エボラ熱:発熱男性は陰性 3日程度、経過観察継続

毎日新聞 2014年10月28日 11時20分(最終更新 10月28日 13時14分)

リベリアから帰国した男性が搬送され、報道陣で騒然とする国立国際医療研究センター=東京都新宿区で2014年10月27日午後8時40分、矢頭智剛撮影
リベリアから帰国した男性が搬送され、報道陣で騒然とする国立国際医療研究センター=東京都新宿区で2014年10月27日午後8時40分、矢頭智剛撮影

 厚生労働省は28日、エボラ出血熱に感染した疑いがあるとして羽田空港から国立国際医療研究センター(東京都新宿区)に搬送された男性について、検査の結果、エボラウイルスは検出されなかったと発表した。発症から間もないために陰性となった可能性もあるため、3日程度は同センターに入院してもらい、経過観察を続ける。男性は同日未明に平熱に戻ったという。

 政府関係者によると、検査を受けたのは45歳のカナダ国籍のジャーナリスト。エボラ熱の取材のため8月18日から10月18日まで西アフリカのリベリアに滞在し、ベルギーなどを経由して、ロンドン発の全日空便で27日午後3時半ごろ羽田空港に到着した。到着時、流行国のリベリアにいたと検疫所に自己申告し、37.8度の発熱が確認されたことからエボラ熱に感染した可能性があると判断され、国立国際医療研究センターに搬送された。

 男性を同センターの隔離病室に収容する一方、血液を国立感染症研究所に運び、遺伝子検査を行ったところ、エボラウイルスは検出されず、感染は確認されなかった。男性は厚労省の聞き取りに対し、リベリアでのエボラ熱患者との接触はないと説明していた。エボラ熱感染者は発症から間もないとウイルスが検出されないことがあるため、入院中、1日1回採血してウイルスの遺伝子検査を行う。

 厚労省などは、全ての入国者に対して流行国の滞在歴を申告するよう求めるなど空港でのチェック態勢を強化している。同省の担当者は「現在の検疫態勢では3国(リベリア、ギニア、シエラレオネ)に滞在歴があれば発熱だけでエボラ熱の疑いとして指定医療機関に隔離する可能性がある。今後も同様の疑い例が出る可能性があるが、冷静に受け止めてほしい」と呼び掛けている。【桐野耕一】

最新写真特集