はやぶさ2:機体を公開…小惑星探査、来月30日打ち上げ
毎日新聞 2014年10月27日 18時56分(最終更新 10月27日 20時25分)
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は27日、打ち上げまで約1カ月となった小惑星探査機「はやぶさ2」の機体を鹿児島県・種子島宇宙センターで公開した。7年間で約60億キロを旅した末に世界で初めて小惑星の微粒子を持ち帰った「はやぶさ」の後継機。基本設計を受け継ぎながら、動力や観測機器の機能を向上させた。6年間で約52億キロを航行し、太陽系の進化と生命の起源を探るサンプル採取がミッションだ。
はやぶさ2の機体公開は27日が最後。最終調整後にH2Aロケット26号機に搭載され、11月30日の打ち上げを待つことになる。
小惑星は太陽系が生まれた当時の状態を保っていると考えられる。今回は地球に近い軌道を持つ直径約900メートルの球形と推定される小惑星「1999JU3」が探査目標。生命誕生に必要な水や有機物を多く含むタイプの小惑星だ。小惑星表面の物質を採取するとともに、火薬と銅板を用いた衝突装置により人工的にクレーターをつくる新技術で、太陽の熱や光、宇宙放射線にさらされていない小惑星内部の物質を採取することも目指す。
また、はやぶさで失敗した観測機「ミネルバ」を改良した「ミネルバ2」3台を搭載。仏独合作の「マスコット」とともに小惑星へ着陸させ、撮影や温度測定などを試みる。大量のデータ取得が想定されるため機体上部のアンテナを二つに増やすなど通信機能もアップした。
はやぶさでトラブルが続出したイオンエンジンは長寿命化させ、推力を25%増強した。3台中2台を失った姿勢を制御するリアクションホイールは4台に増やした。
機体本体は横1メートル、縦1.6メートル、高さ1.25メートル。太陽電池パネル展開後は全長6メートルとなる。総開発費は打ち上げ費も含め約290億円。順調にいけば2018年夏、小惑星に到達。1年半滞在しミッションをこなした後、20年12月ごろに小惑星の物質が入ったカプセルを地球に届けるという。【津島史人】