美の壺・選「恋文」 2014.10.05

(テーマ音楽)行け!はいよ。
アハハハ。
行くぜ。
あ〜!ハハハハ。
行け。
それっ!うまい!アハハハ。
応答せよ。
うん?応答せよ。
応答せよ。
はいこちら感度良好。
下駄箱の前でワクワクしたことありますか?メール全盛の現代でもこんな光景が。
下駄箱を通してやり取りされる少女たちの思い。
青春の伝統は今も生きています。
石原まき子さん。
今も大切にしているものがあります。
夫は石原裕次郎。
昭和を代表する大スターです。
結婚前裕次郎がまき子さんに送った恋文です。
人気スター同士の恋愛は公にはできません。
恋文が2人の懸け橋でした。
あぜんとするわけですよね。
裕次郎21歳。
大げんかをした後にしたためた言葉。
「逢いたくて逢いたくてとせうがない」。
「しめ殺す程抱きしめたい。
塩っぱい涙が口に這入って来ると…泣いたマコの目にキスした味を想い出す」。
絵が得意だったという裕次郎。
裏には…。
自画像。
ほっぺのラインがそっくりですね。
最も思い出深いという恋文。
ロケ先のアフリカで拾い集めたフラミンゴの羽根が入っていました。
「フラミンゴの羽に想いをよせて…」。
「チョットザーキかな?」。
愛する人に送り続けた恋文。
そこから香り立つ美を読み解きます。
平安の世から京都は恋の町。
さまざまな恋のパワースポットは若い女性たちでにぎわっています。
その中でも特に人気のお地蔵様。
これが文張地蔵でございます。
このお地蔵様を納めたのは世界三大美女と名高い小野小町と言われています。
貴公子たちから送られた無数の恋文をお地蔵様の木型に貼り付けたといいます。
そういうことで…ひとひらの紙に都人は恋の全てを懸けました。
今日一つ目の壺は…歌人の尾崎左永子さん。
「源氏物語」の中でやり取りされる恋文。
その紙の美に着目してきました。
政争に敗れた光源氏は明石に流されます。
その地で明石の君のうわさを聞き恋文のやり取りが始まります。
最初に出したのは光源氏。
紙は高麗の胡桃色の紙。
高麗の紙は大陸からの渡来品。
なぜこの紙を選んだのでしょうか。
ところが明石の君は返事を渋ります。
すぐにはなびかぬ君に光源氏は更に惹かれます。
次に選んだ紙は薄様。
薄様は日本で生まれた薄い紙。
当時恋文といえば薄様。
平安貴族御用達でした。
(聞き手)恋に対して?そう。
光源氏が勝負に出た薄様の恋文。
それを想像し再現してみます。
源氏物語の色彩に詳しい吉岡幸雄さんにお願いしました。
薄様の恋文が送られたのは初夏。
その季節ならば卯の花を主題にしていたかもしれません。
手紙の色合いは緑。
初夏の風が香ってくるかのようです。
更に色を重ねます。
緑に組み合わせたのは白い薄様。
そして畳みます。
結び文。
恋文に最も多い折り方です。
最後に折り枝といって本物の枝を差し込みます。
卯の花の恋文の完成です。
緑と白。
季節感を織り込んで思いを届けます。
光源氏の熱い恋文に明石の君はついに筆を執ります。
選んだのは紫色の紙。
古来最も高貴とされてきた色です。
物語には「浅からずしめたる紫の紙」と記されています。
「深く香をたきしめた紫の紙」という意味です。
平安貴族は好みの香をたき服や紙に香り付けをしました。
平安の世に交わされた恋文。
紙は恋の駆け引きを彩っていました。
いよいよ明日出発だね…正雄くんの留学。
長いなぁ1年は。
うん?それお守り。
応答せよ。
お…おう。
すてきな恋文を書くためのアドバイスをする女性がいます。
大崎智代子さん。
依頼者は月に4〜5人ほど。
例えば…依頼者の話をもとに今回大崎さんにお手本を書いてもらいました。
こだわるべきは文字だと言います。
お薦めは藍色のインクです。
黒よりも柔らかい雰囲気が出るのだそうです。
「女子はキュンッとするの」。
思いをさまざまに言いかえ文字に込めます。
形色配置。
恋文の鍵は文字にあります。
今日二つ目の壺は…作家の太田治子さん。
太宰治の娘です。
この日貴重な資料を見に訪れました。
どうもありがとうございます。
太田さんが初めて目にしたのは…。
文豪谷崎潤一郎。
47歳の時の恋文です。
相手は後に夫人となる森田松子さん。
大阪の名家の娘で17歳年下でした。
谷崎は美しい文字で松子さんをあがめ奉ります。
「今度帰りましたらバもう何処へも参らず一生懸命御邸の御用勤めさせて頂きます」。
(聞き手)それは感じますか?感じます。
太田さんの手元には父太宰治から母の静子さんに送られた恋文が残っています。
当時太宰は36歳。
既に家庭を持っていました。
憧れの小説家との道ならぬ恋でした。
太宰の恋文はなぜ女心をつかむのでしょうか。
ラブレターに関する著作もあるコピーライターの並河進さん。
太宰の恋文の魅力を分析してもらいます。
実物を見るのは初めてです。
すみません。
まずは冒頭の書き出し。
「いつも思っています。
ナンテへんだけどでもいつも思っていました」。
これはすごく。
「ナンテへんだけど」。
並河さんは太宰の恋文に潜む視覚的効果の豊かさに気付きました。
注目したのはこの2行。
「一ばんおいしいタバコを十個だけけふ押入れの棚にかくしました」。
「一番いいひととしてひっそり命がけで生きていて下さい」。
その仕掛けとは「一ばん」という言葉を繰り返し更にぴったり並べて記していること。
そして最後に心憎いひと言。
原稿用紙の欄外に片仮名で小さく…。
「コヒシイ」。
心惹きつける文字と体裁。
作家の恋文には豊かな感性が詰まっています。
(ため息)
(未理の声)応答せよ。
それお守り。
あれ?何だこれ。
え?やっぱりもう終わっちゃったのかなぁ。
鎌倉にある手紙用品専門店。
手紙に関するさまざまな品をそろえています。
まずは恋文にお薦めのレターセットを選んでもらいました。
この封筒無地で一見地味ですけど…。
こちらはかすかに透けるバラ模様。
開封のドキドキ感が恋文向きなんだそうです。
更に店の奥には…。
なんとポストまで。
店が代わりに投函してくれます。
恋文をどこでどうやってやり取りするのか。
その舞台も重要な要素です。
今日三つ目の壺は…
(チャイム)100年以上の歴史を刻むプロテスタント系の女子校の校舎。
今でも学びの場として大切に使われています。
校長先生の自慢はこちら。
教職員専用の下駄箱です。
時を経て一枚一枚個性さえ感じさせる扉です。
校長先生にとっても思い出の舞台です。
下駄箱はもう一つのポストでした。
下駄箱と恋文はいつから結び付いたのでしょうか。
大正から昭和初期女学生を中心に爆発的に売れていた封筒です。
特徴はとても小さいこと。
切手を貼ったり住所を書くようには作られていません。
戦前の女学校では先輩と後輩のひそかな手紙のやり取りがはやっていました。
彼女たちが秘密を守るため下駄箱をポスト代わりに使い始めたのだそうです。
メールがどんなに便利でもその伝統は生き続けています。
こちらの生徒さん憧れの先輩に思い切って手紙を書きました。
誰もいない時間を見計らって下駄箱へ。
置く位置にもこだわります。
それは靴の上。
ちらりとのぞく封筒の端。
恋文が輝く瞬間です。
いつの世も恋文は私たちの心を躍らせ続けます。
あれ?お守りの紙飛行機が無いぞ。
(未理の声)応答せよ。
あ〜!
(未理の声)応答せよ。
はいこちら感度良好。
2014/10/05(日) 23:00〜23:30
NHKEテレ1大阪
美の壺・選「恋文」[字]

身近なテーマを中心に、美術鑑賞を3つのツボでわかりやすく指南する新感覚美術番組。今回は「恋文」。案内役:草刈正雄

詳細情報
番組内容
石原裕次郎を昭和の大カップルとして、結婚に導いたのも、知られざる恋文だった。世紀のスターが書いた、自画像付きの恋文の一部をテレビ初公開。その殺し文句とは?!平安のプレイボーイ、光源氏を本気の恋にのめり込ませた恋文の紙の秘密とは? 太宰治が駆使した文字のテクニックとは?!そして少女マンガでおなじみの下駄箱。メール全盛の今こそ、秘かな手紙に思いを託す女学生たち。様々な時代の恋文を通してその美を見る。
出演者
【司会】草刈正雄,【語り】礒野佑子

ジャンル :
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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