【ソフトＢ】武田、日本Ｓ初登板初勝利！１５０キロ直球＆幻惑変化球で６回２死まで完全

　◆日本シリーズ第２戦　阪神１―２ソフトバンク（２６日・甲子園）

　「ＳＭＢＣ日本シリーズ２０１４」の第２戦はソフトバンクが制し、１勝１敗のタイに戻した。先発の武田は６回２死まで１人の走者も許さず、７回３安打１失点の好投。打線は初回に内川が先制打、４回には李大浩が１号ソロ。８回から五十嵐、サファテの必勝リレーで逃げ切った。阪神の１分けを挟んだポストシーズン連勝は６でストップ。第３戦は移動日を挟み、２８日にヤフオクＤで行われる。

　虎党の大歓声にもひるまず、武田は腕を振った。宮崎日大高時代に憧れながら出場できなかった甲子園のマウンドに初めて立ち、躍動した。「緊張しました。阪神のファンの声援がすごくて若干、押されましたがいいピッチングができて良かった」。日本シリーズ初登板で初勝利。３年目右腕が“初ものづくし”でチームを救った。

　最速１５０キロを計時した直球に、一度フワリと浮き上がるような独特の軌道を描くカーブが有効だった。スライダーとの組み合わせで、６回２死までパーフェクトだった。代打・狩野に初安打を許したが「ああそうか、という感じ。勝つことしか考えていなかった」。表情を少しも変えず、その後は笑みすら見せた。続く西岡に適時二塁打されたが、上本を二ゴロに仕留めた。「（失点して）悔しいなということで、逆に笑顔でいたほうがいいかな」。文句なしの７回３安打１失点だ。

　前回、日本一に輝いた１１年のドラフト１位で入団。ルーキーイヤーの１２年７月から先発ローテ入りした。８勝（１敗）をマークした秋山監督の“秘蔵っ子”だった。今季は右肩痛で出遅れたが、「直球が走ってこその変化球。直球を磨く」と原点回帰した。

　手先が器用ですぐに変化球を習得できる。結果が出ないため昨季はフォーク、チェンジアップを多投し、制球を乱した。規定投球回に達していないが、リーグワーストの６８四球。反省から今季はカーブ、スライダー以外の変化球を封印。７試合で３勝３敗も、防御率１・８７の安定感を首脳陣に買われ、大舞台に抜てきされた。この日はチェンジアップを２球投げただけ。「カーブがうまく決まった。（相手が）あってなかった感じはあった」と胸を張った。

　秋山監督は「甲子園の（阪神）ファンの声援に負けず自分のピッチングをした。素晴らしかった」と目を細めた。１勝１敗として、舞台は本拠のヤフオクＤへ。猛虎の勢いを止めたタカが、ここから日本一へ駆け上がる。（戸田　和彦）