(官兵衛)これ以上戦を続けても意味はございませぬ。
降伏して頂けるのであれば殿下は伊豆相模の2か国安堵を許すと仰せでございます。
天正18年7月。
小田原城は開城。
戦乱の世はついに終わりを遂げた。
しかし…。
(秀吉)北条を許すのをやめにした。
氏政には切腹を命じる。
それは…話が違いまする。
天下を取った秀吉は以前の秀吉ではなかった。
(康政)北条の領国を全て徳川に?
(家康)代わりに旧領は召し上げるとの仰せだ。
(直政)それでは国替えではありませぬか!
(忠勝)先祖伝来の地三河から我らを追い払い力を削ぐねらいに相違あるまい!
(康政)大方石田三成あたりの考えそうな事…。
しかし殿下に逆らう訳にはまいりませぬ。
(近習)申し上げます。
黒田官兵衛様がお目通りを願っております。
お通しせよ!
(近習)はっ。
徳川様…。
関東へお移りになられるとお聞きしご挨拶に伺いました。
黒田殿こたびはご苦労でござった。
あの頑固な北条を説き伏せるとはさすがじゃな。
めっそうもない…。
ところで…こたびの関東への移封徳川様には迷惑な話でございましょう。
殿下は今お世継ぎのため豊臣の天下を盤石にせんと脇目も振らぬ有り様。
それが天下のためになるのであればよろしいのですが…天下を私するためとなればお諫めするのがそれがしの役目。
徳川様…。
こたびの国替え天下のためになるかどうかは徳川様次第。
天下のため関東で力を養っておくとしよう。
黒田殿…。
殿下の手綱を頼みますぞ。
(テーマ音楽)天下を統一し京に凱旋した秀吉は明征服という新たな野望を抱いていた。
(おね)天下統一おめでとうございます。
うむ。
ようやくじゃ。
長かったのう。
お前様。
うむ。
折り入ってお話がございます。
何じゃ?かしこまって。
お人払いを。
三成。
一体何じゃ?マグダレナ。
官兵衛か…。
今宵は久方ぶりに官兵衛殿を交えて一献酌み交わしとう存じまする。
天下統一のお祝いでございます。
古女房の願い聞いて下され。
2人して何をたくらんでおる?天下統一祝着至極に存じまする。
(秀吉)うむ。
(おね)もはや敵はいなくなりました。
いよいよ戦なき世になったのですね。
はっ。
(おね)これこそ民が待ち望んでいた事。
竹中半兵衛様も待ち望んでおりました。
半兵衛か…。
懐かしいのう。
亡くなられて何年になりましょうか?早いものでもう11年になりまする。
もはや11年か…。
半兵衛の最期の言葉は今も忘れん。
回想
(半兵衛)秀吉様…。
何じゃ?
(半兵衛)天下を…。
天下万民が心安んじて暮らせる世をつくる事ができるのは殿下だけだと半兵衛殿はお考えでした。
(おね)半兵衛殿が生きていたらさぞ喜んだ事でしょう。
(秀吉)官兵衛…。
北条の事は許せ。
お主の尽力をふいにしてしもうた…。
それがしは軍師おのが面目などどうでもようございます。
されど殿下…。
殿下…。
殿下が下される命だけは天下万民皆が得心ゆくものでなくてはなりませぬ。
殿下…。
今ようやく我らが待ち望んだ世が来たのです。
今は天下の静謐を心掛け国の力を養うべき時でございます。
明の事を申しておるのか?はっ。
天下が一つに治まったばかりというのに海を渡って他国を攻めるなどあまりにも無謀。
半兵衛殿が生きておられたらそれがしと同じ事を申すに相違ありませぬ。
淀の方様へのご寵愛が過ぎ家中に不要な諍いの種を植え付けるのも感心致しませぬ。
このままではいずれ家中は2つに割れ鶴松様のためにも…。
黙れ!半兵衛の事をだしに使いこのわしに意見する気か!耳の痛くなる事を申す者は要らぬと仰せであればそれがしはもはや殿下の軍師は務まりませぬ!たわけた事を申すな!貴様がこのわしの軍師になるかならないかはこのわしが決める事じゃ。
(おね)お前様お待ち下さい。
お前様!
(秀長)そうか…。
兄者は官兵衛の話にも耳を貸さぬか…。
申し訳ございませぬ。
(利休)北政所様がお計らい下さったのですが…。
(秀長)半兵衛が死に小六が死に…わしも長くはない。
じゃが…豊臣家の行く末が気にかかって死ぬに死ねん…。
官兵衛…。
わしも命あるうちは兄者を諫めてまいる。
だがいつまでもという訳にはいかぬ。
官兵衛…。
利休…。
兄者を正せるのはお主たちのほかにはおらぬ。
頼む…。
(おね)フフフフフ…。
鶴松様〜。
あ〜。
ハハハハハハ…。
(淀)鶴松。
(淀)殿下のお供で小田原に行っている間鶴松をお預かり頂きありがとうございました。
鶴松は豊臣の跡継ぎ。
礼など言われる筋合いはない。
鶴松…。
(淀)母が恋しかったであろうな。
寂しい思いをさせてすまなかったのう。
(せきばらい)
(マグダレナ)鶴松君は政所様にすっかり懐いておいででしたが。
11月秀吉は朝鮮国王の使者との謁見に臨んだ。
明征服に向けまずは朝鮮との交渉を小西行長に命じていた。
(秀吉)お〜ハハハハハ…。
おのおの方遠路はるばる大儀である。
ホホホホホホホ…。
見事ないでたちじゃのう。
それがしが豊臣秀吉にござる。
(秀吉)そしてこの子がこのわしの次に天下を取る鶴松じゃ。
鶴松この者たちはなこのわしに忠誠を誓うために遠路はるばる朝鮮よりやって参った。
ゲゲゲ!こやつかような場で堂々と尿を漏らしおった。
ハハハハハハ…。
あっぱれじゃあっぱれじゃ。
鶴松様こちらへ。
(秀吉)あ〜構わん構わん。
ハハハハハハハ…。
おのおの方道案内よろしく頼みまするぞ。
行長。
折衝大儀であった。
この者たちをよくよくもてなすのじゃぞ。
(行長)ははっ。
ではわしはこれで。
ハハハハハハハ…。
ゆるりとなされよ。
ハハハハハ…。
(三成)いかがした?いや…。
(行長)私は殿下に使者は朝鮮国王の代わりに服属の意を示すために来たと申し上げましたが実は…それは偽りでござる。
(行長)朝鮮国王は殿下に従う気など毛頭ない。
私が先方を説き伏せ天下統一の祝いを述べるために使いをよこしただけでございます。
では明征服の道案内どころか朝鮮へ兵を送ればその場で戦になるという事か?
(行長)このままゆけばそうなりまする…。
何故にそのような偽りを?
(行長)穏便に済まそうと存じましたがいよいよ出兵となればそれがしの嘘が露見致します。
正直に申し上げればそれがしの首が飛びます。
何とぞお助け下され!回想
(半兵衛)ただ最良の策を考え実行する。
そのため嫌われ命を落とす事があってもそれこそが軍師というもの…。
(利休)ご政道にひびが入ってはなりませぬ。
直すのは今しかございませぬ。
また官兵衛か…。
また小言か…。
本日はお耳の痛い話じっくりと聞いて頂きとう存じまする。
官兵衛…よいか?利休…何じゃこの茶碗は?小田原にて殿下のお怒りを買いなぶり殺しにされた我が弟子山上宗二愛用の茶碗でございます。
回想茶の味が濁るわ!何じゃその目は?宗二!何じゃその目は!宗二は関白たるこのわしの命に逆らった。
それゆえ死罪に致した。
わしは間違った仕置きをしたとは思っておらぬ。
それを今更ぶり返すか!そうではございませぬ。
では何故このような茶碗を出す!殿下をお諫めするためでございます。
利休殿…。
近頃の殿下の目は曇っておられるようで物事の善しあしが見えておられませぬ。
明の征服など無謀にございまする。
官兵衛…。
(利休)殿下ご存じか?朝鮮は殿下に従う気など毛頭ございませぬ。
何!?せんだっての使者は天下統一の祝いを述べに参っただけで明への道案内などするはずがございませぬ。
朝鮮に兵を送ればその場で戦になるだけでございます。
何とぞお考え直し下さい。
戦乱の世は100年余りも続き皆平穏を望んでおります。
利休!もうよい。
この上国を挙げての無謀な戦に走れば人心は離れるばかり。
豊臣の行く末も危のうございまする。
もうよいと言うておるのが分からんのか!朝鮮がこのわしに従わぬじゃと?たわけた事を申すな!誠にございまする。
うわ〜っ!・
(秀吉)あ〜っ!いま一服入れ直しましょう。
(三成)殿下。
近頃利休殿の悪い噂が絶えませぬ。
茶人のくせに政に口を出しつけあがっておると。
殿下の威光を笠にやりたい放題でございます。
茶道具に勝手に法外な値をつけがらくた同然のものも利休殿がよいと言えば高値がつくそうで…。
何じゃと?それだけではございませぬ。
利休殿の手にかかればただの竹を切っただけの花入れを世の数寄者が争って奪い合う始末。
かくして利休殿の身代は膨らむばかり。
殿下!大徳寺の山門に利休殿の像が飾ってある事ご存じでございますか?利休の像じゃと?大徳寺を訪れる者はたとえ殿下であっても利休殿の足の下をくぐらねばなりませぬ。
利休め!秀吉を支え続けてきた弟豊臣秀長がこの世を去った。
(秀吉の歌声)秀吉を諫める人物がまた一人いなくなった。
堺の屋敷にて蟄居をせよと殿下の仰せでございます。
(三成)今までの傲慢さを改め殿下にわびるというのであればそれがしが取り次ぎますぞ。
(利休)石田様あなたは何のために働いていらっしゃる?無論殿下のため豊臣家の天下のためにござる。
豊臣家のために天下があるにあらず天下のために豊臣家がある。
(利休)黒田様よくぞ参られた。
されど殿下のお怒りに触れまするぞ。
本日は北政所様の使者として参上つかまつった。
利休殿…。
政所様はご自分が仲立ちすると仰せにござる。
利休殿が頭を下げさえすれば必ず許しは出ます。
黒田様…。
せっかくのお越しゆえ茶の道の根本をご指南致しましょう。
(利休)茶をひく時は静かに油断なく滞らぬよう…。
茶道具は度々洗っておく事。
茶道具も人の心と同様汚れがつきやすいものでございます。
茶の湯を一柄杓くみ取ったあとは水を一柄杓さし加えておく事。
決して使い捨て飲み捨てにしてはならない。
わびぬおつもりか?それがしも齢70。
この世にやり残した事はございませぬ。
もしこの先明や朝鮮に向けて兵を出す事になれば黒田様のお力がなくてはなりませぬ。
それがしは殿下に苦言を呈する事はできますが戦では何の役にも立ち申さぬ。
黒田様…。
後の事はお頼み申します。
2月28日。
利休は切腹を命ぜられた。
・
(使者)利休殿急がれませ!刻限でござる!・利休殿!利休殿!茶の支度が出来ております。
享年70であった。
(雷鳴)ヒヒ〜ン。
アハハハハ。
戦じゃ戦じゃ〜!全てなぎ倒すぞ〜!敵をなぎ倒すぞ〜!ヒヒ〜ン。
鶴松。
お馬のお尻をたたくのですよ。
こうやって。
ヒヒ〜ン!
(雷鳴)
(秀吉)雷じゃ〜!ハハハハ。
(三成)殿下!三成か。
鶴松しばし待て。
待っておれ待っておれ。
しばし待て〜。
ハハハハハハハ。
終わりました。
そうか…。
利休のやつ素直に謝れば許してやったものを…。
意地を通したか…。
切腹のお沙汰を告げに行った使者に茶を振る舞ったとか。
(雷鳴)最後まで人を食ったまねをしおって…。
三成。
はっ。
さらし首に致せ。
かしこまりました。
鶴松〜!ハハハハハハハ…。
戦じゃ戦じゃ!いくぞいくぞ!お〜!8月鶴松が重い病にかかった。
天下の名医という名医をことごとく召し出せ。
(三成)はっ。
(秀吉)それからな日の本の寺という寺全てに祈とうを頼め。
何としても鶴松を助けるんじゃ。
はっ。
(秀吉)鶴松鶴松…しっかりせい。
茶々茶々…。
鶴松は助かる…必ず助かる!案ずるな茶々。
茶々…。
鶴松鶴松…。
しかし秀吉の願いもむなしく豊臣家の世継ぎ鶴松は僅か3歳でこの世を去った。
(泣き声)殿下は見る影もなくやつれておられた。
(光)我が子を失ったお気持ち…よく分かります。
熊之助にもし何かあったらと思うと…。
殿下が変わられたのは何事も鶴松様のためと考えるようになったがゆえ…。
その鶴松様がこれほど早くお亡くなりになるとは…。
因果な事じゃ。
鶴松鶴松鶴松鶴松鶴松鶴松鶴松鶴松鶴松鶴松鶴松鶴松鶴松鶴松鶴松…。
・殿下…。
お食事もとらずこちらに籠もりきりと伺いました。
このままでは…殿下までもが病になられてしまいます。
せめてお食事を…。
天罰じゃ…。
利休に腹を切らせた罰が当たったんじゃ…。
利休を死なせるべきではなかった。
このわしが間違っておった…。
鶴松は…このわしのせいで死んだんじゃ…。
わしには…もう何もない…。
望みも全て消えてしもうた…。
しっかりなさいませ。
殿下までもが倒れられたら…天下はいかが相なりましょう?官兵衛…。
殿下…。
官兵衛…。
あ〜っ!殿下…。
(泣き声)程なくしておもだった家臣が秀吉に呼び出された。
家臣一同鶴松の死を悼み秀吉に倣って髷を落とした。
(戸が開く音)
(足音)皆の者面を上げよ。
(正則)お加減は?
(秀吉)心配ご無用じゃ。
はっ。
早速じゃが官兵衛。
はっ。
肥前のよき所に城を建てよ。
このわしが暮らす城じゃ。
そこで朝鮮へ渡る支度を致す。
築城は官兵衛そして清正九州勢でやれ!殿下…。
無謀…無謀!無謀!いまだ朝鮮は従っておりませぬ。
いきなり攻め込むとはあまりにも無謀!官兵衛!もう待ってはおれん。
従わねば滅ぼすのみ!
(秀吉)三成。
はっ!船を造れ。
何十万という兵が海を渡る。
兵糧もばく大な量になる。
船が足りん!はっ!皆の者よく聞け。
もはやこのわしにはこの事以外に望みはない!明国を我がものにするのじゃ!ハハハハハハハハ…。
(一同)はっ!
(秀吉)ハハハハハハハ…。
官兵衛は九州に秀吉の城を築くため中津に戻った。
(長政)すぐに縄張りにかかる。
(又兵衛)肥前のいずこに?
(善助)ここじゃ。
(又兵衛)名護屋…。
(九郎右衛門)名護屋からは晴れた日に壱岐が見える。
(太兵衛)その先が対馬そして…朝鮮…。
(善助)春までに築城せよとの仰せじゃ。
(又兵衛)天下統一を成しえたばかりだというのに…。
わしらが見放せば殿下は糸の切れた凧…。
どこへ行ってしまうか分からぬ。
黒田が支えねば豊臣は…。
いや…。
この国が滅びてしまう。
殿下の命を守って皆に討ち死にせよと申されるか!堪忍袋の緒が切れた!よせ!これ以上余計な口出しはさせぬ。
殿下が夢から覚めるのを待つしかあるまい。
これは私の戦。
殿下を欺くのでござるか?切腹…?何!?わしを陥れるためにここまでやるか…。
千利休が作り上げた待庵があります。
僅か2畳の茶室は多くの人を驚かせました
天正19年2月28日。
利休は秀吉の命によりこの地で切腹。
享年70でした。
官兵衛と利休の屋敷は隣接していました。
官兵衛は己の理想とする茶の作法を書き残しています。
この書から2人に深い親交があった事がうかがえます
利休が生前菩提所と定めた聚光院。
今も毎月28日には利休の法要が営まれています
利休亡きあと官兵衛は秀吉の歯止め役を一身に担ってゆくのです
2014/10/12(日) 20:00〜20:45
NHK総合1・神戸
軍師官兵衛(41)「男たちの覚悟」[解][字][デ]
官兵衛(岡田准一)は大陸進出という無謀な野望をむき出しにする秀吉(竹中直人)を必死に説得する。さらに利休(伊武雅刀)が強くいさめたところ、秀吉は怒りを爆発させる
詳細情報
番組内容
官兵衛(岡田准一)の活躍で秀吉(竹中直人)は、ついに天下を統一するが、大陸への進出という新たな野望をむき出しにし、官兵衛の説得も拒否、おね(黒木瞳)を困惑させる。利休(伊武雅刀)が厳しい言葉で諫めたところ秀吉の怒りを買い、三成(田中圭)の策謀もあって切腹を申しつけられる。官兵衛は利休を救おうと奔走するが、利休は謝罪を拒み死を選ぶ。そんな中、秀吉最愛の嫡男・鶴松が重い病にかかり事態は急展開する。
出演者
【出演】岡田准一,中谷美紀,寺尾聰,松坂桃李,鶴見辰吾,二階堂ふみ,濱田岳,速水もこみち,高橋一生,塚本高史,田中圭,東幹久,嘉島典俊,阿部進之介,石黒英雄,忍成修吾,伊武雅刀,黒木瞳,竹中直人ほか
原作・脚本
【作】前川洋一
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
ドラマ – 時代劇
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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日本語(解説)
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