■心配な維新
安倍晋三政権の評価ですか? 外交・防衛は本当によくやっています。ただ、国内政策は経済政策「アベノミクス」も含めてまだまだ中途半端。地方分権は0点に近いです。政府・自民党は地方分権には関心が薄いと強く感じています。
たもとを分かった維新の党は、相変わらず同じ問題を引きずっているようですね。根本的な構造問題、東西の関係や共同代表が2人いるとかは、あまり変わっていない。これからは防衛問題などでも維新内で考え方の違いが出てくるかもしれません。
これからの日本の危機、内憂外患に直面するにあたり、一番政治家や政党が共有しておかなければいけないのは、日本人としての歴史、国家というものへの共有意識です。国家は打倒するものだとか、国家権力を規制するのが政治家の役割だという世界市民意識のようなぬるま湯の理想論がまかり通ってきたのは、冷戦中に米国が日本のわがままを許したからです。
維新の党はいくつかの個別の問題ではまとまっていけるかもしれませんが、国家観や歴史観の共有感が薄ければ大きな国家的課題に直面したとき、再び割れるのではないかと心配します。
今国会では民主党と一緒になって閣僚のスキャンダル探しをしていますが、国民は「またか」とうんざりでしょう。そういう行動は旧日本維新の会の結党の「志」とは異なるのではないでしょうか。このままだと維新の党は「民主党亜流」と言われかねません。
■憲法改正で再編を
野党再編の戦略はまだ描ききれていません。次の選挙は小選挙区制で皆が自民党と戦うのだから、比例区の選挙名簿くらいは一つにしておかなければ大惨敗という指摘は、その通りかもしれません。野党で自民党に対抗するのが基本とは思いますが、共通の名簿となると、国家観や歴史観の違いが立ちふさがります。
政権を取るためとなると、かつての民主党政権と一緒になります。政権を取ったとたんにバラバラになるに決まっている。「政権を取った後は何とかなる」がかつての民主党政権でしたが、それを二度と繰り返してはならない。
一方、国家観や歴史観で一定の合意が得られる人たちはなるべく一つになる必要がある。安倍政権の方針に対して公明党や自民党のリベラル勢力が反対する動きは、1、2年の間に出てくると思います。それが憲法改正になれば協力は惜しみません。協力をすることが世の中を変えていくことにつながるのならば、協力します。
当然、次期衆院選は、安倍首相は憲法改正を前面に立てた選挙にしていくべきだと思います。安倍首相にとってもわれわれにとっても、憲法改正が一番のテーマです。それが打ち出されることによって、選挙前後に与野党再編の流れをつくることもできるのではないでしょうか。そういう方向に手を打てるように安倍首相はこれから選挙までの政権運営をしてほしい。日本のために。(内藤慎二)