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コクヨ、中国で「スラムダンク経営」に挑む

東洋経済オンライン 2014/10/27 06:00 大城 昭仁

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コクヨで行われているスラムダンク研修の様子

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 1980~90年代生まれの中国人には、「アニメで日本語を覚えた」という人が結構多い。うちの会社でインターンをやっている、大学生の林さんもその1人。

 「どんなアニメを見るの? 」

 「いろいろ見ますよ。マニアックなものも。」

 「やっぱりワンピースとかが好き? 」

 「まあ、見てますけど……」

 「エヴァンゲリオンは? 」

 「それは、『神』ですよ。」

 『神』なんて表現、使いこなすとは、おヌシ、なかなかやるのぉ。ちなみに彼女、大学の専攻は英文科で、日本語を正式に学んだことはない。四川省出身で、近くに日本人がいる環境で育ったわけでもない。しかし、ナチュラルな日本語を話し、アニメのみならず、村上春樹をこよなく愛す日本文学少女でもある。

 中国語の修得に四苦八苦している僕としては、才能の差を感じずにはいられないのだが、彼女に限らず、アニメ好きで日本語ペラペラの若者は多い。中国の若者に対して、アニメの影響力は凄いと言わざるを得ない。

■ 各事務所にスラムダンク図書館を設置

 そんなアニメの力を使って、中国で会社の風土改革を進めている企業がある。文房具のコクヨである。コクヨの中国現法である国誉商業の各事務所には、「スラムダンク図書館」が設置されているのだ。

 スラムダンクとは言わずと知れた、累計販売1億部を超えるバスケットボールマンガの金字塔。国誉商業では、各事務所にこのような「図書館」があり、勤務時間中でも、このマンガを読んでもいいというルールになっている。

 「個性的なメンバーたちが、試練を経て成長し、チームとして機能していく様子は、我が社が目指す成長そのもの。社員のみんなに『仲間』や『チーム』というものを意識してもらうために、スラムダンクは最高の教材です」と話すのは、国誉商業総経理(コクヨS&T執行役員)の井上雅晴さん。

 この取り組みは組織変革プロジェクトの一部として考えられたが、当初は「とはいえ、日本のマンガ、本当にみんな知っているのか? 」という疑問があった。そこで、社員が一同に会する全体集会で聞いてみたところ、なんと、社員のスラムダンクに対する知名度は100%だった。以後、スラムダンクをチームワークの“バイブル”として、活用していこうということになった。

 ここでクイズを1つ。このとき、コクヨの中国人社員の方々に「好きなアニメキャラクター」についてアンケートをとったのだが、みなさん、1位は誰だったと思いますか? 

 国誉商業の社員アンケート「好きなアニメキャラクター」の結果は、1位が『名探偵コナン』の江戸川コナン。2位がドラえもん、3位以下にはルフィー、ゾロはじめ『ワンピース』の各キャラクター(作品別ではダントツ1位になるが、キャラクター別では票が割れた。)、『スラムダンク』『テニスの王子様』、そして『ちびまる子ちゃん』『NARUTO』『銀魂』などのキャラクターがランクイン。想像以上に幅広くて驚きの結果だった。

■ チームづくりの要点を学ぶ

 話をスラムダンクに戻そう。国誉商業ではスラムダンクが社内の研修でも活用されている。参加者は研修で、スラムダンクの場面を題材に話し合う。「誰のどのような行動が試合の流れを変えたか? 」「なぜ、急にパスがつながるようになったのか? 」「一番貢献したのは誰か? 」、考えれば考えるほど、チームづくりの難しさと要点が分かってくる。

 最後には、「自分はどのキャラクターの役割を目指すか? 」「どんなチームを作りたいか? 」とスラムダンクになぞらえて、今後の目指す姿を描く。また、社員旅行でも各キャラクター名をつけたチームに分かれ、チームワークを高める活動を行った。コクヨでは、今後もスラムダンクを題材としたさまざまな活動を行っていく予定である。

 企業では「部門間連携」や「シナジー創出」ということが求められるが、現実の部門と部門、人間と人間の間には、さまざまな“しがらみ”があり、素直にそれについて話すことは難しい。しかし、アニメのキャラクターに自分たちを投影することによって、一歩引いてものごとを見つめることができるようになる。チームワーク醸成にアニメを活用する意味はそこにある。

 特に、日本のアニメに親しんだ中国の1980年代、1990年代生まれの社員にとってアニメは憧れや親しみを含んだものであり、特に活用する意味が大きいといえる。

週刊東洋経済

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