異なる陶片を金継ぎで組み合わせて出来た茶碗。
昭和の名工荒川豊蔵が発見した桃山時代の窯跡。
そこから採取されたかけらを丹念に継ぎ合わせています。
繕う事で日本人独特の新たな美意識が生まれました。
茶道具や書画など古美術品は長い年月の間にさまざまな理由で姿を変えたものがあります。
修復や改変を経て受け継がれた名品の数々です。
元は巻物で8つの風景が連続して描かれていました。
しかし風景ごとに切断され掛け物に改装されたのです。
中国南宋時代の画家牧谿の水墨画は当時大変な人気でした。
室町幕府三代将軍足利義満は掛け物にする事で自らの権力を誇示しようとしたのです。
画面には義満の印が押され義満によって切断されたと考えられています。
名画の切断はこのころ始まったようです。
平安時代の歌人伊勢の歌集。
元は冊子本でしたがページごとに剥がされました。
和歌は数行で完結するため分断する事で多くの人を楽しませました。
料紙は「破り継ぎ」で風景を表したり砕いた鉱物を使った「雲母刷り」の技法などで華麗な装飾が施されています。
鎌倉時代に描かれた「平治物語絵巻」。
火災などで破損し14図に切り出されました。
この図には敵軍を迎え撃つ平清盛軍。
18世紀に描かれた絵巻の「白描模本」によると左上部に馬の腹が描かれています。
ところがこの図では緑青と群青の絵の具でそれを隠しまとまった構図にしました。
茶道具にも多くの修理を重ねた跡がうかがえます。
大名茶人古田織部も愛蔵していたという茶碗。
茶碗の見込みから口にかけて十文字の切り込みがあります。
割れた茶碗を大胆に継ぎ直したものです。
大きさを縮めるために切ったのかあえて大きく切り込みデザインを強調したのかなどと推測されています。
中国南宋時代に龍泉窯で作られた青磁。
つぼの口ひびが入っているのを鎹で留めあえて見どころに。
「鎹」と名付けた所有者の愛情が伝わってきます。
日本で珍重された青磁は修理してなお高い人気を誇っています。
楽家初代長次郎の赤楽茶碗「木守」。
この名碗にも修理の手が入っています。
長次郎作の茶碗は関東大震災によって焼失し破片だけが残りました。
黒い部分がその名残です。
昭和9年13代惺入がその破片を組み込み復元。
再び茶碗としてよみがえりました。
古いものをみんなで分けたりそれから改装したりという事にかけられた所蔵者の思いといいますかねものを大事にして伝えていこうというそういう気持ちをくみ取ってご覧になって頂ければと思います。
身体は美術の重要なモチーフ。
第二次世界大戦以降の名作が並んでいます。
1962年キューバ危機の際ピカソが古代ローマの逸話を基に描いた作品。
争うのは古代ローマ人とサビニ人。
古代ローマ人が大量のサビニ人女性を誘拐し戦争が起きた故事。
女性の体が戦争の痛ましさを語ります。
ファッション誌で活躍してきたアメリカの写真家ハーブ・リッツ。
体のフォルムをシンプルに考え性別にとらわれない身体の美しさを追求しました。
生涯多彩な制作活動に励んだ画家小杉放菴。
没後50年を記念する展覧会です。
30歳の時文展で最高賞を取った油絵。
漁師が網を繕う姿を写実的に描いています。
一方背景は装飾的にまとめ人物の存在を際立たせています。
フランスに留学し帰国後は墨を使った日本画の制作が多くなります。
枝がユーモラスに表された梅の木。
雑誌の漫画絵で研さんを積んだ放菴ならではの一幅です。
日本画の名品展が開かれています。
花開いた瓢箪を巧みな線描と色の濃淡で描いた安田靫彦。
葉は絵の具をにじませる「たらし込み」の技法を用い表情豊かに仕上げています。
美人画で名高い上村松園20代の作品。
ぬれ縁の柱にもたれかかり物思いにふける女性。
着物の太い線と繊細な顔の表情が対照的です。
日本各地の遺跡で発掘された出土品およそ1,100点が勢ぞろいです。
新潟県十日町市の野首遺跡から出土した縄文時代の土器。
冠のような王冠型土器と炎が燃え上がるような火焔型土器。
エネルギッシュな造形美です。
2年に1度の芸術祭ビエンナーレが山形市で開かれています。
今年のテーマは「山をひらく」。
アーティスト荒井良二は自ら山形の風景を描いた絵を組み合わせ遊び心に満ちた門を作りました。
重要文化財に指定されている建物の前には建築家と市民が考案したドーナツ型のサッカーコートが出現しました。
参加者がルールを決めて遊ぶコミュニケーションが生まれる空間です。
芸術祭をもう一つ。
琵琶湖のほとり…江戸時代に建てられた日本家屋が並ぶ一画が会場です。
天井からつり下がるのは藤永覚耶の作品。
一枚の布に猿の群れが描かれています。
全体をカラフルなインクの点で表現し光を取り込んだ作品はなにか揺らいでいるようにも見えます。
芸術祭のテーマはどこかはかなさをイメージさせる「泡沫」。
築300年を超す元造り酒屋には多くの作品が展示されています。
河合晋平のインスタレーションは廃棄されたビデオテープから生まれました。
ロールから抜き取られたテープは天井を埋め尽くします。
ビデオテープが消えていく中でかつて情報を満載したテープに光を当てようとしました。
ロールには赤やオレンジのライトが仕込んであり力強い光を放っています。
用途を失ったビデオテープが再びよみがえります。
4人組のアーティストサークルサイドのインスタレーション。
高度なデジタル技術を駆使した映像が投影されています。
乾燥させ白く着色したかすみ草に無数の光が映し出されまるで蛍が飛び交うような夢の中のシーンです。
現れては消える泡沫の光。
2014/10/05(日) 20:45〜21:00
NHKEテレ1大阪
日曜美術館 アートシーン▽名画を切り、名器を継ぐ 美術にみる愛蔵のかたち展ほか[字]
「名画を切り、名器を継ぐ 美術にみる愛蔵のかたち」(根津美術館 9月20日〜11月3日)ほか、展覧会情報
詳細情報
番組内容
「名画を切り、名器を継ぐ 美術にみる愛蔵のかたち」(根津美術館 9月20日〜11月3日)ほか、展覧会情報
出演者
【司会】井浦新,伊東敏恵
ジャンル :
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
情報/ワイドショー – その他
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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