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AniFav スペシャルの一覧へ戻る 更新日:2013年09月14日 19時18分

総力特集! アニメ『ゆゆ式』(5)――プロデューサー・小倉充俊 インタビュー 「『ゆゆ式』は言葉にならない、でも"じわじわ"くる」(中編)

ライター:
高瀬司(聞き手・構成)、前田久(聞き手)

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総力特集! アニメ『ゆゆ式』(5)――プロデューサー・小倉充俊 インタビュー 「『ゆゆ式』は言葉にならない、でも

【インタビューの前編はこちら】

 

■この子たちは漫才師じゃない

――アニメのオリジナル要素に関しては、三上先生から何かオーダーなどはあったのでしょうか?

小倉:オーダーという形では特にはなかったですね。むしろオーダーやダメ出しではなく、気に入ったポイントに対して「ここが良かったです」と言ってくださって、それがすごく励みになりました。オリジナルとして入れた第3話の自動販売機のシーンなんかで「ここは可愛くてとてもいいです」とか。やはりそう言っていただけると、こちらも自分たちのイメージに自信が持てるし、何より単純に嬉しかったですね。

――では初めにアニメ化の企画を持っていった際のオーダーというのは?

小倉:そのときもリズムやテンポを少し気にされてたくらいでした。むしろ僕らの方が三上先生にどんどん質問してヒントを探す感じでしたね。
『ゆゆ式』岡ちー ただ脚本をお見せした段階では、いくつかハッとさせられるコメントをいただきました。一つは作品の時系列に関することで、1年生のときのネタと2年生のときのネタを混在させないようにということと、その時々でのゆずこたちと相川さんたちとの距離感についてですね。「この時期はまだ相川さんとはそこまで仲良くないです」「この時期はまだゆずこと岡野は話をしてないです」というようなコメントをされていて、そこは三上先生の中にきっちりとした経過とかドラマができてるんですよ
 また何より印象的だったのはネタの扱いについてです。原作のギャグに関して、「このシーンはもう少しオーバーにした方がギャグが面白くないですか?」と提案したことがあったのですが、それに対して「この子たちは漫才師じゃないのでそういうボケはしません」というお返事があったんです。どういうことかというと、ゆずこや唯は基本的に縁に笑ってほしいから色んなネタをしているだけで、3人の外にいる人や、もちろん視聴者的な目線も想定には入っていない。いわゆる一般的なウケは意識していないんです。
 これは目から鱗で、そのご指摘を受けてからはネタや会話の書き方が変わりました。特にゆずこの行動パターンは、すごく腑に落ちたんです。

――演者としてのネタではなく、コミュニケーションのためのネタということですね。3人はネタを介して、コミュニケーションを大事に守り育んでいるところがある。

『ゆゆ式』唯・ツッコミ小倉:そうなんですよ。あの3人は単純な仲良しグループじゃなくて、実はお互いすごく気を使い合っているところがあるんですよね。仲良しのままでいたいということに一生懸命なんです。そこが『ゆゆ式』の特徴の一つなんだと思います。
 だからゆずこにしても、3人以外の人を相手にするときは普通の子なんですよね。お母さん先生や相川さんは距離感を見つけてるからいじったりはしますけど、岡野に対しては基本的にボケないんです。むしろちょっと緊張したり、普通に返事をする。
 唯もそうですよね。ゆずこに対しては激しくツッコミしますけど、相手がゆずこじゃなかったらあんな厳しい言葉使いはしない子です。かといって、普段がおとなしぶってるだけでゆずこたちと接しているときが素なのかというとそんなこともなくて、あの3人の間でのルールに則って、ああいうリアクションをしているだけなんです。

――コミュニティの楽しさに貢献するために、それぞれが自分の役割を意識的にロールプレイしているところがあると。

小倉:そう、自覚的なんですよ。自分のポジションをちゃんと理解してる。
 でも人間のコミュニケーションって本来そういうものじゃないですか。いつでもみんな何かしらのロールプレイをしている。お互いの距離を計りながら、親密度によってコミュニケーションの取り方を変えていく。『ゆゆ式』を読んでいて、改めてそういうことを気付かされましたね(笑)。『ゆゆ式』の持ってる自然さというか居心地のよさみたいなものは、そういうところから来ているんじゃないかと思います。

『ゆゆ式』12話・海――『ゆゆ式』におけるコミュニケーションの機微の掘り下げは本当に鮮やかだと思います。またその中で言えば、縁はかなり独特な立ち位置にあるように見えますが。

小倉:縁は実は一番大人なんだと思います。天然なところもありますけど、意外と他の2人を見守るポジションでもあるんですよ。最終話の海のシーンでも、2人が「おーっ!」って言ってるときに横で一人でニコッと見ているじゃないですか。あれがたぶんこの子の本質なんだと思うんですよね。
 僕が思うに、ゆずこって実は自信のない子で、自分が受け入れられるかどうかに対していつも不安に思っているところがあったりする。でも縁はそういうところまで敏感に察知して上手くフォローしてくれる、すごく大人で全体の見えてる子なんだと思います。

■3人で一つのキャスティング

――『ゆゆ式』の独特な奥行きを持ったキャラたちを演じるにあたり、キャスティングもこれ以上ないほどうってつけのものと感じました。どのように選ばれたのでしょうか。

小倉:主役3人のオーディションは、一人ひとりではなく、3人の掛け合いで演じていただいきました。あと同じ3人の中でも、たとえば種田さんがゆずこで大久保さんが縁のバージョンであるとか、そういう様々な組み合わせを何十パターンも試した上で決めています。

――それは珍しい形のオーディションですね。

小倉:3人での掛けあいが本編のほとんどですからね。大切なところでした。通常のオーディションよりも時間はかかりましたけど、その分とても良いキャスティングになった思っています。

――ほかに、オーディションの際に特にこだわられた要素は?

『ゆゆ式』縁の笑い小倉:縁の笑い方です。今その場が楽しい雰囲気だ、ということが伝わる笑い方が大事だと思っていたので、そこはすごく気にしました。
 さきほどお話したように、ゆずこや唯のネタは基本的に縁に向いているので、いってみれば縁の笑いが3人の会話のゴールなわけじゃないですか。だから絶対に耳障りになってはいけなかった。ゴールが美しくないと気持ちよくならないですからね。

――個別の演技ではゆずこの変声も印象的でした。

小倉:あれはもう大久保さんの頑張りとサービス精神です。アフレコが進むにつれ、僕らもそんな大久保さんがどんどんゆずことダブってきて(笑)。ご本人も「ゆずこをやるようになってから変なことを口走るようになりました」とおっしゃてましたけど、実際、パッケージの特典についているラジオCDでも大活躍ですよ(笑)。

『ゆゆ式』お母さん先生――ぜひみなさんにも「ゆずこ化」を確認してほしいですね(笑)。お母さん先生や相川さんたち3人組のキャスティングというのはどのように決められたのでしょうか? ゆずこたち3人を決定された後のことと思いますが。

小倉:そうですね。3人が決まったうえで、相川さんは言うなればみんなのアイドルみたいな存在だったり、お母さん先生は可愛い声でありながら、生徒たちとは一段違う説得力みたいなものが必要だとか、ゆすこたち3人を基準に必要要素で検討していきました。
 サブヒロインまで含めて、『ゆゆ式』のアフレコはすごく満足度が高かったです。キャストの皆さんには本当に感謝しています。

【後編へ続く】

『ゆゆ式』特集の導入コラムはこちら

『ゆゆ式』シリーズ構成・高橋ナツコさんインタビューの前編はこちら
『ゆゆ式』シリーズ構成・高橋ナツコさんインタビューの中編はこちら
『ゆゆ式』シリーズ構成・高橋ナツコさんインタビューの後編はこちら】 
『ゆゆ式』キネマシトラスさん取材記事の前編はこちら】  
『ゆゆ式』キネマシトラスさん取材記事の後編はこちら

©三上小又・芳文社/ゆゆ式情報処理部

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