経営再建中のシャープの企業風土改革が正念場を迎えている。平成26年3月連結決算で黒字転換し、9月に最大の課題だった1000億円の社債の返済も乗り切ったことで、社内の危機感が緩んできているのだという。高橋興三社長は今月に入り、「改革疲れや先祖帰りを強く懸念している」と訴える署名入りメッセージを各事業所に送った。まもなく発表の26年7〜9月期の業績について「大変な苦戦を強いられた」と打ち明け、部門同士のいがみ合いや指示待ちのヒラメ社員が再び目立ってきた社内の引き締めに躍起だ。(松岡達郎)
「危機を乗り切ったと思っている方(社員)がいたら直ちに考えを改めてください」
高橋社長はメッセージでこう強調した。
確かに、金融機関への公約ともいえる中期経営計画(3年)の1年目にあたる26年3月期連結決算では最終損益は115億円の黒字(前期は5453億円の赤字)を計上し、社内外に復活を印象づけていた。
続く26年4〜6月期連結決算は最終損益が17億円だった。欧州での太陽光発電事業からの撤退に伴う損失処理が響いたが、前年同期(179億円の赤字)に比べると赤字幅が縮小。高橋社長はメッセージで「期待に何とか応えられる内容」と一定の評価を下した。
ところが、まもなく発表される26年7〜9月期連結決算については「大変な苦戦を強いられた」と厳しい言葉で表現し、中期経営計画の後半戦に入った10月以降については「ひとつの事業部のわずかなほころびが全社に影響しかねない『薄氷』とも言える状況」と危機感をあらわにする。
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