ねえ運転手さん。
(夜明日出夫)お客さんですか?実はねふた月前に主人がぽっくり逝っちゃってこれからどうやって生きようか考えたの。
道は2つ。
息子の世話になって生きる右の道。
それから右か?左か?それでそのお遍路さんみたいな格好で?悩みは尽きないの。
南無大師遍照金剛。
(鈴の音)お客さん次は左ですか?右ですか?あら?ちょっと!違う!違う!今のT字路右でしょ!なんで左に行っちゃうの?いやいやお客さん左っておっしゃったじゃないですか。
私は人生の事を言ってるのよ。
私の進む道は左だけど帰り道は右なの。
戻って戻って。
いやいやほらUターン禁止です。
えっ!?ちょっと遠回りする気!?バックしなさいよ…!危ない…危ないですよ。
人生には分かれ道がある
分かれ道にさしかかった時人は右に行くか左に行くかを考える
人生は分かれ道の連続なのかもしれない
(ノック)はい。
(小村真希子)神保町までお願いします。
はい。
あの…すいません。
失礼ですけど運転手さんは以前警察にお勤めではありませんでしたか?はい警視庁に。
やっぱり!私小村真希子です。
夜明さん覚えてらっしゃいませんか?小村さん?15年前大田区で空き巣に入った男が殺人を…。
私はあの事件で亡くなった小村宏夫の娘です。
空き巣が殺人を…。
あの時の娘さん?そうです。
へえ…。
お久しぶりです。
(東山秀作)夜明さん。
おう。
小村真希子とお会いになったって本当ですか?うん。
彼女今何されてるんですか?知らない。
えっ!?聞かなかったんですか?送り先にすぐ着いて喋ってる時間なかった。
はあ〜…相変わらず気の利かない先輩だな。
お茶の一杯とか飲めばいいじゃないですか。
(国代義明)あの…その小村真希子って女性ですけどああ。
でもどうしてそんなにその小村真希子を気にかけるんですか?いや〜あの事件は俺にとって特別なんだよ。
警視庁捜査一課に配属されて初めて捜査したのがそのヤマだったんだ。
(国代)へえ〜。
でどんなヤマだったんですか?15年前大田区の住宅街に住居侵入事件が起きた。
(夜明の声)ホシは留守とにらんで忍び込んだが夜勤明けで室内にいた小村宏夫と鉢合わせをして…。
(小村宏夫)ダメだやめろ!
(小村)うっ…!
(夜明の声)ホシは小村宏夫を殺害。
その時実は家の中にもう一人いた。
小村宏夫の娘当時17歳だった真希子さん。
似顔絵を作成。
盗犯課に見せると窃盗のマエがある沼田令次で間違いないという。
(夜明の声)左頬にあった傷痕が決め手だった。
(ノック)沼田さんいます?
(近藤久江)いません。
待て!待て…!沼田!東山ワッパ!はい!
(東山の声)新入りだった俺に夜明さんは手錠をかけさせてくれたんだよ。
そりゃ忘れられないだろう。
だけどあの時沼田を逮捕出来たのはその真希子さんの証言があったからなんだ。
その後どんな人生歩んだのかなと思ったらそりゃ気になるのも当然だろ。
(チャイム)
(久江)いらっしゃいませ!なんか今日食欲ないな。
東山これ食べる?あっ…もったいないですからはい。
じゃあ。
ああ。
いただきます!お勘定も。
あっ!いやあの…先輩!許して!お願い…!
(刺す音)
(パトカーのサイレン)
(馬場幸男)これはこれは警部補殿!あ〜これはこれは。
またご一緒出来て光栄でございます。
巡査部長の国代ちゃん元気してた?放っといてください。
な〜にまた嬉しいくせに。
嬉しくないですよ。
馬場さんガイシャの身元とか教えてもらえます?自分ついうっかりしてしまいまして。
えーとですねこの近くのケーキ店の奥さんで谷本久江46歳。
あちらがご主人の谷本敦也さんです。
こういう時になんですがお話を少し…。
(谷本敦也)あの男です。
昨日の夕方妙な男が店に来ました。
名前は知りませんが左の頬に傷がある…。
左の頬に傷?
(谷本)久江は昔の知り合いだと言うだけででも夜9時頃久江は買い物に出かけると言って…。
昨日9時頃出かけられたんですね?
(谷本)あの男に呼び出されたに決まってます。
つかぬ事をお聞きしますが奥様の旧姓は?近藤です。
近藤久江?
(谷本)はい。
(国代)どうしたんですか?近藤久江…。
間違いないな。
15年前沼田令次と同棲していた女性だ。
(神谷警部)わかりました。
ありがとうございました。
沼田は15年の懲役を終え先月府中刑務所を出たそうだ。
じゃあ沼田令次が昔付き合っていた谷本久江を訪ね…。
久江を殺した。
沼田の行方を追うんだ。
(野村)痛い痛い痛い!
(潮美)ごめんごめん…。
おはようございます。
(潮美)おはようございます。
どうしたの?ゆうべ酔ったお客さんに暴力を振るわれたらしいんですよ。
警察も呼ぶはめになって…。
(小池)野村さん最近ついてないんですよ。
さすがの父も参ってるみたいで。
日頃の行いよくないから。
聞こえてますよ。
夜明さん…。
(小林係長)あっいたいたいた。
夜明さん夜明さん!どうぞどうぞ。
お客様ですよ。
ああ!先日はゆっくりお話も出来なくて…。
こちらの営業所にいらっしゃるとお聞きしたもので。
これから尾道まで行って頂けますか?尾道!?あの…尾道って瀬戸内に面した広島県の尾道ですか?ありがとうございます!さすがロングの夜明さん大したものです。
いいですか?皆さん!いいお客様がご乗車してくださるのはまぐれではありません。
日頃の実直な勤務ぶりがロングのお客様を呼び寄せるのです!さあさあ皆さんお見送りお見送り。
まぐれ以外に何があるのよ。
いいよなあ夜明さんは。
(小林)いってらっしゃいませませ。
ロングの夜明さんバンザーイ!一つ聞いていいですか?あの…尾道に行かれるのにどうしてタクシーなんですか?夜明さんへのお礼です。
お礼?サン=テグジュペリ作『星の王子さま』。
夜明さん覚えてらっしゃいますよね?ええ。
15年前あの事件のあと…。
はい。
(真希子の声)夜明さんは私にあの現場検証の時あなたの部屋の本棚に本がいっぱい並んでるのを見て本が好きなんだなと思ってまあ柄にもなく…。
いえ夜明さんの励ましにどれだけ救われたか。
私が立ち直る事が出来たのは夜明さんのおかげです。
まあお気持ちありがたいですけどこれ尾道まで結構出ますよ。
フフッ…。
あの…尾道は?尾道は私の故郷なんです。
じゃあ里帰り?ええ。
それと取材をしに。
取材って今仕事何してらっしゃる…?小説を書いてます。
小説家?はい。
3年前にデビューして…。
こう言ってはなんなんですけど結構売れてるんですよ。
あっそうなんですか。
(社長)おい鴻上!鴻上小村先生によろしくな。
(鴻上浩)はい。
いってきます。
はい。
夜明さんはどうして刑事をお辞めになったんです?沼田を逮捕した3年後ですかねある事件の捜査に関わった女性との関係を誤解されてああ…。
ご家族は?妻とは離婚しました。
娘が一人いて時々会いに来てくれます。
さっきのあの『星の王子さま』当時娘が一番好きだったものなんです。
そうでしたか。
夜明さんは娘さん思いなんですね。
(くしゃみ)あなたは半年前まで府中刑務所に服役していた沼田令次と親しかったそうですね?刑務所の中で沼田から久江という女の話を聞いた事はないですか?久江と子供に会いに行くって言ってた。
子供!?事件を起こした時その女妊娠してたって。
他に何か言ってませんでしたか?そういえば妙な事を言ってたっけ。
あのヤマは実は一人でやったんじゃない。
共犯者がいたんだって。
共犯者…。
殺された谷本久江に子供はいません。
という事は15年前妊娠していた久江は流産したかあるいは…。
沼田にすれば久江は子供を産み自分の帰りを待っていてくれると信じていた。
なのに久江は別の男と結婚していた。
動機はわかった。
久江を殺したのは沼田と見て間違いない。
だが15年前のあの事件に共犯者がいたというのは…。
現場にはもう一人別の人間がいた。
単独犯ではなかったというのか?はい。
すいません。
尾道は墓参りっておっしゃってましたよね?瀬戸内海に浮かぶ向島が私の生まれ故郷なんです。
両親のお墓は尾道市内にあって。
この3年仕事に追われて一度もお墓参り出来なかったもので。
小説家って大変なんですね。
好きで選んだ仕事ですから。
確かお母さんも…。
父の事件の2年前私が中学の時に亡くなりました。
そうですか。
母は元々心臓に持病があって…。
私はご住職にあいさつしてきます。
30分ほどで戻りますのでタクシーで待っててもらえますか?はい。
お待たせしました。
これからクロスロードみつぎという道の駅までお願い出来ますか?道の駅?はい。
取材で編集者の方と待ち合わせしてるんです。
あの…今度お書きになる小説ってどんな話ですか?故郷の尾道を離れたある家族が道の駅で車中泊をしながら旅をする話です。
故郷を離れる家族の話。
あああれ向島ですよね?
(真希子)そうです。
島へは明日渡ろうと思ってます。
あっ夜明さん。
はい。
よければそれまでお付き合い頂けませんか?それは嬉しいですけど…。
けど今夜の宿は?福山のホテルを予約してますから。
ありがとうございます。
待ちました?いや。
夜明さん。
はい。
こちら編集者の鴻上さんです。
こちらの運転手さんは私の知り合いで。
夜明といいます。
そうですか。
駅長には1時間ほど話を聞かせてほしいとアポ取ってあるから。
はい。
じゃあタクシーに1時間後に戻りますので。
じゃあいってきます。
いってらっしゃい。
(あゆみ)お父さん!あゆみ!お前こんなところで何やってるの?お父さんこそ何してるの?お前何やってるの?
(斎藤)あゆみちゃんそろそろ帰ろうか。
(斎藤)じゃあ先にホテルへ帰ってるよ。
はい。
痛い痛い…。
痛い!あの男は何!?ホテルで待ってるって…。
まさかあんな男と不倫してるんじゃないの!?ねえ。
何勝手に勘違いして勝手に興奮してるのよ。
あの人は斎藤さん。
私のバイト先の上司。
バイトって何?新宿にある大きな書店で働いてます。
今度福山にチェーン店を出す事になって道の駅にも本を置くコーナーを作ってもらう事になったの。
その開店準備で来てます。
この子供図書館にチラシを置いてもらおうと思って来ました。
はいどうぞ。
私が不倫なんかするわけないでしょ!バッカじゃないの?
(菅野)国土交通省に登録された道の駅は現在全国に1000か所以上あります。
24時間利用可能な駐車スペースにトイレと公衆電話を備えるのが登録の条件で運営は市町村かそれに代わる第三セクターが行います。
(真希子)お待たせしました。
はい。
じゃあホテルまで。
鴻上さんも一緒にお願いします。
あっはい。
(真希子)よいしょ。
閉めます。
(鴻上)はい。
お願いします。
(鴻上)広島県内にある道の駅のうち印の付いてる3か所は明日行く事を伝えてあるから。
あっ明日の取材は午後からにしてもらえますか?明日の午前中は向島に行きたいんです。
わかった。
さっきの駅長さん喜んでたね。
小村先生の小説に書いてもらえば宣伝効果は計り知れない。
ぜひ道の駅を実名で出してくれって。
ありがとうございました。
お疲れさまでした。
(あゆみ)ヘッヘ〜ン予感的中!あゆみ!お前ここに泊まってるの?そう。
お父さんも同じホテルじゃないかなと思って。
ラッキー!ゴチになりまーす。
あのさ…。
さっき言ったでしょ。
バイト先の上司。
いや違う違う。
お前小村真希子さんって小説家知ってる?もちろん!私持ってるもん。
ああ売れてんだ。
やだな〜。
純文学では今一番売れてる人なのよ。
3年前にデビューしたんだって?そう。
登竜門の文学大賞を受賞してさっそうと文壇に登場。
私全部持ってる。
どの話も父と娘の話なんだけどこれが何度読んでも泣けるのよ〜。
おまけに美人だからマスコミにも取り上げられて先月は私がバイトしてる書店にもサイン会でいらしたの。
ありがとうございます。
(あゆみ)まあ小説に興味のないお父さんに話してもしょうがないけど。
小村真希子を知らないんじゃ笑われるわよ〜。
遅くなってごめんなさい。
あっ…娘のあゆみです。
道の駅で偶然会って…。
編集者の鴻上さん。
こちら小村真希子さん。
そうですか夜明さんの娘さん。
ちょっと!お父さんすごい!よかったら一緒にどうです?いいんですか?私大ファンなんです!
(鴻上)お飲み物は何にされます?小村真希子さんとご一緒出来るなんて…。
(あゆみ)ちょっとペンペンペンペンペン!何?これ!黒ないの?
(真希子)小学4年生の時まで両親と住んでいました。
父が帆布工場を経営していて。
(真希子)そうです。
瀬戸内海では漁船は帆を立てて漁をします。
丈夫な布で。
ここだここだ。
お久しぶりです。
こんにちは。
どうぞ。
失礼します。
(帆布を織る音)
(真希子)昔はこの島に帆布工場がいくつもありました。
(帆布を織る音)私はこの音が好きなんです。
(帆布を織る音)
(帆布を織る音)時代には勝てません。
父は元々東京に憧れてましたから第二の人生を歩みたかったんだと思います。
でも東京で事業を起こしたもののうまくいかずに倒産。
母が病死して父は変わりました。
あの事件でお父さんが…。
(真希子)父が選んだ道は正しかったのか…。
私は…父を恨みます。
あっあゆみ。
お父さんどうしたの?お父さん東京へ帰るけど。
あの中年男本当になんともないんだな?いい加減にしてよ。
(パトカーのサイレン)あら?
(藤井武宏)藤井です。
東山です。
国代です。
車は3日前に東京で盗まれたもののようです。
はい我々が追っていた沼田令次です。
(国代)腹をひと突きですね。
(藤井)この道の駅のレシートですね。
ああこれか。
あっこれは…。
一昨日東京で発生した谷本久江殺しに使われた手袋かもしれません。
鑑定お願い出来ますか?わかりました。
あっ沼田の死体の発見者は?警備員です。
(香川)昨夜見た時はまさか死んでるとは思わなかったもので。
(藤井)この車は昨日何時頃から止まってたの?はっきりした事は…。
それが当施設はオープンして間がないものでまだ設置していないんです。
施設の中もですか?ええ。
明日取り付ける事になってるんですが…。
明日?ええ。
明日…。
防犯カメラなしか…。
参りましたね。
それにしても一体誰が沼田を…。
沼田に恨みを持つ人物の犯行でしょうか?東山!すごい胸騒ぎの予感…する?はい。
なんでまたいるんですか!?出たよまさかだ…。
あゆみちゃん!?東山さ〜ん!またまた親子だよ!東山。
入ってきた!なんでお前こんなとこにいるの?こっちが聞きたいですよ。
沼田?
(国代)はい。
バカ!なんで民間人に条件反射で喋るんだよ!だって…。
お前はパブロフの犬だ!ええ〜!どういう事だよ?いえ捜査の情報を民間人には…。
話せよ。
はい。
沼田が久江さんを殺した?はい。
それで昨日手配をかけたところで今朝一番の新幹線で広島へ来たんです。
すると左頬に傷のある男が道の駅で死んでいるという通報があったもんですから。
それが沼田令次?はい。
夜明さんはどうして広島に?ああまた小村真希子さんを乗せる事があって昨日タクシーで尾道に。
じゃあ昨日彼女は広島にいたんですか?そうだよ。
真希子さん今どこですか?警察です。
答えてください。
沼田が殺された!?15年前の事件自分も捜査に参加していました。
あっ覚えてます。
沼田は服役していた刑務所を先月出所しています。
失礼なんですがこの1か月の間に沼田とお会いになりましたか?いえ沼田が出所していた事は知りませんし会ってもいません。
昨日はいかがです?昨日?沼田は昨日午後遅くから夕方にかけて殺されたと思われます。
失礼ですがその時間どちらに?夜明さんと一緒にいました。
俺のタクシーで一緒って言ったろうが!道の駅ではずっと鴻上さんと一緒に…。
失礼じゃないですか?いいんです。
相手にしなくていいですよ。
小村先生はこれから取材に行かなければなりませんので。
行きましょう。
あっすいません。
あと一つだけ。
15年前お父様が殺された事件であなたが目撃したのは沼田だけですか?ええそうです。
(鴻上)先生。
はい。
お前たちの質問の意味が全くわかんないんだけど。
服役中沼田は仲のよかった受刑者に共犯者なんかいるわけないじゃない。
15年黙ってるなんてありえないよ。
神谷もそう言ってますしもちろん自分も同じ意見です。
まあ口から出まかせを吹いたんだと思います。
彼女に確認したのはあくまで念のためです。
それよりも沼田を殺した犯人は誰なのかです。
まっ小村真希子で決まりですよ。
そりゃ真希子さんを疑う気持ちはわかるよ。
沼田に恨みを抱いてる人物で名前が一番最初に出てくるのは真希子さんだよな。
けどさ小説家として成功しててそれを棒に振って15年前の復讐のために殺しまでやるかな?いやでも…!いやだだだだ…。
もっと大事なのは15年前の俺を覚えててくれて俺のためにさタクシーで東京から尾道まで。
そんな心の優しい人がさ殺しなんかするわけないじゃない。
でもですよ沼田が殺された日に真希子も同じ広島にいたんです。
とても偶然とは思えません。
(ため息)真希子さんは墓参りと取材のために広島に来たの。
沼田は久江さんを殺害して逃走して広島に来たの。
これ偶然だろうが。
偶然…。
(2人)それは偶然。
偶然。
正解。
はい。
あとはもうさ地道にホンボシを追っかけて。
はい。
偶然だって。
偶然ですね。
あ〜悔しい!なんか言った?
(2人)いえ。
またまたまた夜明さんか!しかも親子で!
(2人)はい。
気に入らない!始まったよ。
広島じゃいいように扱われて…。
東京じゃ怒鳴られて。
散々ですね。
じゃあ何か?お前たちホンボシを広島に残してすごすご帰ってきたのか!偶然でもアリバイがある以上…。
そんな偶然があるか!真希子を調べろ!徹底的にだ!
(2人)はい!鴻上さん。
小村真希子さんと別行動で行かれたんですか?どういう意味です?いえお二人での取材だったら東京から2人で行くのがいいのかなと思いまして。
それは小村先生が自分は墓参りを兼ねて行くから道の駅で待ち合わせしようとおっしゃって。
あの…ちなみに鴻上さんは小村さんの担当をされて今回で…?初めてです。
待ち合わせをするのはいつもの事ですか?刑事さんは何かを疑ってらっしゃるようですけど小村先生が事件に関わるわけないでしょう。
(北永恵利)小村先生お久しぶりです。
1年前週刊誌で先生のインタビュー記事を書かせて頂いたライターの…。
あっ北永さん。
その節はお世話になりました。
(真希子)いえこちらこそ。
実は私今沼田が起こした事件のドキュメント本を執筆しています。
インタビューさせて頂いた時この1年沼田には刑務所に何度か面会に行って事件に関する話を聞きました。
誰かに途中で会ったとか。
まさか沼田がまた事件を起こしてしかも逃亡先で殺されるとは。
あの…15年前の事件をどうして本に?以前から何か事件を扱ったドキュメント本を出したいと思ってたんです。
原稿はこのとおり書き始めています。
それで被害者のご遺族である小村先生にも改めてお話を伺いたいと思いまして…。
お断りします。
お話しする事もありません。
失礼します。
すいません。
昔からの知り合いなんです。
親しくさせてもらってます。
(鍵を鳴らす音)夜明さ〜ん朝で〜す!先輩起きてください!メザシ焼けました!うるさいうるさい。
まだ寝るし。
よし馬場さんいこう!はい失礼しま〜す!よっしゃ〜!
(2人)よいしょ!せ〜の!よいしょ!おっとととと…。
ああっ!馬場さん!ああーっ!先輩!起きる起きる!起きる起きる!ああ…。
おはようございます。
あっ先輩こちらご用意出来てます。
おはようございます!おはようございます!はいおはよう…。
じゃあいただきましょうか。
あり合わせのおかずでお口に合いますかどうか…。
あり合わせってお前うちのおかずじゃないか。
あ…はい。
いただきます!ちょちょちょ…。
何しに来たの?あっいえ一昨日沼田が殺された時真希子さんは先輩と一緒にいらっしゃいました。
その時真希子さんに何か不審な行動がなかったか神谷が確かめてこいと。
また神谷…。
なんで真希子さんなの?真希子さん不審な点なんかなんにもないよ!遅くなりました〜!
(ため息)どうぞどうぞどうぞどうぞ。
おう!どうぞどうぞ。
こっちですこっちです。
捜査会議こんなとこでやるんですか?やりますとも!こちらは警視庁の伝説の刑事と言われた夜明日出夫さんです。
あっ…!今は「ロングの夜明」と呼ばれてますけど。
なんでこんなでかいのが2人とも入ってくるの?広島県警の藤井と申します。
鑑定の結果をご報告させて頂きます。
まず沼田のバッグにあった手袋ですが付着していた血液型が谷本久江の血液型とDNAと合致しました。
やはり沼田の犯行でしたか。
そうなると久江殺しに関しては被疑者死亡で送検。
しかしその沼田は誰になぜ殺されなければならなかったのか?解剖の結果は?
(藤井)沼田の死因は腹部を鋭利な刃物で刺された事による失血死。
死亡推定時刻は一昨日12日の午後3時から6時の間。
ただ胃の内容物がほとんど未消化でして…。
胃の内容物?
(藤井)現場にあったもみじ饅頭です。
レシートから指紋は出ませんでしたが沼田は手袋をしていましたし状況から見て道の駅でもみじ饅頭を買い食べた直後に殺されたものと思われます。
そうなると…。
(藤井)購入したのが午後4時36分ですから。
という事は殺されたのは大体午後5時から6時の間。
決まり。
は?真希子さんのシロは決まり。
あの日真希子さん編集者と道の駅で仕事して…。
じゃあホテルまで。
鴻上さんも一緒にお願いします。
(夜明の声)俺のタクシーに乗ったのが5時。
(真希子)ありがとうございました。
ありがとうございました。
(夜明の声)ホテルに着いたのが6時。
その間ずーっと真希子さん俺のタクシーに乗ってた。
はい。
一体誰が?はぁ…自分が引っかかるのはあの例の共犯者です。
仮にです。
15年前の事件に共犯者がいたとしたら沼田は久江を殺したあとその共犯者を強請りにかかったかもしれません。
(国代)でその共犯者が沼田を…。
うん。
警部補15年前の捜査で見落としがあったなんて事は…?そんな事は…。
あ〜あ〜やめて!帰れ帰れ帰れ!俺は静かに朝飯食う。
帰れ帰れ!
(一同)はい!おわっ!おい!1匹…ああっ!ああっ!俺のメザシ!
(藤井)失礼します。
メザシ〜!見落とし…。
あの捜査に見落としがあった…。
バカな…。
お引き取りください。
お話しする事は何も。
あの事件には共犯者がいたかもしれないんです。
共犯者?同じ部屋の受刑者に沼田は共犯者がいたと言ってるんです。
15年前事件はここで起きた
あの家狙ったのは小村宏夫と知り合いだったからだ。
パチンコ仲間で奴が連チャンで大勝ちしたから家に忍び込めば10万か20万は分捕れるんじゃないかと。
沼田さん…。
(沼田の声)ところが…。
(小村)ダメだやめろ!
(沼田の声)殺すつもりはなかった。
あの日私は風邪を引いて学校を休んでいました。
部屋で寝ていると1階で何か言い争う声がして…。
その時沼田は一人だったんですか?そうです。
沼田が部屋を出たあと私は恐怖のあまり気を失ってしまって…。
目を覚まして沼田がいない事を確認してから警察に通報しました。
沼田は本当に一人だったんですね?そうです。
あの時他に誰かがいたとは思えません。
小村さんの腹部に2か所の刺し傷があった。
なぜだよ?家を出てからライターがないのに気づいたんだ。
小村を刺したあとまだ金があるんじゃないかと急いで物色した時脇に置いたのをそのままにして。
家を出てから10分経ってたが戻るしかなかった。
(沼田の声)すると驚いた事に小村はまだ生きてたんだ。
それで…。
(刺す音)忍び込みも小村を殺したのも一人でやりました。
沼田の供述に矛盾はなかった
共犯者がいたのなら俺は見逃した事になる
沼田令次?当時沼田さんはこちらの工場で働いてましたね。
その頃親しくしていた人物とかいらっしゃいませんか?さあね…働いてたとしても半年ぐらいだったしどうしようもない男だったよ。
記憶にないですか?15年も前じゃ覚えてないですね。
覚えてるよ沼田さん。
沼田さん事件を起こす前誰かと一緒に来てませんでしたか?あ〜若い男とよく来てたよ。
いや沼田さんが逮捕されたあとその若いの女性と何度か来て話した事があったんだよな。
出版社に就職出来たとか言って。
名前なんだったっけ?こうもと…こう…。
あっ鴻上さんだ!鴻上?15年前沼田が鴻上と親しくしていたのは間違いありません。
真希子の担当編集者の鴻上と!?真希子と一緒に広島へ行った鴻上が沼田と親しい関係だったって事ですか。
東山すぐに調べろ。
はい!
(鴻上)確かに15年前沼田さんと親しくしていました。
当時私は大学を出たものの就職出来ず腐ってました。
毎日パチンコをして何度か沼田さんの隣の台で打つ事があって。
(鴻上の声)沼田さんは私の事を気に入ってくれたみたいでよく飲みに誘ってくれました。
沼田と親しくしていたあなたがどうして真希子さんの担当編集者に?それは全くの偶然です。
私は今の出版社に就職して3年前文壇にデビューした小村先生の小説が売れ出してうちの出版社も執筆を依頼する事になって。
あの事件の遺族と聞いた時は驚きました。
(鴻上の声)初めて会ったのは半年前です。
小村先生とお会い出来る日を楽しみに待ってましたよ。
ひとつよろしくです。
よろしくお願い致します。
沼田との関係を真希子さんには?いえ話していません。
沼田が出所したあと沼田と会いましたか?今月の初め沼田さんから連絡があって一度だけ会いました。
出所してお金に困っていると言うので手持ちの5万円を渡しました。
その時他にどんな話を?真希子さんが小説家になった事と私が担当してる事。
あと取材で広島に行くという事は話しました。
沼田が殺された12日午後5時から6時の間どちらにいましたか?タクシーに乗ってました真希子さんと一緒に。
道の駅からホテルまで。
15年前沼田が小村家で事件を起こした時ひょっとしてあなたも一緒でした?
(携帯電話)タクシードライバーからだ!ええ…。
はい夜明さん?東山?どうなった?あっいえ…まあど…どうって事は…。
東山さん明日ちょっとお会いしましょうか。
(電話の切れる音)先輩!お前さ俺になんか話したくてたまんないって事ない?あ…いえ民間人には今は別に何も。
あの…民間人民間人ってさ偉そうに言ってるのはこの口か?ああっ!鴻上が沼田と親しかったという情報が。
えっ?鴻上が沼田の共犯だったの?いやそれはまだ…。
あくまで推測です。
確かに15年前鴻上はローン会社に借金がありました。
ですから可能性はあります。
という事は沼田を殺したのは鴻上だって可能性もあるわけだな。
その物証はまだありません。
…ってなんで俺はまたベラベラ喋ってんだ!鴻上も真希子と同じように問題は鴻上が共犯だとして沼田がどうして15年間それ黙ってたかって事だよな。
そうなんです。
小村を殺したのは沼田でも2人で忍び込んだのならどうして鴻上をかばう必要があったのか?ちょっと待って。
沼田が逮捕されたあと鴻上はさ女の人と居酒屋に行ってたって言ってたよな?はい。
その女の人が久江さんだったら?どういう事です?15年前事件を起こした時に…。
大丈夫だ誰にも見られてない。
俺がもし逮捕されてもお前が一緒だった事は警察には言わない。
この子のためだったら俺はなんだってやる!そうか!沼田が久江の世話を鴻上に頼んだ。
そう。
共犯の事を黙っていたのに久江は他の男と結婚。
沼田にしてみれば鴻上も久江も事件のあと鴻上と一緒に居酒屋に来ていた女東山。
はい?俺はもう刑事じゃない。
見逃した事があってもどうにも出来ない。
任してください。
行くぞ!
(藤代)はい!いくら恵利ちゃんの頼みでもダメなものはダメだね。
うちはドキュメント本は扱った事がないからね。
でも読んで頂くだけでも…。
うん…悪いね。
わかりました…。
小村真希子とはまだ付き合ってるの?それよりドキュメント本本当に出す気なの?出すわよ。
やめてくれないかな。
15年前の事件を今さら表に出したら彼女を傷つける事になる。
鴻上さんの反対する気持ちは痛いほどわかるけど。
すぐ帰るから。
変われば変わるものね。
半年前までは一緒にモーニングコーヒー飲んでたのにねえ?それじゃ。
(恵利の声)犯行は一人でやったんですよね?ああ俺が一人でやったんだ。
本当に共犯者はいなかったのか?
(拍手)
(真希子)「私は故郷が好きでしたから瀬戸内の海を見ながら普通の人生を歩むつもりでした」「東京に出た私は15年前父を亡くし家族を失い途方に暮れました」「この先どう生きていけばいいのかわからない」「でもその私を救ってくれた人がいました」「事件を担当していた刑事さんです」「刑事さんは私にこの一冊の本サン=テグジュペリ作『星の王子さま』をプレゼントしてくださいました」「ある王子が他の星の世界を見るために旅に出て風変わりないろいろな人間と出会うお話です」「この本を読んで「その時私もいつか小説家になりたいと自分の進むべき道を決めたのです」
(小林)「16461646」小村真希子様から指名の迎車が入ってます。
ホテルオークラ東京ベイでお待ちとの事ですがもちろん可能ですよね?どうぞ。
可能です。
ありがとうございます。
自宅まで送って頂きたいんですけど…。
その前にせっかくですから3人でお茶でもいかがですか?あゆみ。
私もう感動しちゃった〜。
あゆみもさ真希子さん見習ったら?見習うって?バイトばっかりやってないで自分の生きる道を考えるとかあゆみのさマスコミへの道ってどこかいっちゃったの?そんな事言える資格がお父さんにあるの?講演の中で真希子さんが刑事さんに救われたって言った時嬉しかった。
でもその刑事をお父さん簡単に辞めちゃったじゃない。
簡単じゃないよ。
いろいろあって…。
私は辞めてほしくなかった。
小さい時構ってくれなくてもお父さんは刑事だからって我慢してたの。
刑事ってとても大変な仕事だと思ってたから。
それなのに誤解されてマスコミに書かれただけで意固地になって辞めちゃって…。
私はなんのために我慢したのよ。
そんなお父さんに仕事の事とやかく言われたくない。
俺はお前の事心配して…。
私だってあの時お父さんの事心配した!私の事もう放っといてよ!あゆみ…。
トイレ!仲がいいんですね。
うらやましいです。
いやいや…。
向島であなたお父さん憎んでるっておっしゃいましたよね。
私は…父を恨みます。
あれは…?本心です。
東京で起こした会社が倒産して借金を抱えて…。
母は父を助けるために朝から晩まで働きました。
(真希子の声)母が死んで父は人が変わりました。
お母さん…。
(真希子の声)毎日お酒を飲んでギャンブルをして…。
それはお父さんも苦しかったんじゃないんですか?
(真希子の声)でも父は母にひと言も謝る事をしませんでした。
ひと言もです。
私は父を恨み口を利く事もやめました。
いえいえ。
この前夜明さんと尾道に行った時は楽しかったです。
実はまた近々尾道に取材に行こうと思っています。
よろしければまた夜明さんのタクシーで。
えっ本当ですか?ひと月に2回も尾道なんて。
ええ。
ありがとうございます。
ありがとうございました。
それじゃあまた。
(パトカーのサイレン)あちらです。
どうぞ。
ガイシャは世田谷区大山6丁目に住む北永恵利35歳。
であの赤い車がガイシャ所有の車です。
実はこのガイシャ先日真希子と会っていました。
小村真希子と?親しい間柄だと言ってましたが…。
これは…?
(国代)「大田区住居侵入殺人事件」!?ええっ?
(国代)今回15年前の沼田の事件を追いドキュメント本を出そうとしていたようです。
そうなると繋がってるな。
沼田が殺され今度は沼田の15年前の事件を追っていた恵利が殺された。
犯行の手口も同じです。
まずは同一犯で間違いないかと。
共犯者だ。
恵利も15年前の事件を追ううち共犯者に気づいたのかもしれない。
もう一度鴻上を当たってきます。
鴻上さんよろしいですか?フリーライターの北永恵利さんが何者かに殺害されました。
北永恵利さんご存じですよね?場所変えてお話よろしいですか?ここで結構です。
では鴻上さんあなたは半年前まで北永恵利さんと付き合ってらした。
ええ。
検視官の話では恵利さんが死亡したのはその時刻どちらにいらっしゃいましたか?つまり7時以降のあなたの行動を証明する人はええ。
15年前久江さんと一緒に居酒屋へ行かれてますね。
それはまたどうしてです?沼田が逮捕されたあとあなたは何度か久江さんとお会いになってる。
沼田から妊娠していた久江さんの事を頼むとなんの話ですか?
(携帯電話)はいもしもし東山。
えっ…あっ藤井さん。
目撃者が出ました。
(藤井)「沼田が殺された12日午後2時頃」鞆の浦で沼田と鴻上が会っているのが目撃されています。
15年前の事件であなたは沼田の共犯者だった。
だから沼田に強請られそれで広島で会い…。
違う!目撃者が出ました。
改めてお話を伺わなければなりません。
警視庁のほうに同行願えますか?断る。
その情報は見間違いだ。
私は広島で沼田に会っていない。
(ため息)仕事の邪魔をしないでくれ。
沼田と北永恵利を殺した証拠がどこにある?あるならこの場で逮捕しろ!
(鴻上)聴取には応じない。
沼田との事はいつか話そうと思ってた。
どういう事なの?俺に付き合う資格がないのはわかってた。
でも会ううちにどんどん君の事が好きになって自分でもどうしようもなかったんだ…。
罪滅ぼしの気持ちもあったかもしれない。
でも君を本当に幸せにしたい。
何が罪滅ぼしよ…。
私はあなたを許さない。
許せない!すまない。
でもこれだけは…。
沼田も恵利も俺は殺していない。
あなたの事が好きです。
(国代)先輩無駄ですよ。
証拠は何もないんです。
鴻上をつけたとこで…。
先輩?危ない!止まれ!
(国代)大丈夫ですか!?鴻上が襲われた?幸いけがは軽傷で命に別条はありません。
鴻上を襲った車は今東山たちが調べています。
鴻上が襲われた…。
(女性のうめき声)おーいおーいおーい…!
(クラクション)おお…ゲッツ!危ないでしょうが!
(女性)産まれそう…。
何?どうした?ああ痛い…!病院まで!病院!?お願いします!どうしたのどうしたの?
(野村)どちらまで?病院!病院!病院!赤ちゃん?お産?急いでください!はいはいわかりました。
急いで急いで。
はい!
(女性)痛い…!
(野村)落ち着いて落ち着いて。
はい頑張ってください。
(野村)はい頼みますよ。
ああ…ああ痛い…!急いで。
(野村)お金お金!お金お金!
(野村)はいはい…。
「ありがとう」のひと言もなしですか。
(鴻上)これで私が犯人ではない事がわかったでしょう?沼田と北永恵利を殺したのは他にいるんです。
その人物が私を…。
あなたを襲った車なんですがナンバーから持ち主がわかりました。
鴻上さんあなたの車です。
そんなバカな…。
現場に残ったタイヤ痕と照合した結果合致しました。
あなたは誰か知人に頼んでわざと自分を襲わせた。
その相手は誰です?15年前の事は話してくれますね?あなたは沼田の共犯者だった。
はい。
戻れ。
ライターを置き忘れた。
危険ですよ。
いやまだ10分しか経ってない。
戻れ!久江を頼む。
久江の腹の中には子供がいるんだ。
俺がもしもの時にはこの金久江に渡してくれ。
頼む!結局沼田と別れる決心をしたんです。
出所した沼田は久江やあなたを許す事は出来なかった。
それであなたは沼田と会いとりあえず手持ちの5万円を渡した。
でもそれで済むはずがない。
死んだ沼田の財布に30万円が入っていました。
沼田から会社に電話があって仕事で福山に行くと言うと鞆の浦で会おうと言われて2時頃沼田と会いました。
30万あります。
これで勘弁してください。
金はなんとでもなるさ。
嘘つくんじゃないよ。
また沼田は脅してくるに違いない。
そう思ったあんたは沼田と一緒に道の駅に行き沼田を殺した。
違います。
一昨日北永恵利を殺したのもあなただ。
違う!私はこの15年沼田の共犯だった事を悔いて必死に真面目に生きてきたんだ!それを棒に振るような事はしない!沼田も恵利も私は殺していません。
(鴻上)私は事件に関係ないんだ。
夜明さん俺ねタクシーの運転手を辞めようと思ってるの。
ん?俺ね人を信じたいのよ。
人を信じられなくなったらタクシーの運転手は…。
俺この間道の駅っていうの行ってさその時ふと思ったんだけど人生にも道の駅って必要なんじゃないかなって思って。
道の駅?疲れた時は少し休んだほうがいい。
これからの事ももうちょっと時間かけて考えたほうがいいんじゃないの?ごちそうさま。
あっ先輩。
ほい。
なのに沼田をやってないっていうのは…。
通りません。
鴻上は殺人に関しては否認していますが…。
鴻上襲われた事なんか言ってるの?まあ車の事もそうなんですが一つ引っかかります。
何?沼田が鴻上に無心した金少ないと思いませんか?30万?はい。
久江を殺し沼田は逃走資金が必要だったはずです。
それなのに30万というのは…。
でもそれは鴻上が言ってたじゃないですか。
沼田は「金はなんとでもなる」。
笑ってたって。
沼田は鴻上から何回でもむしり取る気でいたんですよ。
確かに15年前も共犯でしたし自分を車で襲わせるなんて手の込んだ芝居までしています。
沼田と恵利を殺したのは鴻上で間違いないと思います。
そうだな。
あとは鴻上の完落ち待ちか。
見落としたものがわかってよかった。
あとは事件が解決して本当によかった。
気に入らないんですよ…。
また始まったよ…。
何言ってるんですか。
本当は夜明さんだって気になってるはずです。
何が?車で鴻上を襲った人物は誰なのか。
仮にです。
鴻上の命を狙った人物がいるんならその人物が沼田と恵利を殺した可能性もあります。
真希子さんだっていうのか?私はどうも彼女の事が引っかかるんです。
解剖の結果恵利の死亡推定時刻は17日の午後7時半から10時半の間です。
真希子はその日ホテルでの講演を終えたあと夜明さんのタクシーで帰宅したそうですね。
(夜明の声)そう。
自宅に着いたのが夕方の6時半。
その後ずっと部屋にいたといいますから真希子にアリバイはありません。
じゃあ何?ああ…はい。
でもじゃあ鴻上を車で襲ったのは誰なのか?じゃあ真希子さんは鴻上が共犯だって事を知ってて沼田と同じように鴻上を襲ったっていうの?そうは言いません。
むしろ逆です。
私なりに15年前の捜査資料を改めて読み返してみました。
空き巣に入っての殺人。
事件そのものは単純でしたが捜査の中で1つだけ気になるものがありました。
被害者側の小村家の事情です。
小村宏夫は向島の帆布会社を潰し一家で東京へ出てきた。
最初はうまくいっていたものの起こした会社が倒産して妻の秀子が病死してからは…。
その話俺も真希子さんから聞いた。
真希子は父親を恨んでいた。
つまり小村が殺されても復讐は考えないんじゃないかと。
言ってる意味がわかんないよ。
ただその事が事件と繋がってるように思えてならないんですよ。
夜明さんひょっとして15年前の事件には共犯者以外にも何か見落としてるものがあるんじゃないでしょうか?共犯者だけで十分だよ。
鴻上は沼田の共犯だった。
その事実を俺は見逃した。
どんな刑事だって見逃しはありますよ。
見落とした時はまた真実を追えばいいんですよ。
東山も必死になって頑張ってます。
(ため息)俺にはそれが出来ないから言ってんだろ。
これは恵利が書いていた原稿です。
服役していた沼田から聞き書きしたもので15年前沼田が供述した内容とほぼ同じですがこの中に事件を解くヒントがあるのかもしれない。
夜明さんなら見つけられるかもしれません。
夜明さんは刑事を辞めるべきじゃなかった。
(あゆみ)はい頼まれた本。
どうしたの?急に。
小村先生の本読みたいなんて。
真希子さん送っていく事になってそれまでに読んどこうかなって。
へえ〜!返すのいつでもいいからね。
その代わりケーキ3個ね。
どれにしようかな〜。
あゆみ真希子さんの小説ってみんなさ父と娘の話だって言ってたよね。
そう。
父を思う娘の心情が細やかに描かれてるの。
まるで私のよう。
バカ言ってろ本当…。
ヘヘヘ…バレてる?…あら?あっごめん。
写真挟んでたんだ。
この間話したでしょ。
私が働いてる本屋で先月真希子さんがサイン会したの。
その時の写真。
どうかした?いやいや…。
すいませーん。
トワドショコラとフレジェとレアチーズお願いしまーす。
沼田が出所していた事は知りませんし会ってもいません。
真希子さんは沼田と会ってる
沼田のほうから近づいた
なぜだ?
沼田はなんの目的で真希子さんに…
車の事もそうなんですが沼田が鴻上に無心した金少ないと思いませんか?
鴻上の車で鴻上を襲ったのは誰なのか?
待ちました?いや。
ひょっとして15年前の事件には共犯者以外にも何か見落としてるものがあるんじゃないでしょうか?共犯者…。
東山鴻上は落ちたか?いえそれがまだ…。
そこに広島県警の藤井さんいるか?頼みたい事がある。
はい。
夜明さん?あの藤井さんちょっと…。
はい…。
はいわかりました。
(クラクション)おはようございます。
おはようございます。
ありがとうございます。
そのあと何か?彼は大丈夫です。
もうすぐ殺人の嫌疑晴れると思います。
そうですか。
あっ藤井さん?どうでした?わかりました?ありがとうございます。
鴻上自分の車のキー誰に貸したか頑として言わないそうです。
どうして自分を襲った人間を守りたいんですかね?真希子さん鴻上の車で鴻上を襲ったのはあなたでしょ?どうして鴻上を襲ったか…守りたかったから。
警察に疑われてる鴻上を守りたかったから。
違います?危ない!だから鴻上が軽傷で済むように襲った。
鴻上が襲われれば鴻上以外に犯人がいる事になる。
夜明さん…。
愛し合ってる者同士じゃなきゃ出来ません。
先月沼田に会いましたよね?沼田は出所してきてあなたが小説家になったという事を知った。
そしてあなたのサイン会に来ています。
どうして沼田がこういう行動をとったのか北永恵利の原稿にそのヒントがありました。
北永恵利は15年前のあの事件をどうしてもドキュメントの本にしたくて沼田に会いに刑務所に何度も面会に出かけた。
そして彼が聞いた事で私が気になったのは…。
夜明さん。
ここです。
「ライターを置き忘れたことに気づいて小村家に戻った」「すると小村宏夫さんはまだ息があった」「ライターを手にすぐにも立ち去ろうと」
(沼田)ふんっ…!うう…。
「さっきは割れてなかったように思ったが思い違いだろう」「小村さんと揉み合いになった時割れたのだ」取り調べの時に沼田は話さなかった。
恵利と何度か会って話しているうちに沼田はグラスの事を思い出したんでしょう。
じゃあ割れてなかったグラスはどうして割れたのか…。
おっしゃってる意味が…。
あなたはあの時気絶なんかしてなかった。
2階に来た沼田が部屋を出たあとあなたは気を失ったと言った。
でもそうじゃなかった。
沼田が家を出たあとあなたは1階に下りた。
しかしあなたは警察に電話する事も救急車を呼ぶ事もしなかった。
そして10分後沼田が戻ってきた。
(グラスが割れる音)グラスを割る事が出来たのは家にいたあなただけです。
やめてください。
そんな事あるはずないじゃないですか!確かに私は父を恨んでいました。
でもたとえ恨んでいたとしても見殺しにするなんて…。
沼田も同じ事に気がついた。
共犯者は鴻上だけじゃなくてもう一人いた。
サイン会に現れたのはあなたを脅迫するためです。
沼田を殺したのは真希子さんあなたでしょ?証拠があるんですか?私が沼田を殺した証拠が。
沼田が殺された時私は夜明さんのタクシーに…。
アリバイは崩せます。
沼田が殺された12日あなたは墓参を終えて住職さんに会いに行くと言って出かけられた。
確認しました。
住職さんあなたと会ってたのは5分ぐらいだと。
つまり3時から3時半の間あなたはどこで何してたんですか?沼田が殺されたのはお墓の近くだと思ってます。
お寺に捜索が入れば血痕とかなんかの証拠が見つかるでしょう。
ただ今は物証がなんにもありません。
あなたの心情に訴えるだけです。
(真希子)これを私に?夜明さん…。
そのあと打ち合わせで何度か会っているうちに鴻上さんといると心が安らぐのを感じて付き合うようになりました。
あなたの事が好きです。
(真希子の声)だから15年前の事件に関わっていたと知った時はショックでした。
私はあなたを許さない。
許せない!それでも鴻上さんを愛してた。
鴻上さんを助けたいと思いました。
私は鴻上さんから車のキーを借りて…。
先月沼田がサイン会に現れた時は驚きました。
(真希子の声)沼田はいきなりこう言ったんです。
(沼田)あんたも共犯者だったとはなぁ。
わかったんだよ。
あんたが親父さんを見殺しにした事が。
なんの話です?15年前あんたの親父さんから聞いた事を思い出したんだよ。
女房が死んでからというもの娘は俺と口を利こうともしない。
悪いのはこの俺だ。
真希子に恨まれても仕方がないんだ。
(沼田)それで割れてたグラスの謎が読めた。
あんたあの時警察に電話をしなかった。
電話をしていれば10分の間に警察が来たはずだ。
救急車を呼べば親父さんは助かったかもしれない。
そうしたら俺はとどめをさす事はしなかった。
15年も懲役をくらう事はなかったんだよ!あんたも俺と同罪なんだよ。
この事世間にバラされたらまずいでしょ?なんといってもあんたは売れっ子の小説家だ。
そのあんたが15年前父親を見殺しにしたとわかったらあんた終わりだ。
(真希子の声)沼田は2000万用意しろと言いました。
沼田は久江さんを殺害して逃走資金が必要だった。
そんな大金すぐには用意出来ない。
どうすればいいのか迷いました。
でもしばらくして沼田からもう待てないと電話があって…。
広島で金を渡すからって沼田を尾道に呼び出した。
それで沼田を…。
30分ほどで戻りますのでタクシーで待っててもらえますか?はい。
(真希子の声)ご住職に会ったあと私は墓地の近くで待たせた沼田のもとへ行って…。
いいえ。
金は持ってきたんだろうな?足りなくなったらまた連絡するよ。
(刺す音)うっ…。
(真希子の声)死体は夜どこかに埋めようと思いました。
(真希子の声)その時ある考えが浮かびました。
沼田が食べたものを道の駅で買った事にすれば死亡推定時刻はごまかせる。
防犯カメラの事もその時聞いたんでしょ?そうです。
防犯設備はどうなってますか?例えば防犯カメラとか。
ああ…それがまだ設置していないんですよ。
ありがとうございます。
沼田のもとへ戻って…。
今度は恵利が脅迫してきた。
沼田と同じ事に気がついたんでしょう。
殺すつもりなんかなかったんです!夜明さんに自宅まで送ってもらったあのあと…。
私沼田がどうして殺されたのかずっと考えてたの。
沼田は誰かを脅してたんじゃないか。
その人物に殺されたんじゃないかって。
(恵利)沼田を殺したのはあなたなんでしょ?白状しなさいよ。
15年前あなたは実の父親が息があるのをまだ知りながら沼田はその事を知ってあなたを脅した。
お話の意味が私には…。
鴻上さんはあんたなんかに渡さない。
やめてください。
あんたの化けの皮剥がしてやる!
(真希子)お願い!北永さんやめて!お願い!やめて!
(刺す音)
(汽笛)15年前あなたが警察に電話してたらこんな事にならなかった。
あの時お父さん20万っていうお金を守るために必死になって沼田と争って亡くなった。
お父さんなんとか立ち直ろうとしてた。
やり直そうとしてた。
その事あなたもわかってたでしょ?夜明さんあの時私は本当に気を失ったんです。
でもすぐに意識が戻って沼田がいない事を確かめてから私はすぐに1階に下りました。
(真希子)お父さん!真希子…電話はいい。
こっちに来てくれ。
俺は母さんのとこへ行くよ。
すまない…。
お父さん…。
(小村)真希子…。
すまなかった…許してくれ…。
お父さん!
(玄関の開く音)
(グラスが割れる音)
(真希子の声)どうしようもなかったんです。
隠れろ…!
(真希子の声)どうする事も…。
結局私はそれは私の中に父を恨む気持ちがあったからです。
東京になんか行かなければ…。
私は今も父を恨んでいます。
私は今でも…。
あなたのベストセラー『凪』読みました。
娘の父親に対する情愛が溢れてる。
それはあくまでも小説の中の世界で…。
違います。
あなたお父さんを救えなかった事後悔してる。
だから小説を書き続けた。
この帆布で作ったバッグお父さん帆布工場をやめたあとも帆布に対する愛着があった。
だからこのバッグをあなたに…。
違います!私が小説を書き続けてるのもこのバッグを持ってるのも父への恨みを忘れないためです!あなた帆布工場で
(帆布を織る音)あなたは瀬戸内の海もふるさとも捨て切る事が出来なかった。
15年前お父さんが亡くなったのはある意味では仕方のない事です。
しかしあなたは自分が見殺したせいだって自分を責め続けた。
お父さんを恨んでるって言い続けた。
15年もう十分苦しんだでしょ?もう自分を責めるのはやめてください。
自分に正直になってください。
あなたにとって一番大切なものは家族。
一番好きな人はお父さん。
真希子船が見えるか?うん見える!
(汽笛)
(汽笛)あなたは道を間違えた。
だが人生一方通行です。
後戻り出来ません。
けどこれから歩く道は真っすぐ正しい道を歩いてください。
(パトカーのサイレン)
(パトカーのサイレン)
(汽笛)見落としたものを全て取り戻したか…。
運転手さんのおかげで無事に赤ちゃんを授かりました。
この間のお客さん?いやいやいやそうですか。
本当にありがとうございました!
(野村)いやいやいやいや…。
ねえ男の子?女の子?
(女性)ありがとうございます。
いやぁわざわざ…。
(女性)女の子!女の子なんです。
(野村)病院で…ほら僕が送った。
わざわざあいさつに…。
(女性)ありがとうございます!確かこの辺に本屋あったな。
本でも買って頭きれいにしよう。
いやいやいや…あの…服じゃなくて本。
たまにはさかわいい娘に服買ってあげようかなって思わない?全然思わない。
だったら焼き肉!たまにはかわいい娘に贅沢な食事をさ…。
何がかわいい娘だよ。
親に心配ばっかりかけて。
老化防止。
これが何よりの親孝行でしょう。
よし!じゃあ焼き肉にゴー!あゆみお願い。
いいか?5人前以上絶対食うなよ!食うなよ!
(二宮早紀)また赤い傘…。
やめてください!
(島貫千尋)とっくに捨てたわよ!
(木下良江)女の姉妹は難しいわ。
(友部信也)物騒な事件が起きたもんですよ。
(速水隆夫)43…。
(七海)「てるてる坊主てる坊主」明日も横浜は雨…。
(二宮一馬)お前らしいな。
始めます。
(悲鳴)
(東圭太)殺されたこの女はどこからかミズキアキコという名前を手に入れたんですよ。
(清水涼子)事件当夜のアリバイがあります。
(戸田沙織)私本当に何もしてません。
(高村順一郎)事件の裏にあるのは結婚詐欺だ。
2014/10/11(土) 21:00〜23:06
ABCテレビ1
土曜ワイド劇場「タクシードライバーの推理日誌」[デ][解][字]
分かれ道の乗客、瀬戸内尾道〜“道の駅”連続殺人!!一個2千万!?犯人が食べたモミジ饅頭の謎
詳細情報
◇番組内容
渡瀬恒彦主演の人気シリーズ第35作!殺人事件の被害者の娘と20年ぶりに再会した、夜明。だが、彼女の父を殺した男が死体になって見つかり…!!広島・尾道で大ロケーション!!
◇出演者
渡瀬恒彦、平田満、釈由美子、河相我聞、遊井亮子、川野太郎、宇梶剛士、風見しんご、小林健、正名僕蔵
◇スタッフ
【原作】笹沢佐保
【脚本】坂田義和
【音楽】長谷部徹
【監督】吉田啓一郎
◇おしらせ
☆番組HP
http://www.tv-asahi.co.jp/dwide/
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
福祉 – 音声解説
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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日本語
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