心ゆさぶれ!先輩ROCK YOU 2014.10.04

本日の先輩1人目は…
2004年にデビュー後2作目にしてミリオンセラーに
その後名だたる文学賞を受賞しミステリー作家として確固たる地位を築いて来ました
道尾さんが描くのは人間の闇とその先にある希望
文章にしかできない表現を追究して来ました
ミステリアスな雰囲気漂う道尾さんその素顔とは…
そしてもう1人の先輩…
2004年にデビューし…
他にもメフィスト賞や吉川英治文学新人賞を受賞
そんな村さんが描くのはさまざまな立場で生きるごく普通の女性達
そのリアルな藤が読者達に支持されるゆえんです
さらに『鍵のない夢を見る』『ツナグ』などの作品が映像化され評判になりました
今日は同期のお2人にとことんお話を伺います
今年ちょうど10年…。
10年目。
半年ぐらい彼女が先輩で。
(加藤)同じ年にデビューしてるということですね。
じゃメールとかやり取りしたりするんですか?対談で会ったりその後食事行ったりみんなで遊びで集まる時があるんですね。
いろんなとこ行ったり…。
幹事やってくれるんで。
趣味幹事?日本の中でも幹事やってる小説家の方ってあんまりいないんじゃ…いないですよね。
先生とか呼ばれるでしょ?もう。
最近小説家を先生って呼ぶ人あんまりいないよね?あんまりいないちょっとやっぱおもはゆい感じがするので。
呼ばれてあんまり嬉しい感じしないですか?そうですね僕ら見た目からして先生って呼んだら嫌がるだろうなっていう見た目をしてるんで…。
そんなことないです2人とも先生に見え…見えないですね。
(大東)お2人の心ゆさぶるものを探って行きたいと思います。
まず最初はこちら。
今日はいくつか質問を用意させてもらったのでお2人に…。
答えていただければなと思います。
ではまず最初の質問です。
お願いします!お〜。
(木南)2人とも。
これは2人とも「違います」。
(大東)「守る」と。
私結構前倒しぐらいで渡すような。
ちょっと待ってください締め切りが月末だとしたらどのぐらい前に渡します?ホントに?
締め切り驚きます!
私OLをしながら小説を書いてた…。
前の人の書類が来ないと自分が帰れないとか。
あ〜なるほど。
待たされるストレスとか。
(大東)気持ちが分かる。
そうなんですよ。
一回も締め切り遅れたことないですか?えっと締め切りを間違えてたことがあって。
2月の末だと私が思ってたやつが1月の末で。
…ってメールが来て。
ヤバいじゃないですか。
うわっ大事件。
今こういう話を考えててこうなんだけどどうしたらいいと思う?みたいなのをその…。
…のものを書いて。
2日で100枚!その評判どうでした?
(笑い)えぇ〜!前に一回さどっかの連載で編集者が「あれどうなってますか?」って言って「いやほとんど出来てるんだけど1か所どうしても迷ってるところがあって」って話してる時に…。
…ことあったよね?あった。
よく覚えてるね。
それはウソつかれたってことですね。
結構期日に遅れてるって言っていいですか?でもまぁギリギリに頑張るっていう…。
道尾さんは?僕もやっぱり同じでずっと早めに終わらせるんですよ。
スケジュールをエクセルで管理していて4年ぐらい先まで…。
4年先まで?はいぎっしり決まっていて。
たまたまイレギュラーな特集号に書きたい時とかにねじ込むってことはあるんですけど基本的にはずっと決めてあるんですよね。
えっじゃ今道尾さんに新たに依頼する場合は4年後とかになっちゃうということですか?
(木南)え〜!そんな感じなんですね。
じゃ絶対遅れるはずがないんですね。
そうですね今のところは…。
長編なんかも連載が始まる時には最後まで書き上げて単に…。
そうなんだ…その作家さんって珍しくないですか?あんまり聞かないですね。
連載だと書いてって反応を見ながらここはこうして行こうってその場で変わって行くもんだったりするじゃないですか。
これすごくないですか?村さん。
この書き方聞いた時に…。
…と思って。
ねぇ!毎号毎号やるほうが…。
…と思うけどね。
作家さんってホント遅れるものだと思ってたから。
新しい時代だね。
次のカード行ってみましょうかこちら。
あっこれは分かれましたね。
これは村さんは読まれるということですね。
自分が作家になる前からずっと新刊を追いかけてる方のものとかが日常の楽しみの部分で仕事とは関係なく読むっていう感じ…。
ちなみに誰か聞いてもよろしいですか?へぇ〜。
子供の頃から読んでたりする流れがあって。
ちなみに学生の頃とかどのぐらい読んでたんですか?
(大東)へぇ〜。
月30冊!それはすごいわ!道尾さんのやつは読んだりするんですか?道尾さんのは昔読んでたんだけど。
昔読んでた?飽きたんですか?飽きてません。
昔読んで感想とかすごく熱く伝えてたんですけど…。
ハハハ…。
最近は読んでも言わないようにして。
読んではいるんですね。
読んではいます。
へぇ〜。
言ってほしいですか?道尾さんは。
作家の感想って参考にしちゃう恐れがあるんで。
そうすると僕独自のものじゃなくなっちゃうんですよね。
やっぱり作家さんの感想っていいこと言ってくれちゃうんで。
道尾色が薄まるという考えでいいですか?前に感想を聞いた時も実はちょっと…。
そうだったのか。
あっそうなんだ自分のやりたいものが引っ張られる可能性がある。
そうなんですよね。
やっぱり僕は読者を増やすために書いてるんじゃない…っていうところだと思うんですよね。
でもたくさん売れたほうが嬉しいですよね?自分がやりたいことを100%やった上でたくさん売れたら嬉しいんですけどその中に一行でも…。
それが売れても嬉しくない。
だったら100%自分の作ったもので売れないほうがまだ僕はいいんですよね。
え〜ストイックなタイプですね。
で…。
そうですね話題作はやっぱり今世の中で何が評判なのか答えが書いてあるんですね今この本が売れるっていう。
…っていう気持ちはあるんですよね。
そこをやってしまう自分が怖い?多分…。
ハハハ…。
ちょっと禁断のもんみたいなことですね。
そうですね。
心の奥底に潜んでる売れたい願望の道尾さんにフタをしとくために話題作を読まないっていう言い方しても大丈夫ですか?まさにその通りですね。
え〜!売れればいいじゃないですか!ホントに幸いある程度の読者の方がついてくれているので…。
絶対そうですよねファンは多いですもんね道尾さん。
ホントに僕の本を読んでくれる人がいなくなったら…。
(笑い)
さてお2人のお気に入りの場面こんなに深い仕掛けが…
前後読めば分かるんですけどここだけだとちょっと分かんないですよね。
これ前がないんですいきなり…。
主人公が見る謎の夢の冒頭なんですけどパッと読んでも意味が全く分からないわけですよね。
続きを読むとこの主人公が夢の中で…。
…ってことが分かって来る。
そうするとこれが複眼だってことが分かる。
へぇ〜トンボの。
ただここの冒頭で「気が付いたら私の目は複眼になっていた」…って書いてしまうと面白くないんですね。
ここで一回首をひねってもらって読みにくいな…一瞬思ってもらって次の行に行ってまたパッと目がこっちに戻る…っていうことをやってもらいたいんですね。
戻るということですね。
「意味分かんない何だろう?」読み進めて行くと「あっトンボだからこれ複眼だ」って分かってほしい…。
すごいいろんなこと入れてるんですね。
(大東)それは読み手のペースをコントロールするとかそういう意図もあるってことですか?そうですね。
この手法みたいのは他の作家さんでやられてたりすることってある?ある?こだわってる方とそうではなくてただホントに分かりやすさを優先されていて映像見るのと同じペースになるようにっていうことを逆にこだわられてる作家さんも…。
だから道尾さんの文章は…。
…みたいなものをすごく味わえる。
小説読み慣れてる方はもうたまらなく楽しいだろうし。
さて村さん
これは1つの物語を恋編と友情編それぞれの主人公の目線で書かれた作品
同じシーンの描写ですが…
茂実っていう男の人。
なので最初に来た時に彼が言った「来ますよそれは打ち上げくらい」っていう言葉後で耳の中で反響させて3行にわたって聞いて「微かに甘い響きがあった」って捉えるんですけど。
その様子をはたで見ていた…。
もうこんな感じに素っ気ないんです。
(大東)同じ文章でも聞き手が違うと…。
そうですね。
だから…。
こちらのほうはカッコがつかないんですよね。
でこっちだと耳でカッコになってホントに一つのたわいないセリフとして聞き流して。
そこも考えるっていうことなんだね。
(木南)これもスピードを落とすみたいな効果も…。
そうですねゆっくり読んでほしいと思うので。
どれだけ恋にハマり込んで行くのかっていうところを一緒にたどってほしいしそうじゃない人が見るとこんなにあっけないことなんだっていうのも対比として見てほしいと思っていて。
面白いですね。
どうですか?これ道尾さんご覧になられて。
これ面白いですね。
僕はこういうことやったことないですね。
でも文章の好みがやっぱり僕と村さん随分違うなっていうのがこんな短いのだけでもね。
どの辺が違うって分かります?僕ならここを平仮名にするんですよ「きますよ」。
でこっちは漢字なんですね。
こっちは心で捉えた声でここは情報としてのセリフなので。
でここの…。
そんな違うんだね〜。
面白い。
ここを平仮名にするっていうのはどうしてですか?やっぱり耳で情報としてじゃなくて…。
平仮名の「き」に僕ならしたいですね。
へぇ〜。
ここの「、」取るっていうのは?人のセリフを思い出す時って流れで音の流れで思い出す時があるんで。
「来ますよそれは」「よ」と「そ」が割と…。
僕はそこは外すんですよね。
…ことが多いんですけど。
(笑い)
作家の悩みと醍醐味
こんなコンプレックスが村作品の背景にあるようです
私ずっと自分が…。
両親公務員で地方都市に生まれて。
何か家庭環境が複雑だったわけでもないし。
だけど作家さんの半生とかって見てみると結構壮絶って書かれてる方が多かったりとか。
自分がすごく普通であることとか作家っぽくないとか破天荒な部分がないっていうのがコンプレックスだったんですね。
なんですけど書いてるうちに…。
…のかもしれないと思うようになって。
ホントだったら話にはならないかもしれない悩みとか感情とかそういうところを丁寧に一つの話にして行くっていうことが作家の仕事なんじゃないかなと思うんですよね。
普通の感覚がないと飛ばせないですからね結局ね。
道尾さんこんな驚きの瞬間が
ホントに起きるんですよ。
書かされてる感ってあったりする時もあるんですか?ありますあります思いも寄らないセリフを喋ったり。
登場人物によって。
後半になって来るときちっと人物が出来上がってくれるんで例えば会話シーンなんかは彼らの…。
うわ〜。
何それ!そうなった時一番面白いですね。
その時はホントに原稿が全く苦ではないですね。
主人公が笑う時に大笑いしたりするよね書きながらね。
主人公が泣いてれば泣きますし。
表情とかが思い浮かんで。
うわっそういうもんなんですね。
人を動かすってどういうこと?
埼玉県三富地域には豊かな森が広がっています
その真ん中になんと産業廃棄物を処理する工場が
石坂典子さんは会社の存亡を懸けて自然と共存できる工場を目指しました
業界のタブーに挑んだジャンヌ・ダルク
その奮闘物語
教えてあげる
中学時代は応援団の団長を務めるような女のコでした
負けず嫌いを見込まれて父の産廃工場を任されたんです
当時60もの焼却場が集まって産廃銀座と呼ばれた地域でひときわ大きな煙突がうちのものでした
15億円を投じて環境に配慮した最新の焼却炉を建てたのにかえって周囲から目の敵
反対運動が巻き起こっていたんです
誰だってゴミを出さずには生きられないのに…
だから思い切って焼却炉を諦め同業者を回って改善策を模索しました
そしてたどり着いたのは廃材を燃やさず砕く
そうすれば実に8割以上がリサイクル資源としてよみがえります
2年がかりで完成させた破砕プラントは粉じんが飛ばないように全体を屋根でしっかりと覆い砕く音にも配慮して防音もバッチリです
なのにやっぱりクレームが…
中でおかしなことやってんじゃないだろうな。
人目に触れないようにしたのがかえって逆効果
それまで臭いものにはフタとばかりに人目をはばかって来た産廃処理
でも私達は後ろめたい仕事をしているわけじゃない
それなら全てをさらして皆さんに安心してもらおう
それは社内を揺るがす大改革でした
「えっ中を見せるんですか?」
そうみんなに会社に来てもらって私達の仕事を見てもらうんだ。
わざわざガラス張りの見学通路を設置して処理の工程を全てオープンにしました
さらに会社の前にはちょっとした庭園を造り石畳を敷いてどうぞお越しくださいという気持ちを示しました
ところが…
俺らはな見せもんになるためにここで働いてんじゃねえんだよ!
思わぬ社内の反発で50人もの作業員が去りました
さらに設備に投資した分だけ費用は割高に
この値上げってさムダな投資に金かけてるからなんじゃないの?
離れて行く取引先も続出
正直限界を感じました
それでも単に工場をオープンにしただけでいいのか?
人々の印象をひっくり返すにはもっと徹底した何か…
そこで無理を覚悟で重機は全て電動にして排ガスをカット
排水も徹底管理しました
ここから出て行く全てのものが人目にさらされても誇れるということそれが真にオープンにするということだ
信念を曲げずに見せることへのこだわりを貫き続けると…
反対していた人達が少しずつ取り組みに興味を持ち始めてくれた
転機は業界紙の小さな記事でした
業界の新風として注目されたんです
環境を重視し最終的な処理までオープンな産廃業者を選ぶことそれが企業のイメージアップにつながると多くの依頼が舞い込むように
嫌われ者だった産廃の仕事にブランド価値が生まれていました
これからはゴミの捨て方も選ぶ時代です
今石坂さんの工場では敷地の8割を占める森の保全活動も行い地域に貢献中
常識破りの女応援団長の奮闘は続いています
これは…。
ラジオ番組に呼んでいただいたことがあってその時に僕がずっと悩んでいたことがあったんです。
それは小説はいつ完成なのかっていう…。
出来上がったものって…。
曲作りもそれに似てるところがあるんじゃないかなと思ってフミヤさんに相談したら「七色の雪が降ったら地面は真っ黒になるんだよ」ってひと言言ったんですよね。
その言葉の美しさもそうですけど美しい言葉って人を素直にさせるんだなというかものすごい説得力があって。
その言葉をいつも小説を書く時に書いてる途中も書き終わってからも大事にしていますね。
色は混ざると黒くなりますもんね。
全ての色を混ぜちゃうと黒になっちゃうんですよね。
私は「小説というのは…」。
…っていう言葉が。
「必ずある」。
これは…。
…に言われた言葉で。
新人の頃は特にすごく真っ暗な海の真ん中に投げ出されたような感じがしてどっちを向けば岸があるのか分からないし方向がどっちを向いていいか分からないっていう時にでも最初の一行が書けたんだからきっと最後の一行も自分の中にあって…。
迷いますからねそれはね当然ね。
お2人の新刊が現在発売中ということで。
道尾さん『水の柩』。
僕の作品で唯一主人公の少年が普通なんですよね。
ごくごく普通で名前も普通境遇も普通で。
それとは反対に厳しい境遇に追いやられた少女のお話ですね。
そして村さん『ハケンアニメ!』。
アニメ業界のお仕事小説。
なぜ今アニメが深夜枠に行ってるのかとかそこから興味を持ってアニメ業界を通じて働くことの意味であるとかそういうことについて書いた話です。
2つとも現在発売中。
(一同)乾杯!さぁ今日は道尾秀介さんとそして村深月さんに来てもらいましたけど。
アプローチが全然違ってて面白かったね。
(大東)3か月とか前に仕上げるっていう…。
やっぱりね昔の作家さんのイメージを勝手にこっちが思い過ぎてんだよね。
今の方達はああいうふうにキチキチってやってたりするんだろうね。
苦悩なイメージあるもん勝手に。
お2人とも苦悩はあんま感じられなかったですよね。
強いですよ淡々としてましたけどああならなきゃダメだね。
ウソだよ!2014/10/04(土) 23:00〜23:30
読売テレビ1
心ゆさぶれ!先輩ROCK YOU[字]

人気直木賞作家の神髄に迫る!道尾秀介&辻村深月一問一答で対照的な小説の作り方が判明

詳細情報
おしらせ
番組ホームページでご意見募集中!MCの当番ブログも毎週更新!
http://www.ntv.co.jp/rockyou
ツイッターでもつぶやき中!
@senpai_rockyouを検索して下さい!
番組内容1
人気直木賞作家の神髄に迫る!道尾秀介&辻村深月一問一答で対照的な小説の作り方が判明▽キャラクターが語り出す?比喩に注意?「ツナグ」「カラスの親指」生みの親を斬る▽実は・・・締切を大勘違い!その時切り抜けた末路とは▽ネタは悩み相談から生まれる?
出演者
【MC】
大東駿介
木南晴夏
加藤浩次
【ゲスト】
道尾秀介
辻村深月
番組内容2
埼玉県三富地域には、豊かな森が広がっています。その真ん中に、なんと産業廃棄物を処理する工場が・・・。石坂典子さんは、会社の存亡を賭けて、自然と共存出来る工場を目指しました。業界のタブーに挑んだジャンヌ・ダルクの奮闘物語。

ジャンル :
バラエティ – トークバラエティ
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
情報/ワイドショー – グルメ・料理

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
ステレオ
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