気象衛星「ひまわり」の観測データに基づき、地上に届く太陽光の量を高い精度で把握する技術を、東京大学大気海洋研究所の中島映至教授らのチームが6日までに開発した。太陽光発電を大規模に導入する場合に不可欠とされる発電量の予測に活用できるという。
同研究所の竹中栄晶特任研究員は、ひまわりのデータから太陽光の反射や散乱の影響を分析し、日本や周辺の地上や海に届く太陽光の量を1キロ四方ごとに短時間で計算するモデルを開発した。
千葉県の太陽光発電施設で、モデルによる推定発電量と実際の発電量がほぼ一致すると確かめた。雲の動きや太陽光の量の変化を分析することによって、6時間程度先の発電量の予測が可能になると見込めるという。
太陽熱利用や農作物の収穫量の予測に関する実証実験も進めている。
7日に打ち上げ予定のひまわり8号による観測が始まると、データの更新間隔が短くなり予測精度が増すという。
太陽光発電の発電量の変化が予測できれば、火力発電の運用を小刻みに変えるなどして太陽エネルギーを最大限利用することができるとみられる。チームは「鉄道や航空機が気象予報を参考にスケジュールを変えているように、電力の分野でも気象情報を活用する時代だ」としている。〔共同〕
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