東電:2期連続黒字 経常益1300億円見通し
毎日新聞 2014年10月25日 20時51分(最終更新 10月26日 09時34分)
東京電力が、2015年3月期決算(単独)で1300億円程度の経常利益を上げる見通しになった。夏場の天候不順で冷房用の電力需要が想定より少なかったことで、コストが圧縮された。柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働や、電気料金の再値上げなしで2期連続の経常黒字を達成する方向だ。
政府が1月に認可した東電の新総合特別事業計画(再建計画)は、7月から柏崎刈羽原発を動かすことを前提に、15年3月期の経常利益を1677億円と想定。一方、再稼働が大幅に遅れた場合「遅くとも秋ごろまでに再値上げが必要」としていた。
しかし、夏場の電力需要の減少で、燃料代の高い石油火力の稼働が減った。原油価格の下落や設備投資の先送りもあり、コストが大幅に抑えられ、経常黒字の確保のめどをつけた。東電は、外部有識者を交えた社内の検討委員会で、22年度までのコスト削減目標(4兆8000億円)の深掘りを検討しており、成果を上げられればさらに利益が増える可能性が出てくる。
東電は「設備投資の先送りは限界に近く、柏崎刈羽原発再稼働の時期を見通せなければ、来年度以降の収支は厳しい」(幹部)として、12月に電気料金の再値上げの是非を判断する方針だ。だが、再稼働なしで1000億円超の黒字を確保する中、利用者の反発も予想される。
東電の前期の経常損益は432億円と3期ぶりに黒字を計上。12年9月の家庭向け電気料金の本格的な値上げと、設備投資の先送りによるコスト削減が寄与した。【中井正裕】