こんばんは佐野元春です。
「THESONGWRITERS」。
この番組では日本で活躍するソングライターたちを招き音楽における言葉すなわち歌詞について対話を行ってきました。
収録には毎回音楽や文学に興味のある学生たちが参加しています。
集まってくれた学生と一緒にソングライティングについて探求してきました。
僕はポピュラー音楽のソングライターこそが現代の詩人だと思っています。
僕はそう思っています。
今回のゲストは…それでは今回のゲストの方早速呼びたいと思います。
星野源さん。
(拍手)星野さんは学生時代はどんな青年だったんですか?僕は暗かったですね。
暗かった。
それは引っ込み思案とか消極的とかそういう意味ですか?あんまり自分の気持ちを素直に表に出せなくてそれを音楽とか演劇をやってなんとか消化してたというか。
普通に同級生とあまり自分の気持ちで話せなかったというかそんな子どもでした。
星野源さんは2000年にインストルメンタルバンド「SAKEROCK」を結成。
ギタリストとして音楽活動をスタートさせました。
そして29歳の時にシンガーソングライターとしてソロデビュー。
本格的に歌声を披露するようになります。
・「どんなことも」身の回りにある日常の風景を独特な視点で歌い人気を集めています。
・「すべて憶えているだろ」お父さんに叱られた事あったね。
あったあった。
あっ覚えてるか?また俳優としてドラマや映画舞台に出演。
エッセー集も出版するなどさまざまなジャンルで活躍するクリエーターです。
一番最初にご自身が書いた曲覚えてますか?中学3年生か高校1年生だったと思うんですけれども。
オリジナルの一番最初の歌詞はホントに確か「人の関係」という歌だったと思うんですけど。
「人の関係が分からない」みたいな歌詞でホント「分からない」っていっぱい書いてあったんですよ。
自分の事ながら落ち込んだ覚えがありますね。
歌詞を浮き彫りにする事で改めて言葉と音楽の関係を見つめ直すポエトリーリーディング。
佐野さんが今回選んだ曲は星野さんのセカンドアルバム「エピソード」に収録されている「くだらないの中に」です。
「髪の毛の匂いを嗅ぎあってくさいなあってふざけあったりくだらないの中に愛が人は笑うように生きる魔法がないと不便だよなマンガみたいに日々の恨み日々の妬み君が笑えば解決することばかり首筋の匂いがパンのようすごいなあって讃えあったりくだらないの中に愛が人は笑うように生きる希望がないと不便だよなマンガみたいに日々の嫉みとどのつまり僕が笑えば解決することばかりさ流行に呑まれ人は進む周りに呑まれ街はゆく僕は時代のものじゃなくてあなたのものになりたいんだ心が割れる音聴きあってばかだなあって泣かせあったりつけた傷の向こう側人は笑うように髪の毛の匂いを嗅ぎあってくさいなあってふざけあったりくだらないの中に愛が人は笑うように生きる人は笑うように生きる」。
いや〜…。
(拍手)「くだらないの中に」ですよね。
僕は星野さんのソングライティングで一番魅力に感じるのは語り部的なところですね。
いわゆるストーリーテリングですね。
ちょっとこの曲を聴いてみたいと思います。
「ストーブ」という曲。
最初は「ストーブ」っていうタイトルで本当にストーブの歌を作ってたんですよ。
普通にストーブの歌を。
秋が来たからちょっとストーブ出そうという歌を作っててでもちょっと詞があまりにもそのまんまというか普通の歌詞になってしまったので何かちょっと変えたいなと思ってた時に「ストーブ」というタイトルで火葬場がパッと思い浮かんだんですね。
火葬場の…亡くなった人を焼く火葬場がストーブっていうのがパッとつながってそれでお葬式の歌を作ろうと。
なるほど。
そこからもうメロディーは全部出来てたので歌詞をどんどん変えていったんですね。
これは僕の中ではあれなんです。
旦那さんが死んだ奥さんの歌っていう…。
伴侶。
…という事は女性が主人公なんですね。
でもそれは全然読む人によって違くても全然構わなくて何かその…「そろそろストーブをつける頃」っていうのは遺体が焼かれる時間が来るっていう。
「小窓のあなたも」っていうのはちっちゃく開くあれあるじゃないですか。
分かります。
あれが「小窓のあなたも」。
「煙になる」っていうのは焼かれて煙になるっていう意味ですけど。
「あとひと月半はデートもしまくり」っていうのはこれは四十九日の事ですね。
四十九日は現世にいるってよくいわれてる。
そばにいるっていうふうに思おうとしてるっていう。
何か…これはでもホントにすぐパッと出来たというかイメージがはっきりしてたので書いててすごく楽しかったですね。
感動的なのは最後のラインですね。
…と別れを告げてる。
これはもう純粋にピュアな愛の歌と言っていいですよね。
ただの「アイラブユー」「ユーラブミー」ではなくこれは映画にもなりうる一つのいわゆるストーリーですよね。
日本のポップロックの詞を見てみるといわゆる私を主体とした1人称の視点で書かれた詞が多いですね。
しかし星野さんのソングライティングでは第三者の視点で描かれた詞が多い。
いわゆるストーリーテリングだっていうような言葉を僕は使いました。
「喧嘩」という曲について見ていきたいと思います。
表現が直接的なんだけどもジンときますよ。
「日々に置いてかれしわくちゃになる入れ歯飛び出してみそ汁に浮く」。
かなり具体的な…。
そうですね。
そして…これもポップソングの中の一つの詞というよりか何か上質なコメディーの台本のようなスクリプトのようなそのような印象さえ受けますね。
そして何よりも感動するのが最後の表現ですね。
僕は個人的にこのあとに続く言葉が気になりますね。
僕はこう聞こえますね「最後は同じ場所で同じ時に死ねたらいいな」って。
星野さんはこのようにあえて言い切っていないのはやはりここは聞き手に何かを委ねたいという意図ですか?え〜っとそうですねでもホントにそのまんまのホントにそのままの意味なんですけど単純にこれはメロディーが足りなかったっていうだけで。
そうですか。
そうなんです。
でもこれで伝わるなと思ったんですよね。
このようなストーリーテリング的な曲を書く時ソングライティングの技術的な話になるんですけども最初何を思い浮かべるんですか?ストーリーですか?それとも登場人物なんですか?例えば「喧嘩」だと。
「喧嘩」という曲ですね。
何か歌にならなそうな言葉ってあるじゃないですか。
歌にしてもちょっとこれは何か合わないよっていう言葉を歌にしたいっていう気持ちが何かあってこの場合だと「入れ歯」なんですよ。
「入れ歯」っていう言葉を入れたいってとこまずそこからだったんですよ。
「入れ歯」っていう言葉が浮かないでその曲にちゃんと染み込んだ形で聴いてもらえるようにするにはどうしたらいいかっていってどんどん広げていくみたいな。
「茶碗」は「禿げ」が言いたかったんですよ。
えっ?「茶碗」は「禿げ」って言葉を入れたかったんです。
まずはね。
まずは。
あまりポップソングの中で使われない言葉だ。
「禿げ」って歌ったらちょっとコミックソングのにおいがするというかでもその「禿げ」という言葉をいかに真面目に歌うかっていうちゃんと理由があるようにするかっていう。
ホントに「禿げ」から広げていったのが「茶碗」という曲で。
あとその…僕日常の歌が多いっていうふうによく言って頂くんですけど。
ええそうですね。
やっぱり最初はそれこそホントにスケールの大きい歌を作ろうと思って「世界が」みたいな「平和」みたいなのも全然作ろうとしてことごとく失敗してっていう歴史がありまして。
そうですか。
でどうしよう全然自分に似合わないと思って家の中でいろいろグルグル家の中を回りながら作曲をしてたんですよ。
何か変わるかなと思って。
その時にキッチンで…台所でちょっと曲を作ってみようと思って目についたものからどんどん曲を作っていこうと思ってその「禿げ」歌いたいなってアイデアと目の前に茶碗があったのでそこから広がってったような。
その茶碗が例えば夫婦茶碗で還暦ぐらいの夫婦の昔のアルバムに買ったばかりの夫婦茶碗があって今もそれを使い続けているっていう。
その…男の禿げってちょっと笑いっぽくなるけれども女性も禿げるじゃないですか。
その禿げている髪の毛を梳かしている旦那さんっていうのはすごくきれいだなと思って何かそういうイメージがバババッと出来て一曲になったっていう感じなんですけど。
なるほど。
日常を歌おうっていうより何となくヒントがとりあえず近くにあるので割と身近な歌になってしまう事が多いです。
あと僕老人がよく歌に出てくるんですけど。
それはね僕も聞きたかったところなんです。
老人をテーマにした曲がとても多いですよね。
「老夫婦」「喧嘩」「茶碗」「布団」。
「グー」という曲も一応それに入るんですけれど。
ラブソングっていうのを多分書きたいんだけど自分の事とか同い年の人として歌うとちょっとこっぱずかしいっていうか。
でも老人が主人公だとちょっと距離が出来るじゃないですか自分より。
だから恥ずかしくないというか。
単純に自分にとってすごくスルッと言葉が出てくるテーマなんだと思います。
分かりますね。
老人をテーマにする事によって日常の中で育まれてきた愛について言及する事ができるという事だと思うんです。
そしてそれは物語にしやすいという事なのかもしれない。
そうですね。
どの曲も出てくる単語がかなりディテールがはっきりしてるしディテールが細かいですよね。
誰もがこういう風景かなって事が思い浮かべやすいそのような単語と表現をなさっていると思うんですよね。
これはポップソングの作詞家というよりもむしろシナリオライターの視点なのかなと僕はちょっと思ってるんですが星野さん役者もやられてるでしょう?はい。
役者は常にある役柄を演じるわけですよね。
星野さんの曲にストーリーテリング的な曲が多いというのはその事と関係してると思いますか?そうですね…役者をしている事というより物語が好きだっていう方が多分強いと思います。
あと単純に自分の気持ちを歌うっていういわゆるホントに「俺の歌」ってするのが単純に恥ずかしいというか。
そんな器じゃないみたいな気持ちにどうしてもなってしまってだから自分の気持ちみたいなものを物語に織り込ませるとそんなに恥ずかしくないし。
あと自分の歌にならないで人の歌になってくれる。
そのとおりですね。
物語を歌うとその物語の主人公とか出てくる人とか風景に自分を投影したりとか感情移入したりできるんじゃないかな。
その人の歌になってくれるんじゃないかなっていう…。
そんなふうに思って。
そのとおりですね。
それはよく分かりますね。
物語のすてきなところはストーリーを自分のものにする事ができる。
そして楽しむ事ができる。
これがストーリーテリング形式の曲の楽しいところでしょうね。
そうですね。
僕がやりたい事っていうか聴いてる人になってもらいたいものというか…。
共感してほしくないんですよ全然。
ちょっと待って。
星野さんの歌ってる曲に特に共感を求めてない?そうですね。
それはどうしてですか?やっぱり共感って同じ事を経験してるとか同じ事を思ってる人だけじゃないですか。
でもやっぱり若い人が老夫婦の歌を歌ってて自分を投影するっていうのは共感とは違うと思うんです。
だって経験してないわけだから。
そうですね。
それは共感というよりもっといいものなんじゃないかなっていう。
何かうまく言えないんですけど人間はやっぱり一人一人バラバラだと思うので例えば双子でも全然違うだろうし。
それは共感というものでつないでしまうとすごくもったいないんじゃないかなという。
それぞれが孤立したまま自分というものを持ったまま何か一緒にいるみたいな事ができないかなという。
とても大事なところ今おっしゃってますよね。
例えば震災後ね多くのソングライターたちが書いた曲があって希望とかあるいは絆という言葉が街にあふれた。
そうした曲を聴いて多少僕は違和感を覚えた事があった。
共感を取り付けたいあまりに何か作者の自意識みたいなものがオーバーに出されてるのではないかといったところのちょっとした違和感ですね。
今星野さんのお話を聞いて僕ハッとしたのは歌というものはなにも共感を取り付けるためではなくもう少し聞き手の想像力を信じておうように構えてみようよというような態度なのかなって今聞いて僕ハッとしたんですけどね。
続いては毎回ゲストに同じ質問を聞いていく定型質問。
好きな言葉は何ですか?「バカじゃないの?」って言葉が好きですね。
フフフ…。
褒め言葉というか。
くだらない事言って「バカじゃないの?」と言われるとうれしいというだけなんですけど。
嫌いな言葉は?「何々系」。
よくありますね。
その本質が抜け落ちていく事が多いなと思って…。
草食系もやっぱり中身の話だったのが見た目が草食系みたいだと中身も草食系みたいなカテゴライズになっちゃったりとか。
他になりたかった職業はありますか?サラリーマン。
サラリーマン。
単純にスーツがかっこいいなと思って。
僕クレージーキャッツが大好きで。
へえ〜。
植木等さんのクレージーの映画のシリーズで「無責任」シリーズで大体主人公がサラリーマンじゃないですか。
そのサラリーマンが無責任にいろんな事件を起こすっていう大体そういう話ですけどすごくそれに憧れがずっとあって…かっこいいと。
スーツというものを着ながらバカな事をやったりとか派手な事をやるっていう。
自分にはなかなかできないので…。
あとはダンサーになりたかったです。
踊りが大好きなので。
ミュージシャンであり役者でありダンスが好きという事を聞けばミュージカルをそのうちやるんじゃないかなって予想するんだけどどうですか?ミュージカルはやってみたいです。
日本のミュージカルというのがずっとやりたくて日本の外国のまねではない…まねから始まってるんだけど日本人の生理に合ったミュージカルみたいなのをずっとやりたいです。
自分が見たミュージカル映画の中でこれは優れてるんじゃないかなと思うのは確か1970年代前半のミュージカルだったと思う。
「君も出世ができる」。
大好きですよもう。
雪村いづみさん…。
もう大好きですよ。
ご覧になられた事は?もうその話をしようかと思ってやめたのですごくうれしいです。
そうですか。
どうもありがとう。
ありがとうございます。
(拍手)ファーストアルバムに収録されている「ばらばら」。
この曲から星野さんの詞の本質をひもときます。
「あの世界とこの世界重なりあったところにたったひとつのものがあるんだ」。
この「たったひとつのもの」とは何ですか?これはかなり昔に書いた曲で7年前ぐらいなんですけどもあの…壮絶に振られたんですよ。
ええ。
好きだった人に。
はい。
すごく…もうどうにもできなくって歌にぶつけるしかなかったんですね。
で…前からずっと違和感があった「世界は一つ」という言葉…。
よくありますね。
いろんな広告のキャッチコピーにもなってます。
「世界は一つ」ですね。
全然それは否定はしないしすごくいい言葉だなと思うんですけど「地球は一つだけど世界はいっぱいあるのにな」と思ってたんですね。
何かその振られた時にホントにもう絶望的な気持ちだったので「世界は一つになれないんだよ」という前から思っていた事とその時の気分が重なってこの曲がワッと出来たんですけども。
すごく偉そうに感じたんですよねその歌詞が。
「お前はどの立場から言ってるんだ?」と。
そう思った時に最後に何かちゃんと解決策を見いださないと駄目だなと思ってそれでずっと考えた時に例えば赤い色と青い色があった時にこの2つは絶対一つにはなれないけど重なった時に一つの色が出来る。
それはどっちかが形を変えてるんじゃなくてただ重なってるだけなんだと。
それは人間関係でも言えるんじゃないかなと思って。
「君と僕は一つさ」みたいな…。
「うそつき!」みたいな。
ずっと思ってたけど「君と僕は二つさ」と言われると「そうだよな」みたいな。
でもその二つは一つ一つとまた違うじゃないですか。
やっぱり「二つ」だから。
それはでもそれぞれがちゃんと孤立して自分というものを例えばそれは自分を消さないとはまた微妙に違うんですけどやっぱりそれは自然に重なる事によって何か一つのものがそこに生まれるんじゃないかみたいな。
それをちゃんと書けて曲を終われた時にそれまでそういう曲は書いた事なかったんで自分なりの作り方みたいなのが分かったなと思って。
それは一つのものっていうのがすごく漠然とはしてて「これです」とはなかなか言えないんですけどすごく大事なものなんじゃないかなと思って…。
面白い話ですね。
この曲が出来た時は全部書き終わって出来たっていう時はどういう気持ちでした?最初は自分なりの達成感はありつつも暗いなと思ってたんですよ。
そうですか。
でもライブをやってそれで歌った時に「あの『ばらばら』って歌あったでしょ。
あれすごくよかった」と言ってもらえてもうホントただ自分の中にあった「うわ〜!」というものを書いてそれをちょっとどうにか人に伝わるように直したっていう歌だったんで外側の余地が全然なかったんですよ。
それが褒めてもらえたってのがすっごいうれしくってその時に何か初めてちゃんとした達成感というか「これでよかったんだ」という…。
・「髪の毛の匂いを嗅ぎあって」・「くさいなあってふざけあったり」・「くだらないの中に愛が人は笑うように生きる」・「魔法がないと不便だよなマンガみたいに」・「日々の恨み日々の妬み」・「君が笑えば解決することばかり」・「首筋の匂いがパンのよう」・「すごいなあって讃えあったり」・「くだらないの中に愛が人は笑うように生きる」こんばんは佐野元春です。
「THESONGWRITERS」。
この番組では日本で活躍するソングライターたちを招き音楽における言葉すなわち歌詞について対話を行ってきました。
収録には毎回音楽や文学に興味のある学生たちが参加しています。
集まってくれた学生と一緒にソングライティングについて探求してきました。
僕はポピュラー音楽のソングライターこそが現代の詩人だと思っています。
僕はそう思っています。
ゲストは前回に引き続き…
(拍手)星野さんは以前お会いした時に自分は短いイメージの曲が好きだ短いイメージの詞が好きだとおっしゃっていたんだけどもそれをもうちょっと詳しく教えてほしいんですが。
僕は飽き性というか長い曲を聴いてると途中でちょっと飽きてしまう事が多くて…。
なので主に短い曲が好きなんです。
詞が短い方がイメージが広がったりする事が多くて。
言葉が少なくてその言葉と言葉はすごくかけ離れてるんだけど1曲として聴いた時にその間が聴いた人の中で補完されて補填されてストーリーがワッとその人の中で広がるみたいな。
分かります。
そういうのはすごく好きです。
ではここでワークショップに行きたいと思うんですけど今回このワークショップ用に星野さんが書き下ろしてくれた歌のメロディーがあります。
皆さんにはこのメロディーに言葉をつけてもらいたいと思います。
ワークショップのために星野さんが作った6小節のメロディー。
このメロディーを聴いた学生たちが思い浮かべた言葉を詩にしていきます。
1つの音符に1つの文字を当てはめます。
学生が書いた300余りの詩は佐野さんと星野さんのもとへ。
最高です。
これ…。
2人が面白いと感じた作品を集め星野さんがギターを弾きながら歌います。
だいぶ楽しい作品が…。
すばらしいのがいっぱいありました。
笑っちゃうのから何かこう哲学的なものまでバリエーションいろいろとありましたけれども。
皆さん協力してくれてどうもありがとう。
早速1曲目星野さんの方で選んでもらえますか?じゃいい感じのやつから。
いい感じのやつ?はい。
いい感じのやつから1曲目。
オーケー。
・「二度寝してつっかけで荒川をあるく」・「君に会えたらな」
(拍手)すてき!これは情景が見えますよね。
そうですね。
この歌詞を書いてくれたのは武蔵大学のイケダショウコさん。
いらっしゃいますか?この詩はどんなつもりで書かれたんですか?二度寝と荒川がすごく好きだなと思って。
フフフ。
ああなるほど。
誰かに会えるといいなと思いながら偶然会えないかなと思いながら散歩するのが好きで…書きました。
どうもありがとう。
ありがとうございます。
(拍手)僕これ好きなのは「二度寝して」っていうところで割と時間帯が限定されるのが好きなんですよね。
二度寝って大体朝から昼ぐらい「眠いな」と思ってまた寝ちゃってそのあと散歩に行くから夕方とか夕方前ぐらいだと思うんですよね。
「二度寝」っていう言葉だけで時間帯を示してるのがすごくいいと思います。
僕からもいいんじゃないかなという詩があるんですけど。
では。
・「へび畑魚雨トカゲ坂登り」・「夢の中歩く」
(拍手)僕はこの詩は好きですね。
ウスイナナコさん。
いらっしゃいますか?あっはい。
私ふだんから変な夢を見る事がすごく多くてへびがたくさんいる畑とか魚が雨になって降ってきたりとかそういう情景を見る事があってその日一日その夢に影響されるという事があってそれをちょっと思い出したので書いてみました。
分かりました。
詩的な表現てすごく難しいラインだと思うんですけど時折こう…何だろう…歯が浮いちゃうようなフレーズになってしまったりとか。
でもこれがすごく詩的というか不思議な歌詞なのに想像がすぐできたりとか好きだなと思うのはやっぱりちゃんと見てるからなんだなと思いました。
実感がちゃんと籠もってる言葉なんだなというふうに不思議なバランスで成り立ってるいい歌詞だなと思います。
ほかに星野さんの方であるかな?これ僕すごい好きなやつですね。
・「まわし締めしこを踏む勇ましき力士」・「どすこいのリズム」
(拍手)これ読んだ瞬間「バカじゃないの」と思って。
でもすごいところに観点が。
オガワユウトさん。
いらっしゃいますか?かなり個性的な視点ですよね。
これはどのようなつもりで書かれたんですか?友達がすごい…自称力士の人がいるんですよ。
自称力士?はい。
何か力士ぶってる。
力士ぶってる!そんな事あるんだ。
ふくよからしくて…。
でも相撲部屋には入ってない。
女子です。
あっ女子?はい。
全然世界観が変わってくる!すごいですね。
思いついたのが力士かなって感じでそこから…「どすこい」って入れたかったんですよ。
語感がいいので。
「どすこい」いい。
僕好きなのは歌にすると「勇ましき力士」というのがすごくリズムがある言葉なんです。
「勇ましき力士」。
ちょっとラップというか韻を踏んでいるふうに「勇ましき力士」。
そうですね。
韻を踏んでいるかに聞こえるね。
ホントは踏んでないんだけど何かうねりが出てくるっていう。
確かにこのラインには目に見えない韻律がありますよね。
「しこを踏む」「どすこいのリズム」。
ここでも韻を踏んでいるように思うんだけど。
そうですね。
これは意識的ですか?いやそんな事はないです。
アハハハハ!今気付きました。
分かりました。
どうもありがとう。
すごくいいと思います。
(拍手)まだまだあるんですよ。
・「バカみたい!ありえない!おかしいんじゃない?」・「でも貴方が好き」
(拍手)かわいらしい曲ですよね。
カジワラマサトさんです。
これは個人の経験から出てきた詩なんですか?そういう事じゃないんですけど。
ちょっと想像して書いてみたんですけど。
若い女性が彼氏とけんかしてこんなに…怒っているんだけれども完全には嫌いになりきれないという様子ですね。
僕これすごい好きなのはやしきたかじん臭がするんですよね。
「でも貴方が好き」みたいなのが完全に男側の妄想っぽいっていう。
(笑い)あんまりそんな女の人ホントはいないんだけど「やっぱ好きやねん」みたいな感じがしてすごい面白いなと思って。
何か自分の気持ちツーラインあるみたいな。
そういうのがすごく好きで。
1つの気持ちを歌うんじゃなくて同時に2つの気持ちがあるっていうのを歌うのがすごく好きなので面白いなと思いますね。
どうもありがとう。
どうだろう?みんなに相談したいんだけども今聴いてて即興でこんなの思い浮かんだという人いたら挙手してくれれば星野さん歌ってくれるという事なんだけども誰か即興で…?即興…ちょっと長いといえば長いかもしれないけど。
今みんな真剣に考えてる?いい事思いついたら自由に挙手してアイデアを下さい。
すばらしいね。
おっ。
じゃまず…。
「君だって」。
「君だって」。
「酒乱だろ」。
えっ?
(笑い)「酒乱だろ」?「酒乱だろ」。
酒で暴れるやつです。
「君だって酒乱だろ」。
「小言いう電話」。
「小言いう電話」。
「迎え待つ深夜」。
「迎え待つ深夜」。
じゃこれ実際歌ってみようか?はい。
・「君だって酒乱だろ小言いう電話」・「迎え待つ深夜」
(拍手)すばらしい。
これはねメロディーがついて星野さんの声で歌われる事によって景色が一気に広がりましたね。
最初聞いた時「えっ?」と思ったんだけど歌となった時正直言ってすごくロマンチックな感じがする。
まあ世の中愛の歌たくさんありますけども酒乱同士の愛の歌っていうのは珍しいですね。
いいですね。
結構好きですよ。
ありがとうございます。
僕も好きです。
どうもありがとう。
今回の実験ですけど全体的にどんな事を感じました?言葉って面白いですね。
一個何かが入るだけですごいいろんな想像ができるというか解釈がいっぱいできるというのがホントに面白いなと思って。
一つのメロディーにこれだけアイデアが集まるというのもすごい事ですよね。
面白かったです。
実を言うとこのメロディーの作者である星野さんは星野さんなりの歌詞をあらかじめ持ってます。
それを皆さん聴きたいと思いませんか?
(拍手)ホントに?ありがとう。
じゃ…。
・「もりそばは出されたら早く食べないと」・「固まってしまう」
(拍手)これは「そりゃそうだ」って話。
「そりゃそうだ」っていうのを何となくこんな曲に乗せて歌うと何か深い事を言ってる気がするみたいな。
確かにそうだみたいな。
もしかしたら結構堅いというか学生さんというか結構いっぱい考えて書く方が多いかなと思って「こんなのもあるよ」というふうに紹介しようと思ったんですけど結構ホントにやわらかい人が多かったんでもう一個歌ってみてもいいですか?是非聴かせて下さい。
ありがとうございます。
・「みんな死ねみんな死ね殺してやりたい」・「この僕の次に」
(拍手)とてもインパクトがありますね。
「みんな死ねみんな死ね…」。
最後に「この僕の次に」と来る。
なかなか深い詩だと思います。
ストレスがウ〜っとなった時に例えば何か曲にぶつけたいとなった時に「これを放送で流すのはちょっと」とか。
あと「お客さんが聴いたら嫌な気分かな」みたいなのを思うと作れなくなっちゃうんですね。
なので僕はよくやるのは一回バンとぶつけてみる。
ええ。
でちょっと工夫すると普遍的なものになったりとか。
ホントに最後の1行だけ「この僕の次に」ってするだけで独り善がりだった「みんな死ねチクショー」みたいに言ってる人が「この僕の次に」って事ですごくいろいろ悩んでるっていう違う見方ができるんじゃないかなと思って。
でも優しいメロディーに優しくない言葉をぶつけた時にそれがどう相手に響くかというのはすごく興味深い実験だと思うんですよね。
そして僕らは日々作詞作曲をやってるわけなんですけどもこうした実験というのは時々やりますよね。
僕もやるんですけど。
そうですね。
僕はずっとパンクとかハードコアとかが大好きで…。
そうですか。
やろうと思った時期があったんですけど「似合わない」って言われちゃって。
でも自分の中にあるパンク的な心みたいなのが行き場がなくてですねそれをすごくボソッと歌うみたいな。
それこそ「チクショー」みたいな事をボソッと歌うと逆にギターをガ〜っとかき鳴らしてギャ〜って言うよりも怖いんじゃないかなと。
ああ。
何かグッと刺さる場合もあるんじゃないかなと思ってそういう曲が多いですね。
そうなんだね。
僕たち曲を書いて相手と融合するという事も平和の中で融合するという目的もあるけども時には相手を突き放して「君はどう思う?」って問題を突きつけたくなる時もありますよね。
そういう時に言葉が激しくなったりする事ありますよね。
今回のこの実験すごく興味深かったのは同じメロディーでも人の経験によっていろいろな歌詞が生まれてくるんだなという事を今日は知る事ができました。
作品を書いてくれた皆さん協力してくれた皆さんどうもありがとう。
すばらしかったです。
(拍手)ここからは学生の質問に星野さんが答えます。
一番最初に好きになったのが「日常」で「日常」の歌詞の中の「共感はいらない」という言葉だけがものすごく浮いているというか主張めいた言葉になっている情景ではない部分が出ているような気がしてよかったらこの部分についてお聞きしたいなと思いました。
面白い指摘ですね。
どうですか?「日常」って曲は物語というよりもどっちかと言うと主張の歌のつもりで書いていてよく「星野さんの曲は共感ができる」というふうに言って頂く事が多くてすごいうれしいんですけどそうじゃないっていう部分もあるんだっていうのを曲に入れたかったし。
あと「みんなが嫌いなものが好きでもいいのよ」って歌詞があるんですけどそれは言いたい事ではあったんですがやっぱりすごく本質的な事だし…でもいろんな人が言ってる事で。
もっと突っ込みたかったんですよね。
なので2番では「みんなが好きなものが好きでもそれでもいい」と。
今はみんなが嫌いだから自分も嫌いになるっていうよりみんなが好きだから…例えばすごく売れてるから「俺はそんなの嫌いだよ」という考え方の方が多いような気がして。
でもそれって例えばある曲が売れててすごく何百万枚も売れてる。
でもそれを見て売れてるっていう理由だけで聴かなくなる人もすごく多いと思うんです。
僕もそういう時期がすごくあった。
でもそれってその中身には音楽がないんですよね。
どんなに売れてるものでも自分はすごく好きかもしれないし。
ちゃんと聴いてみて「この歌詞が好きだ」とか「このメロディーが好きだ」と思う場合もあるかもしれない。
その時にすごくそこにいらだちを感じていてそういうのをぶつけてみたりとか。
非常に余裕のない時期に作った歌詞だったのでそういうふうにいつもより強く出てるかもしれないです。
確かに「共感はいらない」あのラインは非常に生々しく聞こえますね。
「共感なんかいらない」という事はすなわち僕は「個人を大切に」って言われてるような気がした。
「共同の幻想の中で個人を埋没させるな」って。
そのようなメッセージを僕は受け取ってとても強い印象を受けましたね。
これは僕の意見です。
どうもありがとう。
どうぞ。
ワークショップで星野さんに最初メロディーをご提供頂いてそこに歌詞をつけるという形で僕生まれて初めて歌詞を書いたんですけどメロディーが先にあるからそれにちょっと助けられる形で歌詞が出てきたりとか…もちろん逆もあると思うんですけど字数が合わないとかどっちかがどっちかを制約してしまうという事がある時にどうするのかちょっとお聞きしたいなと思って。
よくある事だよね。
これが言いたい。
でもメロディー決まってる。
字数が合わない。
どうしますか?僕がまず曲を作り始めてというか本格的にちゃんと歌おうと思って25歳ぐらいの時とかに作った時自分に課したルールがあって1つの音符の中に2つ以上言葉を入れない。
ああ。
今日のワークショップでやったとおりだ。
1音にひと言乗せていく。
これを自分に課した。
面白いですね。
それをやっていってやっぱりこれが言いたいけどここにははまらない。
でもそれは歌詞を変えていってましたね。
メロディーに合わせて歌詞を無理やり変えてました。
それをやってみて分かったのは枠ってホントに大事なんだなと思って。
制約。
ええ。
その制約によって自分の言いたい事が曲げられてしまった時に深みが出る場合が多かったんですよね。
なるほど。
例えば6文字の言葉で言いたいんだけどメロディー的には5文字しかなくて1文字多い。
でも1文字ないだけで意味が変わってきちゃうとなった時に意味が変わってもいいから入れちゃうっていう。
ああ。
それに合わせて音符を変えちゃうとちょっと間延びしてしまったりとか無理やりな感じというのが出てきちゃう。
でも無理してはめると自分では思ってなかった偶然の面白さみたいなのが出てくる。
それをやっていくうちに逆にそこに面白さを感じてしまって。
ああ。
だから「あっはまんねえや」ってなった時にうれしくなるみたいな。
「よ〜しこれはどう落とし前つけてやろうか」「来たぞ来たぞ」みたいな「そこから勝負」みたいな。
でうまくはまる言葉が見つかったり自分が予想もしなかった…。
またそういうところが「いい歌詞ですね」って言われる事が多かったりして。
だからそれが自分の範囲をちゃんと超えるのにいい作用になるんじゃないかなと。
今は1音に2つとかも挑戦し始めているので今は違うんですけど。
始めた当初はそうやってましたね。
どうぞ。
ストレートな質問なんですけどミュージシャンとして活躍している星野さんは一体何のために歌っているのかそれを知りたいです。
これどう答えますかね。
始まりは例えば自分の気持ちみたいなのをあまりうまく人に言えなかったのでそれを曲にぶつけるみたいな。
それをやる事で自分の中のドロドロしたものがその時だけ消える。
で何か前に進めたような気がしたんですね。
それが高校1年生とかの頃で。
でもそれがどんどん成長してきてある程度悩みみたいなものが自分の力でも乗り越えられるように歌の力を借りなくてもある程度の苦難でもなんとか乗り越えられるようになった時に音楽って要らなくなるのかなって思ったんですけどホントどうしようもないこれは受け止められないってものがあった時にバ〜ンってしたためたんですけどそれをちょっと工夫していろんな人に伝わって…。
すごく下世話な話ですけどライブやってお金もらったんです。
でこの俺のドロドロとしたどうしようもない気持ちがお金になった。
ホントに5,000円とかそのぐらいのお金だったんですけど。
例えばすごく嫌な事があってそれを本人に伝えて「お前なんか大嫌いだ。
バカ野郎死んじゃえ」と言うのとそれを歌にバンとしたためて工夫してみんな笑顔になってお金もらった方がよっぽどいいぞと。
そんなすてきな職業ないんじゃないかなと思って。
生きていくためにやっていた事が例えばそれをプロフェッショナルとしてやる事でお金がもらえて御飯が食べられてまさしく生きていけるという。
負のエネルギーを陽にというか陰のエネルギーを陽に転換できるというのがすごい面白いと思って今もやってます。
ありがとうございました。
どうもありがとう。
いろいろな質問を頂きました。
皆さんまだまだ星野さんに質問したいという方もいるかと思いますけども今日得た経験を是非皆さんの日常の中で何か生かしてもらえたらいいなとそう思います。
皆さんどうもありがとう。
星野源さんでした。
ありがとうございました。
(拍手)ありがとうございました。
(拍手)物語を歌うとその物語の主人公とか出てくる人とかその風景に自分を投影したりとか感情移入したりできるんじゃないかな。
その人の歌になってくれるんじゃないかな。
・「へび畑魚雨」「どすこい」って入れたかったんですよ。
語感がいいので。
「どすこい」いい。
言葉って面白いですね。
一個何かが入るだけですごいいろんな想像ができるというか解釈がいっぱいできるというのがホントに面白いなと思って。
若者たちの絆と冒険の物語「ログ・ホライズン」。
2014/10/05(日) 00:25〜01:25
NHKEテレ1大阪
Eテレセレクション・お願い!編集長「佐野元春のザ・ソングライターズ〜星野源」[字]
NHKホームページ「お願い!編集長」へのリクエストに応えて、「佐野元春のザ・ソングライターズ 星野源」2回シリーズ(2012年11月放送)をまとめてお送りする。
詳細情報
番組内容
佐野元春が毎回ソングライターをゲストに招き、音楽における“言葉”をテーマに講義形式で対談を行った番組「佐野元春のザ・ソングライターズ」。俳優、シンガーソング・ライターとして活躍する星野源を迎えた2回シリーズ(2012年11月放送)には、多くのアンコール放送リクエストが寄せられた。その内容ををまとめてお送りする。
出演者
【出演】佐野元春,星野源
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
音楽 – その他
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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