生字幕放送でお伝えします岩渕⇒こんにちは、10時5分になりました。
「くらしきらり解説」です。
きょうのテーマはこちらです。
太陽光や風力発電など環境に優しい再生可能エネルギー。
発電された電気は、電力会社が買い取ることになっていますが今、買い取りを中断する動きが相次いでいます。
いったいどうしてなんでしょうか、担当は土屋敏之解説委員です。
土屋さん、買い取り中断というのは、そもそもどういうことなんでしょうか。
土屋⇒これは、まずおととし経済産業省が始めました固定価格買取制度というものなんですけれども、再生可能エネルギーを拡大するために各国が導入しているものです。
どういう内容かというと、私たち一般家庭や事業者が、再生可能エネルギーで発電した電気を電力会社に高めの価格で買い取るように義務づけているものです。
この価格分は電気代に上乗せされる形になっています。
今だと大体、一般の標準家庭で200円ぐらい上乗せされている感じです。
私たちが負担しているんですね。
はい。
ところがこれで買い取ることになっていた電力会社の動きですが、先月の25日にまず九州電力、今月の1日からは四国東北、北海道の各電力会社新しく買い取ってほしいという受け付けに対して保留。
申し込み、買い取りを中断しているというんです。
現在、新規に発電している事業者は対象外ですし、新しいものでも私たちが家の屋根に載せるような小規模のようなものは対象外になっています。
家庭でやろうとしている人は心配ないですね。
はい、この各社だけでなく東京電力や関西電力も地域によっては、一部、買い取りを制限しているし、沖縄電力も中断に近い制限をしています。
電力10社の大半が何らかの形で、買い取りに制限をかけているという状況なんです。
どうしてこういうことになったんですか。
簡単にいうと太陽光発電の量が増えすぎたとしているんです。
九州電力の例です。
国の設備認定を受けている太陽光や風力。
このほとんどが太陽光ですけれども供給可能とされている量がすでに夏のピーク電力需要の量を超えているとしているんです。
そして四国や東北、北海道でもやはり太陽光が増えすぎる可能性があるとしているんです。
必要な電力が太陽光で全部賄えるくらいの量になっているということなんですね。
本当に、そんなに増えているんですか。
ちょっと意外な感じがしますよね。
この量は実は、からくりがあってうのみにはできないんです。
こちらの図を見てください。
九州電力に昨年度、買い取ってほしいという申し込みがあった量です。
去年の4月からことしの2月までで合計349万kW。
ところが3月だけで、これにほぼ匹敵するほどの量がいわば駆け込み申請があって一気に増えたというのが実情です。
どうして3月が急にこんなに増えたんですか。
不思議ですよね、これは制度の問題があります。
再生可能エネルギー事業をやろうと思うと設備の認定を国に受けてそして電力会社に申し込みを送ると、その時点で固定価格が決まるんです。
ですので、これで20年間太陽光の大きなものですと同じ価格でずっと買い続けてもらえるということが決まるんです。
20年間もですか。
そうです。
業者側にどんどん参入してほしいということで収益の見通しを立てやすい制度になっていますが、この価格が4月以降の申し込み分については引き下げられることが決まっていたんです。
それだったら高く買い取ってくれる3月までに、なんとか申し込みたいと思いますよね。
はい、ところが設備認定も電力会社の申し込みも書類で済むので、中には実際、これで、すぐ発電できないような計画も少なくないんです。
中には以前、大規模な発電所を作りますと言って認定を受けておきながら土地の所有者とちゃんと話をしていなかったというケースもあります。
書類で申し込んだだけということなんですね。
確保しようということです。
実際今の時点で設備認定を受けたうち発電している量は1、2割にとどまっているんです。
先ほど電力会社が多くなりすぎるといった量というのは、主にこの設備認定の量なので実際にこれだけの電力がすぐに再生可能エネルギーで発電されるとは言えませんしそもそもそうすると今、買い取りを中断する必要があるのかという批判もあります。
本当は再生可能エネルギーは多くならないかもしれないということなんですね。
可能性があります。
これからどうなりますか。
経済産業省の委員会ではあさっての16日から専門家による作業部会を作って電力会社が本当はどれだけ受け入れ可能なのか、その量を増やしていくためにはどうすればいいのかということを検討します。
さらにこの結果は年内には、買い取りの再開などの形で、めどをつけたいとしていますがそれだけでは済みません。
制度自体も見直す必要があるとしています。
というのは買い取り価格が決まるのは申し込んだ時点というのが今回の混乱の背景にあります。
実際、発電時期を始めたときに決めるというようなことにすれば少なくとも書類だけ出すということがなくなります。
ちゃんとした事業が増えていくかもしれません。
そうすれば解決しますか。
実はこれだけでは解決とはいかないんですね。
というのは再生可能エネルギーが簡単に増えていけばいいかというと、そうとも言えないです。
太陽光エネルギーが増えればいいと思っていました。
実は太陽光や風力は天候などによって発電量が大きく変わります。
その割合が高くなりすぎるとそのまま送電線に流した場合、電力が変動しすぎて停電したりするおそれがあるんです。
安定しないからなんですね。
現在は電力会社側が火力発電の量を抑えるなどして調整していますが今後、再生可能エネルギーをさらに増やしていくためには、もっと電力を安定化させる設備の導入が必要だと指摘されているんです。
どういう方法がありますか。
いくつかありますが、まず分かりやすいものとしては送電網の拡充です。
これは北海道や九州のように太陽光発電がどんどん増えている地域と大消費地の関西と東京を結ぶということです。
日本全体で吸収するというようなことですね。
少し行われていますが、まだまだ不十分です。
もう1つ、根本的な解決策としては大規模な蓄電池のシステムの整備です。
電気をためる蓄電池ですか。
はい。
太陽光発電が増減しても多いときには電池でためて少ないときに出すようにすれば安定しますよね。
実際、今、すでにアメリカのカリフォルニア州では電力会社に対して原発1基分を超えるほどの大容量の蓄電池を設置しなさいと法律で義務づけています。
これによって2020年にはカリフォルニアでは再生可能エネルギーを電力の3分の1まで増やすとしていますが、それで安定できるとしています。
日本でもようやく実証実験が始まろうとしています。
北海道や東北に大きな蓄電池を行って電力を安定化させるということが2年後から始まるという計画です。
蓄電池は大規模にできるものなんですね。
実は近年、技術革新がすごいペースで進んでいます。
実証事業で使われる電池の1つがレドックスフロー電池という大きなタンクのようなものです。
これは2つの液体タンクにプラスとマイナスの電気を分けて蓄えるという従来の蓄電池と全く違う原理を使っています。
電気をロスせずに何年でもためられるという特徴があります。
しかもタンクを増設することで簡単に大容量化もできるということで世界的にも注目されています。
そうなってくると今後、電気代とか果たしてどうなるんでしょうか。
先ほど電力会社が、再生可能エネルギーが増えすぎているとした設備の認定量をあれが今後いずれすべて稼働すると日本の電力全体の20%が、再生可能エネルギーになるという見込みですがこのとき家計の負担として電力に上乗せされる料金がさらに700円ぐらい増えるとされているんです。
これをどのぐらい高いとみるのかこれは技術革新などによって値段は変わってくると思いますがどのように負担していくかということも議論が必要になってきます。
一方で今、再生可能エネルギーというのは地球温暖化対策でますます重要になっています。
そうした中で今、電力会社や国が想定していたよりも速いペースで太陽光が増えてきたがゆえに今回の混乱が起きました。
このペースに負けないように先ほどのような電力の安定化していくシステムの導入も進めていく必要があると思います。
土屋敏之解説委員でした。
次回のテーマです。
安倍首相が年内に判断するとしている消費税率10%への引き上げ問題を国民が、どう受け止めているか島田敏男解説委員の担当です。
ぜひ、ご覧ください。
2014/10/14(火) 10:05〜10:15
NHK総合1・神戸
くらし☆解説「どうなる?再生可能エネルギー」[字]
NHK解説委員…土屋敏之,【司会】岩渕梢
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出演者
【出演】NHK解説委員…土屋敏之,【司会】岩渕梢
ジャンル :
ニュース/報道 – 解説
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
情報/ワイドショー – 健康・医療
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