(2014年10月27日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
米連邦準備理事会(FRB)の資産購入が今週終わる。これは前代未聞の金融政策のクライマックスとなるが、意気揚々と勝利宣言する余裕はない。
大きなショックがない限り、FRBは月間150億ドルの最後の資産購入をゼロに減らし、2012年9月に始まった量的緩和第3弾(QE3)を完了する。
歴史的なプログラムの静かな終わり
ワシントンにある米連邦準備理事会(FRB)本部〔AFPBB News〕
しかし、10月29日には記者会見がないため、FRBの唯一のメッセージは声明の発表となる。声明では、変更は小幅なものになる可能性が高い。
これは、米国経済を再び軌道に乗せるのを後押しし、FRBのバランスシートに数兆ドルの資産を追加した歴史的な資産購入プログラムの静かな終焉となる。
FRBは最近の株式市場の乱高下や世界経済の成長に対する懸念にもかかわらず、資産購入――長期金利の引き下げを目的とした政策――を打ち切る予定だ。QE3の元来の目標は、労働市場の見通しを大幅に改善させることだった。FRBは任務の達成を宣言できる。
FRBが2年以上前にQE3を開始し、月間850億ドルのペースで資産を購入し始めた時、失業率は8.1%だった。今では5.9%に下がっている。最新の雇用統計は堅調で、雇用者数が24万8000人増加した。労働市場の改善に疑念を挟む余地はほとんどない。
そのような理由がなければ、FRBの当局者は、セントルイス地区連銀のジェームズ・ブラード総裁の提案に従い、12月の会合まで資産購入を延長することで、QE3の動機を混乱させることを嫌がる。万一新たなQEプログラムが必要になるようなことがあれば、FRBには新たな動機と新たな説明が必要になる。
量的緩和の動機と説明
「インフレが間違った方向に向かうように見え、その傾向が持続しそうな場合、我々は何が適切な金融政策なのか再考しなければならない」。ボストン地区連銀のエリック・ローゼングレン総裁は最近の本紙(英フィナンシャル・タイムズ)とのインタビューでこう語った。同氏は予定通りQEを終了すべきだと示唆した。
「だが、その時点で、我々が政策を変更する理由は、労働市場に大幅な改善が見られなかったためではなく、我々がインフレ率の上昇傾向を望んでいる時に下落傾向にあることを懸念するようになったためだということを示す必要がある」