ビール類:酒税見直し、自民が意向…税率格差を縮小
毎日新聞 2014年10月24日 21時12分(最終更新 10月25日 00時23分)
自民党税制調査会の野田毅会長は24日、公明党税調幹部と非公式で会談し、年末に決める2015年度税制改正大綱に向けて酒税の見直しに本格着手する意向を伝えた。風味が似ながら税率が異なるビールと発泡酒、「第3のビール」の税率格差を縮小する方向で検討する。
ビール類の税率は、原料に占める麦芽の含有量などで差が設けられている。350ミリリットル缶当たりの税額は、発泡酒が47円、発泡酒に別の酒を加えたり、麦芽以外を原料にしたりした第3のビールが28円。最も高いビールは77円で、税率の格差は最大で2.8倍に達している。
ビール各社は1990年代後半以降、税率格差を背景に発泡酒などの開発競争を展開。税率の高いビールの販売量は減少した。ピーク時の94年度は741万キロリットルを記録したが、ここ数年は300万キロリットルを割り込むまで低迷している。一方、発泡酒や第3のビールの合計量は300万キロリットル程度まで膨らんだ。
政府や自民党内では「税率の低さを狙って新商品を開発する慣行は改めるべきだ」との批判が拡大。年末に向けた税制改正論議ではビールの税率を引き下げる一方、発泡酒と第3のビールは増税する方向で議論する見通しだ。ただ、主力製品は社によって異なり、見直し案の内容次第では業界内の利害が対立し、発泡酒と第3のビールの税率引き上げに消費者の不満が高まる可能性もある。【横田愛】