20年間ガンと闘う立岡正信さん87歳
(立岡さん)はじめまして。
あるチラシを頼りに一人の医師の元へ
先生のビラっていいますかこれを頂戴したんです。
チラシにあった「がん細胞の賢さ」…という言葉に疑問を持ったのです
賢さってあるんですか?がん細胞に。
賢い?
(樋野教授)う〜んやっぱり…。
だからまぁ…ガンとの共存ですか。
撲滅することはできない。
うん。
ここで行われているのはがん哲学外来
悩めるがん患者に力を与える言葉を処方します
これは天寿がんだよね。
天寿がん。
天寿をまっとうしてがんで死ぬ。
なるほど。
ガンをつぶすんじゃなくて…。
共存して行く?うん。
天寿がんで逝けるかな?僕も。
逝けますよ。
1時間の面談を終えた立岡さん
希望を持ちましたよ大台に乗れるなと思った。
100歳も夢じゃないなと思っちゃったようん。
東京を拠点に全国各地でがん哲学外来を開いています
この日は盛岡に招かれ出張外来
外来とはいえカフェ形式
相談料は無料白衣は着ずお茶を飲みながらゆとりある態度で接します
それは相手と同じ目線でじっくり話すため
目指すのは心優しいチャウチャウ犬だと笑います
(女性)失礼します。
訪れたのは20代の若い女性
(女性)よろしくお願いします。
はいどうぞ。
血液のガン悪性リンパ腫を患っていました
治療はひと段落したもののいつ再発するか分からない状況
今後の人生に不安があるといいます
(女性)ちょっとまだ先のことが考えられない状態なので。
そうですか。
(女性)そのガンがきっかけというかやっぱり主人とあまり関係性がうまく取れなくなってしまったので。
女性はガンという病に体だけでなく夫婦関係もむしばまれてしまったといいます
そんな彼女にこんな言葉を処方しました
算数の法則でねプラスかけるプラスはプラスでね元気な人は元気な人同士で接したがるのはねプラスになるからだね。
プラスかけるマイナスはマイナスでしょ?しかしマイナスかけるマイナスはプラスだよ。
だから自分よりも困った人に接するんですね。
だからそういうのはね探しに行かないと。
面談を始めて30分たった頃…
どんな人にもねやっぱり役割があるはずだから。
(女性)何かやればいいんですね。
勇ましき高尚なる生涯だね。
勇気を持って高尚に生きる
面談が終わる頃彼女の声は明るくなっていました
(女性)先生はこれ1時間に1個ずつ食べてるんですか?1個も食べれないよ。
ハハっ…。
ガンの研究に専念していた樋野さんががん哲学外来を開いた訳
それは2005年にさかのぼります
アスベストが原因とされる肺がんなどの健康被害が社会問題となった時それまで患者と接する機会のなかった樋野さんが研究の一環として外来に出たのです
初めて接するがん患者達の声
「生きる望みがない」とかね。
あの…こういう苦しみの状態でね失望している人が多いわけですよ。
生き方そのものに通じる哲学的な悩みを目の当たりにした樋野さん
最後まで見捨てないということじゃないの?そういうのがガンの末期の人でもそういう人が1人でもおれば全然違うよね。
そして…
ガンになっても尊厳を持って生きようという試みでした
その後全国で開催し6年で1500人以上の患者と向き合いました
国の調査でもがん患者の悩みは経済面や治療のことより将来や死への不安など心の問題が深刻なことが分かっています
保険会社に勤めていた…
4年前に手術した胃がんが去年再発して抗がん剤治療の最中です
残された時間をどう生きればいいのか
はいどうも。
(中山栄三郎さん)まぁガンの患者になって副作用もだんだん厳しくなって来るかもしれないですけど何か…。
だからやっぱり人生の目的は品性の完成だから今まで自分が生きていた仕事も含めていろんなことをやって来たそれを完成するにはどうしたらいいか。
一人一人に与えられた使命は全部違う。
だから自分はどういう花かだね。
その花に見合った花を咲かせればいいでしょ。
そうですね。
「自分らしく花を咲かせる」
思い悩んだ末に中山さんが向かったのはある演劇ユニットの稽古場
こんにちはよろしくお願いします。
中山さんは大の演劇ファン
芝居に通い詰めて親しくなった渋谷さんの力を借りてガンと闘う仲間達のために朗読会をやりたいと考えました
役者さんの朗読ってやっぱり感情こもって上手ですしそういうのを出掛ける機会がないガンの患者さんとかに聞いてもらったらいい機会になるのかなって。
中山さんの何ていうんでしょうね熱意だったり前向きな感じに「ぜひ」って私もフッと乗っちゃうっていうか。
演劇ユニットのメンバーは無償で参加してくれるといいます
(一同)よろしくお願いします。
中山さんが選んだのは『葉っぱのフレディ』
1年ごとに命を巡らせる物語です
後日樋野先生にも報告
(中山さん)もうちょっと何かいろんな形でただの朗読じゃない形で膨らませて…。
企画の構想を生き生きと語る中山さん
歩き回ったり動き回ったり…。
どういう状況にもかかわらずそういうのをやるというのは勇ましき高尚なる生涯と思うね。
やはり病気であっても病人でない…っていう社会をつくる。
先生とお話しした後病気はしょうがないや病気はもうしょうがないんだから。
動いて歩き回って何かできるうちは何かして行こうっていう気には先生とお話ししてなりましたね。
その足で会場の下見に向かいます
「病気であっても病人ではない」
中山さんはどんな花を咲かせるのでしょうか
何かステキなものができるんじゃないのかな…。
がん哲学外来を始めた当初樋野先生には戸惑いがありました
何を言っていいか分からないこといっぱいあるじゃない。
やはり60分ぐらいがん患者とかそういう苦しんでいる人と60分も話せないですよ。
そんな時よりどころとしたのは尊敬する先人の言葉でした
人が残せる最も価値あるものはあの人は立派に生きたと言ってもらえるような生き方
これは思想家内村鑑三の言葉
これはガンとどう向き合って生きるかが大切という病理学者吉田富三の言葉
やっぱり先人の自分が尊敬した人物の言葉のほうが時にはいいね。
やっぱり精神的にも人間的にも深さがあるね。
がん哲学外来の日
樋野さんは愛読する先人の本と共に出掛けます
福島市
手術で人工肛門となりました
(佐藤さん)考えなかったですガンっていうことは全く。
これが俗に言う青天の霹靂。
結婚式場で花嫁を世話する介添えの仕事が生きがいでした
しかし治療のため休職し夫と二女の愛美さんに支えられ日々の生活を送っています
家族のためにも残りの人生をどう生きるべきか
(佐藤さん)そうですねホントに。
入院するって言った時から友達とか周りの人達が一度ならず何度も病院に足運んでくれたりみんなが差し伸べてくれたその愛がものすごく大きかったんですよね。
そうなんですホントにうれしかったです。
支えてくれる人達に感謝する佐藤さん
病気は大変だろうけども人生いばらの道だけどもねにもかかわらず宴会ですよ。
ええ。
日々宴会だね。
そうですね。
人生に苦しみは付きもの
しかし明るく生きれば毎日が宴会だという言葉
佐藤さんはある決断をしました
大丈夫大丈夫。
(愛美さん)気持ちなんで…。
大丈夫大丈夫…花嫁さんのあの生き生き輝いて周りのお友達やら親戚からみんなこう気が上がってるでしょ。
そこへ戻れる…戻りたいっていうのが一番。
1年ぶりに着物を着る佐藤さん
人工肛門になってからためらっていました
(佐藤さん)帯すると分かんないかなハハハ…。
生きがいだった仕事を再開することが家族と自分のためになると考えたのです
(佐藤さん)はいいってきます…うわっすごい風。
余命2年と言われてから5か月目の朝でした
自宅では門出を祝う準備が始まりました
愛美さんが作っていたのは母親が大好きな特製手巻き寿司
そして母親が一番辛さを感じる場所に花を飾ります
母がやっぱり一番落ち込む場所なのでここで元気を出してほしいのでトイレに飾ります。
午後6時
長男や長女の家族も待ち受ける中
(佐藤さん)あっただいま。
(愛美さん)疲れたでしょ?うん疲れたけれどやりがいがありました〜。
(愛美さん)でもよかった私倒れるかと思ったよ途中で。
うわっ!・おかえりなさい・・お疲れさまでした・すごい〜!え〜!あ〜…。
花ありがとうさんですフフフ…。
キレイですね。
うれしいです。
まさに人生いばらの道にもかかわらず宴会です
ガンが勝つか私が勝つかのまぁこういう綱引きなんですけどもう負けてらんないっていう感じがすごくします。
朗読会を企画した中山さん
本番は5か月後の9月20日に決まりました
しかしこの時日に日に病状は悪化していたのです
経過観察のため病院を訪れた中山さん
容体が悪く緊急入院に
その1か月後
納骨の準備に霊園を訪れたのは妻の恭子さんです
(中山恭子さん)すごくにこやかに話もしてくれて病気はしていても病人ではない…っていつも言っていました。
亡くなる10日前
中山さんが知人に宛てたメールがあります
その日が来ました
がん患者やその家族ら120人が集まり会場はほぼ満席です
すごい人だね。
はいありがとうございます。
すごく皆さんが来てくださって励みにしてましたので。
さぁ「On7」の皆さんをお迎えしますどうぞ!
(拍手)は…は…はっくしょん!おや?葉っぱ達が目を覚ましたようです。
僕の名前はフレディ。
僕の名前はダニエル!この葉っぱチームのリーダー!みんなおはよう!
(劇団員達)おはよう!おはよう!
それは葉っぱのフレディと仲間達が1年を通してそれぞれの役割を果たし自らの死をもって新しい命を育む物語
♪〜葉っぱに生まれてきて本当によかった♪〜風よ〜ああ〜巻き上げる風よ〜あ〜助けて〜!行かないで〜!行っちゃ嫌だ〜!とうとう冬が来たんだ。
僕達は一人残らずここからいなくなるんだ。
ここからいなくなるとか君は言ってたけどそれは…。
死ぬということでしょ?死ぬというのも変わることの一つなんだ。
でもね…。
命は永遠に生き続けてるんだよ。
僕は生まれて来てよかったんだろうか。
♪〜♪〜思い出すいつの日も♪〜春も夏も秋も冬も♪〜ほほを寄せて心から♪〜伝えたいありがとう
フレディはやがて死を受け入れます
痛くもないし…。
怖くもない。
そしてまた新たな命が生まれます
春が来たぞ〜!わぁ〜!♪〜
(拍手)中山さん喜んでくださってますかね。
(恭子さん)喜んでます!もうホントに喜んでます!ホントにステキな歌をありがとうございました。
元気でね。
(渋谷さん)はい。
そうですそうです。
何かこの病気をすると何で死んでしまうんだろうとかそういうことばっかり考えてしまうんですけどやっぱり何か…何で生きるのかっていうことをもっともっと考えなくちゃいけないなと思います。
自分に与えられたものを生かしてね日々…。
どうせみんな死ぬのでその時まで頑張ろうと思いました。
人の役に立ちたい
中山さんらしい大輪の花が咲きました
その人の性格キャラクターを完成するのが人生の目的という意味ではモデルを示されたというか…。
…というそういう思いがありますね。
樋野さんが始めたがん哲学外来
今では全国50か所以上に広がっています
先生今日の処方箋は?
外に向いてね八方ふさがりでも天は開いているから。
こんな寂しい思いをさせちゃいかん。
児童養護施設を出た男性がスピーチコンテストに挑む
5分間に込めた夢3か月の軌跡
2014/10/06(月) 01:50〜02:20
読売テレビ1
NNNドキュメント「がん哲学外来 それは言葉の処方箋」[字]
ガンの心の問題に取り組む“がん哲学外来”。「天寿を全うしてガンで死ぬ、天寿ガンだ」という“言葉の処方箋”で患者はみるみる元気に!新たな医療に笑顔の花が沢山咲く。
詳細情報
番組内容
ガンになっても前向きに生きる…その力をくれたのは手術や薬でなく“言葉の処方箋”だった。「天寿を全うしてガンで死ぬ、天寿ガンだ」、という処方箋でみるみる活気づいた男性。言葉の処方箋に沢山の笑顔の花が咲く。ガンの心の問題に向き合う“がん哲学外来”。順天堂大学の樋野興夫教授が、自身の経験から考え出した新たな医療だ。余命宣告された患者さんらとの対話の中で、人生を豊に生き抜くために“言葉”が底力を発揮する。
出演者
【ナレーター】
矢島正明
制作
日本テレビ
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ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
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