わあきれい。
暗闇を明るく照らす光のアート。
(子どもたちのはしゃぐ声)夜の町に浮かび上がった華やかな風景のプレゼント。
(子どもたちのはしゃぐ声)手がけたのは…自ら作った切り絵を投影機に載せて映し出すと何気ない街角があっという間に別世界に生まれ変わります。
光の切り絵の活動を始めたのは7年前。
以来全国各地を回り地域に光を当ててきました。
この夏酒井さんは兵庫県明石市のイベントに臨みました。
13年前の花火大会で11人が亡くなる歩道橋事故が起きた明石市。
その後花火大会などの大規模な催しは行われていません。
町に再び活気を取り戻したいと行われる今回のイベント。
酒井さんが描いたのは花火でした。
皆さん思ってもらえるような投影にしたいな。
町の人の心に灯をともす光の切り絵です。
愛知県に住む酒井敦美さん。
光の切り絵はこのアトリエから生まれます。
紙を切ってデザインの型を作り下に貼った半透明のシートに色を塗ります。
切り絵は投影機を使って地面や建物の壁に映し出されます。
色づけしたところを指でたたき始めました。
こうして微妙な色の濃淡を出していきます。
作品に温かさややわらかさを与えたいと自ら編み出した手法です。
絵はやっぱり手から出たもので自分のここに描きたかった気持ちとかそういうのが色塗りのタッチにも何となく入ってそれが見た人に伝わってるような感じがするので。
酒井さんの光の切り絵はさまざまな課題を抱える地域にぬくもりを与えてきました。
高齢化に悩む海辺の町ではシンボルの鯨を描いて町おこしに一役買いました。
病院ではなかなか外出できない入院患者のために壁一面に広い海を映し出しました。
求められれば海外へも。
去年世界で最も貧しい国の一つアフリカのブルキナファソに足を運び子どもたちに光のアートを届けました。
実際そこで私もやっぱりそういうおばあちゃんやおじいちゃんたちの声を聞くと…酒井さんの活動の原点となった場所があります。
高知県佐川町。
白壁の建物が数多く残る小さな町です。
初めて屋外で切り絵を投影したのがこの町でした。
あとその浜口邸の向こうに銀行があるんですけど。
幼い頃から絵が大好きだった酒井さん。
絵に関わる仕事をするのが夢でした。
大学卒業後知人の紹介で舞台の投影をする活動を始めたのが切り絵との出会いでした。
7年前仕事の合間に立ち寄った佐川町。
その時自慢の白壁で町を盛り上げられないかと相談されます。
酒井さんは白壁をスクリーンに見立て切り絵を投影する事にしました。
白壁に桜が初めて映ったその光景を今も鮮明に覚えています。
(酒井)何の変哲もない桜の絵だったんですけどその映った瞬間は自分の絵っていう事なしにそこに生まれた光とこの建物との融合が生まれた時に何かすごくうれしくてわ〜って自分が驚いたのをすごい覚えてます。
作品を見たいと町の人たちが続々と集まりました。
自分の切り絵でこんなにも人を楽しませる事ができる。
作家として初めて感じた喜びでした。
(拍手)6月。
酒井さんは兵庫県明石市を訪れました。
明石の町で楽しい思い出を子どもたちに作ってもらって自分たちの町の事を好きになって大きくなっても誇りに思ってもらうような…。
招いたのは…夏の夜のイベントで海岸を明るく照らしてほしいと酒井さんに仕事を依頼しました。
(酒井)情熱的な長いお話に心を打たれまして…。
(酒井)投影お願いします。
おお〜!
(拍手)
(酒井)ありがとうございます。
ここに描いてるかのように映るので子どもたちが触ったりとか…。
明石青年会議所は今回のイベントに特別な思いを持って臨んでいます。
会場となる海岸です。
13年前ここで行われた花火大会で大きな事故が起きました。
あの日海岸に向かう歩道橋は見物客で混雑していました。
人々が折り重なるように倒れ9人の子どもを含む11人が亡くなりました。
以来夏の夜この海岸で大きなイベントは行われていません。
事故から丸13年。
この日青年会議所の人たちが事故現場を訪れました。
(シャッター音)献花のあと事故の遺族のもとへ足を運びました。
またいつでも声かけて下さい。
はい。
2歳の息子を亡くした…イベントの開催に向け話し合いを重ねてきました。
下村さんは長年イベントが行われていない事に心を痛めていました。
安全もせやねんけど…市役所の人もね一生懸命安全対策…。
大きな事故を乗り越えて再び活気を取り戻そうとする明石の人々。
こうした事情を抱えた場所でイベントを行うのは初めての酒井さん。
一つの迷いがありました。
夏のイベントに欠かせない花火の絵をこの海岸で描いてもいいのか。
答えを見つけられずにいました。
まだまだ13年前といえどもついこないだの事で直接的に連想させるものはまずはまだ置いといてここで笑顔になれるようなものだけを映したいっていう事なのか。
これまで青年会議所とは何度も打ち合わせを行ってきました。
しかし花火についてなかなか言いだせずにいました。
本当言うとああいう…。
何て言うんですかね?岩みたいなのも…。
現場の下見に訪れた酒井さん。
思い切って花火を描く事をどう思うか聞いてみました。
結局みんな二の足を踏むんでそうしましょうか。
多くの人に楽しんでもらうためにあえて花火を描く。
気持ちが固まりました。
7月。
花火の切り絵の制作が始まりました。
これまで何百と描いてきた花火の中でも一番いいものにしたい。
特にこだわったのができるだけ本物の花火に近づける事でした。
そこで取り出したのが和紙。
和紙の繊維が作り出す独特のかすれ具合で大きく広がった花火の瞬く様を表現しました。
青年会議所の皆さんがそこの部分を十分に心に置いてむしろそこをすごく大事に考えて…私もきれいな花火を描いて音のない静かな花火ですけどたくさんの笑顔の花が咲いてよかったなって訪れた人が皆さん思ってもらえるようなそんな投影にしたいなというふうに考えてます。
本番の日が近づいてきました。
広い会場に光の世界をどう映し出していくのか。
絶対に事故は起こさないと青年会議所の人たちも最後の確認に余念がありません。
必ず事故なく終わる事ができます。
午後7時いよいよ光のイベントが幕を開けます。
(2人)54321…。
(拍手と歓声)海岸に映し出された魚たち。
まるで宇宙の海を泳いでいるようです。
こちらは明石名産のタコ。
虹色の墨の中に子どもたちの将来の夢を描きました。
明石の人々が初めて見る幻想的な世界。
あっちあっち!こっちこっち!どれどれ?これすごい!すごいね。
久しぶりに夜の海岸に子どもたちの声が響き渡ります。
かわいい絵もあるし…そして最高のものを見せたいと作った花火の切り絵。
こんな感じかな?果たしてどう映し出されるのでしょうか?この海岸の夜空に13年ぶりに揚がった花火です。
いや〜きれい。
あの時は花火を目の当たりに見るのがよかったんですよね。
会場には事故で息子を亡くした下村さんの姿もありました。
事故以来花火を避けてきた下村さん。
久しぶりに見た音のない花火でした。
これでもええやん花火いうのは。
こうして子どもたちが集まって歓声を上げてるとね一緒に子どもたちもね心楽しんで上から天国から見てるんじゃないかなってそういう想像できますんで。
そういう意味でほっとするひとときでしたね今日は。
酒井さんが映し出した花火が明石の人々の心に灯をともしました。
酒井さんは改めて切り絵の持つ力の大きさを感じていました。
こうやって今日去ってしまうけれども…音のない花火。
光の向こうからあふれる歓声が沸き上がってきます。
2014/10/05(日) 08:00〜08:23
NHK総合1・神戸
目撃!日本列島「音のない花火」[字]
夜の町をあたたかく照らす「光の切り絵」作家・酒井敦美さん。13年前の歩道橋事故以降、自粛ムードが続く明石市のイベントで、人々を笑顔にしたいと描いたものは…。
詳細情報
番組内容
切り絵をプロジェクターで投影し、夜の町を照らす「光の切り絵」。全国各地から依頼が来る人気の切り絵作家・酒井敦美さんは、過疎高齢化に悩む地方市町村や病院などを巡り、手作りのあたたかみのある作品、見るだけでなく子どもたちが参加し楽しめる作品を製作している。この夏、酒井さんが挑むのは兵庫県明石市のイベント。13年前の歩道橋事故以降、自粛ムードが続く中で、一体なにを描くのか、そして人々に笑顔は戻るのか。
出演者
【語り】樋口綾子
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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