この夏、世界の石油会社はいらだちを募らせていた。石油価格の国際的な指標となっている北海ブレント原油は6月以降、1バレル当たり115ドル(約1万2300円)から92ドル(約9800円)に下落し、この2年余りで最安値をつけた。下落幅は20%に上る。
原油価格が下がった一因は、脆弱な経済にある。経済成長が鈍化し(特に中国とユーロ圏)、それに伴って石油の消費も縮小している。国際エネルギー機関(IEA)、米国エネルギー情報局、および石油輸出国機構(OPEC)は最近、世界の石油需要に関する予想をそろって下方修正した。
ところが供給の過剰は膨らんでいる。米国のシェールオイル産出量は2008年以降、1日当たり約400万バレル増加しており、米国がOPECから輸入する石油の量は半分近く減った。
そのOPEC内にも混乱が見られる。同機構内で最大の産油国であるサウジアラビアは10月1日、世界市場におけるシェア拡大を図って一方的かつ突然に自国の公定価格を引き下げた。同国は夏にも価格の引き下げを行っていた(クウェートとイラクも同様)。OPECに加盟している中東諸国の大半は現在、アジアにおける価格戦争のまっただ中にある。
■開発生産性は5分の1に低下
油田の探査・開発(いわゆる上流)を担う石油会社にとって、これは凶報だ。こうした企業の多くは、石油価格が現在の水準よりずっと高いことを想定して戦略を立てている。北海ブレント原油価格は08~09年の世界同時不況で1バレル当たり35ドル(約3700円)を割り込んだ後、2012年の春までに同128ドル(約1万3700円)まで回復した。それを受け、石油会社は米国のシェール開発から熱帯の深海油田に至るまで、あらゆる種類のプロジェクトに現金をつぎ込んだ。
コンサルティング会社アーンスト・アンド・ヤング(EY)のアナリスト達は、世界のエネルギー会社が現在投資している油田探査「メガプロジェクト」は163件あり、それぞれのコストは10億ドル(約1100億円)を超え、総計で1兆1000億ドル(約120兆円)に上ると試算している。
EYはまた、その半分以上が予算超過の状態で、スケジュールに遅れが出ていることもつきとめた。大型プロジェクトのほとんどは「原油価格が100ドル(約1万円)を切ることはない」という、ここ数年のあいだ業界の信条となっていた見解に基づいて計画されてきた。
この夏、世界の石油会社はいらだちを募らせていた。石油価格の国際的な指標となっている北海ブレント原油は6月以降、1バレル当たり115ドル(約1万2300円)から92ドル(約9800円)に下落し、この2年余りで最安値をつけた。…続き (10/24)
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