HARD TACK(堅パン)
レシピ紹介文によれば、南北戦争関連のレシピの中で一番リクエストが多いのがこの「ハードタック」だそうだ。しかし需要に反して「ハードタック」には時期的に決定的といえるレシピが存在しないらしい。その理由は「ハードタック」が家庭や野外で調理製造されるものとは考えられていなかったこと、そして必要分は後方において製パン企業が一括して生産を請け負っていたことがあげられている。
この手の携行性、保存性を重視したデンプン保存食として「ビスケット」「クッキー」「クラッカー」「乾パン」等がある。「ビスケット」はラテン語の「ビスコクトゥム・パネム(二度焼いたパン)」、「クッキー」はオランダ語の「クォキェ(小さな菓子)」を語源にしているそうだ。
日本の定義ではビスケット=小麦粉、糖類、油脂を主原料にして焼いたもの、クッキー=手作り風の外観で糖分、脂肪分の合計が全体の40%以上含まれた物を焼いたもの、となっているそうだ。(参考文献「戦闘糧食の三ツ星をさがせ! 光人社」より)
さらにクラッカーは化学膨張剤だけを使用するビスケットとは違い、イーストを一部使って発酵させていて、一般に軽くてもろい。乾パンはビスケットのさらに堅いもの、と位置づけされる。
その意味で「ハードタック」は乾パンのカテゴリーに含まれる。まさしくハード・ビスケットの中のハード・ビスケット(まさしく硬派)、「ハードタック」のレシピはこちら〜♪
<材料>
小麦全粒粉(または強力粉) 400ml
ベーキングパウダー 5g
塩 5g
水 100〜120ml
ボール等の容器の中で全ての材料を混ぜ合わせる。
水を加える時は一度に全量を入れずに何回かに分けて馴染ませていく(そば打ちとおんなじ)。
生地は滑らかだが粘り着かない状態になるまで丹念にこねる。通常のパン生地よりかなり堅いので根気が必要。
ちなみに今回は1時間こねまわした(掌底が痛い 笑)。
厚さ1センチくらいに延ばして縦8センチ、横7センチの四角に切り分ける。
竹串などを使って縦4個×横4個の穴を開ける。
同じく全粒粉で作ったもの。もったいないので切れ端も利用する。
200℃のオーブンで1時間焼くと出来上がり。
家庭用オーブンでは20℃ほどプラスして調理すると良いようだ。
右は強力粉使用のハードタック。
同じく全粒粉使用ハードタック完成。
この「HARD TACK」、別名「IRON PLATE(鉄板)」ともいう(笑)。
当時の兵士達のうけもあまり良くはなかったようで、「弾丸が当たっても割れない」等と酷評されている。
出来てすぐはそうでもなかったが、2日目以降は手で割るのが相当キツい状態となった。
最期にレシピにあった一文を紹介。
いわく、「この一品はあなたの歯科医に幸福をもたらすものの、あなた自身の飢えを満たすことはないでしょう。」(笑)。