【サンパウロ=宮本英威】ブラジルの金融市場で27日、株価と通貨のレアルが大幅に下落した。26日の大統領選(決選)で現職のルセフ氏が僅差で再選を決め、経済改革が停滞するとの見方が膨らんだ。市場では「ブラジルの資産には総じて弱気」(外国銀行)との声が聞かれた。
主要株価指数ボベスパの終値は5万0503と、前週末比で2.77%低下し、4月15日以来の安値となった。午前中には一時、6%強下げる場面もあった。証券会社アチバコレトラのレノン・ボルジェス氏は「外国人投資家の見方は厳しい。4万5000程度まで下がる可能性がある」という。
通貨レアルはサンパウロ外国為替市場で1ドル=2.52レアル台で取引を終えた。ブラジル三菱東京UFJ銀行によると、2005年5月以来、ほぼ9年半ぶりのレアル安・ドル高水準だという。
大統領選の決選投票では、野党・ブラジル社会民主党のネベス氏が「市場重視」の施策を掲げていた。ネベス氏は一時、世論調査でルセフ氏の支持率を上回っていた。市場では野党候補の勝利への期待感もあっただけに、27日の「ブラジル売り」につながった。
一方、ルセフ氏は1期目に市場が期待するような改革に消極的だった。今後も「経済政策に大きな変更はない」(アジア経済研究所の菊池啓一氏)との見方が多い。
今後の経済運営を占うえで、今年末の退任を発表しているマンテガ財務相の後任人事の行方が注目されている。
市場では「民間部門との結びつきを回復する好機だ」(英バークレイズ)との声もある。メルカダンテ官房長官、ブラジル経済社会開発銀行のコウチーニョ総裁、民間企業の社長らが後任候補として取り沙汰されている。
26日の決選投票ではルセフ氏が52%弱、ネベス氏が48%強の得票率だった。
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