(テーマ音楽)皆さんの毎日の健康に役立つ確かな情報をお伝え致します。
「きょうの健康」です。
今週はこちら。
乳がんというのは日本人の女性に最も多いがんなんです。
ちょっとこちらをご覧下さい。
年齢別に見ますと30代後半から増え始めて40代後半から50代にピークを迎えています。
しかも1980年と比べると大幅に増加しているんです。
大変な増加ですね。
乳がんといいますと去年でしたかハリウッド俳優のアンジェリーナ・ジョリーさんが遺伝子検査の結果を受けて乳がんを発症していないのにあらかじめ予防切除を…。
これびっくりしましたね。
実は乳がんというのは遺伝子研究が非常に進んでいまして診断や治療にも応用されています。
そこで今週は3日間そんな最新の遺伝子研究にも注目しながらご覧のようなテーマでお送りします。
まず今日のテーマはこちら。
このシリーズも専門家をお迎えしております。
分かりやすく教えて頂きましょう。
ご紹介致しましょう。
今日お話を伺うのは…乳腺外科で乳がんの診断や治療がご専門です。
どうぞよろしくお願い致します。
まず今ご覧頂いたこのグラフでびっくりするんですがこんなに乳がんの女性が増えてる。
この背景はどういう事でしょうか?最近は栄養状態が非常によくなって食生活が欧米化してきたという事とそれに伴ってどちらかと言うと肥満傾向が強まる。
そういった事がリスクにつながっているという事ともう一つは画像診断等が進歩して検査によって早期に多くのがんが見つけられるようになったという事が大きいと思います。
早期に見つければ治療成績はよくなっている…?そうですね。
小さく見つければ乳がんの場合10年生存率といいますが95%以上ががんで命を失うような事はないというふうにいわれています。
乳がんの場合もできるだけ早く見つけて早く治療に取りかかるという事が肝心ですよね。
それではお話を進めるにあたって乳がんとはそもそもどういうものなのか。
基礎知識を学んでおきましょう。
久田さん。
はい。
ではこちらで乳がんができる場所について見ていきましょう。
こちらは乳房の断面図です。
乳房には母乳を作る小葉というぶどうの房のような組織と小葉で作られた母乳を乳頭まで運ぶ乳管という細い管があります。
この小葉や乳管にできる悪性の腫瘍が乳がんです。
乳がんが発見されますと手術や放射線薬で治療が行われます。
どの治療をどの順番で組み合わせるかはがんのタイプや進行度によって変わってきます。
この乳がんではよくしこりが触れて気付いたんだという話を耳にしますがしこりとして感じる時は乳がんはどういう状態なんでしょうか?一般的には乳がんは硬くて石のようにゴツゴツしてるように触るんです。
ただしこりの多くは生理の前後で…。
生理前には硬くしこりのように触れるんですけど生理を過ぎると軟らかくなったりとか生理的な変化でしこりのように触れる事は結構多いのであまり過剰に心配する事はないかと…。
しこりはすぐ大変だ悪いものだと思わない方がいい訳ですね?そうです。
しかし乳がんの場合もある訳ですからその大きさ。
しこりとして感じるのか感じないのかというところはどうでしょう?乳がんは割とゆっくりと大きくなってくるタイプのもので1センチの大きさになるまでには実は7年8年かかるといわれています。
ここです。
1センチ。
触って分かるような大きさになるのにはそのぐらいかかってからだんだん見えてくる訳ですが。
これ以降ですよね。
はい。
しかしその一方でしこりとしては感じない潜伏期間というのが7年8年あるという事になります。
この辺まで…。
はい。
分かんない訳ですね。
がんは成長しているんですが…。
ではしこりとして感じる前に発見する事というのはできないんですか?最近は画像診断が進歩しているので5ミリ程度のものでも画像診断で見つける事ができるようになってきています。
5ミリ。
この辺でもう検査で分かるようになってきてるという事ですよね。
さてその検査ですが乳がん検診とよく聞きますが検査はどんな事が行われるんですか?検診には大きく2つありまして一つは自治体の検診でこれは対策型検診といわれますが集団全体の死亡率を下げるためにという事で公的なお金を使って行う検査で40歳以上の人が2年に1度視触診といわれる医師による診断とそれからマンモグラフィーという画像診断を使った検査。
これを定期的に行うというものです。
一方任意型検診というのは希望者が自分でお金を払って行う検査でこの場合は視触診マンモグラフィーに加えて乳腺エコーといわれる超音波検査が行われます。
こちらですよね。
こうやって見ますと自治体の検診には乳腺エコーというのはないですよね。
その辺が違いますがどう考えればいいですか?今こちらにグラフがあるんですがこれはマンモグラフィーで若い方の乳腺特に一番左側は20代の乳腺ですがこの場合は乳腺がまだ発達していてそして脂肪が少ないので乳腺そのものが白く写ってしまってなかなかその中にあるしこりを正確に見つけ出す事が難しいんです。
これ真っ白に確かに見えますね。
この中にしこりがあったとしてもよく分からないという事ですね。
この場合は超音波検査を組み合わせる事によって小さなしこりをより正確に見つけると。
マンモグラフィーでより高齢の方は…。
こちらは60代の乳腺ですが60代の方ですと脂肪に乳腺組織が置き換わっていますので白いしこりができてもすぐに分かると…。
明瞭に分かるという事になります。
そうしますとこちら高齢の方の乳房の場合はマンモグラフィーで分かりやすいけれどもこれで見ますと若い方にはマンモグラフィー検査はあまり向かないという事ですか?そういう事です。
こちらに例がありますが実はこの方はここに乳がんがあるんですがマンモグラフィーでは乳腺全体が白く写ってしまうためにしこりとしてはなかなか捉えられないんですがエコーを撮りますとこのように黒い影としてかなり大きな乳がんがここに潜んでいるという事がよりはっきりと分かる訳です。
この場合はエコーの方が分かりやすいという事ですよね。
そうしますと自治体の40歳以上の方が受けていくという乳がん検診はもちろん受けるとしてそれより若い方というのはこのエコー検査も受けた方がよいという事なんでしょうか?特に40歳未満の方等で乳腺が発達してる方にはエコー検査がお勧めです。
一つ聞いた事があるんですが自治体の検診の受診率が著しく低いんでしょう?そうなんですね。
どのくらいなんですか?我々一生懸命お勧めはしてるんですが残念ながら受診対象者の30%ぐらいにすぎないという事がいわれています。
そうなんですね。
もっと受けてほしいですよね。
またその検診で私も言われた事があるんですが「石灰化があります」と言われる事があるんです。
石灰化というのはどういうものなんでしょうか?もともと乳腺はミルクを作るための臓器なのでミルクはカルシウムでできてますからそのカルシウムが結晶を作ってそれが石灰という形で写るんです。
ところが乳がん細胞があると乳がんというのは活発に増えようとするために中で押しくらまんじゅうをして死んでしまう細胞があってそれが石灰という形でちょうど化石のように出てくる事があります。
ただこちらの石灰は大小さまざまでいびつな形をしてるので我々が見るとこれは怪しい石灰だなという事が分かるんですが全体の大体3割ぐらいの石灰化の人が乳がんを疑うというような形でそれほど全部が乳がんを疑うという訳ではないんです。
「石灰化したとこありますね」と言われたからといってすぐにもう全部が悪いものだという事はもちろんないという事ですね。
3割とおっしゃったその部分については更に詳しく調べていかなきゃいけないという事なんですね。
さて乳がんに特に気を付けた方がいい方。
そういうものがあるとするとどういう方なんでしょうか?乳がんの7割方のものは女性ホルモンの刺激で大きくなる訳です。
従って一生涯のうちに高い女性ホルモンにさらされる機会が多い生理の回数が多い人。
初潮が年齢が若い閉経年齢が遅いといった事はリスクにつながります。
初潮が早く閉経が遅い。
あとは初産年齢が30歳以上または出産経験がないという事もリスクにつながるといわれていてこのほかには生活習慣病に匹敵するともいわれますが高脂肪食閉経後の肥満アルコールなどもリスクにつながるといわれています。
更には親族に乳がん卵巣がんになった人が複数いるという事もリスクの一つといわれています。
これ気になりますね。
これは遺伝という事ですか?これそのものが直接遺伝につながるという訳ではないんですがあくまでも複数の方がいらっしゃった場合にその中に遺伝性の乳がんの方が何割かいるという事になります。
「親戚に1人いたよ」という事ではなくて何人もいらっしゃるとか。
複数いるという事です。
これもリスクが高いという事ははっきり分かってきてる訳ですね?そうです。
そのリスクという意味でいえば先ほどの話。
ハリウッド俳優のジョリーさんが受けた遺伝子検査でしたよね。
遺伝子診断遺伝子検査はどういうものなんですか?これは血液検査をする事によって分かるものであります。
ただ現在は保険がきかないので20万30万円というちょっと高い費用がかかる検査でありますが…。
ここにありますがこういう名前の遺伝子なんですね。
BRCA1BRCA2という遺伝子が主な遺伝子であります。
変異があるかどうかという事を調べるんですね。
その変異があると必ずこの乳がんに結び付いて発症してしまうという事ですか?この遺伝子に変異があっても生涯のうちに発症する方というのは60%から大体80%の半ばぐらい。
ある一定の幅を持って乳がんにかかる可能性があるという事です。
でも高い発症率だという印象がありますがではBRCA遺伝子に変異がある方というのはどれぐらいの率なんでしょうか?大体乳がん全体の中で5から10%が遺伝性といわれていて遺伝性の中で多くを占めるものがBRCA1BRCA2という遺伝子によるものというふうにいわれています。
でも変異があると分かった場合はそのあとどうしていけばいいんでしょうか?生まれた時にもう既に遺伝子に変異があるという事で普通の方に比べると10歳から15歳若く発症する可能性があるんです。
ですから25歳から検診を受ける。
これは視触診乳腺エコーを半年に1回という形で普通の方よりも更に間隔を詰めて検診を受けるという事とそれにマンモグラフィーあるいはMRIという検査を若い方にはお勧めをしております。
検査をたくさんの頻度で受けるという事が一つとそれからより精密な検査MRI。
これはどういう検査ですか?MRIというのは造影剤を使って行う検査ですが正常な乳腺の中からがんの部分をあぶり出しのように白く写し出す…。
こういうとこですか?そうです。
ちょうどそのしこりとそれからしこりとしこりをつなぐ乳管の中に広がってる乳がんがより正確に分かるという事で特に2ミリ程度の小さなものからピックアップする事ができます。
ところでこの遺伝子診断というのはどういう所で受けられるんでしょうか?日本HBOCコンソーシアムという団体のホームページで遺伝子検査を行っている全国の医療機関を検索する事ができます。
ただこの医療機関はただ単に検査を行うというだけではなくて個々の人の心理的なサポートや医学的な評価を正確に行ってからの検査という事になりますのでカウンセリング体制が整っている所という事になります。
カウンセリングをきちっと受けて後にその診断を受けるという流れになっている訳ですね。
はい。
どうもお話ありがとうございました。
ありがとうございました。
2014/10/10(金) 10:40〜10:55
NHK総合1・神戸
先どり きょうの健康▽遺伝子で変わる乳がん最新治療 リスクに応じた早期発見[解][字]
日本人女性に最も多いがん、乳がん。早期発見・治療のためには、年齢や出産経験に応じて最適な画像検査を選択することが大切。遺伝性乳がんの遺伝子診断についても紹介。
詳細情報
番組内容
日本人女性に最も多いがん、乳がん。30歳代後半から乳がんにかかる人が増えてくる。乳がんは、かなり早期に発見して適切な治療ができれば、95%以上で治るようになってきた。画像検査が進歩し、「しこり」として感じる前の小さな早期がんも発見できるようになってきた。しかし、年齢や出産の有無によって乳房の状態は変わるため、自分に合った適切な画像検査などを受けることが大切。遺伝性乳がんの遺伝子診断についても紹介。
出演者
【講師】昭和大学教授…中村清吾,【キャスター】濱中博久,久田直子
ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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