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紋別市住民福祉大会、佐藤のりゆき氏が地域社会のあり方示す
(10月21日付け)
 市民が住みよい地域社会づくりを考える「第39回紋別市住民福祉大会」が19日、市民会館で開かれ、約140人が参加した。基調講演ではフリーキャスターで現在は北大創成研究機構の客員教授を務める佐藤のりゆき氏が「持続可能な地域社会をめざそう」をテーマに持論を展開。地域コミュニティが希薄化する中で老齢男性が孤立化していることを例に挙げて「自立する気持ちを持つことが大切だ」と訴えた。
 今年の同大会は「支えあって共に生きる街づくり」をサブテーマとし、市と市社会福祉協議会、市町内会連絡協議会などでつくる実行委員会(実行委員長=佐野順常社協会長)が主催した。
 佐藤氏は自身の番組で道民から聞いた話や調査研究事例を交えながら、高齢者介護の現状や地域コミュニティの希薄化などの問題について考えを語った。
 この中で、健康な70歳以上の男性は妻と同居している一方、同年代の健康な女性は夫がいない傾向にあるという調査結果を紹介。そのうえで佐藤氏は「(配偶者と死別・離婚した後の)一人暮らしを女性は楽しむが、男性は悲惨に思う。社交性のある女性は身に異変があった時に周囲に気付かれやすいが、引きこもりがちな男性はなかなか気付かれない。夫婦生活で男性にないがしろにされてきた女性は自然と自立を求めるが、定年を迎えた男性は女性に依存する。結果として妻を失った男性は引きこもる」と解説。
 そうした観点から「一人暮らしの男性を外に出そうとする取り組みは重要。大体のことは自分でできる気概を男女ともに持たせることが大切だ」とし、「福祉は地域社会と一体だが、地域社会は家庭や個人とも一体。自分のことは自分でやるのが福祉。町内会や民生委員で活躍している皆さんには心を強く奮い立たせてほしい」と呼びかけた。
 また、佐藤氏は道政のあり方にも言及。「かつて東京の中央官僚に『北海道についてどう思うか』と取材し、『日本にぶら下がって生きている』『いつまで国の荷物でいる気か、迷惑だ』と言われ落胆し、憤りを覚えた。これからの地方自治は自立が求められる時代。(国に依存する体質から脱却する)独立の気概を持ち、確かな産業・福祉のプランを企画して実現していく自立性が必要だ」と訴えた。
(基調講演で自立することの大切さを訴えた佐藤のりゆき氏=写真=)

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