きょうの健康 漢方 もっと知りたい「認知症の行動・心理症状」 2014.10.14

(テーマ音楽)皆さんの毎日の健康に役立つ確かな情報をお伝えしましょう。
「きょうの健康」です。
今週はこちら。
今日は2日目です。
今日のテーマはこちら。
認知症に漢方が効果があるという事なんですね。
はい。
認知機能の低下を抑えるという事ではないんですが認知機能の低下に伴って起こってくる徘徊や興奮といった症状に効果があるという事が分かっているんですね。
どういう事でしょうか。
詳しく知りたいですね。
今日も専門家をお迎えしております。
分かりやすく教えて頂きましょう。
ご紹介致しましょう。
ご専門は精神科ですが日本東洋医学会の漢方専門医でさまざまな症状に対して漢方診療も行っていらっしゃいます。
今日はどうぞよろしくお願い致します。
よろしくお願い致します。
さて漢方薬が認知症の行動・心理症状に効果があるという事で今日はお話をして頂きますがそもそも行動・心理症状とはどういう事でございましょうか?まず認知症の症状というのは中核症状と行動・心理症状に分けられます。
行動・心理症状はBPSDとも呼ばれるものでありまして以前は周辺症状といわれていた症状でございます。
まず中核症状。
これは脳の認知機能そのものが低下する事で起こる症状の事です。
記憶障害は新しく経験した事を記憶にとどめる事が困難になる事。
見当識障害は場所や日時などが分からなくなる事。
判断力の低下は計画を立てたり順序立てたりといった物を考えるスピードが遅くなるといった状態を指します。
こうした認知症の中核症状の周辺にさまざまな症状が書いてありますがこれが行動・心理症状と呼ばれるものですね?そうです。
例えば抑うつ状態や興奮徘徊といったような症状がありますがこれらは中核症状に伴って本人がもともと持っている性格であるとかあるいはその人が生活している環境などが絡み合って起こる症状でして高齢者の認知症患者さんのおよそ80%に起こっているといわれております。
実はこのBPSDの症状こそがご本人だけではなく周囲の方にとっても生活の質を低下させたりして大きな悩みの種になったりしています。
そこで認知症への対処ではこうした症状をいかに抑えるかという事が治療の大きな目的になる訳です。
こうしたさまざまな症状。
介護への負担が大きいという事でございますね。
ただ認知症には原因によっていくつか種類がありますがどのタイプの認知症でも漢方薬というのは使えるんですか?漢方薬は病名ではなくて症状に対して処方するものですのでタイプには関係なく使う事ができます。
中でもアルツハイマー型認知症で起こるBPSDに漢方薬が効果がありまして10年ほど前からよく使われてきました。
10年ほど前から…。
はい。
更に最近ではレビー小体型認知症で起こる特徴的な症状例えば幻視ですとかうつ症状といったものにもよく効く事が分かってきました。
レビー小体型の特徴と言いましたが幻視というのはどういう症状ですか?文字どおり幻が見えるというふうに書くんですがレビー小体型認知症の場合にはその場にいないはずの小さなお子さんが見えたりするといったような幻視が多いようでございます。
それではお話を進めるにあたりましてまず認知症の治療の基本的な流れをご説明下さい。
認知症の治療の目的は進行を遅らせる事と症状を抑える事です。
進行を遅らせる治療というのは中核症状に対する治療になりますけれども抗認知症薬という種類の西洋薬での治療が中心となります。
また軽い認知症の方であればリハビリテーションなども併せて行う事があります。
では行動・心理症状BPSDに対してどんな治療が行われるんでしょうか?実は抗認知症薬にもある程度の症状を抑える効果がある事は知られているんですがBPSDを抑えるためにはまずケア。
これが最重要であります。
はい。
ポイントはどんなところですか?ポイントは環境の変化ですね。
あるいはストレスですとかあるいは不安感。
あるいは疎外感といったものが加わった結果このBPSDが起こる事が多いという事が知られてますのでそういったような要因を作らない事が大切になります。
例えば具体的な例で言うとどういう事になりましょうか?例えばもの忘れが多い事に対してつい怒ってしまいたくなるんですがそれは意味がありません。
忘れてしまう事を努力で治せるものではないという事です。
そうではなくて例えばメモを作って忘れても支障がないように工夫するとか「私が覚えておくから大丈夫ですよ」といったように支えてあげるという事。
こんな事を致します。
しかしそういったケアの工夫をさまざまにしましてもやはり症状はどうしても抑えきれないというケースは出てまいりましょうね?そうですね。
病状が進行して強いBPSDが生じるようになった場合にはケアだけでは対処が難しいというのが現実でございます。
そうした場合にはお薬なども使って頂く事が必要になります。
もちろん抗うつ薬や抗精神病薬といった西洋薬が使われる事もあるんですが副作用の問題などでなかなかよい薬が見つからないといったような事が今まではございました。
しかし最近では漢方薬が大きな副作用もなく効果もあるという事が分かってきまして注目されております。
それではどんな時に漢方薬が効果を見せるのかという事ですね。
こちらの例で見てみましょう。
80歳のAさんは毎朝ラジオ体操をしに近所の公園に行くのが日課でした。
ところが次第に家を出ても公園までたどりつけずに帰ってくる日々が続くようになりました。
そしてある日の事朝外出したまま行方不明になり翌日隣町で保護されたんです。
Aさんは病院でアルツハイマー型の認知症と診断され抗認知症薬での治療を開始しました。
しかし症状がかなり進んでいて徘徊は治まりません。
家にいさせようとするとじっとする事ができず興奮しやすくなっていきました。
家族も四六時中目が離せなくなり寝る時間も減って疲れがどんどんたまっていきました。
対処が徐々に難しくなっていくという事ですがAさんの治療の流れどうなっていったでしょう?では再びこちらでご覧下さい。
診断当初中等度まで認知症が進行していたAさん。
メマンチンという抗認知症薬で治療を行いました。
これは認知症の進行を遅らせると同時に興奮状態を抑えるのにも効果があるとされています。
しかしAさんの場合は徘徊や興奮しやすいという症状は十分には治まりませんでした。
そこで抑肝散という漢方薬を併用する事になりました。
すると漢方薬を使い始めて2週間後症状は和らぎ穏やかに過ごす事が多くなりました。
家族も睡眠時間を確保できるなどかなり負担が減って心の余裕が生まれたんです。
これは治療に非常によい循環が生まれたような例ですよね。
この抑肝散という漢方薬はどういう効果を示したのかご説明頂けますか?抑肝散は神経過敏で興奮しやすいイライラする眠れないといった精神神経症状に効果を持つお薬です。
アルツハイマー型やレビー小体型の認知症の幻覚や興奮攻撃性焦燥問題行動などに有効とされているお薬です。
メマンチンも興奮を抑える効果はあるんですがAさんのように症状が強く出てしまう場合には漢方薬を併せて使うと効果が高まります。
ただ漢方薬といいますと効果が出るにしても長く使っていく事で徐々に出てくるというイメージがございますがこの場合どうなんでしょうか?こちらのグラフをご覧下さい。
BPSDのある認知症患者さんに抑肝散を使ってその効果を示したものでございます。
縦軸は症状の強さを示していまして上に行くほど症状が強く出ている事を表しています。
抑肝散をのんでもらう前とのみ続けてもらった場合の経過を棒グラフで表したものですが不眠や無気力妄想といった心理的症状あるいは排泄物に触るといったような奇異な行動も2週間後4週間後と経過するほどに効果が得られたという事が分かりました。
2週後4週後はっきりどの症状にも効果が見えてますよね。
こうしたBPSD行動・心理症状に効く漢方薬というのは抑肝散以外にもございますか?はい。
抑肝散とほぼ同じ効果で抑肝散加陳皮半夏というお薬を使う事もあります。
こちらをご覧下さい。
抑肝散は……という7つの生薬から構成されているお薬です。
この中で川釣藤鈎それから当帰柴胡甘草この5つの生薬には鎮静鎮痛作用があります。
そして茯苓と蒼朮には甘草と一緒になって弱った胃腸の働きを改善する効果があります。
これが抑肝散ですね。
そうですね。
抑肝散はもともとお子さんの夜泣きであるとかあるいは疳の虫と呼ばれるものに使われたりあるいはお母さんのイライラを治めるために使われていたお薬であります。
そしてこちら。
抑肝散加陳皮半夏というのは先ほど説明致しました抑肝散に陳皮…ご覧になると分かりますようにミカンの皮ですがそれと半夏という生薬を加えたものです。
この加えた2つの生薬というのはどちらも吐き気止めの効果がありまして胃腸の弱い人に向いているお薬という事になります。
こうした漢方薬には大きな副作用がないという事から注目されているという事でしたが何か注意点はないんでしょうか?大きな副作用はないんですが抑肝散に含まれている甘草という生薬は低カリウム血症による血圧の上昇でありますとかむくみを起こす可能性がある事が知られております。
ほかの病気などで医療機関にかかっている場合にはどのような薬を使っているのかをきちんと伝えて下さい。
Aさんの場合はこの抑肝散をのみ始めてから大体2週間くらいで症状が改善してきたという事でしたがその後も薬というのは続ける事になるんでしょうか?進行を遅らせるための西洋薬も症状を抑えるための漢方薬も基本的にはずっとのんで頂くというのがよろしいかと思うんですが漢方薬の方は落ち着いている状態が続くようであれば回数を減らして頂いたりとかあるいは中止してみるという事もあります。
しかしこれは自己判断で行わずに必ず主治医の先生の指示に従って行って下さい。
そして抑肝散が効きにくいという場合があると思いますがそのような場合にも抑肝散以外にもいくつかの漢方薬の選択肢はありますのでこれも主治医に相談をしてみて下さい。
今日お話で教えて頂いたように漢方を使う事で認知症の行動・心理症状さまざまな症状がありますが抑えられるという事になりますと使用を検討したいですよね。
是非使ってみたいですね。
そうですね。
介護者の負担も大きく減らす事ができますしそれによって介護者にもゆとりが出来てより患者さんに寄り添ったケアというのができるようになります。
そうしますと症状の緩和にもつながります。
ですから患者さんご本人のためにも介護者のためにも漢方薬を上手に取り入れて治療に取り組んで頂ければと思います。
漢方にこうした大きな効果があるんだという事を知っておきたいですよね。
介護の負担も減らせる事につながるかもしれませんね。
今日のお話どうもありがとうございました。
(2人)ありがとうございました。
2014/10/14(火) 13:35〜13:50
NHKEテレ1大阪
きょうの健康 漢方 もっと知りたい「認知症の行動・心理症状」[解][字]

抑うつ状態、興奮、はいかいなど介護者を悩ませる認知症の行動・心理症状の軽減に、漢方薬が効果的であることが分かった。代表的な漢方薬は抑肝散。西洋薬との併用も可能。

詳細情報
番組内容
抑うつ状態、興奮、はいかいなど介護者を悩ませる認知症の行動・心理症状(BPSD)。症状が重く出る場合は西洋薬の抗認知症薬とあわせて睡眠薬や抗うつ薬を使うことがあるが、副作用の心配があるため慎重に使わなければならない。そんな中、漢方薬の抑肝散が症状軽減に効果があり、また大きな副作用の心配もないことが分かってきた。最近ではBPSDに漢方薬が選択されることが増えている。抑肝散以外の選択肢も広がっている。
出演者
【講師】東京女子医科大学教授…山田和男,【キャスター】濱中博久,久田直子

ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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日本語(解説)
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