(智子)
これは私が数年前に体験した出来事です
それは部活の帰り道でのことでした
(智子)うっそー。
絶対カッコイイってば。
いいな〜。
千尋?千尋!どうしたの?
(千尋)何でもない。
何でもないよ。
(智子)千尋!
(智子)ちょっと待ってよ。
あれ?江里。
(江里)ハァハァ…。
(智子)どうしたの?
(江里)ハァハァ…2人ともどこ通ってきたの?
(智子)どこって…学校から真っすぐ来たけど?
(江里)墓地は?通ったよ。
ねえ?私…見たの…。
見たって…何を?女の人?そう…いた。
それに…普通じゃなかったの。
でも私たちが通ったときは誰もいなかったけど。
ね?ごめん。
私も見た。
(智子)えっ!?
千尋は墓地の前を通ったとき見たのだそうです
そう!その人よ!でその人がどうしたっていうのよ?違うの!ねえ千尋。
あれ…見た?
2人が見たものはそれだけではありませんでした
(翔太郎)
これは2年前彼女とドライブしていたときに体験した出来事です
(夏海)ええー?そうかなー?
(翔太郎)いやだってもうすごかったよ。
引きとか。
もう何だろう…。
もうこんなん。
(夏海)それ大げさ過ぎ。
付き合い始めて間もなかった僕たちですが共通の趣味が釣りということもありその日は彼女の車で川釣りに出掛けたのです
その帰り道でのことでした
最初は具合でも悪いのかと思ったのですが…
(翔太郎)あっ…。
今の見た!?夏海?
(夏海)ああ…。
えっ?大丈夫?何か急に眠くなってきた。
(翔太郎)ええっ!?ごめん。
仮眠とらせて。
はっ!?おい。
おいちょっと!夏海!
よりによってこんな所でとは思いましたが当時の僕はまだ免許もなくドライバーに眠られてはどうすることもできないのです
(夏海)ううう…。
夏海?
(夏海)ううう…。
(翔太郎)夏海?
(夏海)うわーっ!大丈夫?
(夏海)あれ?女の人は?
(翔太郎)女の人?夢か…。
何だよそれ…。
(翔太郎)おい。
夏海。
夏海!
どういうわけか彼女はまったく起きる気配がありません
このままというわけにもいかず運転できる友達に来てもらおうと思ったのですが…
気味は悪かったのですが…
えっ?マジかよ…。
(ノック)
(翔太郎)すいません!すいません。
あの…。
電話をお借りしたいんですけど。
(翔太郎)すいませーん。
・
(物音)あのすいません。
電話をお借りしたいんですけど。
・
(物音)・
(物音)
(翔太郎)あの申し訳ないんですけど電話をお借りできないでしょうか?・
(足音)あの…。
(女性)あああ…。
あああ…。
あああ…。
あああ…。
あああ…。
うん!?
(女性)あああ…。
あああ…。
あああ…。
あああ…。
(女性)あああ…。
あああ…。
おい!夏海!夏海!おい!
(夏海)うう…。
うう…。
(翔太郎)夏海?来ないで。
(翔太郎)えっ!?
(夏海)こっちへ来ないで。
(翔太郎)はっ!?女の人が…。
女の人が近づいてくる!女の人が!女の人が!
(翔太郎)分かってるよ!だから早く起きろっつってんだろ!
(夏海)ううっ…。
女の人が来る!いいかげんにしろ!痛っ…。
どうしたの?いいから早く車出して!早く!
(夏海)何そんなに興奮してんの?だから夏海が寝ちゃったから!携帯もつながんないし!公衆電話も100円入れてもつながんないし!だからあの屋敷に行って!そしたら女の人が追ってきて!でかいんだ!首がないんだよ!ヤバいよ。
逃げないと。
女の人が追ってくんだよ!何言ってんの?女って?えっ?もうー。
何騒いでんのよ?だって首のない女が…。
夏海もさっき「女の人が」って。
わたしが?フフッ。
翔太郎が寝ぼけてたんじゃないの?帰ろっか。
(エンジンをかける音)キャーッ!
(翔太郎)ウォーッ!
その後は一目散に山を下りました
(夏海)ハッ!?何!?これ…。
そして帰宅したとき車体には…
(千咲)
その年私は憧れだった都会の大学に合格して下宿での生活を始めることになりました
(千咲)あ…こんにちは。
よろしくお願いします。
こちらこそ。
さあどうぞどうぞ。
(千咲)はい。
失礼します。
(大家)あっ1つ持ちましょう。
(千咲)すいません。
ごく普通の下宿だと思っていたのですが…
(大家)あなたのお部屋はねあそこよ。
(大家)さあどうぞ。
・
(救急車のサイレン)・
(救急車のサイレン)どうしたの?近くみたいですね。
ああすぐそこが救急病院だからしょっちゅうなのよ。
最初はうるさいかもしれないけどすぐ慣れるから。
(千咲)はい。
(大家)さあどうぞ。
荷物置いたら下の食堂に来てね。
(千咲)はい分かりました。
気のせいか。
私はまさかそれが幽霊だとは思いもしませんでした
でも背筋も凍るような体験は確かにそのときから始まっていたのです
・
(救急車のサイレン)嘘もうこんな時間。
ハァ…後はあしたにしよっと。
・
(救急車のサイレン)
下宿で迎えた最初の夜のことです
頻繁に聞こえる救急車のサイレンに私はなかなか寝付けませんでした
・
(救急車のサイレン)・
(壁をたたく音)
(壁をたたく音)・
(壁をたたく音)こんな時間に?
(壁をたたく音)・
(壁をたたく音)はい。
(壁をたたく音)
(壁をたたく音)
(壁をたたく音)
(壁をたたく音)
(ドアの閉まる音)・
(壁をたたく音)
(壁をたたく音)・
(壁をたたく音)
そのとき感じました
(壁をたたく音)
壁をたたいているのは外からではなく部屋の中からだと
(壁をたたく音)
でもそんなことは信じられず
(壁をたたく音)
いったい何なのか私には理解できませんでした
次の日私より1週間早く引っ越してきていた伊藤先輩にそれとなく聞いてみました
(佳奈)壁をたたく音?別にそんなの聞こえなかったけど。
そうですか…。
あっいえ。
慣れない所で寝たから何かと勘違いしたのかも。
変なこと言ってすいません。
いただきます。
何か見たの?えっ?見たんでしょ?あなたがまだ越してくる前夜中に部屋の前通ったんだけどさ。
・
(ドアのきしむ音)
(ドアのきしむ音)
(佳奈)まだ誰もいないはずだからおかしいなと思って…。
(佳奈)あなたも見たんじゃない?やっぱり。
子供じゃないですけど。
えっじゃあ子供の他にもいるってこと?いるって?
(佳奈)あれだよ。
あれ?幽霊。
間違いないよ。
ここ病院近いからしょっちゅう救急車通るしあの音もすっごい嫌なんだよね。
でも幽霊なんて…。
・
(救急車のサイレン)絶対そうだよ。
あの部屋何かあるよ。
私はそれでもまだ信じていませんでした
幽霊なんかいるはずないって
でも…
・
(救急車のサイレン)・
(救急車のサイレン)また…。
ハァ…。
・
(救急車のサイレン)・
(救急車のサイレン)ハァ…。
(悲鳴)
(章子)
私が不思議な体験をしたのは今から25年前
この家での出来事です
(安江)よいしょ。
(慎一)ほら。
(安江)うーん。
(慎一)うーんいいね。
(章子)パパ。
(慎一)うん?私何だかこのうち嫌だ。
(慎一)何言ってんだよ。
今日からここがお前のうちなんだよ。
(慎一)よし。
気を付けてよ。
(安江)気を付けな。
よいしょ。
(慎一)いい感じじゃないね。
うん。
(安江)まあぜいたくは言えないわね。
(慎一)暗いな。
よし!雨戸雨戸っとよいしょ。
ある夜のことです
(声)
(声)
「大人は眠っていても話をすることができるんだな」
当時の私はそう思いました
(声)
隣に寝ている両親を起こそうと思っても声が出ません
夜ねあそこにいたの。
(安江)何なの夢の話?違うから!もう。
(安江)はいはい。
母は私の話を気にも掛けませんでしたが
この家で暮らす間それは毎日現れることになります
(慎一)おやすみ。
(安江)おやすみ。
(章子)ホントだよ。
本当に…。
(安江)分かった分かった。
じゃあ今夜はずーっと起きていてあげるからねっ。
おやすみなさい。
そうは言うもののそれが現れる時間になると母はぐっすりと眠り込んでしまうのです
(声)
その声は次第にはっきりと聞こえるようになりました
(章子)ママ。
ママ。
(声)
(安江)それもお願い。
しばらくそんなことが続くと私も慣れてきたようです
(慎一)うん?おっ今日はシャケか。
母にその存在を訴えることもなくなりました
(慎一)ああ。
おなかすいた。
(声)あっ!ああっ!
(慎一)章子!
(安江)ああっ。
ああっ。
それに会うのはその日が最後でした
章子行くぞ!うわっ寒い。
(安江)行こう。
行くわよ。
大丈夫?
数日後私たち家族はその家を引き払いました
あの大勢の話し声はいったい何だったのでしょう
(声)
そして私をどこに連れていこうとしたのでしょうか
(弘)
去年の夏暑いさなかの出来事です
(弘)うん。
えっ?いや。
だから違うって。
はっ?俺が?そんな電話してないよ。
とにかく変更なんだよ全部!
(弘)えっ?それを何とかすんのがお前の仕事だろ!バカたれが!
(はるか)ちゃんとかまないと消化に悪いよ。
仕事大変なの?
(弘)ばたばただよ。
ツアーまで1週間切ってんのに。
あっ。
ウエートレスさんすいません。
(ウエートレス)はい。
(弘)これ下げちゃってください。
あとセットのコーヒーお願いします。
(ウエートレス)かしこまりました。
そっか。
じゃあ休めるときに休まないとね。
(弘)うん。
あのね弘。
実は大事な話があるんだけど…。
(弘)もしもし。
お疲れさまです。
そうですか。
分かりました。
では追って連絡しますので。
はい。
失礼します。
いや。
もう参ったよ。
あれ?コーヒーまだ来てないの?あのすいません。
(ウエートレス)はい。
コーヒーまだですか?
(ウエートレス)えっ?だからさっき頼んだじゃないですか。
あっ。
でもその後いらっしゃってキャンセルされましたよね?えっ?いや。
とにかく早く持ってきてください。
時間ないんで。
このときはまだあまり気にしてなかったのですが
(弘)はいもしもし。
どうもどうも。
今ちょうど連絡しようと思ってたんですよ。
あっはい!すぐに確認します。
・
(食器の当たる音)母さんまだ起きてたんだ。
(優子)えっ?
(弘)晩飯残ってる?腹減っちった。
(優子)何言ってんの?
(弘)何って?
(優子)また食べんの?
(弘)えっ?
(優子)今食べたばっかりじゃない。
(弘)はっ!?
(優子)そこで食べてたじゃない。
今の今まで。
何言ってんの?
(優子)えっ?
(弘)えっ?
(優子)大丈夫?最近ちょっと疲れてんじゃない?まあこのご時世に忙しいのはありがたいけどね。
お父さんみたいに体壊して早死にしたんじゃ元も子もなくなっちゃうわよ。
確かに最近おかしなことが続いていました
まるで僕の知らないところでもう一人の自分が存在しているような
(長山)石川。
ロンドン観光の件についてもっと詳しく教えてくれ。
おい石川。
石川!えっ?
(長山)えっ?…じゃなくて!ロンドン観光の件について詳しく教えてくれって聞いてるんだよ!
(弘)あっ。
すいません!しっかりしろよ!
(弘)すいません。
それから数日後
僕は大変なミスをしてしまいました
(弘)すいません。
ごめんなさい!
課長と一緒に得意先に行くことになっていたにもかかわらず寝坊してしまったのです
・
(長山)おい!石川。
今日はお前のおかげで助かったよ。
はい?
(長山)先方さんもあんなに喜んでくれたしさ。
いや正直あの部長は大変厳しい人だから心配してたんだよ。
でもお前はやっぱりできる人間だったね。
いや。
俺の目に狂いはなかった。
昼間見たあれはいったい何だったのでしょうか?
本当にもう一人の自分が存在し僕の知らないところで勝手な行動を繰り返しているのでしょうか?
(優子)ホントに?大丈夫なの?
(優子)最近頑張り過ぎてるからじゃないの?次の休みに病院で診てもらった方がいいんじゃない。
(優子)健康が一番なんだから。
取り返しのつかないことになったらどうするのよ?早い方がいいわよ。
じゃあまた。
母さん。
(優子)あーびっくりした。
早かったのね。
今ね青森のおばちゃんと話してたの。
どうかした?いや。
何でもない。
お茶でも入れよっか。
(弘)うん。
(優子)だけど久しぶりに会ったらすっかり奇麗になってて。
(弘)誰が?
(優子)はるかちゃんに決まってるじゃない。
あっ。
はるかに会ったんだ。
(優子)何言ってんの?あんたもようやく結婚決めてくれて母さんほっとしちゃった。
ちょっと。
何言ってんの?えっ?さっきあんたはるかちゃん連れてきて結婚しますって言ったばかりじゃない。
母によるとついさっきまでここに僕とはるかがいたそうなのです
そして3人で結婚について話した後僕ははるかを駅に送りに行くと家を出たというのですが
どういうこと?
(弘)だから!昨日お前が会ってたのは俺じゃないの!
(はるか)えっ?だってわたし弘と一緒に…。
いや。
だから昨日お前が俺んち行ったかもしんないけど俺は行ってないの。
だってちゃんとお母さんの前で言ってくれたじゃない。
結婚しようって。
(弘)言ってないよそんなこと。
(はるか)えっ?
(弘)だからさ!どうして?
(弘)えっ!?どうしてそんなこと言うの?結婚したくないならはっきりそう言ってくれればいいじゃない。
いや。
そういうこと言いたいんじゃなくて。
じゃあどういうこと?わたしのことバカにしてんの?いや。
だからそういうことじゃなくて結婚はしたいんだけど!
(はるか)訳分かんない。
もう泣くなよ!
何を言ったところで信じてもらえるはずもなく全てはあいつのせいでした
おい!何で俺に成り済ますんだよ?お前いったい誰なんだよ!
(優子)どうしたの?こんなとこで寝てたら風邪ひいちゃうわよ。
その後ももう一人の自分は知らないところで姿を現しているようでした
(弘)俺が?そんなこと言ったっけ?そうだっけ?うん。
分かった。
じゃあ悪いけどそっちでやっといてよ。
気が付くと引き寄せられるようにここにやって来ていたのです
(住職)ちょっと寄っていくかね?
(住職)さあ入って入って。
(弘)あのう。
(住職)えっ?ここで働かせてもらえませんか?
(住職)はっ?
そんなことは思ってもなかったのに口をついて出てしまったのです
さてそれはどちらが希望しているのかな?
(弘)えっ?
(住職)ああ。
まあまあ。
さあここへ座りなさい。
あなた少し過敏なようだ。
よくここまでやってきたね。
その言葉の意味はあんまり理解できませんでしたが…
(読経)
住職さんが読んでくれたお経はとても心地いいものでした
さあ。
もう大丈夫だよ。
つき物が落ちたような感覚とともにちょっとさみしいような不思議な気持ちになりました
その後月日は流れ…
僕は転職しました
給料は下がりましたが時間にはゆとりができ以前よりも落ち着いた生活を送っています
・お待たせ。
あれ以来もう一人の自分が姿を現すことはなくなりました
(男性)ああ。
例のプレゼンあしたになったから。
ああ。
準備の方伝えといて。
いや。
そこを間に合わせるのがお前らの仕事だろう。
今にして思うともう一人の自分が現れたのは忙し過ぎて本来の自分を見失っていた僕への警告だったのかもしれません
2014/10/10(金) 15:53〜16:48
関西テレビ1
ほんとにあった怖い話 2014年傑作選[字]
『墓地の女』竹田侑美 『顔の道』佐藤健 『真夜中のサイレン』上原美佐 『幻燈の下で』山田夏海 『憑く男』上地雄輔
詳細情報
番組内容
『幻燈の下で』今から25年前、当時幼かった章子(山田夏海)は、両親とともに古びた家に引っ越した。ある夜、章子は、どこからか人の話し声のような音で目を覚ました。章子は、隣で横になっている母親や父親に目をやるが、ふたりとも熟睡していた。寝ている両親を起こそうとしても声が出ない章子。母親の頭上あたりの畳に、影が伸びていた。章子が、その影の方向に振り向くと・・・。
番組内容2
他、『墓地の女』『顔の道』『真夜中のサイレン』『憑く男』をお送りします。
出演者
『墓地の女』
竹田侑美
ほか
『顔の道』
佐藤健
ほか
『真夜中のサイレン』
上原美佐
ほか
『幻燈の下で』
山田夏海
ほか
『憑く男』
上地雄輔
ほか
スタッフ
【原作】
「ほんとにあった怖い話」朝日ソノラマ刊 【脚本】
佐藤太喜
ほか
【演出】
鶴田法男
ほか
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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