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『失職女子。』著者から「不採用・契約打ち切りis自己責任」と書き込む人々へのお返事

「失職is自己責任」?

すとれいしーぷさん、saayaさん、コメントありがとうございます。

なるほど、すとれいしーぷさんは、契約を切られるのは私が「延長して契約し[なおす]とか正採用したいと[企業が]思わない人材だった」からとお考えなのですね。

そして、saayaさんは、「35歳(※記事では37歳になっているはずですが)で100社も落ちるってかなり異常」とお考えなのですね。

まとめると、契約を切られるのは私の自己責任だし、100社も落ちるなんて「異常」なことが日本社会で起こるわけがない。きっと著者・大和彩自身に、契約を切られたり、100社落ちる原因があるのだろう。とおっしゃりたいわけですね。

つまり、すとれいしーぷさん、saayaさんは「失職is自己責任」と思ってらっしゃる。

 

私の失職は私の能力不足が原因です

うん、私自身に問題があるという事は、私はまっっっったく否定しませんよ。

企業の採用過程で決定権をもっているのは、おじさんです。そして、私は、おじさんに気に入られる要素がとても少ないのです。

私は私の能力不足で100社不採用になり、契約も打ち切られたと思っていますよ。

 

「失職は自己責任」論は時代錯誤

けれど、それだけでは、日本中にあふれる失業者数が210万人であることや、今や3人に1人が非正規雇用になっていることに対する説明には、なりませんよね。210万人の日本人、全員が能力がないために失業している、とお考えですか?210万人、全員が?

それはそれとして、すとれいしーぷさん、saayaさんのお2人は、現在、どのようなかたちで働いてらっしゃる方々なのでしょう?

ひょっとしたらまだ社会に出たことのない学生さんかもしれませんね。もしくは、昔は働いていたけど、10年くらいブランクがあり今は無業、という方々なのかしら?

なぜ私がそんなことを言うかというと、すとれいしーぷさん、saayaさんのお2人がおっしゃっていることが、非常に時代錯誤に感じたからなんです。

「あっ、未だにそんなこと言ってる人、いるんだ……」っていう。

ちきりんさんも自身のフログでこう書いていらっしゃいます。

貧困に陥ったのは社会の責任ではなく本人の責任である、という説。本人の勤務態度の悪さや努力不足、貯金をしてこなかったことなどを責める場合が多い。従来は反貧困問題の理論として最もオーソドックスな意見であったが、最近は「まだそんなことを言っているのか?」と勉強不足や認識不足を指摘する声が強くなり、急速に姿を消しつつある

反“貧困問題”の思想まとめ - Chikirinの日記

 
私自身が感じてきた非正規を巡る現場の空気の変化

すとれいしーぷさんとsaayaさんはここ10年の企業での現場の空気感をご存知ないようなので、私が感じたここ10年の、非正規雇用に対する現場の空気感の変化を、説明しますね。あくまでも個人的な経験に基づくものなので、その点ご留意ください。

10年前の2004年といえば、規制が緩和されたのを受けて各企業で契約・派遣社員を雇いはじめた頃でした。その頃、まだ企業では、契約・派遣社員の扱い方が分かっておらず、その扱いも正社員とほとんど変わらなかったと記憶しています。なにより、「非正規でも頑張ればそのうち正社員にしてもらえる」という空気がありましたし、現に私もその頃契約社員から正社員にしていただきました

そんな空気が変わったのは、やはりリーマンショックの頃でした。2009年、車の生産現場などで住み込みで働いていた派遣社員たちが、突然契約を突然切られ、路頭にまよって「年越し派遣村」を結成しましたよね。

あの頃、当時の私の勤務先も倒産したんですよねー。

あの時期以降、ますます日本の不況がのっぴきならなくなるとともに、働く現場では、非正規雇用の扱いがエグくなってきたと感じています。

いわゆる雇用の調整弁として、人手が必要になったら雇い、数ヶ月たったら解雇。という風に非正規が扱われることが多くなりました。

つまり、その頃になると、2004年ごろとは違って、企業が非正規雇用者を使う旨みを知ってしまったんでしょうね。

そして現在にいたるまでその風潮は続いています。今や、非正規は、本当に簡単に契約を切られる時代です。

 

↓ この記事もとても良いので読んでみてください。

“仕事より人が多い”ということ - Chikirinの日記

 
「そんな話聞いたことない」と反論なさるなら

ここまで書いても、なお、すとれいしーぷさんとsaayaさんは、こう反論なさるかもしれません。

 

「だって、そんなはずないわ!私の周りではそんな話聞かないもの!」

 

なに言ってんですか?寝ぼけてんですか?

 

「契約切られて解雇された、100社近く不採用になった」だなんて、簡単に他人に言うわけないでしょう?

 

あら、長くなってしまいました、ごめんなさいね。

上記はざっくり書いただけで、ほんとうはもっとお伝えしたいことがあるんですよ。拙著『失職女子。』は、上記をもっと詳しくした内容です。ぜひお手に取っていただければ、と願います。微力ながら現在の非正規雇用を巡るリアルタイムな情報を知ってもらいたいと願って書いた本でございます。

 

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