあった…。
あこのイスの下にカーペットがありましたね。
変ですねぇ。
カーペットがないことが?いいえそうではなくて…。
この部屋は土足ですよね?ええ…。
土足の部屋になぜここだけカーペットなんでしょう?・
(玲子)捨てたってどういうことよっ!?
(佐竹)監督の私物はこっちで捨ててくれって奥さんが…。
あれはね私が監督にプレゼントしたものなのよ!そんなの知らないですよ!
(玲子)どこに捨てたのよ!?今朝撮影所の粗大ゴミ置き場に。
まっ…!信じらんないっ!あっ刑事さん。
あどうも。
あの人…監督が死んだとき一緒にいた人だよね?玲子さんです。
スクリプターの。
スクリプター?撮影の記録を取る人です。
何を怒っていたんですか?俺が監督の電気カーペットを捨てたって。
電気カーペット?ええ。
なんか玲子さんのプレゼントだったみたいです。
それ…このカーペットですか?そうこれです。
電気カーペットだったんだ…。
土足で歩き回る部屋に電気カーペットですか?監督足腰が冷えるからって。
ああお年でしたもんね。
もちろんこのカーペットの上では靴は脱いでましたけど。
つまりこれは亡くなった監督専用だった?ええこの席は監督の指定席でした。
指定席…ですか。
あの…このカーペットがどうかしたんですか?いえ別に…。
電気カーペットが気になってるみたいですね。
ええ気になっています。
監督はその上で死んだんですからね。
例の感電死ですか?いくらなんでも電気カーペットで感電死はないでしょう?例えわずかでも可能性があれば調べる。
捜査の基本ですよ亀山君。
行きますよ。
はいっ!あれ?ここに捨てたんですよね?電気カーペット。
しかしありませんねえ…。
スクリプターの玲子さんが持ってったんですかね?
(編集スタッフ)玲子さん?こちらにいると伺ったんですが。
まだ戻ってませんよ。
では今どちらに?さあ…スタジオのほうにいるんじゃないですか?忙しそうですね。
2日後に撮影が始まりますから。
えっ?監督亡くなったのに撮影するんですか?ええチーフ助監督がメガホン取って。
仲瀬古監督の弔い合戦というわけですか。
今ここでさっきここ行って…こんなにありますよ!・
(スタッフ)電飾さん!
(スタッフ)電飾さん。
この延長タップ借りるよ。
困るよ〜!こっちで使うんだから。
電飾さんって変わった名前ですね。
いえ名前ではないと思いますよ。
電気関係の飾り付けをする人のことでしょう。
電…飾…ああ!こういうとこは職業で呼ぶんですねぇ。
仲瀬古監督のスタッフの方ですか?え?…ええ。
警察です。
スクリプターの須磨玲子さんを捜しているんですが。
玲子ちゃんを?…おーい!玲子ちゃんどこにいる?
(スタッフたち)いいえ知りませーん!
(猪野)…だそうです。
(スタッフ)準備できました!じゃ一度テストしてみっか。
常夜灯を消してくれ。
お?お?
(薫)おお〜キレイ〜!玲子ちゃんをどうして…?ちょっと電気カーペットのこと訊こうと思いまして。
電気カーペット?彼女が監督にプレゼントしたとか。
へぇそうなの。
お忙しいところどうも…。
電飾さん!
(猪野)あのー…監督は病死だって聞きましたけど?まだわからないんですよ。
ふーん…それじゃあ監督もなかなか成仏できませんねえ。
仲瀬古監督とは長いお付き合いで?30年ぐらいです。
30年ですか。
スクリプターさんもう帰っちゃったんですかね?やはり彼女が持って行ったんでしょうねえ。
その可能性はありますね。
あの少しよろしいでしょうか?
(清掃員)はい?どうも。
あそこに粗大ゴミ置き場がありますよね?外の人が入ってゴミを持って行くことは可能でしょうか?ムリでしょう〜。
一度守衛さんの前を通ってそれから撮影所に入らないとね。
なるほど。
ゴミの回収日は決まってるんですか?ええ。
粗大ゴミは…毎月第2第4の水曜日の朝。
第2第4水曜日…あっ今日じゃないですか。
ということは今日の朝はもう回収されたんですね?ええ。
スクリプターさんじゃなかったんですね。
それよりも前に業者に回収されたようですね。
それがどうかしたの?回収された粗大ゴミはどこへ行くのでしょう?収集センターよ!そこ…場所わかりますか?それで…粗大ゴミ受付センターに行った…?我々は…カーペットを追いかけていたんですよね…?あちらの倉庫です。
あっち?あっち?ありがとうございます。
それらしきカーペットないっすねえ。
そうですねえ…。
あ…あのトラックは何なんですかね?
(薫)よっと…!いやーないかぁ…。
あっ!…これじゃないですかね!?どうですかね?現場写真と同じような色ですね。
大きさも似てますよ。
あっ!…これビンゴじゃないですか?かもしれませんねぇ。
…あ。
すみません。
これあの電気カーペットですよ。
持って帰って調べてみましょう。
はい!ウッ…!右京さん?…右京さん!?ウッ!そっかあ…。
それで我々は一晩気を失っていたんでしょうねえ。
…にしてもなんでこんな所にいるんすかね?トラックで運ばれたんでしょう。
俺らをこんな目に遭わせた奴は?逃げたんですねえ…。
俺らが気絶してる間にですか?いえ…気絶した我々をトラックから落とした後に…。
ああ…。
なんか思い出したらだんだんハラたってきた…!クソッ…!とりあえず本部に連絡します。
…あれ?携帯電話ですか?僕もありません。
えっ?お金も盗られました。
金っ!?…クソォ!!すぐに通報されることを恐れたんでしょう。
逃走時間を稼ぐために?ええ。
交番か公衆電話探したほうがいいですね。
そうですね行きましょう。
行ってらっしゃい。
えっ…なんで俺ひとり?どうやら足をケガしたようです。
えっ…歩けないんですか?足手まといになりますから。
立てますか?いえ。
だから君が…。
さどうぞ。
…何のつもりですか?おんぶに決まってるじゃないですか!決まってません。
さ君ひとりで早く。
いいからどうぞ!よいしょっと…。
意外と軽いっすね右京さん。
こんなことになるなんて思いませんでした。
俺もっすよ。
こんな目に遭うなんて…。
君に背負われるときが来るなんて…。
それにしても…ここどこなんですかね?どこでしょう…?
(美和子)2人とも無断欠勤…!携帯はつながらないし…。
(宮部たまき)あそう。
(美和子)あそうって…。
気にならないんですか?右京さんのこと。
うんそうねえ。
そうねえって…。
右京さんいつもこうだったから。
だったらなおさら…。
そのたびにね「私のことは心配しないでください」って。
そんなこと言ったって…。
ムリよね。
ムリです。
そう言ったら…。
(美和子)何か言われたんですか?「私のことを思ってくれるならなるべく心配しないでください」って。
それから心配しないようにしたの。
…変わった夫婦だったんですね。
でも楽しかった。
ちょっと食べてみて。
どうも。
なのに…どうしてですか?
(たまき)楽しかったけど…。
楽しいだけじゃダメなんですか?
(たまき)夫婦はね。
…いただきます。
トラックの中でこんな目に遭うってことは…。
やはりあのカーペットに何かあるんでしょう。
電気カーペットで…感電死ですか?かもしれません。
しかし…家の一軒もねえなあ…!亀山君。
はい?海がキレイですよ〜。
いや見えないっすよ。
そうですか。
それは残念ですね。
…はいそれは残念です!はい?海がすごくキレイです!わかってますよ!…あれ?んもう…良かったですねえ!はいはい!海がものすごくキレイなんですね!いえ…あれ。
えっ?あ…。
すみません電話貸してください!
(警官)おっ何だ何だ?
(大木刑事)課長電話です。
特命係の2人から。
あの無断欠勤コンビっ…!どうも無断欠勤コンビです。
ちょっとヒザを打ってしまいましてね。
これからすぐ帰って事情は説明しますがとりあえず無事です。
ですから心配しないでください。
してないよっ!大体さ俺はお前らの課長じゃない…!切りやがった…!やはりまだいましたか。
えっ!?ちょちょっと…!これは…どうしたんですかこれ?それを知りたくてこちらへお邪魔したんです。
これ電気カーペットなんですが。
ああ例の…。
これで人を感電死させることはできますか?突然来ていきなりな質問ですね。
いつものことじゃないですか。
それはそうですけども。
この型の電気カーペットの場合サーモスタットを外して電気が流れる部分を露出させれば…。
感電死させるほどの電流が流れる可能性が…。
理論上は。
でもムリですねぇ。
それで感電死なんて…。
と言いますと?このカーペット表面のじゅうたん生地がかなり厚いんですよ。
電気抵抗ですか?そう。
表面に電流が流れてもじゅうたんが抵抗になってまあちょっとしびれる程度ですかね。
感電死するようなことはない。
この手のモノは2重3重にも安全策が取られてますから。
なるほど…。
どうやってもムリですか?そうですねえ…この手の生地の場合水に濡らせば電気抵抗は限りなくゼロに近づきますから。
では感電の細工をしたうえでカーペットを濡らせば…?ええ…でも濡れてればすぐに気づかれてしまいますよ。
気づかれますよねえ…。
イテッ…!!一体どこでどんなふうにしたらこんなになっちゃうワケ?だからいろいろあったんだよ!そのいろいろを訊いてるの。
だからいろいろ!あのね!こっちは心配して訊いてるんだよ?だから…!ゴミ処理場に行ったらスタンガンでバチッとやられてそのままトラックで運ばれてトラックから…なんて言うかな。
のちのちおんぶ…面倒くさいな。
心配しなくていいって!あっそう!薫ちゃんもそうなんだ!“も”って何なんだよ?わかったもう心配しないから!なんだよ…怒んなよぉ。
まだこれから仕事すんのか?もう俺寝るぞ?はいおやすみなさい。
なんかお前変だよ?とにかく…!私はもう心配しないから!
(美和子)「殺していいなんて…」
(仲瀬古)「そういうゲームの話なんだよ。
架空のね」おい…?これ死んだ監督のインタビューか?だから?インタビュー以外のことも録音したのか?別にこんなのテープをずっと回しっぱなしだから。
(テープの音声)
(猪野)「どうぞ」ん?どうぞって?コーヒーを出してもらったの。
(仲瀬古)「アチッ!」
(猪野)「すみません監督!」コーヒーをこぼしたんですね。
そうです。
こぼしたのは誰ですか?コーヒーを出してくれたスタッフの方です。
(猪野)「どうもすみませんでした」
(美和子)あっこの人だ。
ここでお前のインタビューはいったん止まったわけだな。
そうなのよ。
私の取材に追い詰められた監督を助けるためにわざとこぼしたとしか思えないのよね。
(テープを止める音)そのコーヒーなんですが…。
コーヒー?こぼしたやつですか?どういうふうにこぼれましたか?どういうふうにって…。
カーペットにもこぼれましたか?カーペット…。
あそういえばこぼれてました。
そうですか。
何かわかると思ったんだけどな…美和子のテープで。
ええ。
大変参考になりました。
えっ?電気カーペットにこぼれたコーヒーです。
電気抵抗…ですか?ええ…しかし我々がトラックの中で見たカーペットには…。
ああ…なかったですね。
コーヒーのシミなんか。
つまりトラックの中で確認した電気カーペットは…。
事件現場にあったものじゃない…。
そういうことになりますねえ。
じゃどこのカーペットだったんですか?さあ…どこのでしょう?第一なんでトラックから消えちゃったんですかね?もちろん我々を襲った犯人が持って行ったのでしょう。
そんなどこのカーペットだかわかんないものをなんで…?もし犯人が…我々と同じ勘違いをしたとしたら…?そうか…あれを監督のカーペットだと勘違いした。
監督の電気カーペットは撮影所のスタッフルーム粗大ゴミ置き場そして粗大ゴミ受付センターさらにトラックの順で旅をしたと思われます。
撮影所では監督のカーペットが確かにありました。
それが受付センターにはなかった。
しかも我々がトラックの中で見たものは…。
別のカーペットだった。
つまり…ここですり替わった可能性が高いですね。
監督のカーペットを誰かが持って行って代わりに誰かが別のカーペットを捨てたってことですね?しかも撮影所の中のゴミ置き場ですから撮影所に出入りする人しかそういうことは出来ません。
おばちゃん。
あら…また?2日前ここに電気カーペットが捨ててあったはずなんですがご存じないですか?電気カーペット…?それを持って行っちゃった奴がいるはずなんだよ。
…それで?心当たりはありませんか?あるけど…。
えっ?はい?間違いないっすね。
コーヒーのシミもありますね。
ちょっと…。
これをずっと捜してたんだよ。
捨ててあったのを拾っただけじゃない。
それが悪いの?いや悪くないけどね。
代わりにこの部屋にあった電気カーペットをゴミ置き場に捨てたんですね。
だってこっちのほうが新しかったんだもの!それが悪いの!?悪くないって。
もういいの?もういい。
どうもね。
亀山君。
どうしたんですか?これは…!電流を流す線が露出しています。
ええ!明らかに人の手によるものですねえ。
じゃあやっぱり仲瀬古監督は…殺された。
犯人はこの電気カーペットを必死で捜しているでしょう。
俺たちを襲ってまでこいつを奪いに来た奴ですからね。
それほどこれが見つかることを恐れていたんですよ。
問題はその犯人をどうやって突き止めるかですね?いえ…犯人はわかってます。
えっ?本気で言ってるんですかそんなこと!?はい。
なんで殺さなきゃならないんですか!?何本も作品をともにしてきた監督を!だからこそ…いろいろあったんじゃないでしょうか。
でも殺さなきゃならないようなことなんて…。
あなたの場合息子さんが襲われましたねえ。
監督とともに作った映画のせいでね。
私は職人としてあの映画に誇りを持っています…!だいたいあなたたちどういう証拠があってそんなことを…。
証拠はあります。
えっ…?どうもー。
またちょっといい?今日クランクインで忙しくて…。
今日から撮影始まってるんだ。
監督があんな事になったんで遅れましたけど…。
あの…。
…はい?1つお願いがあるんですが。
本番いくよー!よーい…ハイッ!はいカーット!
(佐竹)すみませーん!ちょっと待ってください!亡くなった仲瀬古監督がスタッフルームで使ってた電気カーペットなんですけど。
電気カーペット?そういえば監督冷え性の気があったよねえ。
それが捨てられてたので預かってると先ほど掃除のおばちゃんから連絡がありました。
でも死んだ監督のカーペットじゃねえ…。
一応仲瀬古監督の遺品ですので欲しい人は今日中に清掃事務所まで連絡してください。
お願いしまーす!猪野さん。
粗大ゴミは適正な方法で処分しないといけませんねえ。
それは先ほどあなたが掃除のおばさんから引き取った仲瀬古監督の電気カーペットですね。
ほら。
この写真と一緒。
やはりあなたでしたか…。
スクリプターの玲子さんには取りに来ないようお願いしておきましたから。
せっかくもらった監督の遺品をなぜ切り刻むのですか?これはコーヒーのシミですよね?あなたがこぼした。
(仲瀬古)「どうした電飾?」
(猪野)「あすみません。
ちょっと忘れ物をしまして」このカーペットに感電する細工をしたあなたはあの日忘れ物を取りに行くふりをしてカーペットのコンセントを抜きました。
そしてわざとコーヒーをこぼし…。
〔アチッ!!こら電飾!〕〔すみません監督!〕再びカーペットのコンセントを元に戻した…。
あとは監督が感電するのを待つだけです。
監督の体に大量の電流が流れれば停電しますからね。
その後あなたはカーペットを捨てようとしましたが…。
ところがひと足早くスタッフに捨てられてしまった。
たぶんあなたはそれで安心したはずです。
なのにどうして俺らを襲ったんですか?あんたたちがあのカーペットに目を付けてることを知って不安になって…。
〔ちょっと電気カーペットのことを訊こうと思いまして〕〔電気カーペット?〕
(猪野)あんたたちを尾つけました。
カーペットを見つけたのを知ってとっさにああするしか…。
〔ウッ!〕〔右京さん?…右京さん!?〕〔ウッ!〕
(車のエンジンがかかる音)しかしそこで突然トラックが動き出してしまった。
犯行の発覚を恐れたあなたは…。
まずトラックから私を落とした。
そして次のタイミングで今度は亀山君を…。
さらに自分も電気カーペットを抱えて飛び降りた。
(猪野)でも後でカーペットを見て驚きました…。
あなたが細工をした監督のカーぺットではなかった。
〔亡くなった監督が使ってた電気カーペットなんですけど…〕そんなときあなたはカーペットの持ち主を知りました。
それですぐ引き取りに行きました。
俺らの罠とも知らずにね。
しかしわかりません。
なぜそこまで仲瀬古監督を?あなたが何十年も一緒に仕事をしてきた監督でしょ?だからです。
だから?ひと月ほど前…。
(猪野)仲瀬古監督が本を出版したお祝いを監督と仕事する機会が多いスタッフ一同が集まり開きました。
〔せっかくだから監督にサインしてもらいましょう〕〔監督。
サインお願いします〕
(猪野)そこで監督にサインをもらおうということになって…。
〔ありがとうございます〕〔お願いします〕
(仲瀬古)〔おーチーフの吉野か〕
(仲瀬古)〔おー制作の今村〕〔頼むよ今村君〕
(猪野)もちろん私も監督にサインしてもらいました。
〔監督私にも名前入れてください〕
(仲瀬古)〔よしよし…〕
(猪野)でもそのとき仲瀬古監督が言ったんです…。
〔お前…名前何ていったっけ?〕〔いつも電飾って呼んでるんでね名前忘れちゃったんだよ〕〔やだ監督もう!ねえ!〕〔ま電飾でいいか〕
(スタッフたちの笑い声)名前を覚えていなかった…。
30年で15本です…それだけ監督に信頼されてると思ってました。
だからこそどんなムリな注文もきいてきました。
条件のいい作品を断って監督の作品についたことだって1度や2度じゃない。
女房を亡くした日だって…。
その日も私は監督の現場を離れなかった…。
誇りだったんですねえ…監督の作品をやることが。
でも監督は私のことなんて何とも思っていなかった…。
あの男にとって私はどうでもいい存在だったんだ…。
笑えるでしょう?30年も尽くしてきた監督に名前すら覚えてもらえなかったなんて…。
亀山君先ほどのテープを。
(美和子)「中でも優秀なスタッフを1人挙げるとしたら?」
(仲瀬古)「特に素晴らしいのは電飾だね」「えーと…名前何て言ったっけ?いつも電飾って呼んでるからな」「俺たちの間では名前なんかどうでもいいんだ」
(美和子)「どうでもいい?」あの日インタビューに答えた監督の最後の肉声です。
(仲瀬古)「ヒットした『チャイルド・ハンター』も俺の出世作の『戦友』も奴の電飾があったから成功したんだ」監督…!
(仲瀬古)「まあああいうのを『最後の活動屋』っていうんだろうな」…監督もあなたを誇りに思っていたようですね。
そんな…!あなたは自分の名前よりこの道何十年のその腕を信じるべきだったんですねえ。
監督が愛したあなたのその腕を…。
その腕を…私は人殺しに使ってしまった…!きれいな電飾ですねえ…。
2014/10/15(水) 16:00〜16:58
ABCテレビ1
[終]相棒 〜警視庁ふたりだけの特命係[再][字]
「最後の灯り」
詳細情報
◇出演者
水谷豊、寺脇康文 ほか
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32723(0x7FD3)
TransportStreamID:32723(0x7FD3)
ServiceID:2072(0x0818)
EventID:11667(0x2D93)