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僧侶直伝!自宅でできる本格坐禅講座

2014年10月27日更新

坐禅といえば、かのスティーブ・ジョブスが実践していたことでも有名ですよね。今や国内外でも人気を集めつつありますが、いまいちやり方がわからず「やったことがない」という人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、曹洞宗総合研究センターShojin-Projectの方々に坐禅のやり方について聞きました!

もくじ

  • 1:坐禅をする前に知っておいてほしいこと
  • 2:準備するもの
  • 3:坐禅のやり方
  • 4:いす坐禅のやり方
  • 5:坐禅中のポイント
  • 6:坐禅のメリット
「坐禅」とは座禅の正式名称です。

知っておきたい、坐禅の前知識

心身の安らぎを得るために坐禅をしよう

坐禅といえば修行のイメージがあります。そのため、暑さや寒さなどに耐えながらするべきものと思われがちです。しかしそれは大きな間違い。

そもそも坐禅は心身ともに落ち着かせ、安らぎを求めるためのものです。我慢しながらすべきものではありません。

「朝起きてすぐ」もしくは「夜寝る前」にしよう

坐禅をするのに最適な時間帯は「朝起きてすぐ」もしくは「夜寝る前」です。朝はリフレッシュ、夜はリラックスなど、それぞれ得られる感覚が違います。

座禅の1~2時間前に食事などをすませておこう

どれだけ他の環境が整えられていても、胃腸の動きが活発だと集中できません。坐禅の直前は食事をしないように注意しましょう。

坐禅の準備

締め付けない服装

坐禅は締めつけ感のない服装で行いましょう。デニムなど伸縮性の弱いものは体を締め付け、集中の妨げになるので避けてください。

靴を脱ぎ、時計などのアクセサリーは外そう

坐禅をするときは靴下や時計、アクセサリーなどを外しておきましょう。何も身につけていない状態のほうが集中しやすく、心地の良い座禅ができます。

身の回りの環境を綺麗にしよう

人間は視界から多くの情報を無意識に取り入れています。少しでも散らかっている場所だとなかなか集中できなかったりします。

坐禅を行うときは、身の回りの環境を整えておく必要があります。片付けはもちろん、テレビを消しておく、室内の温度も調整しておきましょう。

坐禅のやり方

STEP1:坐蒲(ざふ)もしくは座布団を用意する

坐禅では坐蒲(ざふ)という専用の座布団を使います。座布団より少し高さがあるので足を組みやすく、しびれなどをあまり気にせず集中することができます。坐蒲がなければ座布団2枚を重ね、さらに真ん中で折りたたんだものを使いましょう。

坐蒲もしくは完成した座布団を壁から約1mほど離した位置に置き、その上に座ります。

STEP2:足を組む(半跏趺坐)

まずは右足を自分の体の方へ引き寄せます。次に、左足だけを太ももの上に乗せましょう。

基本的に「左足が上になるように」といった決まりはありますが、この姿勢がつらくなったら適度に左右の足を組みかえましょう。ルールよりも「落ち着いて続けられるかどうか」を優先してください。

STEP3:手を組む(法界定印:ほっかいじょういん)

右手を足の上に置き、左手は右手の指の上に重ねます。両手に力が入り過ぎないように注意し、あくまでも自然に指が重なるようにします。

この手の形を法界定印(ほっかいじょういん)と言います。眠くなると手が離れてしまいますので特に注意です!

足を組み、手を組んだら姿勢のチェックをしましょう。ポイントは、骨盤をグーッと立てるようにして、坐骨を感じながら座ることです。土台をしっかりさせておくと、まっすぐとした姿勢を保つことができます。

逆に、姿勢が崩れると背中が丸まりアゴが前に出やすくなります。腰を痛めてしまう原因にもなるので注意してください。

STEP4:左右に体を揺らす(左右揺振)

上体を振り子のように、左右へ揺らします。はじめは大きく、だんだん小さく上体を左右に揺らすのがポイントです。

徐々に揺らす幅を小さくしながら、上体が安定するポイントを見つけます。左右どちらにも傾かない位置で姿勢を整えましょう。

上体を揺らすことで体の重心を定めます。「振り子のように」もしくは「海中を漂う昆布」をイメージしながらやってみましょう。

STEP5:姿勢が整ったら鐘を鳴らし、坐禅スタート(止静鐘:しじょうしょう)

姿勢が整ったら、坐禅スタートです。お寺などで行われる坐禅では合図の鐘が鳴ってから坐禅が始まります。カーンと打ち鳴らされ、だんだん静かになっていく鐘の音に心が連動して落ち着いていきます。

自宅で行う場合は、以下のようなツールを使用しましょう。

曹洞宗公式アプリ ~心の鏡~ - Android Apps on Google Play

曹洞宗 曹洞宗近畿管区教化センター監修 曹洞宗は、お釈迦さまより歴代の祖師(そし)方によって相続されてきた「正伝(しょうでん)の仏法(ぶっぽう)」を依りどころとする宗派です。 それは坐禅...

play.google.com

STEP6:10分たったら、終了!(放禅鐘)

10分たったら、坐禅終了です。アプリなどを使用している際は、設定したアラーム音(鐘など)が鳴ったら終わりましょう。

坐禅が終わったらその体勢のまま合掌し、一礼します(合掌低頭:がっしょうていず)。そしてふたたび左右に体を揺らし、組んでいる足をときます。坐蒲(もしくは座布団)を元に戻して終了です。

坐禅は座布団を直すまでが「坐禅」です。鐘が鳴ったときに、「はあ」と言って気持ちを切り替えてしまわないように注意しましょう。

慣れてきたら・・・

慣れてきたら、両足を組む座り方(結跏趺坐)に挑戦してみましょう。まずは右足を左太ももの上にのせます。次に、左足も同様にして右太ももの上にあげます。

長時間の結跏趺坐は慣れていないと足が痛くなることがあります。あまり無理をせず、徐々に慣れていきましょう!

いす坐禅のやり方

坐禅には椅子で行う「いす坐禅」があります。いす坐禅をする際には、以下の2点を意識しましょう。手順については、坐禅そのものと変わりありません。

  • 浅めに坐って、骨盤を立てる
  • 足は肩幅に開くと安定しやすい

椅子は足が固定されない分、安定しづらい側面があります。座布団を使って骨盤を安定させましょう。

坐禅の時間

初心者は10分からがおすすめ

基本的にはお寺では一回の坐禅の時間は40~45分です。これは線香一本が燃え尽きる時間といわれています。しかし、自宅でそういった時間を作るのは大変です。まずは10分間の坐禅からはじめてみましょう。

坐禅中のポイント

呼吸

坐禅の呼吸は吐く息を意識しながら行います。息は吐いた分だけ吸うと横隔膜がグッと下がり、深い呼吸ができます。坐禅中に呼吸を整える手順は以下の通りです。

  • 1:静かに大きく深呼吸を数回する
  • 2:吐く息に注目しながら、静かに呼吸する

呼吸は1分間に2~3回程度、息をしているのかわからないくらい長く吸って吐きます。

「微速(びそく)微かに通ず」という言葉の通り、かすかだけれど長く、ひゅーっという音を出しながら呼吸してみましょう。よけいな力を使わずゆるやかで滞りのない呼吸を続けられることが理想です。

目線

坐禅中は視線を前方斜め下に45度、1~1.2メートル先に置くようにしましょう。いざ実践してみると自然にまぶたが少し落ちて、余計な力が入らないようになります。これを「半眼」といいます。ちなみに、仏様の目も半眼です。

どこかを注視するのではなく、全体をぼやっと見るイメージで行います。

体のバランス

坐禅中、ときどき自分の体が揺れているように感じることがあります。「体の揺れを止めよう」となりがちですが、それではかえって体を硬直させてしまうことになります。

揺れているかも?と思ってもあまり気にしないようにしましょう。坐禅に慣れて体が緩んできたら、自然に揺れを止められるようになります。

坐禅中の眠気

坐禅中は体が緩み、眠くなってしまう人も多いです。そんなときは無理に眠気と戦わず、眠ってしまってOKです。

曹洞宗総合研究センターShojin-Project「昨今、ストレスなどでなかなか眠れない人が増加していると聞きます。常に頭を回転させるていると、坐禅のように心身の動きをとめようとしても止められなくなっていることがほとんどです。眠くなるということは、身体が緩んできた証拠であり、身体から発せられた『寝てくださいの合図』だと思いましょう」

寝付きが良くない人は、あとは寝るだけという状態で坐禅をするのもアリです。とくにお風呂あがりの坐禅は効果的です。その際は足首から下を冷やすようにしましょう。お風呂あがりに足首から下を冷やすと、身体がスッキリした状態で坐禅ができます。

坐禅のメリット

心身ともにスッキリする!

普段仕事や勉強で動き回っている思考を止めようと思っても、なかなか自分で止めることはできません。坐禅をする=身体を止めることで、思考(心)も一緒にゆっくりになっていきます。そのため、坐禅後は「スッキリした!」と感じられます。

許せるようになる!

そもそも坐禅とは、客観的に自分をみる訓練です。続けることで「やらなくていいこと」「やるべきでないこと」に気づくことができます。そのため、怒りにくくなる、許せるようになる、イライラしなくなるといった効果も感じられるようになります。

今回この話を伺ったのはこの方!

曹洞宗総合研究センターShojin-Project(左:小杉瑞穂さん 右:村上光龍さん)

仏教や禅について多くの人に伝えるための活動をしている。現在13名の曹洞宗僧侶の研修生にって構成され、地方イベンドなどさまざまな取組を行っている。「坐禅ではそのたびに得られる『気付き』があると思います。ぜひ坐禅をして、自分を見つめなおす機会を作ってみてください。必ず自分にとって、意味のある行いとなるでしょう」と小杉瑞穂さん。

(写真:nanapi取材部)
(ライター:小松崎拓郎)

本記事は、2014年10月27日時点の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。

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