NHK高校講座 物理基礎「物質による温まり方のちがい〜熱の移動と保存〜」 2014.10.08

(黒田)「物理基礎」久々の登場マギー審司さんです。
あっビックリして耳がでっかくなっちゃった。
どうも〜マギー審司です。
いやいや…どうもどうも。
お久しぶりです。
(熊谷黒田)お久しぶりです。
いや〜1回目以来ですよね。
ありがとうございます。
今日はこの箱を使ってですね…。
いかにも手品っぽくないですか。
そうですね。
この箱を使ってものを温めるマジックをしてみたいと思います。
何を温めるかといいますとこちら…卵。
卵?はい。
卵温めるとどうなると思いますか?まぁまぁ普通に考えるとそうですね。
どうなるか見てみましょう。
まず青い箱の中に卵を入れます。
そしてもう一つ…。
もう一つをオレンジの箱の中に入れます。
この状態で青い箱の方は変わらないんです。
変わらないんですか?
(審司)これは温まらない箱なんです。
え〜。
(審司)温めるマジックはこの箱じゃないとできないんです。
卵を温めるとどうなるんでしょうか?見てみましょう。
せ〜の!ジャ〜ン!ほら〜。
かわいいひよこになった。
かわいい。
(審司)ひよこになった。
実はねこの青い箱とオレンジの箱では…うん?改めまして熱しやすく冷めにくい理系女子…冷静と情熱の間の高校生…はいマギーさんの卵は多分マジックだと思うけど今日のテーマは…ものの温まり方には違いがあるって事だよね。
そうなの。
という事で今日のメニューはこちら。
まず…するとその結果…そして最後に比熱。
この比熱が物質による温まり方の違いを表す重要な考え方なんです。
ではまず熱が移動する様子を調べていきましょう。
ねえ熊谷君この氷持ってみて。
う…うん。
はい。
冷…冷た。
本当に冷たい。
はい熊谷君ブ〜。
冷たさが伝わってくるんじゃなくて熊谷君の…いや…もういい?冷たい。
もういいよ。
じゃあ熊谷君の手の代わりに…それぞれの板に氷を載せると解け方にどんな違いがあるのかよく見てて下さいね。
あっアルミニウムに載せた氷ってどんどん解けてくね。
そうだね。
それに比べて木材の方は全然解けないよね。
そうだね。
ステンレスはある程度解けてきてるね。
そうだね。
それではこの様子をサーモグラフィーで見てみましょう。
赤外線の反射を少なくするため黒く塗ったものと交換します。
氷を載せた板の色の変化に注目して下さい。
アルミニウムは氷がどんどん解けるとともに板の色もどんどん変化していきます。
赤から黄色緑。
温度がどんどん下がっていきます。
ステンレスも少し色が変わってきています。
木材はあまり色が変わりません。
今回「物質による温まり方の違い」についてお話頂くのは小沢啓先生です。
先生よろしくお願いします。
さて今板の上の氷が解けていく様子を見ました。
アルミの上の氷はどんどん解けましたが木材に載せた氷はあまり解けませんでした。
そうですね。
熱の伝わり方が違うのはサーモグラフィーで見ると更によく分かりましたね。
氷がよく解けたアルミの板はどんどん温度が下がりました。
これは熱がアルミの板から氷にどんどん移動した事を表しています。
熊谷君が氷を持った時も氷の冷たさが伝わったんじゃなくて…そうですね。
前回も学習しましたが熱は温度の高い物体から低い物体へ移動します。
これが熱の最も大切な性質です。
逆に熱が温度の低い物体から高い物体へ移動する事は絶対にありません。
熱は温度の高い所から低い所へ移動する。
これが熱の基本です。
では…う〜ん…同じ温度になったらそれ以上移動しないと思うけど。
本当?間違いない?えっいや…。
では実験で確かめてみましょう。
ここにお湯と人の体温くらいの油があります。
これを1つの容器に入れるとそれぞれの温度はどうなっていくでしょうか。
上は人の体温くらいの油。
下は50℃くらいのお湯です。
サーモグラフィーで見ると油の温度が上がりお湯の温度が下がってきているのが分かります。
熱が移動しているのです。
ほぼ同じ色になりました。
初めの状態と比べてみましょう。
油は温度が上がりお湯は温度が下がり同じ温度になりました。
お湯と油だけではなくて一般に…それ以上熱は移動しません。
この温度の変化をグラフにすると例えばこのようになります。
高温の物体の温度は徐々に下がり低温の物体の温度は徐々に上がり同じ温度になります。
そして周りとの熱のやり取りがないものとするとずっと同じ温度が保たれます。
このような状態を…私は熱平衡を考える時よくこんなイメージで考えました。
水の入った2つの容器です。
この水の高さが温度を表しているものとします。
今はこっちの温度が高くてこっちの温度が低い。
2つの容器はパイプでつながれているのでこのコックを開けると水が移動していきます。
これが熱の移動です。
そして同じ高さ。
つまり同じ温度になると熱の移動が止まります。
この状態が…見えないものや考え方も適切な図や模型にする事で理解しやすくなる事があるという手ほどきでした。
次に「熱量の保存」という事を考えますがここでは黒田さんの道具を借りて説明しましょう。
はいコックを開くと水が移動して同じ高さつまり熱平衡の状態になります。
この時左の容器から出た水の量と右の容器に入った水の量は同じです。
熱の移動も今の水と同じように考える事ができます。
このように高温の物体から低温の物体に熱が移動し熱平衡になった時高温だった物体が失った熱量と低温だった物体が得た熱量は同じ量です。
これを…次は「比熱」です。
比熱?そう物質には同じ熱量を与えても…例えばここにある同じ質量の…それぞれに…銅の方が高く上がるの。
この…その物質の比熱といいます。
例えば1gの水の温度を1K上げるためには4.2Jの熱量が必要です。
従って…単位は1g1Kについて4.2Jですので4.2J/
(g・K)となります。
今見たように…この比熱の大きさは水なら水鉄なら鉄のように物質に固有の性質ですので物質によって比熱の値は異なります。
そこでいくつかの物質を用意してその比熱を表しました。
その物質で作った鍋もあります。
水の比熱って金属に比べてすごく大きいんだね。
そうだね水の比熱はほかの物質に比べてとっても大きいの。
そっかじゃあ…そうだねだから…温まりにくいのは分かるけどどうして冷めにくいの?さてさっきと同じように容器の…では細い方に水を加えて…太い方を同じ温度にするにはたくさんの水が必要です。
(ブツリン)さて熊谷君…比熱が大きいのは太い方。
(正解のチャイム)そのとおり。
比熱は太い方が大きく細い方が小さい。
では今度は…2つの同じ大きさのビーカーを用意しました。
このビーカーにそれぞれの容器から…細い方の温度が低くなりました。
つまり比熱の小さい方が冷めやすく比熱の大きい方が冷めにくいのです。
ではここで……と分かってる物質mgを温度差ΔTK上昇させるために必要な熱量QJを求めてみましょう。
先生そのTの前に付いている三角は何ですか?これは…比熱cの物質mgの温度をΔTKだけ上げるのに必要な熱量Qはいくつか?まず比熱とは…ですから熱量がcの物質1gの温度を1Kだけ上げるのに必要な熱量は…次に質量をmgにすると必要な熱量はm倍になります。
更に温度差ΔTKだけ上げるのに必要な熱量はΔT倍になります。
つまり…ではこの式……を使って銅の比熱を求める実験をやってみましょう。
えっどうやってですか?この図のように温度の高い銅を水に入れると銅は熱を失います。
銅が失った熱は今求めたように…この時水は熱を得ますが水が得た熱量は同じように…ここで外部との熱の出入りがないとすると銅が失った熱と水が得た熱これは等しくなります。
ですからそれぞれの質量mと温度差ΔTが分かれば銅の比熱cを求める事ができます。
銅の比熱を求めるためまず銅の質量を量ります。
水の質量は150gとします。
熱の逃げにくい容器に入れます。
温度は…銅の温度を水より高くするため沸騰したお湯の中に入れます。
沸騰したお湯の温度は100℃ですのでしばらくすると…この銅を24.3℃の水の中に移し温度の変化を見ます。
28.2℃で熱平衡になりました。
今の実験では28.2℃で熱平衡になりました。
ですから銅の温度差ΔTは100−28.2で71.8Kです。
同様に水の温度差ΔTは28.2−24.3で3.9Kです。
ここから銅が失った熱量を求めると質量mは100g比熱のcは求める値なのでそのまま書いておきます。
ΔTは71.8K。
計算すると…一方水が得た熱量は水の比熱を4.2J/
(g・K)とすると2,460Jになります。
この7,180cと2,460は等しいので…でも先生さっき銅の比熱は0.38でしたけど。
熱の実験では外部との熱の出入りを完全に止める事は難しいんですね。
ですから正確なデータを測定する事は困難でこのように誤差になって現れています。
試してみよう。
今日の「ガリレオ」はとってもシンプル。
紙コップに熱いお茶が入っています。
こっちは2つ重なっていてこっちは1つ。
じゃあ熊谷君両手で持ってみて。
うん…。
あぁだんだん温かくなってきたけど2つ重なってる方が1個の方に比べて熱くないね。
そうそう二重重ねの方は間に空気の層ができるから熱が移動しにくいのです。
ちょっと熱くなってきたから置いていい?いいよいいよ。
という事で今日は……について学習しました。
同じ熱量を加えても物質によって温度の変化は異なります。
この性質を数値で表したものが比熱です。
先生ありがとうございました。
ありがとうございました。
それでは皆さんさようなら。
さようなら。
熱は温度の高い物体から低い物体へ移動する。
高温の物体から低温の物体へ熱が移動するとやがて同じ温度になりそれ以上熱は移動しない。
このような状態を熱平衡という。
熱平衡になった時高温だった物体が失った熱量と低温だった物体が得た熱量は同じである。
これを…という事なのだ。
(垣内)隊長次に旅するとしたらどこ行きたいですか?2014/10/08(水) 14:20〜14:40
NHKEテレ1大阪
NHK高校講座 物理基礎「物質による温まり方のちがい〜熱の移動と保存〜」[字]

物質の温まりのちがいを通して、熱量保存の法則と比熱について学ぶ。ポイントは(1)熱が移動するようすを調べる(2)熱平衡と熱量の保存(3)物質の比熱を調べる。

詳細情報
番組内容
温度の異なるものを接触させると、温度の高い方から低い方へ熱が移動する。やがて、温度の差は徐々に小さくなり、最後には同じ温度になる。高温の物体から出る熱量と、低温の物体に入る熱量は等しい。これを「熱量保存の法則」という。比熱は、同じ質量で比べたときの、物質の違いによる「温まりやすさ、冷めやすさ」を表す量である。【ゲスト】マギー審司【講師】小沢啓(筑波大学附属高校教諭)【司会】黒田有彩、熊谷知博
出演者
【講師】筑波大学附属高等学校教諭…小沢啓,【司会】黒田有彩,熊谷知博

ジャンル :
趣味/教育 – 中学生・高校生
趣味/教育 – 大学生・受験
趣味/教育 – 生涯教育・資格

映像 : 480i(525i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32721(0x7FD1)
TransportStreamID:32721(0x7FD1)
ServiceID:2056(0x0808)
EventID:10440(0x28C8)