メキシココッパーキャニオン。
グランドキャニオンの4倍の広さを誇る山岳地帯です。
ここに地球で一番走り続ける民ララムリは住んでいます。
おはようございます。
ララムリの走る力を体感したいとやって来たのはこの人。
(実況)魔裟斗のラストファイト!元K1世界チャンピオンの…引退後はフルマラソンにも挑戦。
100キロもの距離を軽々と走り抜くというララムリの身体能力に興味津々です。
何でそんなに体力があるのという事を知りたいですよね。
ふだんどんな生活をしてるのかとか。
さすがに100キロはきついっすね。
ララムリが住む集落は人里離れた山の奥にあります。
地元の人でもめったに立ち入る事のない道を進みます。
大丈夫ですかね。
車に揺られる事11時間。
ようやくララムリが住む集落が見えてきました。
何かあっちにお店ありますよ。
ララムリの中でも一番のララムリに会いたい。
早速情報収集。
マラソン…ウルトラマラソンが結構速い人が多いじゃないですか。
その有名人を今捜しに来てるんですよ。
なるほど。
分かりました。
ララムリ最強のランナーが住むという場所はなんと標高2,400メートルの山の頂上でした。
いや〜やっと着きましたね。
(取材者)お疲れさまでした。
山のてっぺんですよここ。
すごい所に来ましたね。
こっちは何ですかね?畑?お〜い!手振ってくれた。
だって音がないもんここ。
静かだから。
絶対東京だったら聞こえてないよね。
でもすごいとこだなこれ。
何かあれじゃないですか?あのオレンジ色の…。
アルヌルフォ!アルヌルフォいましたよ。
発見しましたよ。
アルヌルフォ?アイアムマサト。
この人が伝説のランナー…ちょっとこの衣装が気になるんですけどこれスカートですか?まさかこの靴で走る訳じゃないですよね?サンダルで走る?靴履いた方がもっと速く走れるんじゃないですか?これ結構重いですよ。
しかもクッションないから普通に走ったら多分疲れるだろうなって感じしますけどね。
アルヌルフォさんはこれまで数々の長距離レースで優勝してきました。
ララムリの名が世界に知られるようになったのは1990年代。
アメリカで開かれた160キロを競う山岳レースでサンダルで走るララムリたちが優勝と上位を独占し世界を驚かせました。
そんなララムリが集う地元のレースでアルヌルフォさんは5連覇を果たし現役最強のランナーと呼ばれています。
いつも大体ここでトレーニングしてるんですか?練習しない?うそだ。
絶対するでしょ。
アルヌルフォさんの走り強さはふだんの生活の中で培われています。
日々の仕事はヤギの放牧と主食のトウモロコシ作り。
更に山の上での生活で欠かせないのが毎日の水くみです。
まだ行きは空だからいいけど帰り20キロ持って上がってくるんですよこの斜面を。
もうひょいひょい先に行っちゃうけどさ。
これかなり…。
分かりますかね?この角度。
これはあれですよ。
きっと…すごい体の重心を。
走るのに体幹というのはすごい大事なんですよ。
ちょうど下りる時へその下辺りに力入りません?これが体幹を鍛えてる事なんですよね。
水場は崖を300メートル下った所にあります。
飲み水から生活用水まで全てこの水を使っています。
ちょっと持たせてもらっていい?これを持って登っていくの?いやこれはきついって。
絶対きついって。
タンクの重さは20キロ。
これを朝晩一日2回運びます。
あ〜!アルヌルフォタッチ!20キロ簡単?いや〜すごいな。
標高2,400メートル薄い空気の中での重労働。
アルヌルフォさんはこれを子どもの頃から毎日欠かさず続けてきました。
見て下さい。
日本人の人みんなハーハー言って…。
でもまあ強さの秘密がちょっと見えましたね。
なるほどな。
ふだんの生活が…やっぱりトレーニングはしてないと言いつつもトレーニングになってますよね。
人里離れた山奥に住み続けてきたララムリたち。
めったに人と出会う事はなくみんな恥ずかしがり屋さんです。
主食はトウモロコシの粉で作るトルティーヤやレンズ豆の煮物。
食事は一日2回。
自給自足の生活を送ってきました。
でも最近では町で売っている日用品や食料品にも頼るようになっています。
しかし現金収入はヤギを売る事でしか得られません。
レースの賞金はアルヌルフォさんにとって貴重な現金収入です。
アルヌルフォさんが年に1度生活を懸けて挑むレースがあります。
この山々で開かれる最も大きなレース。
5位までに入れば1年は生活に困らないほどの賞金が手に入ります。
会場には伝説の走る民に挑戦したいとメキシコ国内や海外からもランナーが集まってきます。
あんなやる気満々のチームの人たちもいるじゃないですか。
オラ!ありがとう!ありがとう。
オラ!オラ!さすがメキシコ。
テンション高いですね。
今回何で挑戦したんですか?エクスキューズミー。
マサトコバヤシ。
アイウィルトライ。
魔裟斗さんもエントリーします。
サンキュー。
グラシアス。
獲得!ゲットしました!対するララムリは60人が参加。
もちろん履いているのはあのワラッチです。
女性ランナーも参加するみたいですね民族衣装で。
女性はみんな民族衣装で参加します。
本当にこの格好で100キロを走れるのかな?レースは山岳地帯がメインの険しいコースです。
20キロ過ぎからは急斜面の下り坂。
高低差1,000メートルの崖を一気に走って下ります。
下ったら次は登り。
今度は山頂までの山道を駆け上がる。
全長100キロの道のりです。
この過酷な山岳レースを撮影するため世界のトップランナーを走って撮影してきたアスリートカメラマン佐藤さんの力を借ります。
いよいよスタートの時が近づいてきました。
ところでアルヌルフォさんは?準備万端のようです。
だいぶ盛り上がってますよ。
お祭りみたい。
だけどアルヌルフォだけは真剣ですよ表情が。
果たして伝説の走る民ララムリの実力は?
(歓声)あっという間に魔裟斗さんを引き離したアルヌルフォさん。
それもそのはず。
ペースは1キロ3分。
マラソンの世界記録とほぼ同じです。
見て下さい。
スカートでワラッチであれで100キロ行っちゃうのかな。
スカートでも見事な走りっぷり。
ララムリにとってレースは日常の一部なんですね。
ララムリの走りの真骨頂は崖での走りにあります。
ここから谷です。
6時11分です。
20キロ地点に先頭のランナーがやって来ました。
ララムリの人です。
スタートしてからまだ1時間しかたっていません。
その後も続々とララムリたちが斜面を駆け下りていきます。
25人が通り過ぎたその時…。
アルヌルフォさんです!得意の斜面で追い上げていきます。
速すぎる!これまでいろいろなランナーを撮影してきましたがこんなスピードで山道を走り続ける人は見た事がありません。
普通では考えられない走り方です。
ついに前のランナーを捉えました。
ぐんぐんスピードを上げていくアルヌルフォさんにさすがの佐藤カメラマンも引き離されてしまいました。
アルヌルフォは今どこにいますかね?アルヌルフォはもう倍くらい行ってますよね多分。
結構ぬれてるんで滑りますよ。
前日の雨で地面は滑りやすく危険な状態に。
魔裟斗さんはアルヌルフォさんを追うのを諦めました。
もうちょっとついていけるかと思っていたけど…結局続々とリタイアが出る中でララムリは走り続けていた。
どうしてララムリはこんな崖でもスピードを落とさず走り続けられるのだろう。
しかもあのサンダルで。
実はサンダルで走る事がララムリの強さを生み出している事が分かってきました。
解き明かしたのは人類学者のダニエル・リーバーマン教授です。
シューズを履いている時はかかとから着地します。
一方ワラッチを履いた状態に近いはだしの時は土踏まずより前で着地しています。
足にかかる衝撃を表したグラフです。
傾きが緩やかなほど衝撃が少ない事を示しています。
2つを比べてみると土踏まずより前で着地した方が足への負担が少ない事が分かりました。
これが長距離を走った時に大きな差を生み出します。
人間本来の走り方をする事でララムリは長く走り続けられるのです。
コース中盤40キロ地点。
ここからは急な岩場を登っていきます。
アルヌルフォさんはというと…。
得意の山道で一気に20人近くを抜き優勝を狙える位置につけていました。
ところがスタートしてから5時間。
アルヌルフォさんに異変が…。
足を痛めていました。
実は移動費を節約するため家から会場までの70キロを2日間夜通しで歩いてきました。
その無理がたたったのです。
痛みはひどく挽回するのは難しい状態です。
(観客たち)ブラボーブラボーブラボー!レースに参加するのが賞金のためだけであればもう走る理由はないはずです。
それでもアルヌルフォさんは諦めません。
結局アルヌルフォさんは10位でゴール。
賞金は逃しました。
だいぶ足が痛そうだけど。
マメが潰れちゃってますね。
今回はちょっと残念な結果だったんですけどまた次回とか挑戦しますか?すごい悔しそうにしてて年齢も33歳で来年は出ないかなと思ったけど来年また走るって言ってたしやっぱホントに好きなんだなというのを感じましたね。
賞金が取れなくてもまたやるっていうのがそれだけじゃないというのを感じましたね。
今回の大会もララムリが優勝から上位30人までを独占。
その強さを見せつけました。
ララムリの強い走りを育んできた険しい山々。
なぜ彼らはこの場所に住んでいるのでしょうか。
ララムリがこの山あいにやって来たのは400年前。
一家族ごとに離れ皆人目を避けるように暮らしています。
こうした生活を始めたのはララムリの運命を変えたある出来事がきっかけでした。
それは17世紀の事。
スペイン人が侵略してきたのです。
当時平地に住んでいたララムリは争いを嫌い家と財産を捨て逃げます。
そして見つからぬようこの山あいに散らばったのです。
そんな中ララムリは独特の走る文化を生み出してきました。
それを象徴する行事があります。
それはずっと走りっ放し?走るのは大人から子どもまで。
このララヒッパリを400年間守り続けてきました。
なかなか不思議な遊びだなっていう。
遊びというか鍛えてるように感じますよね僕からすると。
走るためのトレーニング。
やっぱり逃げてくる時に自分の体だけじゃないですか。
だから自分の足を鍛えるためにもやってたんじゃないですか。
子どもが楽しみながら体力をつけられるようにって。
それっぽくないですか?そんな気がしましたね聞いてて。
生きるためにやったのかなっていう。
ララムリ伝統の行事ララヒッパリを魔裟斗さんも体験してみる事に。
おっこれですか?出ました。
これが!結構硬いですね。
石みたい。
へえ〜。
ちょっと見せてもらいたいなララヒッパリ。
ボールがどこに行くか分からないから急に止まったりダッシュしたり。
普通に走るよりもはるかにきつい。
負けた!これだけでもしんどい。
でもどうしてわざわざボールを蹴り続けるのだろう。
誰に聞いても分かりません。
答えを求めてやって来たのは村の中学校です。
こんにちは。
グラシアス。
お邪魔します。
教師のセサルさんは3年前町からこの村に赴任してきました。
子どもを夢中にさせるララヒッパリに興味を持ちその歴史を調べてきました。
もともとボールには多くの意味があったようです。
その一つが命のサイクルです。
転がるボールは永遠の命を意味しています。
死は命の終わりではないという事です。
更には豊穣祈願もあります。
トウモロコシの種まきの時期に雨乞いのためにララヒッパリをしたんです。
ララムリたちはボールを太陽に見立て回し続ける事が神への祈りにつながると考えてきた。
過酷な大地に追いやられた彼らは走る事の中に生きる希望を見いだしていったのかもしれない。
ララムリの中に言葉は残らなかったけど走る事は伝わってきたのです。
今はもう走る意味は忘れられていても走る事に込めた先人たちの魂みたいなものは彼らの体にしみこんでいる気がする。
ララヒッパリは今でも毎週のように行われています。
ランナーは毎回地区の大人たちが話し合って決めます。
今回代表に選ばれた…1か月前に負けて以来の勝負リベンジに燃えています。
松の木のボールは大人たちがレースの度に新しいものを作るのがしきたりです。
一つ一つのボールには走った時の記憶が刻み込まれています。
会場には毎回女性たちが荷物を抱えて集まってきます。
山の中に離れて暮らすララムリにとってララヒッパリはみんなと交流する貴重な機会です。
女性たちはスタート地点にララムリ伝統のスカートを置いていきます。
実はこれから始まるララヒッパリの勝敗に対して賭けをしているんです。
勝った方が全てのスカートをもらう事ができます。
賭けの相談をするうちに打ち解け合い世間話にも花が咲きます。
いよいよララヒッパリが始まります。
夕方6時ホセくんたちの蹴り出しとともにスタートです。
勝負は夜通し。
日が昇るまでに相手より長く走った方の勝ちです。
ララヒッパリでは足しか使えません。
ちょっとしたコントロールミスで順位は目まぐるしく入れ代わります。
スタートから1時間。
突然大粒のひょうが降ってきました。
それでもレースは続いていました。
大人たちが応援に駆けつけます。
そして誰ともなく一緒に走りだしました。
夜8時辺りが暗くなっても大人たちが照らすたいまつの明かりを頼りにララヒッパリは続きます。
ララムリたちは決して多くの事は語らない。
でも彼らは一緒に走る事で言葉では語りきれないたくさんの事を伝え合ってきたんだと思う。
きっと走る事でつながり合ってきたんだ。
ホセくんは50キロ近くを走ったものの僅かな差で負けてしまったそうです。
悔しい事も思いどおりにならない事もたくさんある。
でも何度負けたってまた走り続ける。
そんなララムリの魂こそ先人たちからの贈り物。
村では今日もまた新たなランナーが決まりました。
両親が町に出稼ぎに出た…今は一人おじさんの家に身を寄せています。
この村に残りたい。
自分で決めました。
2014/10/05(日) 00:50〜01:40
NHK総合1・神戸
地球イチバン「世界一走り続ける民〜メキシコ・ララムリ〜」[字][再]
世界でイチバン走り続ける民・ララムリの謎に迫る。100キロを超えるウルトラマラソンで圧倒的な強さを見せてきたメキシコの走る民とは?旅人・魔裟斗、語り・木村文乃
詳細情報
番組内容
世界でイチバン走り続ける民と呼ばれ、100キロメートルを超えるウルトラマラソンの世界レースで圧倒的な強さを見せてきた“走る民”ララムリの走る力と独特の文化に迫る。メキシコの大渓谷の奥地に隠れ住み、400年にわたり、一晩じゅう走り続けるという謎のしきたりを守り続けてきた。そこから生まれた脅威の持久力、さらに走り続けることに込められた先人達のメッセージとは? 【旅人】魔裟斗【語り】木村文乃
出演者
【リポーター】魔裟斗,【語り】木村文乃
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
趣味/教育 – 旅・釣り・アウトドア
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32080(0x7D50)
TransportStreamID:32080(0x7D50)
ServiceID:43008(0xA800)
EventID:8558(0x216E)