福島県知事選 元副知事の内堀氏 当選10月27日 0時10分
東京電力福島第一原子力発電所の事故のあと初めてとなる福島県知事選挙は26日に投票が行われ、無所属の新人で自民党・民主党・公明党・社民党などが支援する元福島県副知事の内堀雅雄氏が初めての当選を果たしました。
福島県知事選挙は開票が終了しました。
▽内堀雅雄(無所属・新)当選、49万384票。
▽熊坂義裕(無所属・新)、12万9455票。
▽井戸川克隆(無所属・新)、2万9763票。
▽金子芳尚(無所属・新)、2万5516票。
▽伊関明子(無所属・新)、2万4669票。
▽五十嵐義隆(無所属・新)、1万7669票。
元福島県副知事の内堀氏が初めての当選を果たしました。
内堀氏は50歳。
昭和61年に当時の自治省に入り、福島県で企画調整部長などを歴任したあと、8年にわたって副知事を務め、この間、東日本大震災や福島第一原発事故の対応などにあたりました。
原発事故のあと初めて行われた今回の福島県知事選挙は、新人6人の争いとなり、今期かぎりで退任する佐藤雄平知事の事実上の後継候補として立候補した内堀氏は、自民党、民主党、公明党、社民党などから支援を受けました。
選挙戦で、内堀氏は、▽原発事故の完全な収束と福島県内に10基あるすべての原発の廃炉を国と東京電力に求めることや、▽原発事故の避難区域がある沿岸部に新たな産業を集め、雇用の創出と経済の活性化を目指すこと、それに、▽風評被害を払拭(ふっしょく)して農林水産業の再生を図ることなどを訴えました。
その結果、支援を受けた各党の支持層に加えて、支持政党を持たない無党派層などからも幅広い支持を集め、新党改革が支持し共産党が支援した元岩手県宮古市長の熊坂氏らほかの5人の新人を破り、初めての当選を果たしました。
投票率は45.85%で、最も低かった前回の42.42%を3.43ポイント上回りましたが、これまでで2番目の低さとなりました。
内堀氏は「避難区域の住民の生活再建と避難区域の復興と再生にしっかりと取り組むことが、福島県全体の元気と活力につながっていくと思う。皆さんと一緒に福島の復興を前に進めるという思いで、確実な施策の遂行に努めていきたい」と今後の抱負を述べました。
また、原発事故への対応や原子力政策については、「福島県は原発事故という苦しい思いを今も味わっており、事故の収束に向けて国や電力事業者に言うべきことを言っていく。
県内にある原発の全基廃炉と原子力に依存しない社会を作ることを、被災県として国民や国外に伝えていくことが福島県知事としての使命だ」と述べました。
各政党の反応
自民党の茂木選挙対策委員長は「自民党が支援する内堀氏が、幅広い県民の支持を得て当選したことを喜ばしく思う。告示直前での立候補となったが、さまざまな形で支援していただいた支援者に心から感謝したい。内堀新知事のもとで、福島の復興を継続・加速するため、自民党としても全力でバックアップしていきたい」というコメントを出しました。
民主党の馬淵選挙対策委員長は「この選挙を通じて、福島県民は、佐藤県政を継承し、党派を超えた『オール福島』の体制で、復興を推進・加速していこうと呼びかけた内堀氏に、福島の未来を託した。民主党は、内堀新知事をしっかりと支え、福島県民とともに、復興推進に全力を尽くしていく」という談話を発表しました。
維新の党の小沢国会議員団幹事長は「内堀氏は、これまでの行政手腕を生かして、復興を心待ちにする県民の期待に応えてほしい。原発事故の収束は遠く、県民が安定した生活の基盤を取り戻せるよう、国と東京電力、福島県が力を合わせて、全力を傾注して取り組まねばならず、維新の党も、県政への協力を惜しまない」というコメントを発表しました。
公明党の斉藤選挙対策委員長は「今後4年間は、復興を加速させるうえで正念場であり、県内の市町村と一体となって働く知事が必要だと判断してきたが、内堀氏の副知事としての経験と、真摯(しんし)な姿とともに、今後の復興への情熱が有権者に支持された結果だ。内堀県政を全力で支えるとともに、復興の加速と福島県の発展に尽くしていきたい」というコメントを発表しました。
共産党の山下書記局長は「わが党は、福島県内の原発の全基廃炉、徹底した除染、完全賠償など、『オール福島』の願いを実現し、安倍政権の福島切り捨てを許さず、国や東京電力にキッパリものを言える知事を選ぼうと呼びかけてきた。原発の再稼働反対や原発ゼロなどを全国に発信する県政の実現を目指し、引き続き全力を尽くす」というコメントを発表しました。
社民党の又市幹事長は「政府・自民党が敗北を避けるために、内堀氏への相乗りに持ち込んだ結果、有権者に分かりづらく不満が残る選挙となったことは残念だ。社民党は、脱原発や再稼働阻止、原発事故の早期の完全収束などに全力で取り組むとともに、安倍政権の暴走をストップし、平和憲法をいかした県政の実現を求めていく」というコメントを発表しました。