<生活保護>減額案、財務省提示…家賃・医療費対象
毎日新聞 10月27日(月)20時46分配信
財務省は27日、2015年度予算編成で生活保護費を引き下げる案をまとめ、同日の財政制度等審議会で示した。雇用環境の改善にもかかわらず生活保護の受給者が増え続けている実態がある。政府は既に昨年から段階的に保護費を削っており、さらなる引き下げには受給者の反発が必至だ。
生活保護の受給者は、今年7月現在で216万人に上り、過去最低だった1995年の2.5倍に拡大。生活保護費は約3.8兆円(このうち国費は約2.9兆円)に膨らんでいる。
削減対象は受給者の家賃などに充てる「住宅扶助費」で、地域や世帯ごとに基準額(東京都は単身世帯で月5万3700円)が決まっている。財務省は低所得世帯(収入が年300万円未満)の家賃平均より2割ほど割高になっているとして、基準額を同世帯の家賃水準まで引き下げると主張している。暖房など冬場の出費に対応するため11〜3月に上乗せされる「冬季加算」も、財務省は「多くの地域で必要額を上回っている」と指摘。沖縄などで支給されていることを問題視する声もあり、実態に即した額に下げるべきだとした。
受給者の医療費に充てる「医療扶助費」も、新薬と効能は同等で価格の安い後発医薬品の使用促進で削減を目指す。
生活保護を巡っては、長引くデフレに伴う物価下落が反映されていないなどとして、食費などをまかなう「生活扶助費」を13年度から3年間で段階的に計6.5%(670億円)削減することが決まっている。財務省はさらなる削減を目指すが、厚生労働省は「既に保護費の大幅な削減を進めている」などとして慎重な立場。法律家や受給者の支援者らでつくる「生活保護問題対策全国会議」の小久保哲郎事務局長は「アベノミクスで物価は上昇しており、生活保護費を引き下げる根拠はない」と反論し、28日にも引き下げ反対の要望書を塩崎恭久厚労相に提出する方針だ。【三沢耕平】
最終更新:10月27日(月)23時10分
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