『未来世紀ジパング』今回は第2のドバイとも呼ばれ始めた知られざるバブル沸騰の国に迫ります。
さぁ今回取り上げるのはですねこちら。
ヨーロッパとアジアの分岐点に位置するアゼルバイジャンなんですがアゼルバイジャンと言ってピンときます?正直まったくこないです。
ねぇピンとこないジャンっていう感じが…。
池上さんが!これからはですねなかなか日本の4分の1くらい…。
このアゼルバイジャンという国の名前なんですがどんな意味かといいますとアゼルは火バイジャンは国。
つまり火の国。
この国が今この名前のとおり
アゼルバイジャンの首都バクーでひときわ目立つのがこの3つのタワー。
夜になると炎が現れる。
外壁がLEDの映像装置になっているのだ
更に今度は国旗を振る人が。
なんとも派手な演出
街並みはまるでヨーロッパのよう
国民の9割がイスラム教徒だが開放的な雰囲気。
女性たちのファッションも自由だ
そんなアゼルバイジャンで今
それはカスピ海に78の人工島を浮かべ100万人が住む巨大都市を建設しようというもの
世界でも類を見ない計画だ
その建設現場に1台の車が現れた
降り立ったこの男こそそのプロジェクトを取りしきるバクーの不動産王
挨拶はいきなり
腕にはスイスの高級時計
更に
そんなイブラヒモフさんが描く世界一の構想とは
指し示した先はカスピ海
ここに189階建て高さ1,000メートルを超えるアゼルバイジャンタワーを建設。
巨大人工都市のシンボルにしようというのだ
あのドバイを超える世界一のタワーができると現地は早くも沸騰
各国からの投資が続々と集まっている
そのすぐ横に最近完成したものがあった。
巨大なゲートいったいここは
イブラヒモフさんの自宅だ敷地はなんと
そこにさっそうと現れたのは青いポルシェ
息子にとって初めてのマイカー
プレゼントは車だけではなかった
果たしてそんな大富豪の暮らしとは。
お願いするとひと部屋だけ見せてもらえた。
実はここ食事をとるためだけの部屋だという
毎朝家族揃って朝ごはんがイブラヒモフ家のしきたり
高級食材
パンの上にこれでもかというほどたっぷり
そんなバクーには
それがこの建物だ
なにやら歴史ある風情の外観なのにケンタッキーフライドチキンという一風変わった建物
1階2階を合わせて300席。
明るくきれいな店内は人気の観光スポットになっている。
若い女性たちにも大好評
世界の高級ブランドが今続々と進出しているバクー
2年後にバクーでF1レースの開催が決定。
スポーツカーへの興味が高まっているのだ
国旗が入った特別仕様。
6,200万円がすでに2台も売れている。
そしてこんなところも沸騰中。
銀行の定期預金の金利は20%オーバー。
なんと日本の100倍
更に沸騰する日本のあるものが…
空手だ。
空手は現在アゼルバイジャンで最も人気の格闘技。
国際大会での活躍も目覚ましい。
しかしかつては練習すらできない時期もあったという
その実力は?
師範代のげきが飛んだ。
木製バットに4人がかり
知られざる日本とのつながり。
本格的な日本庭園も
記念撮影の定番スポットになっているほど。
実は今のアリエフ大統領は大の親日家。
友好の証しだった
無償で支援を続ける知られざる1人の日本人がいた
さぁ今回のアゼルバイジャンを読み解いていくためのキーワードお願いします。
今回の沸騰キーワードはこちらです。
今回は火の国ということで…。
あえて復活の…。
「火」といいますと実はですねこの地域紀元前に広まっていた宗教ゾロアスター教なんですよ。
ゾロアスター教拝火教とも言ってですね火を拝む宗教なんですね。
その火が今まさに燃え盛りつつあるということでまずはここに燃え盛る火がつきます。
沸騰中の経済です。
海外からのアゼルバイジャンへの直接投資額なんですけれどもこの2009年のときに比べまして現在は2倍以上になっているんですね。
沸騰するアゼルバイジャンの首都バクーにその秘密があるんですがバクーという名前は高橋さんはご存じですよね?当然ね。
教科書にも載ってたんじゃないですか。
そうですねこちら。
20世紀の初めバクーはまさにゴールドラッシュならぬオイルラッシュに沸いていました。
こんなことをやってたんですね。
さぁそしてこちらが当時のバクーの街並みです。
ヨーロッパ各地から一攫千金を夢見た人たちが集まりましてホテルや鉄道など建設ラッシュだったんですね。
すごいな。
そして第二次世界大戦中のナチスドイツヒトラーです。
当時ソ連のエネルギー源となっていたバクー油田に目をつけたんですね。
さぁそしてこのヒトラーいいですか?今ここに何が出てきたかといいますとこれカスピ海に見立てたケーキなんですよ。
この原油の出るケーキを切り分けている。
つまりここをぶんどりたいというのがヒトラーの野望だった。
ほらご覧ください。
BAKUと書かれてるでしょ?しかしソ連に負けてしまって野望は叶いませんでした。
それほど注目を集めていたバクー油田なんですが石油産業が急速に衰退。
街もさびれてしまったんです。
そこなんですよね。
その復活の秘密それがこちら海底油田の開発に成功した。
カスピ海油田ということになるんですね。
もうおしまいって感じになっていたそれが…。
首都バクーから車で6時間。
ナフタランという街の入り口でこんな看板を見つけた
奇跡の風呂と呼ばれる場所を訪ねた。
すると朝から順番待ち。
かなり盛況のようだ
アゼルバイジャンに古くから伝わる奇跡の風呂とは。
順番待ちの列が出来ていた。
早速中を見せてもらう。
と若い女性が
肌によく病気も治るというこの風呂
成分はいったい何なのか?
実はこれこのナフタラン地方で湧き出る特殊な原油。
マルコ・ポーロの時代から
奇跡の風呂と呼ばれてきた
そうアゼルバイジャンは原油の国
神は再び恵みを与えた。
その舞台はカスピ海
バクーから100キロ見えてきたのは油田ターミナル。
そこには街も。
取材班はそこから更に沖合へ。
これまでカメラを拒み続けてきたカスピ海最大の海底油田だ。
アゼルバイジャン沸騰現場の最前線に
ここがアゼルバイジャンの原油の7割を産出しているACG油田。
オイルメジャーのひとつイギリスのBPが運営している
原油の採掘とはどのように行われているのか?まずはその現場を見せてもらった
アゼルバイジャンを救ったカスピ海の油田。
しかもそこからとれる原油は特別なものだった。
品質が圧倒的に高いのだ
他の地域でとれる原油よりも高値で取り引きされている。
そして案内されたのは
いったい何があるというのか
ここでは原油をくみ上げながら
まるでゲームをしているようだがここが掘削現場の心臓部
見えない地中の形状までも考慮し細心の注意を払って行うドリル掘削。
掘り当てるまでに半年以上もかかるという
人気の職業だ
そして最後に向かったのは再び洋上。
そこには驚きの光景が
次々と建つ掘削基地。
これがアゼルバイジャンの未来を担う生命線だ
アゼルバイジャンの生命線はカスピ海だけではなかった。
軍事施設のように厳重な警備をしているこの施設。
奥に何があるのか?
そこは
そこに日本人の姿が
その成長を支えるのがこれパイプラインだ
アゼルバイジャンもう一つの生命線巨大なパイプが地中へ
パイプラインが持つちょっとこちら見てください。
そのパイプラインが出来ました。
BはアゼルバイジャンのバクーのBですね。
そしてTはですねグルジアを通るもんですからグルジアの首都トビリシのT。
そしてCは目的地であるトルコのジェイハン。
これトルコ語でアルファベットのCの部分ジェと発音するもんですからジェイハンというわけですね。
ここで皆さんに問題です。
世界的な大論争それがカスピ海は海なのか湖なのか?答えの先に驚きの事実も
そうですよね。
しょっぱくないから…そうか。
塩湖ってありますもんね。
ありますよね。
正解はない?どういうことかと言いますと湖と海の違い国土地理院に聞いてみたんですね。
そしたら…。
そうすると不忍池もそうですよね。
みんながそう呼ぶようになれば。
だってほら浜名湖って見てください。
浜名湖って湖でしょ?でもあれ海につながってますでしょ?潮水でしょ?潮の満ち引きがあるでしょ?そうか。
更にですね湖や川などを研究している日本最大の学会が編集した『陸水の辞典』というのがありましてねそこを見るとですね湖とはこう書いてあるんですよ。
カスピ海はこうやって見ると海と直接つながってないですからそうなると湖になるんですか?と思いきや…。
どっちですかっていうね。
どっちでもいいじゃないかと思っちゃうんですけど。
そうなんです。
カスピ海は海なのか湖なのか周辺の国によって意見が分かれてるんですね。
このピンクが海派。
カスピ海は海だよという国々がロシアカザフスタントルクメニスタンアゼルバイジャン。
一方ここは湖だと言っているのがイランということなんですがなぜ意見が分かれているのかと言いますとここに油田やガス田がありますでしょ?この油田やガス田と関係があるんですね。
こちらをご覧ください。
もしここカスピ海が海だとしますと沿岸から200海里およそ370キロまでは排他的経済水域でその沿岸の国が海底資源を取ることができるということになるわけですね。
ですがもちろんこれ370キロより短いですからそういう場合はそれぞれの国のですから海だと言えばそれぞれの国がここの部分の石油やガス田を採掘することができるんです。
イランを見てください。
イランがない。
これが海だとイランはないんですよ。
一方で湖の場合は周辺の国で共同で管理するということになるので湖であれば周辺の国みんなで分けましょうということになれば…。
ところがこのあたりでガス田や石油の油田が見つかったとたんロシアはここは海だと主張し始めた。
わかりやすいですね。
手のひらを返した…。
先月下旬カスピ海周辺国の首脳会議が開かれた。
20年以上経った今も論争は続いている
もめてるのはですねカスピ海だけじゃないんですよね。
アゼルバイジャンにはもう一つ燃えさかる火が残っています。
ソ連崩壊がもたらした紛争の悲劇。
人々の日常生活を救い世界が認めた知られざる日本人がいた
3つ目の火はですね悲しいことですがこちら。
紛争の火。
どういうことかといいますとこのアゼルバイジャンのこちら南部にありますこの地区はですね…。
こちらお隣のアルメニアと争っているんですね。
もともとこのナゴルノ・カラバフというところはアルメニア人が多く住んでいましてソビエトができたときにスターリンがですねあえてアゼルバイジャンの領土にした。
ナゴルノ・カラバフの人たちも自分たちも独立したい。
アゼルバイジャンとしてはそんなことは許せないということになってここで軍事衝突が起きたということなんですね。
ここにはアゼルバイジャンの人も当然住んでたわけですよね。
結局国内避難民としてここから出て行くことになった。
こういう悲劇がありました。
首都バクー
その一等地に開発から取り残された一角がある
アリエフさん一家。
家族7人肩を寄せ合い暮らしている
住民たちは家も財産もすべて投げ捨て逃げるしかなかった
アリエフさん一家も故郷に帰ることができないままもう21年。
生活はギリギリの状態だという
台所に隣接しているシャワー室こちらも共同だ。
劣悪な環境に耐え忍んできた
そんな避難民たちが待ちわびていること。
それは年に一度の定期健診。
そこに一人の日本人が
毎年アゼルバイジャンを訪問し
メガネを買う経済的な余裕のない避難民に
現地ではドクター金井と呼ばれている。
こうした活動が評価され難民支援のノーベル賞といわれる世界的に権威ある賞を日本人として初めて受賞
その活動はアゼルバイジャンでも大きく取り上げられている
ここにもメガネを必要としている少女がいた
生まれつき眼に障害を持っている
お母さんが飛行機のおもちゃを見せた
こんな近くでも見えない。
通常の3割しか見えていないという
実はアイリンちゃんも金井さんに眼を検査してもらったが彼女にあうメガネはなかったのだ
商店街にある1軒のメガネ店
そこにあの金井さんがいた。
なぜ無償で支援を続けているのか?
その工房で特別なメガネが作られていた
それは現地で金井さんが手渡せなかったメガネだ。
強度の乱視や近眼など特別なレンズが必要な人にはデータを持ち帰り日本で特注品を作っている。
今回その特別なメガネを用意したのは
最後の1人までメガネを届ける。
金井さんの信条だ
そのメガネはアゼルバイジャンの国連職員に託された。
1軒ずつ訪問しメガネを届ける
生まれて初めてのメガネだった
そして向かった先は…。
あの少女だった
アゼルバイジャンに無償でメガネをおくり続ける金井さん
特別なメガネが完成した
かなり強度のメガネですね。
託されたのはアゼルバイジャンの国連職員。
向かった先はあの少女の家
実は金井さんの眼の検査で強度の遠視だということがわかったのだ
見えているようだ
金井さんからおくられた特別なメガネ。
アイリンちゃん気に入ったようだ
これからは外で自由に遊ぶことができる
日本のメガネが少女の未来を開いた
いやよかったアイリンちゃん。
もうすごいですねドクター金井さん。
ああいう方がいてくれると本当誇らしいですね日本人として。
これからきっと生活大きく変わりますよね。
先ほどの贅沢な生活をしている人とご苦労なさってる人が同じ国にああやって一緒にいてこの差ってどうなのかなっていうふうに思いますね。
さぁここで池上さん未来予測をお願いします。
はい私の未来予測はこちらです。
ヨーロッパと?はいこれからは…。
先ほどの原油のBTCパイプラインですが更にですね天然ガスのパイプラインと。
こうやってイタリアまで一挙に…。
いやすごいですね。
さぁこれがなぜ重要なのか…。
おわかりいただけます?それが2015年にですねヨーロッパ競技大会というのをアゼルバイジャンで開きます。
記念すべき第1回の大会をバクーで開くと。
更に再来年にはですねフォーミュラワン。
F1レースヨーロッパグランプリの開催も決まったんですよ。
完全にヨーロッパじゃないですか。
そうそしてですね実はたいへん珍しいものがあるんですよね大橋さん。
はいこちらをご覧ください。
こちらはですねサッカーのスペインリーグを制しましたアトレティコ・マドリードというチームのユニフォームなんですけれどもこの中心ここに「AZERBAIJAN」と書いてあるんですよね。
下に「LANDOFFIRE」。
となると今後アゼルバイジャンと日本というのはどうなっていくんですか?でも金井さんのような方がいらっしゃるわけでしょう。
こうやって本当に草の根のところで日本はいい国だよねというのをつくっていくそうなると日本とのパイプを文字通り作ることができると。
2014/10/13(月) 22:00〜22:54
テレビ大阪1
未来世紀ジパング【池上彰SP