「米国政府がAWSのデータへのアクセスを要求したら?」「まだ値下げを続けられるのか?」Amazonクラウドのシニアバイスプレジデント、Andy Jassy氏が質問に答える

2014年10月27日

Amazonクラウドは10月23日、ドイツに新しいリージョンを開設しました。欧州ではアイルランドに続いて2つ目のリージョンとなります。

開設に合わせてAmazon Web ServicesのSVP(シニアバイスプレジデント)のAndy Jassy氏がオンラインでプレスカンファレンスを開催。質問に答える形で、米国政府からの干渉があった場合の対応、ハイブリッドクラウドへの対応、そしてこれからの値下げについて答えています。プレスカンファレンスでの質疑応答の一部をまとめました。

fig 左がAndy Jassy氏。右はAmazon Web Services ドイツのマネージングディレクター Martin Geier氏

顧客自身がデータの暗号化をすれば問題にならない

──── 質問が来ています。1つ目は、もしも米国政府がAWSの私のデータへアクセスを要求したらどうなりますか?

Jassy氏 まず最初に言いたいのは、多くの企業はこのことにすでに気をつけていて、データを暗号化している。暗号化していて自分でそのカギを持っているのなら、問題にならない。

もしもどこかの政府、米国だろうと欧州の政府だろうと、世界中の政府のあらゆる政府からAWSの顧客のコンテンツを求められるようなことがあれば、まずはそれが法的拘束力のあるものでなければ対応することはない。

法的拘束力がある場合には、それが正確であるか、過大な要求でないかどうかを確認する。私たちは積極的に顧客の側に立ち、過大な要求に対してはできるだけ抗弁する。

法的拘束力があり、過大な要求でもない場合には、法が許す場合には顧客にそれを通知し、顧客が自身の主張を述べられるようにする。

この話題はとても関心を集めるものではあるが、しかし実際には、私たちのプラットフォームにはまったく影響しない。というのも顧客はデータを暗号化できるし、そのおかげで問題は起きないからだ。顧客の誰に聞いてもらってもいい、私どものプラットフォームでそうしたことが起きた例はない。

ハイブリッドクラウド対応の機能は今後も強化していく

──── 次の質問は、ハイブリッドクラウドにどう対応しますか?

Jassy氏 企業はAWSへの対応を増やしており、大規模なワークロード群が次々にAWSへ移行されている。ほとんど毎週のように、どこかの企業がAWSへ移行するという話がAWSチームから上がってくる。

しかしまだ多くの企業がクラウドへの準備がなく、その状況はこれから数年は続くだろう。それはそれでオーケーだ。

多くの企業から望まれているのは、オンプレミスとAWSが可能な限りシームレスに連係することだろう。それを実現するために私たちはすでに何年も取り組みを続け、多数の機能を提供してきた。そして多くの企業がオンプレミスとAWSでハイブリッドクラウド構成を実現している。

例えばAmazon VPCはオンプレミスをクラウドへ自然な形で拡張できる機能であり、Direct ConnectはデータセンターとAWSを直接つなげるし、Storage Gatewayはストレージの内容をAWSに転送することでディザスタリカバリなどを実現できる。また数日前に発表したばかりのDirectory Serviceは、Active Directoryや社内のディレクトリサーバをAWSで運用できる。こうした数多くのハイブリッドクラウドのための機能をこれまでにリリースしてきたし、これからもそうしていく。

──── 次の質問は、まだまだ値下げをしていくことがAWSにできるのか? です。

Jassy氏 8年半前にAWSを立ち上げたときから私たちを見てきた人ならば、私たちは一貫して、クラウドは比較的ローマージンのボリュームビジネスになると言い続けてきたことをご存じだろう。そしてAWSの価格もそれを反映してきた。競合がいない分野でさえ値下げをしてきた。このまま値下げが続くと期待してくれていい。

私はあらゆる角度からAWSの経営を見ているが、私たちはこのビジネスに本当にのめり込んでいるし、結果を出し続けている。そして、この先何年もこのビジネスが多大な現金収入(フリーキャッシュ)を生み続けるだろうと強く信じている。

このエントリーをはてなブックマークに追加
Bookmark this on Delicious

タグ : Amazon , クラウド

≪前の記事
OpenStack、10番目のリリース「Juno」登場。Hadoop/Sparkのプロビジョニング自動化、ネットワーク機能仮想化の実装、IPv6対応など

Loading...

Blogger in Chief

photo of jniino Junichi Niino(jniino)
IT系の雑誌編集者、オンラインメディア発行人を経て独立。新しいオンラインメディアの可能性を追求しています。
詳しいプロフィール


新サイト「Publickey Topics」始めました!


Publickeyの新着情報をチェックしませんか?
Twitterで : @Publickey
RSSリーダーで : Feed





アクセスランキング - 過去7日間

  1. [速報]IBMとマイクロソフトがクラウドで協業を発表。WebSphereやDB2がAzureで、.NETランタイムがBluemixで利用可能に。協業の意味を分析する
  2. Amazonクラウド、ディレクトリサービス「AWS Direcrory Service」開始。Smabaベース、Active Directory対応
  3. Docker 1.3リリース、電子署名付きDockerイメージ、コンテナのプロビジョニング、Mac OSとのディレクトリ共有などの新機能
  4. IBM、半導体事業の売却後もPOWER Systemsなどサーバビジネスは変わらず継続。サーバの設計、研究開発や半導体の基礎研究なども進めると
  5. マイクロソフト、オンプレミス用Azureとなる垂直統合システム「Cloud Platform System」発表。デルのサーバで11月発売
  6. 「Windows ServerがDockerを採用する」とはどういうことなのか
  7. マイクロソフトの最新データセンター事情。リージョンあたり16棟のデータセンターと60万台のサーバ
  8. Amazonクラウド、ディレクトリサービス「AWS Direcrory Service」開始。Sambaベース、Active Directory対応
  9. IBMがSoftLayerを買収して約1年。あれからSoftLayerは変わったのか? CTOに聞く
  10. VMware/Cisco/EMCが合弁で設立したVCE、EMCの傘下に
  11. Google、モバイルBaaSのFirebaseを買収、クラウドに統合へ。モバイルアプリのオフライン対応、リアクティブプログラミングなどを実現
  12. 「パブリッククラウドで最大の仮想マシン」、Azureが最大32物理コア、450GBメモリ、6.5TB SSDの仮想マシン「Gファミリー」と、IOPSが5万以上/レイテンシ1ミリ秒以下の「プレミアムストレージ」を発表
  13. 「クラウドでオラクルは勝ち残っていきますよ」、エリソン氏直属のチーフコーポレートアーキテクトに、OpenStack採用とクラウド戦略を聞く
  14. 「ビジネスプロセス上の労働者が半分になる」「アルゴリズムによって考案された破壊的ビジネスの登場」、2020年までにITが引き起こすビジネスの変化トップ10をガートナーが発表
  15. Microsoft AzureでDocker専用LinuxのCoreOSサポートを発表、マイクロソフト

Publickey 最新記事 10本

Publickey Topics 最新記事 10本


PR - Books


fig

fig

fig

fig



blog comments powered by Disqus