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美術監督・種田陽平、映画美術の過去・現在・未来を語る(1/3)

美術監督・種田陽平、映画美術の過去・現在・未来を語る
「伝説の映画美術監督たち×種田陽平」について語る美術監督の種田陽平

 『思い出のマーニー』『清須会議』『キル・ビル Vol.1』など、国内外で活躍する映画美術監督・種田陽平自らが聞き手となって、映画の黄金期を支えた先達たちの生の声を収録した渾身(こんしん)の一冊「伝説の映画美術監督たち×種田陽平」が、約7年の歳月をかけてついに完成。本書に込めた思い、インタビューを通して見えてきた映画美術の過去、現在、そして未来について、種田本人が語った。

未来を探求するため、20世紀映画美術の神髄に触れる

 本書は、2006年から2007年にかけてキネマ旬報で連載された対談に大幅に加筆を施し、貴重な写真やイメージスケッチなどをふんだんに盛り込みながら再編集したインタビュー集。溝口健二監督の『元禄忠臣蔵』で日本で初めて美術監督を名乗った水谷浩をはじめ、黒澤明監督作品を数多く手掛けた村木与四郎、鈴木清順監督作品で斬新な様式世界を創造した木村威夫、相米慎二監督らの作品で異彩を放った横尾嘉良など、20世紀の日本映画を支えてきた伝説的な映画美術監督たちがずらり顔をそろえる。

 キネマ旬報でインタビューの連載を始めた当初より「単なる懐古的なエピソード集ではなく、日本映画のジャンルを超えて映画美術の神髄を紹介したい」という意思を持って臨んだという種田。その真意を「映画美術監督として作品集はそれぞれ単独では出版されているが、20世紀の日本映画美術の全体像を捉えきれていない。だから、彼らの言葉を一冊にまとめたかった」と説明。さらに「僕自身、CMや映画美術展など、美術監督としてさまざまな仕事をしているが、本質はあくまでも『映画美術監督』。さまざまな仕事をしていても、いつでもその立ち位置に戻れるよう、もう一度、映画美術というものを見つめ直したかった」と付け加えた。

監督が足りないと感じていることを補うことも映画美術監督の大切な仕事

 そもそも映画美術監督とはどんな役割を担っているのか。表面的なイメージは容易に湧くが、作業の幅や監督との関係性が今一つわからない。「具体的に言えば、シーンごとにセット撮影が良いのか、ロケーション撮影なのかをさまざまな要因を考慮して提案し話し合い、セットならばデザインし、つくり、ロケーションならば最適な場所を選び、さらに両方のマッチングを考え、監督が映画で実現したい世界を一緒につくり上げる仕事」と種田は言う。ただし、日本と海外ではやり方も違うし、ベテラン監督と新人監督でも美術の仕事のありようは変わってくるという。


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