意外?「八重歯=かわいい」が通用するのは日本だけ!?
こんにちは。歯科医師の中嶋麻優子です。みなさんは、八重歯というとどのようなイメージをお持ちですか?八重歯をチャームポイントとするアイドルは人気がありますよね。少し前の話になりますが、ツケ八重歯が流行ったことも記憶に残っている方が多いのではないでしょうか。ですが、実はこのような八重歯が人気の文化は日本独特なものだということはご存知でしたか?ということで、今回はこの日本のみで愛される八重歯についてお話ししていきたいと思います。
■1.八重歯とは?
一本だけ唇側に飛び出して生えてしまっている状態にある歯をさします。特に上顎の犬歯(前から数えて3番目の歯)に多く見られ、顎の成長が遅かったり、子供の歯が遅くまで残ってしまった時に大人の歯が生えるスペースが足りないことが原因でできたものを指します。
■2.国による美醜の違いについて
◯欧米八重歯=吸血鬼という、キリスト教圏における悪魔のイメージが強いため、八重歯は矯正するのが一般的とされています。また、特にアメリカにおいては、歯にお金をかけることこそが社会的ステイタスとされていることは有名な話です。
◯中国地域によって違いはあるようですが、中国では八重歯=虎の牙を連想させるため嫌われているそうです。また、楊貴妃が明眸皓歯(めいぼうこうし:美しく澄んだひとみと白く整った歯。美人のたとえ)といわれていたことから分かるように、やはり中国では美しい歯が好まれているんだとか。また親日家が多い台湾でさえ、八重歯のアイドルというのはほとんどいないんだそうです。
このように、日本以外では「八重歯は治すもの」という考えが定着しているんだそうです。このことは、世界で活躍するために、あえて八重歯を治す女優やモデルがいるということからも、お分かりいただけるのではないでしょうか。八重歯のハリウッドスターが1人もいないことからも明らかです。
ただし、このような独特な風習は、決して日本だけに見られるものではないんです。たとえばフランスでは昔から「すきっ歯」は幸運の象徴として愛されており、すきっ歯の女優さんや有名人が沢山いるんだそうです。国によってこんなにも違うなんて、驚きですよね。
■3.なぜ日本では八重歯が可愛いとされているのか?
「日本には“不完全なものこそ美しい”という文化があること」や「歯が生え変わる時期を連想させるため、幼く可愛いイメージが強いこと」が理由としてあげられます。また「顎が小さく八重歯になる割合が他の民族よりも多い」、「高額な矯正治療に対する抵抗感が強い」、「柔らかいものばかり食べることで顎が小さくなりがちな高貴的な人に対する憧れ」なども理由として考えられています。
■4.八重歯=かわいいは何歳まで許されるのか?
八重歯がいくら可愛いといっても、大人の女性における八重歯の存在は、キレイなイメージとはかけ離れてしまうため、マイナスなイメージが多いということも決して忘れてはいけません。
実際、日本人の考え方も欧米化が進んでいるため、「歯並びの良さ=育ちの良さ」という考えが広まりつつあります。そのため、「八重歯の存在は大人の女性としての意識の欠如」や「矯正をさせなかったご両親の意識の低さ」など、マイナスとして捉える考えが浸透しつつあるのも事実です。
■さいごに
とはいっても、やはり最も大切なのはお口の健康ですよね。八重歯の部分は磨きにくいため、虫歯や歯肉炎、歯周病になりやすいもの。八重歯というコンプレックスをチャームポイントにするという発想の転換も確かに大切なことだと思います。ですが、お口の健康のためにも、もう一度、八重歯について考えなおしてみる必要があるのではないでしょうか。
(中嶋麻優子/ハウコレ)