環境にやさしいコッツウォルズのファームハウス

イギリスのコッツウォルズ地方にあるストウ・オン・ザ・ウォルド。この小さな街はアンティークショップが30件以上も軒を連なり、アンティーク・マーケットの中心地として名を馳せる。今回ご紹介するのは、ストウ・オン・ザ・ウォルドにある別荘として利用されるファームハウス(納屋)。普段ロンドンに住む家族が、週末や4人の子供達の休暇中に使用する為に、元々あった建物をリノベーションしたものである。

 

美しい広野に建つ、コッツウォルズ産のハチミツ色の石材で造られたファームハウスは、実は過去に一度リノベーションされている。その結果に満足しなかったクライアントが今回、ロンドンの私邸の改装もお願いした建築事務所MCLEAN QUINLANに設計を依頼。

 

元々あった建物を壊すも石材は再利用し、新たに二つの棟と屋外プールを追加して、新築として再構築するという画期的なアプローチがなされた。設計のコンセプトは、風景の中で自然な佇まいを見せることと、伝統的な農業建築であるように見えること。伝統的な農業建築にある軒から張り出さない急勾配な切妻屋根に、この地方の石材を積み上げられた壁でできているため、景色の中にうまくとけ込んでいる。

 

長さ9mのオープンプランのリビング/ダイニングは屋根の裏側や梁が見え、吹き抜けのような高さがあるため、開放感がある。柱や梁の木ならではのぬくもりある空間が創出されつつも、インテリアをモダンにしているためとても洗練されたイメージで、まるでリゾートホテルのようだ。

 

ダイニングテーブル上につるされたペンダントライトもこの空間のアクセントになっている。広野に面した方は壁はなく、全て二重サッシでできており、外からの斜光は十分だが室内の暖かさも逃がさない。

 

床暖房には、次世代エネルギーとして注目されている、地中熱ヒートポンプシステムを選択。広大な庭の地中の熱を利用するためランニングコストも低く、地下の温度は一年を通してほぼ一定であるため、室内を均一に暖房/冷房することが出来る。床材にはコッツウォルズ産のタイルを使用。フローリングやドア、天井などに使ったオーク材は木本来の質感を出している。

 

伝統的な農業建築のファザードながらヒートポンプシステムに二重サッシと省エネ効果があり、現代の暮らしに合わせた快適な家といえるだろう。

過去に掲載された農業建築についての記事はこちらから

参考記事:Architecture and Home design