旅客船「セウォル号」沈没事故で、まだ発見されていない行方不明者10人の家族たちが投票した結果、船体引き揚げ案が否決された。行方不明者の家族たちは「水中の捜索を続けてほしい」と政府に要請した。
行方不明者家族の代理人を務めているペ・ウィチョル弁護士(大韓弁護士協会セウォル号特別委員会)は27日、全羅南道珍島郡庁の大講堂で記者会見を開き、「前日、行方不明者家族9人が『捜索継続』と『引き揚げ』をめぐり無記名投票した結果、水中捜索を継続すべきだという意見が5家族、引き揚げるべきだという意見が4家族で、3分の2の議決定足数に達しなかった。このため現在の水中捜索を継続することにした」と語った。行方不明者が10人なのに投票した家族が9人なのは、行方不明者のクォン・ジェグンさん(52)とクォン・ヒョクキュ君(6)が親子だからだ。引き揚げ案の否決が発表されると、汎政府対策本部関係者約10人が重い表情で携帯電話でメールを送ったり、電話をかけたりして講堂を後にした。
行方不明者の家族たちは当初、分裂を避けるため、すべての意思決定を全会一致で行ってきた。しかし、今回は意見が分かれ、9家族のうち3分の2に当たる6家族以上が同意すればその案に決定する方針に変更したという。ある行方不明者家族は「26日夜、意思決定方法を全会一致にするか、それとも3分の2以上の賛成にするかで投票し、8対1で3分の2以上の案に決まった。今後は全事案をこの方式で決定することになる」と語った。
引き揚げ否決の知らせを聞いた現場指揮官は「潜水士たちは政府方針に従うだけ」としながらも、「既にあらゆる区域を二重・三重に捜索し、100日以上成果が挙がっていないのに、捜索を続けなければならなくなり、隊員たちの士気が下がっている」と言った。海洋警察関係者は「長官が『行方不明者家族の心残りがないように捜索チームを督励する』と言ったので、行方不明者家族たちの意思に従うしかない。事故が発生しないよう、祈りながら努力する」と述べた。
バージ船の潜水士は「船体の捜索は完了しているのに、家族たちはこれを受け入れられずにいる。取りざたされている4階の大部屋(28人用)は幅がもともと5メートルだが、壁が崩れて今は3メートルほどに変形した状態だ。家族たちの言葉通りにするなら、2メートルにわたりつぶれている部分を広げながら捜索して初めて『捜索完了』と見なされることになるが、そうするには水中で6カ月間作業しても成功は保証できない」と語った。