育児経験:脳にプラス 京大チーム「母親ほど活性化明瞭」
毎日新聞 2014年10月25日 18時24分
子育て経験で、母親の脳も育つ?−−。京都大大学院教育学研究科の明和(みょうわ)政子教授らの研究チームは、子育て中の母親は、育児経験のない女性に比べて「赤ちゃん言葉」に対する反応が敏感で、脳が活性化するとの研究結果を発表した。赤ちゃん言葉を頻繁に使う母親ほど脳の活動が明瞭で、養育経験が女性の脳の働きに一定影響することが明らかになったと説明している。論文は17日に英オンライン科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載された。
研究チームは「ふわふわ」「つるつる」など感触に関する言葉を、赤ちゃんに語りかけるような高い声で女性たちに聞かせ、それに対応した物を触ってもらう実験をした。1歳半〜2歳児を育児中の母親17人は、言葉と感触が一致しない場合は一致した場合より脳波が活性化したが、育児経験のない女性17人は差がなかった。育児中の親のうち、赤ちゃん言葉を頻繁に使うと回答した人ほど活性化する傾向が強かった。
育児中の母親が言葉と感触の不一致に敏感なことについて、明和教授は「矛盾を察知し、脳の処理能力が上がっているのではないか。赤ちゃん言葉の使用など子どもと関わる経験の蓄積が、親特有の脳の働き方を育てることを示唆している」と話している。【野口由紀】