さわやか自然百景「北海道 野付の海」 2014.10.12

(テーマ音楽)北海道の東弧を描くように細長く延びた野付半島です。
半島の内側を覆い尽くすのは海に育つ植物アマモです。
初夏。
光を浴びてアマモが育む水中の世界。
多くの生き物たちの命を支えます。
そして昔ながらの漁法でその海を守る人。
夏から秋季節を越えて紡がれる豊かな海の物語です。
根室海峡に突き出た野付半島。
全長はおよそ26km。
まるで体を折り曲げたエビのような不思議な形です。
長い年月をかけ砂や小石が堆積して生まれました。
この砂や石のふるさとははるか知床半島。
北から南に流れる千島海流に運ばれここにたどりつきました。
直径1cm以下の小さな石。
波にもまれて角が取れ丸くなっています。
3,000年の時をかけて海流が築き上げました。
この半島によって外海から守られた野付湾。
遠浅の穏やかな海が広がっています。
水深はたったの1〜2m。
底は一面緑の森。
光合成が必要なアマモは日光が十分入る浅い海にしか生えません。
初夏。
アマモに太陽の光がさんさんと降り注ぐと…酸素です。
このアマモが放出した大量の酸素は微生物の動きを活発にしプランクトンなど多くの生き物たちを育みます。
アマモの揺りかごに乗っているのはヤドカリです。
アマモに付いた微生物を食べます。
豊富な食べ物があり外敵からも身を隠せるアマモの森は多くの生き物の命を支えているのです。
アマモが育む豊かな海。
その海を守るため今も伝統的な漁が続けられています。
帆を立て風の力だけで移動し網を引きます。
アマモを傷つけないようスクリューを回さない漁法です。
取っているのは…北の浅い海にしか生息しないエビ。
体のしま模様からホッカイシマエビとも呼ばれます。
アマモの中に…いました!体長は10cmほど。
アマモに付いた微生物や巻き貝などを食べこの森で一生を過ごします。
おなかにある短い足を動かし泳ぎ回るホッカイエビ。
アマモの森に住む理由がもう一つあるんです。
どこにいるか分かりますか?アマモのまねをしています。
怖い魚が来ても…。
ほら気付かれずに済みました。
アマモそっくりなしま模様。
ホッカイエビにとってこの森は絶好の住みかなのです。
ホッカイエビにはちょっと変わった特徴があります。
大抵年上の「姉さん女房」を持つのです。
ホッカイエビは成長の途中で性転換します。
まずほとんどがオスとして成熟。
その後成長を続けやがてメスになるのです。
産卵には多くのエネルギーがいるため大きくなってからメスになると考えられています。
オスとメスはアマモに隠れながら脱皮を繰り返し秋の交尾に備えます。
遠浅の海が広がる野付湾。
潮が引くと全く別の顔を見せます。
現れた広大な干潟には緑のじゅうたんが広がっています。
塩分の多い所でも生きていける植物。
葉は退化し丸みを帯びた茎は塩水からも水分を摂取できる特殊な機能を持っています。
こちらも干潟に生きるウミミドリ。
ピンク色の小さな花で水辺を彩ります。
干潟を頼りに生きるのは植物だけではありません。
鳥たちは潮が引いた海で食べ物を探します。
夏。
子育てをするためにやって来ました。
ゴカイや魚などを探して食べます。
潮が引くとアマモが水面に顔を出します。
その上に横たわっているのはゴマフアザラシです。
冬の間氷の上を住みかにするゴマフアザラシ。
春になると流氷に乗って北へ帰っていきます。
しかしここにとどまり続けるアザラシもいます。
アマモが絶好のベッドになるからです。
砂が堆積して出来た野付半島。
今もその地形は変化し続けています。
立ち枯れたミズナラの木です。
かつては豊かな森が広がっていました。
しかしここでは砂が堆積するスピードよりも速く地面が沈んでいます。
木々の根が海水につかるようになるとそのままの姿で枯れてしまったのです。
こちらはかつてトドマツの森でした。
ミズナラの森よりも更に海水に浸食されるのが早く立ち枯れた木々は既に倒れてしまっています。
今なお自然の力で姿を変え続けている野付半島。
やがては海に消えてしまうとも言われています。
9月下旬。
半島は早くも秋本番。
水が引いた干潟が赤く染まっていました。
アッケシソウです。
気温が下がると真っ赤に染まるアッケシソウ。
海の中から現れる紅葉です。
秋は多くの渡り鳥たちがやって来る季節でもあります。
アマモがつくる豊かな海で鳥たちは冬に備えます。
アマモの森の生き物たちはどうしているでしょうか。
海はプランクトンに埋め尽くされていました。
アミの仲間です。
夏の日ざしを受けて蓄えられた栄養を糧に大発生したのです。
ホッカイエビのメスがいました。
何だかおなかが重そうです。
交尾を終えおなかには次の世代の命を抱えています。
卵がふ化するのは来年の春。
およそ9か月間メスはアマモの陰に隠れながら卵を守ります。
北海道野付湾。
豊かな海に抱かれて続く命の営みです。
「母のぬくもり」。
2014/10/12(日) 07:45〜08:00
NHK総合1・神戸
さわやか自然百景「北海道 野付の海」[字]

北海道の野付半島は日本最大の砂嘴(さし)。半島に囲まれた野付湾は、アマモに覆われている。日差しを受け豊かに育つアマモが支える自然と、それを守る人々の営みを描く。

詳細情報
番組内容
北海道の野付半島は全長26km、日本最大の砂し。半島に囲まれた野付湾は水深が1〜2mで、およそ70%がアマモに覆われている。このアマモがさまざまな生き物たちを支えている。アマモを食べる貝や甲殻類、天然記念物のタンチョウなどの湿原性の鳥たち。アマモをベッドにするゴマフアザラシ、そしてアマモ場を住みかとしているホッカイエビ。夏、日差しを受けて豊かに育つアマモが支える自然と、それを守る人々の営みを描く。
出演者
【語り】村上里和

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
趣味/教育 – 旅・釣り・アウトドア

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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